診療支援
診断

重金属中毒
††
Heavy Metal Poisoning
杉田 学
(順天堂大学大学院教授・救急・災害医学)

 本項では臨床的に重要な,水銀,ヒ素,鉛,カドミウムの中毒について解説する。

診断のポイント

【1】重金属とは比重が4以上の金属のことであり,鉄以上の比重をもつ金属の総称である。

【2】重さのみによる分類のため,非常に雑多な化学的性質・物理的性質をもった金属が含まれる。

【3】中毒の原因物質により,症状や徴候が異なるため,原因物質の同定が重要で,患者のみならず,救急隊や家族,関係者からの情報収集を行い,重金属や関連化合物に対する曝露歴を調べる必要がある。

緊急対応の判断基準

【1】他の中毒と同様に,バイタルサインに異常がある場合には,安定させるための一般的な対応が必要となる。

【2】複数の患者が同時に中毒症状を発症している場合には,周辺の医療機関や保健所と情報共有をしながら,原因の特定を行う。

【3】重金属中毒の疑いがあり,血中濃度の測定や解毒・拮抗薬の投与が必要な可能性がある場合には,救命救急センターな

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?