診療支援
治療

2 潰瘍性大腸炎
ulcerative colitis
金井 隆典
(慶應義塾大学教授・消化器内科)
大野 恵子
(慶應義塾大学・消化器内科)

疾患を疑うポイント

●感染性腸炎,薬剤性腸炎,放射線性腸炎などの原因がなく,若年者に持続的で繰り返す粘血便がある場合,本症の可能性を考える.

学びのポイント

●患者数は急増している一方,根治療法が存在しないため,さまざまな治療法が開発されている.

●潰瘍性大腸炎の診断は本症に特徴的な臨床所見,画像所見,病理所見に加え,類似した症状を呈する疾患を除外することでなされるため,鑑別診断が重要である.

●好発年齢,典型的病変分布,画像所見をおさえる.

▼定義

 主に大腸粘膜にびらんや潰瘍を形成する,原因不明のびまん性非特異性炎症性疾患.

▼病態

 潰瘍性大腸炎の原因は解明されていないが,遺伝的素因,環境因子,免疫応答の異常,腸内細菌などが関与する多因子疾患であると考えられている.潰瘍性大腸炎の疾患感受性遺伝子解析では「腸管上皮バリア機能」に関与する遺伝子との関連が指摘されており,また,先進国に多く途上国には少ないた

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