診療支援
診断

筋緊張異常
muscle tone abnormality
三瀧 真悟
(大田市立病院神経内科 部長)
長井 篤
(島根大学医学部内科学第三 教授)

筋緊張異常とは

定義

 骨格筋は筋紡錘と脊髄の間に存在する伸張反射をはじめとするいくつかの反射により,絶えず不随意に緊張した状態にあり,この緊張を筋トーヌス(muscle tonus)と呼ぶ.筋トーヌスが存在することにより,伸展に抵抗したり,関節の過度の運動阻止,姿勢保持がなされている.

 筋トーヌスの異常(筋緊張異常)とは,疾患や病態により筋トーヌスに異常をきたし,亢進や低下を示すことを意味する.

患者の訴え方

 通常,患者自身は直接筋トーヌスの異常を訴えることはなく,原疾患に伴う症状の訴えが多い.

 筋トーヌス亢進では,「歩行のつっぱり感」や「足を引きずる」「動作が遅くなった」と訴え,筋トーヌスの低下は,軽度では気づかないことが多く,高度では合併する筋力低下の訴えがみられる.

患者が筋緊張異常を訴える頻度

 筋トーヌスに異常をきたす疾患の頻度による.脳血管障害やParkinson(パーキンソン)病によ

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?