全身状態(general status)の診察では,全身の外観と精神状態を観察する.
顔貌
まず,顔全体,顔貌(countenance)を観察する.健常者の顔貌は,いきいきとした活気があり,表情も豊かである.これに対して,疾患によって特徴のある顔貌を示すことがある.患者の顔貌を観察することは,重篤な疾患であることを判断したり,特有な顔貌から疾患を特定するのに有意義である.
特徴的な顔貌
(図1)図
苦悶状顔貌
疼痛など強い苦痛があるとき,顔をしかめ,苦痛の表情をとる.これを苦悶状顔貌(painful)という.一見して苦痛の存在がわかる.
有熱顔貌
有熱顔貌(febrile)とは,高熱があるとき,顔面が熱のために紅潮している状態をいう.
無欲状顔貌
表情に活気がなくなり,眼光は鈍く,周囲に対して関心を示さない状態を無欲状顔貌(apathetic)という.敗血症,腸チフス,粟粒結核などの高熱を出す重篤な