診療支援
診断

部位別の身体診察:全身状態
(動)収載項目
奈良 信雄
(日本医学教育評価機構 常勤理事/順天堂大学医学部 客員教授/東京医科歯科大学 名誉教授)

 全身状態(general status)の診察では,全身の外観と精神状態を観察する.

顔貌

 まず,顔全体,顔貌(countenance)を観察する.健常者の顔貌は,いきいきとした活気があり,表情も豊かである.これに対して,疾患によって特徴のある顔貌を示すことがある.患者の顔貌を観察することは,重篤な疾患であることを判断したり,特有な顔貌から疾患を特定するのに有意義である.

特徴的な顔貌

(図1)

苦悶状顔貌

 疼痛など強い苦痛があるとき,顔をしかめ,苦痛の表情をとる.これを苦悶状顔貌(painful)という.一見して苦痛の存在がわかる.

有熱顔貌

 有熱顔貌(febrile)とは,高熱があるとき,顔面が熱のために紅潮している状態をいう.

無欲状顔貌

 表情に活気がなくなり,眼光は鈍く,周囲に対して関心を示さない状態を無欲状顔貌(apathetic)という.敗血症,腸チフス,粟粒結核などの高熱を出す重篤な

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