緊急処置
【1】まずバイタルサイン,酸素飽和度をチェックする。
【2】ショックの場合はすみやかに,ショックに対する治療を行いながら,胸痛の診断を進める。
診断のチェックポイント
5 killer chest painといわれる5つの致死的胸痛疾患である急性冠症候群(急性心筋梗塞,不安定狭心症),急性大動脈症候群(急性大動脈解離や大動脈瘤切迫破裂),肺塞栓症,緊張性気胸,食道破裂を念頭におき診断する。これらの疾患であれば緊急に治療を開始する。
【1】病歴:以下のOPQRSTを念頭において系統的に特徴を聞き出すようにする。
❶O(onset:発症様式):突然の発症か,知らないうちにだんだんに痛くなったか,どのような状況で発症するのか。
■早朝やストレス時(→冠攣縮性狭心症)。
■嘔吐後(→食道破裂)。
❷P(provocation/palliation:増悪・寛解因子):どのような状況で増強または軽快するか。
■労作時出現,安静により軽快(→労作性狭心症)。
■深呼吸で増強(→心膜炎,胸膜炎)。
■体位や体動により増強(→筋骨格系疾患)。
■食事で増強または軽快(→消化管疾患)。
■臥位により増強(→逆流性食道炎)。
■ニトログリセリンが有効(→狭心症)。
■坐位や前屈みで軽快(→心膜炎)。
❸Q(quality/quantity:性質):鋭い痛みか,鈍い圧迫感か。チクチクするような痛みは,狭心症は否定的。
❹R(region/radiation:部位,放散の有無)
■部位は胸部の1点を指せるような痛みから,胸部全体の重苦しい感じまである。指で1点を指せるような痛みでは,虚血性心疾患は否定的。
■頸部や肩,上肢への放散痛(→心筋梗塞)も参考になる。
❺S(severity:程度):死を覚悟するほどの痛みか,忘れる程度の痛みか。一番強い痛みを10としてどの程度か表現してもらうとわかりやすい。
❻T(timecourse:
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