診療支援
治療

睡眠時無呼吸症候群
sleep apnea syndrome(SAS)
今井丈英
(山口小児クリニック・院長(東京))

●病態

・上気道が虚脱閉塞し無呼吸低呼吸を反復する閉塞性(obstructive)と,呼吸中枢の機能異常や未熟性に由来する中枢性(central)に分けられる.

・米国睡眠学会による「睡眠障害国際分類第3版」(ICSD-3)はSASを睡眠関連呼吸障害群に分類している.

・小児の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA:obstructive sleep apnea)の頻度は4%前後で,原因は口蓋扁桃アデノイド肥大(ATH:adenotonsillar hypertrophy)が多い.幼稚園から小学校低学年年齢でピークとなるATHで,咽頭腔が睡眠中,特に仰臥姿勢で狭くなり換気障害から無呼吸低呼吸になる.ATHは時に乳児期から観察される.

・OSAはATHに加えて鼻炎や肥満,小顎や顎顔面低形成で増悪し,無呼吸低呼吸後に換気努力から覚醒反応,睡眠分断や交感神経系賦活が睡眠中に反復する.このため睡眠中は発汗や心拍数上昇,中途覚醒が,覚醒時は眠気や集中力低下,成人では高血圧症や耐糖能異常との関連,小児では多動や学力低下との関連が示唆されている.

・中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS:central sleep apnea syndrome)は,乳児原発性と早産児原発性がICSD-3に記されている.先天性中枢性低換気症候群(CCHS:congenital central hypoventilation syndrome)は,ICSD-3ではPHOX2B遺伝子異常が診断必須項目で,睡眠関連低換気症候群に分類されている.

●治療方針

A.閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)

 ATHの程度,睡眠検査の結果で治療法を選択する.睡眠検査は睡眠ポリグラフ検査(PSG:polysomnograph)がゴールドスタンダードとなっているが簡易検査が広く行われている.

1.口蓋扁桃アデノイド摘出術(T&A)

 中等度以上のOSAでATHがあれば

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