A.疾患・病態の概要
●AIDS(acquired immunodeficiency syndrome,後天性免疫不全症候群)は,1981年にアメリカのロサンゼルスに住む同性愛男性(ゲイ)に初めて発見され,症例報告された.ウイルスの分類上は,一本鎖RNAウイルスであるレトロウイルス科レンチウイルス属に属し,HIV-1とHIV-2の2つのタイプがある.
●わが国では1985年,初めてAIDS患者が確認され,当初は大半が凝固因子製剤による感染症例(薬害エイズ事件)であった.日本の新規HIV感染者数は世界でも特に少ない水準にあるが,先進国の中で唯一増加傾向にある.日本人は,同性間性的接触(男性同性愛)による感染が多く,ついで異性間性行為による感染が多い.一方,静注薬物濫用や母子感染によるものは少ない.
●2008年に新たに報告されたわが国のHIV感染者は1,126(男性1,059,女性67),AIDS
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