診療支援
診断

腸管出血性大腸菌感染症
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Enterohemorrhagic Escherichia coli(EHEC)Infection
大毛 宏喜
(広島大学病院感染症科・教授)

診断のポイント

【1】急に発症する激しい腹痛と水様便。

【2】同様の症状を呈する患者の存在。

【3】発熱は軽度。

【4】血便が少し遅れて出現。

緊急対応の判断基準

【1】小児や高齢者で顔色不良・乏尿・浮腫が出現した場合は,溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome:HUS)の併発を念頭に,直ちに高次医療機関に搬送する。

【2】意識障害は脳症の併発の可能性があるため,高次医療機関への搬送を検討する。

症候の診かた

【1】腸管出血性大腸菌(EHEC)が原因の食中毒であり,複数の患者が発生することが多い。

【2】腸管内に入ったEHECがベロ毒素を産生して腹痛と水様下痢をきたすため,潜伏期間は3~8日と幅がある。

【3】大腸内での毒素が症状の主因となるため,発熱や嘔吐の頻度は低い。

【4】ベロ毒素の大腸粘膜障害は血便の原因となる。下痢の発症から1日程度遅れて血便が出現する。

【5】下痢症状出現の

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