診療支援
治療

急性間質性肺炎
acute interstitial pneumonia(AIP)
成田裕介
(医療法人 成田内科医院)
山口哲生
(JR東京総合病院副院長・呼吸器内科部長)

A.疾患・病態の概要

●急性間質性肺炎は,特発性間質性肺炎のなかで進行が速く,かつ死亡率は60~100%と予後不良な疾患として知られている.しかし,呼吸不全を乗り切った症例では完全回復例もある.

●臨床像は原因不明の急性呼吸窮迫症候群*1,2(acute respiratory distress syndrome:ARDS)の病態を呈する.平均発症年齢は50歳代で性別による差はない.喫煙との関連も報告されていない.

●多くの症例では感冒症状が初発症状である.発症から入院までの期間は,平均2~3週間である.入院時には頻呼吸,低酸素血症を呈し,ARDSの診断基準を満たす症例がほとんどである.

●病理学的にはびまん性肺胞傷害の所見で,時間経過で滲出期,器質化期,線維化期に分けられ,この順で進行する.病変の時相は一様である.

‍ 1 急性呼吸窮迫症候群

 ①先行する基礎疾患をもち急速に発症する,②胸部X線にて両側性びまん性浸潤影,③動脈血酸素分圧(PaO2)と吸入気酸素濃度(FIO2)の比(PaO2/FIO2)<200Torr,④左心不全所見がない,の4つの基準を満たす場合に診断される.

‍ 2 AIPはARDS様の病態を呈するが,AIPはARDSに含まれるものではない.むしろARDSから鑑別すべきものとしてあげられる1)


B.最初の処置

1バイタルサインと病歴聴取

①入院時にはARDSの診断基準を満たす症例がほとんどであり,意識・呼吸・循環状態の安定をまず図る.呼吸状態では特に呼吸数,リズム,呼吸体位,酸素飽和度(SpO2)に留意する.動脈血液ガス分析を行い直ちに酸素投与を開始する.酸素投与のみの管理で管理が不可能と判断した場合は,経口気管挿管や非侵襲的陽圧人工呼吸(non-invasive positive pressure ventilation:NPPV)を行う.

②多くの症例では感冒症状

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