診療支援
治療

びまん性汎細気管支炎
diffuse panbronchiolitis(DPB)
望月太一
(国際医療福祉大学三田病院・呼吸器内科部長)

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治療のポイント

・長引く「狭義の咳嗽」において,喀痰を伴う場合の重要な鑑別疾患としてDPBを認識しておく必要がある.広義の副鼻腔気管支症候群に含まれるDPBはprimary ciliary dyskinesia,Young症候群,Yellow nail症候群,cystic fibrosisなどの,びまん性肺疾患を呈する疾患との鑑別を認識しなければいけない.DPB経過中にP-ANCA 陽性の全身性血管炎を合併した症例も報告されている.長期的な管理において血管炎の合併も念頭におき,特に急性増悪を疑うときは,原因として感染症合併のみならず血管炎合併も考慮すべきである.

・本疾患の治療はマクロライド系抗菌薬少量長期療法で,14または15員環マクロライド系抗菌薬を用いる.

・治療開始前に,喀痰あるいは気管支鏡検査による肺非結核性抗酸菌症合併の除外を行う.

・治療開始後6か月の時点で総合的に治療効果を判定する.安定した状態が継続していれば2年で治療を終了し,再発が認められた場合には同じ治療を再開する.広範な気管支拡張や呼吸不全を伴う進行症例では,有効性を確認し2年以上治療を継続する.

・急性増悪時には細菌感染が関与している場合が多く,Haemophilus influenzaeStreptococcus pneumoniaeMoraxella catarrhalisPseudomonas aeruginosaが関与する.最終的に菌交代症を起こしMoraxella catarrhalisPseudomonas aeruginosaに交代する.喀痰培養検査を必ず行い,的確な抗菌薬治療を開始する.

◆病態と診断

A病態

・びまん性汎細気管支炎(DPB:diffuse panbronchiolitis)のdiffuseは病変が両肺全体に分布していることを意味し,panは呼吸細気管支の

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