Ⅰ.全身性エリテマトーデス(SLE)に伴う腎病変:ループス腎炎
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治療のポイント
・ループス腎炎はSLEの重要な臓器合併症の1つで,生命予後に与える影響が大きいため,検尿異常や腎機能低下を認めた場合,可能な限り腎生検を行う.
・治療は一般管理(合併症対策を含む)と免疫抑制療法(副腎皮質ステロイド,免疫抑制薬,分子標的薬)からなる.
◆病態と診断
・ループス腎炎はSLE(systemic lupus erythematosus)患者の血中で産生される免疫複合体が糸球体に沈着して発症する.発症時期に個人差があるが,SLE患者の約半数にみられる.
・光学顕微鏡では細胞増多,係蹄壁の変化,ワイヤーループ病変など多彩な所見を示し,蛍光抗体法では免疫グロブリンや補体がフルハウスパターンで陽性となる.
・組織学的重症度はISN/RPS 2018年分類に基づいて判断する.
◆治療方針
免疫調整薬であるヒドロキシクロロキンを投与し,追加する免疫抑制療法の内容を検討する.SLE自体に心血管病が多いこと,副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬投与中は感染症や生活習慣病のリスクが上昇するため,その対策も行う.糸球体疾患のためのKDIGO(国際的腎臓病ガイドライン機構)ガイドラインが2021年に改訂され,エビデンスに基づくループス腎炎の治療法に関する推奨が示されている.ISN/RPS分類Ⅰ,Ⅱ型では腎炎を標的とした治療は行わず,腎外病変に応じた治療内容となる.Ⅲ,Ⅳ,Ⅴ型では腎病変を標的とした治療を行う.Ⅵ型では慢性化病変が進行しており,積極的治療の効果は期待できない.治療効果や予後予測の指標は尿蛋白量と推算糸球体ろ過量(eGFR)の改善あるいは安定である.
A一般管理
Px処方例 禁忌がない限り早期から下記1)を用いる.感染症対策として2),骨粗鬆症対策として3),慢性腎臓病対策として4),5)を適宜用いる.
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