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GL成人肺炎診療ガイドライン2017
GL気道感染症の抗菌薬適正使用に関する提言(改訂版)(2022)
ニュートピックス
・2022年11月,日本感染症学会の「気道感染症の抗菌薬適正使用に関する提言」が改訂された.COVID-19除外の必要性を考慮した,マイコプラズマ感染症を含む急性気管支炎の診断および治療に関するフローチャート(成人)が刷新された.
治療のポイント
・小児や成人において,急性の頑固な咳嗽,発熱を訴える場合に本疾患を鑑別する.
・家庭,学校,職場における集団感染を考慮した問診が有用な場合がある.
・診断は,咽頭ぬぐい液を用いた迅速抗原検査またはLAMP法にて行い,胸部画像にて肺炎の有無を評価する.
・マクロライド系抗菌薬が第1選択薬であり,無効例にはテトラサイクリン系,キノロン系抗菌薬を選択する.
◆病態と診断
A病態
・肺炎マイコプラズマは気道線毛上皮に付着し,直接障害に加えて,細胞膜の強い抗原性に関連した宿主免疫反応を誘導する.この結果,IL-18やIL-8のサイトカイン産生を増加させ,線毛上皮の脱落とともに強い咳嗽を引き起こす.
・引き起こされる病態は気管支炎または肺炎であり,飛沫感染にて集団発生を引き起こすことがある.
・気管支炎例では自然軽快することもあり,肺炎例では重症化する可能性がある.
・肺炎例の5~10%程度には,溶血,皮膚・関節症状などの肺外症状がみられる.
・合併症としてギラン・バレー症候群をきたすことがある.
B診断
・咽頭ぬぐい液を用いた,イムノクロマト法による抗原迅速検査やLAMP法によって診断する.
・血清診断では,2週間の間隔をあけたペア血清による抗体価の上昇(4倍以上)を確認するが,迅速性がないため一般臨床には応用しにくい.
・肺炎の存在は,胸部単純X線,必要に応じてHRCTを撮影して評価する.すりガラス影が主体と理解されている場合があるが,実