診断のポイント
【1】本邦では,本症の発症年齢の中央値は54歳で,両側肺門縦隔リンパ節腫脹(bilateral hilar-mediastinal lymphadenopathy:BHL)が79%,肺野病変が45%,眼病変が50%,皮膚病変が32%に認められる。
【2】血清アンジオテンシン変換酵素高値は特異度の高い検査値異常である。感度は30~80%であり,低値であっても,本症を否定できない。
【3】全身性疾患である本症では多彩な臨床症状(表1図),特徴的な検査所見(表2図),臓器病変を強く示唆する臨床所見(表3図)が診断に重要である。
❶呼吸器病変:BHLとリンパ路である広義間質に沿った多発粒状影および肥厚像などの肺野病変。
❷眼病変:肉芽腫性ぶどう膜炎。
❸心臓病変:他に基礎疾患のない高度房室ブロックまたは致死的心室性不整脈や左室収縮不全,心臓超音波での心室中隔の菲薄化。
❹皮膚病変や筋病変:肉芽腫性病変を証明された皮疹や無痛性の筋腫瘤など。
【4】罹患臓器の病変部の生検で乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫が検出される。
【5】組織診断群と臨床診断群に分けられ,診断基準に即して診断される。指定難病を申請する場合は重症度分類が必要であり,重症度分類ⅢとⅣが公費助成の対象となる。
緊急対応の判断基準
【1】高度房室ブロックまたは致死的心室性不整脈:刺激伝導路の肉芽腫病変に起因し,突然死の危険が高いので,早急な対応が必要となる。
【2】意識障害:中枢神経病変や急速に進行する高カルシウム血症で生じることがある。
症候の診かた
【1】呼吸器症状
❶胸部異常陰影:無症状で健診によりBHLを指摘される場合が多く,ラ音も聴取されない場合が多い。
❷咳嗽:気管支病変がある場合に認められ,乾性咳嗽であることが多い。
❸息切れ:肺病変が緩徐に進行した場合に認められる。まれに急性発症する。肺高血圧を呈した場合も息切れが認められ
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