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6 百日咳

百日咳の病歴・身体所見

小児に多い病気ではあるが,成人においても慢性咳嗽では百日咳を鑑別に加えるべきである.

急性上気道炎後の3-6週間の激しい咳が特徴的だが,発熱を伴うことは稀である.

夜間〜明け方の発作性咳嗽,発作後嘔吐,吸気性笛声(whooping)が特徴的であるが,特にワクチン接種歴がある場合や成人では非典型例も多い.

臨床症状だけでは診断は困難であり,流行歴や患者・小児との接触歴も重要である.

小児では2週間継続する咳嗽の37.2(30-44)%が百日咳であるとの英国における報告がある〔BMJ. 2006 Jul 22; 333(7560): 174-7〕.

日本では成人の百日咳の報告が増えており,2008-2011年度の報告例のうち40%前後が成人である.

感染から1-3週間(6-10日間のことが多い)の潜伏期間を経て,カタル症状が1-2週間継続し,徐々に咳が増強し痙咳期が3-6週間継続し,徐々に回復して咳がおさまるまで合計2-3か月かかるのが典型的な経過である.

▶感染後3週間は感染性があると考えられているが,適切な抗菌薬を内服すると5-7日で感染性は消失する.カタル期を過ぎると抗菌薬による症状軽減の効果はなく,周囲への感染伝播を防ぐことが目的となる.

▶小児において百日咳のPCRが陽性となった84例では,咳は平均45±26日継続した〔Pediatrics. 2000 Mar; 105(3): E31〕.

▶家族内発症は56%で認められるという報告がある〔IASR 2005; 26(301): 66-7〕.


成人の百日咳

合併症

▶肺炎などの合併症は乳児に多い.生後6か月未満での合併症併発率は24%だが,それ以降では5%となる.一方,成人での肺炎合併率は30歳未満で2%だが,30歳以降では5-9%と加齢とともに合併症は増加する〔CMAJ. 2005 Feb 15;

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