診療支援
治療

中毒・環境要因疾患を理解するためのポイント
上條 吉人
(埼玉医科大学教授・救急科/救急センター・中毒センター)

ざっくりわかる中毒疾患

 「中毒」とは「毒に中(あた)る」の意で,「生体に曝露された物質(毒)によって生体に異常が生じる(中る)」ことです.本章では中毒の原因となる物質,すなわち「毒」を広く「薬毒物」と表現します.薬毒物の曝露の経路は経皮または経粘膜,経鼻,吸入,経口,経肛門などがあります.薬毒物の種類は数多くあります.いくつかそのなかで例を挙げてみましょう.粉末もしくは結晶としては,亜ヒ酸や青酸カリのように昔から知られ歴史上の数々の殺人事件や自殺企図に利用されてきたものがあります.ガスとしては,一酸化炭素や硫化水素のように死亡事故の原因となるばかりでなく,意図的に発生させて自殺企図に利用されてきたものがあります(練炭自殺,硫化水素自殺).本来は生体に有益であるはずの医薬品としては,過量服薬によって自殺企図に利用されてきたものがあります.

 本章は,まず中毒疾患の診断のポイント,中毒疾患の治療

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