二次小葉と小葉からみた所見分布の分類
【1】Millerは二次小葉を「小葉間隔壁で囲まれた領域」と定義した(図1図)。
【2】小葉は終末細気管支より末梢の構造である細葉5,6個からなる。小葉辺縁構造には小葉間隔壁が含まれるが,静脈は解剖諸構造の辺縁を走行するのが原則であり,肺静脈も小葉辺縁構造となる。胸膜も小葉辺縁構造である。
【3】小葉中心には終末細気管支とその伴走肺動脈が位置することになる。気管支肺動脈はほかの二次小葉の辺縁を走行し,自らの支配する二次小葉の中心部に到達する。つまり気管支肺動脈は自らが支配する二次小葉以外の二次小葉の辺縁構造となる。
【4】小葉辺縁の構造の直下には豊富な肺胞が存在する(図2図)。
検査の適応
原因不明の間質性肺炎,膠原病肺,肉芽腫性肺疾患,感染症,悪性腫瘍。
各所見分布の意義とそれを示す疾患群
小葉構造との関係から,びまん性肺疾患は以下の【1】~【5】の5型に分類される(図3図)。この分類にはあてはまらない小葉のサイズを超えた多発結節,腫瘤をきたす疾患群【6】も存在する。
【1】気管支肺動脈束の腫大および隣接肺野の高吸収域(小葉中心性分布:centrilobular distribution)(図3a図):多くは経気道進展をするものである。CT像から,1)淡く境界不明瞭な粒状影(ill-defined centrilobular nodules)と,2)比較的濃度の高い分岐状影(centrilobular branching structures)の2型に分けられる。
❶淡く境界不明瞭な粒状影:細気管支およびその周囲の肺胞領域に病気の主座がある。
■亜急性過敏性肺炎(subacute hypersensitivity pneumonia)(→):急性経過でこの画像をみた場合,最初に考える。モザイク状のすりガラス影,呼気CTでのair trappingの存在
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