緊急処置
SpO2<90やPaO2≦60 Torrのように呼吸不全を認めた場合や意識障害を呈している場合は,酸素療法,非侵襲的換気補助療法,挿管人工呼吸など,病状に応じた治療を行う。
診断のチェックポイント
●定義
❶呼吸のパターンは,吸気相,後吸気相,呼気相の3相からなる。
❷異常呼吸には,呼吸回数の異常,1回換気量の異常と呼吸リズムの異常とがある。
❸代表的な呼吸リズムの異常であるチェーン・ストークス呼吸(Cheyne-Stokes respiration:CSR)とは,1回換気量が漸増・漸減する過呼吸に続く無呼吸と低呼吸のサイクルを繰り返す周期性異常呼吸である。
【1】病歴
❶異常呼吸が起こる状況(覚醒時か睡眠時かなど)や症状を確認する。
■特に睡眠中のいびきや呼吸停止の有無,日中の眠気など。
■睡眠中については,患者本人からだけでなく,家族からの情報も重要になる。
❷原因疾患となる呼吸器疾患,脳神経疾患,心疾患,糖尿病,腎疾患の既往や治療歴の有無を尋ねる。
【2】身体所見
❶呼吸回数の増加(頻呼吸)や減少(除呼吸,無呼吸),1回換気量の増加や減少を観察する。
❷呼吸リズムの異常の有無,呼気の延長〔→慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD),喘息発作〕,周期的な異常(→CSR)か,不規則な異常か(→下顎呼吸など)をみる。
❸浮腫,不整脈の有無(→心不全)。
❹運動障害,知覚障害の有無(→脳血管疾患)。
❺聴診異常所見(心雑音,ラ音)(→心疾患,呼吸器疾患)。
【3】検査
❶胸部単純X線写真(→肺病変,心拡大,肺うっ血像の有無)。
❷心電図(→心不全)。
❸血液・生化学検査(BNP上昇→心不全)。
❹動脈血ガス分析(pH低下・PaCO2上昇→低換気,pH上昇・PaCO2低下→過換気,pH低下・HCO3-低下→Kussmaul大呼吸)。
❺呼吸機能検査