診療支援
治療

呼吸器疾患を理解するためのポイント
浅野 浩一郎
(東海大学教授・呼吸器内科学)

ざっくりわかる呼吸器疾患

 呼吸器内科学は非常に多様な疾患を含んだ領域になりますが,感染症腫瘍性疾患,そして呼吸器領域に特有の疾患群,これには閉塞性肺疾患,間質性肺疾患,肺循環障害,呼吸調節異常,呼吸不全といったものが含まれますが,このように大きく3つに分けて考えるとわかりやすいでしょう(図2-1).本章は,まず最初に感染症,次に呼吸器領域に特有の疾患群,さらに次に腫瘍性疾患,最後に肺を取り囲む胸膜・縦隔・胸壁・横隔膜の疾患,という順序で構成されています.

 ここでは特に呼吸器領域に特有の疾患を中心に,さらにどのように分類されているかを見ていきます.

A どこがどう違う? ①閉塞性肺疾患と間質性肺疾患

 まず,閉塞性肺疾患間質性肺疾患について取り上げます.

 肺の構造のうち,呼吸によって出入りする空気の通り道(気管~肺胞)を実質,この空気の通り道を支えている部分を間質とよびます.このうち間質に起こる疾患群を間質性肺疾患といいます.なお,肺動脈や肺静脈といった肺循環系は間質のなかに含まれますが,ここにかかわる疾患は別に分けて考えます.これに対し,気管支喘息慢性閉塞性肺疾患(COPD)といった実質に起こってくる疾患群は実質性肺疾患とはよばず,閉塞性肺疾患としてまとめてあります.なぜこのような分類をしているのかというと,この2つの疾患群,閉塞性肺疾患と間質性肺疾患とでは,病気のとらえ方,診断の仕方に大きな違いがあるからです(表2-1)

◎換気時の空気の流れが障害され気流閉塞が生じる=閉塞性肺疾患

 肺実質,つまり空気の通り道に異常が生じると当然のことながら換気時の空気の流れが障害され,気流閉塞が生じます.気流閉塞を伴う疾患なので,これらを閉塞性肺疾患と分類するわけです.これらの疾患の診断には気道内の気流を動的にとらえる必要がありますが,画像診断(X線検査やCTスキャン)や病

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