診療支援
治療

好酸球性肺炎,過敏性肺炎
eosinophilic lung disease,hypersensitivity pneumonitis
北林 耐
(国際医療福祉大学小児科学・教授)

Ⅰ.好酸球性肺炎

●病態

・肺に異常に好酸球が浸潤し,肺障害が引き起こされる特殊な肺炎である.

・原因として薬物,真菌,寄生虫などがあげられるが,原因不明のものも多く,最近では喫煙によるものが多く含まれるとの報告もある.

・症状としては咳嗽,痰,発熱,呼吸困難を訴えることが多く,急性の場合には呼吸困難が急速に進行し呼吸不全になることがあるが,慢性の場合には1か月以上にわたって症状が続くのが一般的である.

・末梢血好酸球数の増多を認めることが多いが,好酸球数増多がなくても気管支肺胞洗浄液や肺生検で好酸球の増加や浸潤を認めれば診断できる.

・胸部X線では全肺野にすりガラス状陰影を認め,両側胸水の貯留を高頻度に認める.胸部CT検査では両側びまん性すりガラス状陰影,斑状の濃度上昇などがみられる.

●治療方針

 原因物質を特定できる場合には抗原除去・回避することが大切だが,ステロイドによる治療が第1選択となる.

A.急性好酸球性肺炎

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

➊プレドニン錠 1回0.5mg/kg(成人量1回30mg) 1日1回 朝食後 1~2週間投与.反応をみながら漸減中止

➋ソル・メドロール注 1回30mg/kg(成人量1回1g) 1日1回 点滴静注 3日間.その後プレドニン錠 1日0.5mg/kgの後療法を行う

B.慢性好酸球性肺炎

Px処方例

プレドニン錠 1回0.5mg/kg(成人量1回30mg) 1日1回 朝食後.2週間~1か月間投与.治療反応性をみながらゆっくり減量

 治療期間は比較的長期にわたり,漸減中に再発する例も多いが,再治療への反応性は良好である.悪化例では,急性好酸球性肺炎の治療に準じてステロイドパルス療法を行う.

■専門医へのコンサルト

・抗菌薬不応性の肺炎あるいは原因不明の呼吸不全で好酸球性肺炎を疑わせる所見があれば,早めに専門医へ紹介する.

■患児・家族説明のポイント

・完全

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