診療支援
治療

閉塞性血栓血管炎(Buerger病)
Thromboangiitis obliterans (TAO), Buerger disease
高山 利夫
(東京大学医学部附属病院 講師(血管外科))

【疾患概念】

 濃厚な喫煙歴以外に既往のない40歳代前後の若年男性が,手指や足趾に冷感を伴う疼痛を訴えて来院した際に,まず疑うべき疾患である.一般的には動脈疾患という印象がもたれているが,実際には中小径の静脈に対しても非動脈硬化性分節的炎症性病変をきたす.しかし患者の受診行動につながるのは主に動脈病変の存在であり,進行に応じて四肢末端部の冷感から安静時痛,そして潰瘍形成・壊死,指趾欠損と進行する.一方で末梢側からの進行が特徴的であるため,四肢大切断まで至ることは少ない.喫煙人口の減少とともに近年罹患者数は減少傾向にあるが,早期発見・早期治療が重症化の予防に最も重要であるため,日常診療を行ううえで忘れてはならない疾患の1つである.


問診で聞くべきこと

 何よりも喫煙歴の聴取が重要である.罹患者の平均喫煙期間が23年間だったという報告もある.身体所見では冷感や疼痛といった動脈系症状以外に,四肢表在静

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