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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査21巻3号

1977年03月発行

雑誌目次

カラーグラフ

解説

著者: 赤木正志

ページ範囲:P.242 - P.242

 Pedosoが黒色真菌症を報告したのは1911年であるが,実は我が国でも1905年に桜根孝之進先生が組織中に褐色菌体を認める症例を報告している.その分離菌はPullularia sp.と推定される.しかし追加症例がないので結論は保留したほうが良い.したがって我が国において黒色真菌症が初めて報告されたのは1934年(昭和9年),名古屋の加納先生によるものである.この症例の分離菌は当時外国にも全く報告がなく,Hormisciumd erma-titidisと命名されたが,その後ConantによってHormodendrumに改められている.1菌種,1菌株しか知られていない時期が長く続いたが,今日では多くの分離例が知らねており,属名もPhialophoraを用いる人が多い.
 症例1は加納菌による黒色真菌症である.発病は1957年であるが末期には顔全体に病巣が拡大し,口腔粘膜にも波及して1971年に死亡している.図2の組織標本は病変のかなり進んだ時期のものであり,真皮のみならず角層中にも多数の褐色菌要素が認められている.この時期の皮診は暗灰黒色調が増強し,確かに黒色という印象は強くなったが,黒色真菌症の病巣は黒色とは限らない.

皮膚の真菌症・Ⅲ

黒色真菌症

著者: 赤木正志

ページ範囲:P.240 - P.241

 Chromomycosisあるいはchromoblastmycosisと呼ばれる本症は,組織内に褐色菌要素が認められ,培養によって暗色糸状菌が分離され,疣状皮膚炎を特徴とする真菌症である.皮膚組織内では菌糸形をとらず,いわゆるsclerotic cell様という特有の褐色円形細胞形をとるので,黒色分芽菌症と言われている.しかし原因菌の培養上の性状はyeastではなくmoldであり,脳や肝では菌糸形をとるのでblast=分芽という用語は不適当であるというところから黒色真菌症という病名が一般に好まれているようである.

技術解説

ユーグロブリン溶解時間

著者: 吉田信彦 ,   青木延雄

ページ範囲:P.243 - P.252

 血液凝固線溶系が各種疾患の病態に重要な関連を持つことが再認識されるようになってきている.中でも線溶系の動態は,最近注目されている血管内凝固症候群あるいは消費性凝固障害(Diss-eminated Intravascular Coagulation;DIC)においても大きく変動し,プラスミノゲンアクチベーターの増加及びそれに伴うプラスミノゲン,アンチプラスミンの減少,フィブリノゲンの減少,FDP (Fibrin Degradation Products)の増加などをもたらす.また各種血栓症においてもこれらの変動がみられ,線溶活性の亢進あるいは低下を知ることは病態の把握及び治療にも関連し,ここに述べるユーグロブリン溶解時間の測定は簡便な線溶活性の測定法として範用されている.本稿では主にその測定法を中心として詳述し,二,三の測定上の注意点,データの解釈などにも触れることとしたい.

ブルーデキストランによる線溶測定

著者: 藤井節郎 ,   田村禎通

ページ範囲:P.253 - P.257

 線溶活性を測定する方法の代表的なものとして,フィブリンを基質に用いる方法1),カゼインを用いる方法2,3),または合成基質を用いる方法4,5)などがある.線溶は,フィブリンを溶解する現象をみるため,一般的にフィブリンあるいはフィブリノゲンを基質に用いるのが最も有利であると思われる.
 フィブリンを基質とする方法には大別して,フィブリン平板法6,7)と試験管法8,9)とがある.これらの方法には操作の簡便性,感度及び再現性などに問題点があり,簡易化が望まれていた.1966年に,フィブリンをコンゴーレッドで染色し,これをフィブリン平板法に応用した方法10)が報告されている.この方法は,精製したプラスミンを測定するには,高感度で短時間に測定できるが,後述するように血清を検体に用いることができない.

フィブリン平板法

著者: 風間睦美

ページ範囲:P.258 - P.264

 線維素溶解(線溶)現象の測定法は極めて多くてその選択に苦しむほどであるが,一般に用いられるものは多いものではない1〜3).これらの測定法には基質としてフィブリン体を用いる方法(ユーグロブリン溶解時間法,フィブリン平板法,フィブリン塊溶解時間法,標識フィブリン溶解法,TNP法,フィブリノゲン分解法,ブルースターチフィブリン法など),及びその他の基質を用いる方法(カゼイン,合成基質,ヘモグロビンなど)に大別され,更に微妙な問題ではあるが,基質がフィブリノゲンかフィブリンかという点でも測定法は異なる.
 線溶の研究に限らず,異なった測定法を用いると異なった成績が得られることが少なくないが,これが手技上の問題か,測定法の本質によるものかよく見極めて判断する必要がある.カゼインや合成基質に比してフィブリンは生体内の線溶現象をより忠実に反映する基質であることはもちろんであるが,殊に線溶阻止物質の測定には基質の違いが大きく関係する.

総説

等速泳動法の原理と応用

著者: 坂岸良克

ページ範囲:P.267 - P.272

 日常検査に利用されている電気泳動法はセルロースアセテート膜,カンテンゲル,ポリアクリルアミドゲルなど多孔質の支持体を泳動分離の場としている.このため,液体の中での泳動については親しみが薄いかもしれないが,Tiseliusの泳動法をはじめとして,実はこのほうが理論的には扱いやすいのである.
 電気泳動法は電解液中の陰,陽両イオンが直流電気を両極に運ぶ中で荷電粒子を移動させ,その重量と大きさ及び電荷量の差によって粒子(分子)の分離を行う方法である.従来はpHの差による泳動粒子の荷電状態を決めるために電解液を選定し,そのイオン強度については理論的裏付けはなかった.これはこの方法がほとんど,高分子であるタンパク質の分離に利用されていたからであろう.また低分子の物質の分離に応用しようとする試みが高電圧泳動では行われてきたが,少なくとも臨床化学ではペプチドの研究(異常ヘモグロビンのフィンガープリント)にとどまり,目的とする分子と同時に陰,陽両極側に移動するイオン群についての考察はほとんどなされていない.

臨床化学分析談話会より・43<関東支部>

腎臓と検査の隔り—腎病態解析の現状

著者: 戸谷誠之

ページ範囲:P.273 - P.273

 第197回分析談話会関東支部会(1976.11.16)は東大薬学部講堂において開催された.診断へのアプローチシリーズという本年度の企画も残り少なくなり,次回からの腎臓疾患シリーズをもって最後となる.今回はその準備段階として北里大学医学部腎センター助教授の酒井糾先生から"腎機能検査の基礎について"と題して,腎病態解析の現状と将来について総論的な話題が提供された.
 腎臓学は近年,人工透析,人工腎,腎移植といった領域に多くの研究成果を示し,その結果腎機能検査も高度化,細分化の傾向を示しているが,いまだ病態の微細変化を追跡する目的において検査万能という状況にはない.例えばクレアチニンクレアランスを一例にすれば,糸球体機能を表現するには個体差,年齢差,病態差など余りにも多くの変動要因のため大局的な数値と言わざるを得ない.

臨床検査の問題点・88

酵素的測定法による脂質の測定—トリゲリセライドとコレステロール

著者: 春日誠次 ,   中甫 ,   正路喜代美

ページ範囲:P.274 - P.279

 酵素反応を利用して他の物質を測定する方法(en-zymatic method)が,最近血清脂質の定量に使われて注目されている.精度,簡便性では評価されているが,正確度はどうか.進んでいるコレステロール,トリグリセライドについてその問題点を検討する(カッドはリポタンパクの構造と酵素作用).

検査と疾患—その動きと考え方・3

von Willebrand病

著者: 藤巻道男

ページ範囲:P.280 - P.286

 症例 20歳,女性.
 主訴 皮膚・粘膜などの出血.

Ex Laboratorio Clinico・3

オーストラリア抗原の発見

著者: 大河内一雄

ページ範囲:P.287 - P.291

BlumbergとAu抗原の出会い
 1976年度のノーベル医学生理学受賞者の一人としてオーストラリア抗原(Au抗原)の発見者であるB.S.Blumberg教授が選ばれた.肝炎ウイルスの研究とは直接の関係があったわけではないが,この発見はそれまで不毛であった肝炎ウイルスの研究を急速に進歩させ,今日,ウイルスの培養は成功したと言えないまでも,ワクチン,免疫グロブリンの利用によってB型肝炎ウイルス感染に対する予防も可能となったことはノーベル賞に値するものであろう.そもそも彼の発見の経過と発展は臨床検査室でも起こりうる偶然の出来事を生かしたもので参考となるところが多い.
 すべての発見にはその背景,情況あるいは発見者の意識の方向があろう.Au抗原の発見にはBlumbergの指向するAnthropology (人類学)とヒトの同種免疫が背景にある.人類の進化,人種の移動と成立を実証するために便利な方法としてヒトの血液の遺伝学的な性質を調べる方法があり,血液型,血清型が調査の対象となる.Blumbergは既に隔離されたヒト集団で新しいアルブミンの型を見出し報告していたが,更に新しいヒトの血清型を探すため,血清学的方法を用いた.ここにAu抗原の発見の出発点があると言える.

座談会

膠質反応を再考する

著者: 富田仁 ,   鈴木宏 ,   菅野剛史 ,   林康之 ,   茂手木皓喜

ページ範囲:P.292 - P.300

 膠質反応はやめられるか──は検査室や研究会,学会でも論議されてきた.肝機能検査では,GOT,GPTの台頭により,件数は減少しているが,臨床家にとっては,TTT,ZTTには捨て難い味があるようだ.臨床側と検査室との検討から,"これからの膠質反応"を考える.

新しい心機能検査法・3

サーモディリューション法による心機能測定

著者: 田村康二

ページ範囲:P.301 - P.305

 熱希釈法による血流量測定法は基本的には熱を指示薬とする指示薬希釈法である1〜3).この方法はFegler (1953年)が初めて用いた方法である.その後理論的な検討が進み,心拍出量のみならず広く血流量測定法として利用されるようになった1〜3).いまだに批判する人はあるが,米国のみならず欧州の各国の主たる心臓病のセンターで受け入れられるようになってきている.我が国でも特にSwan-Ganz氏バルーンサーミスターカテーテルと血流量測定用コンピューターの装置が一般に容易に入手可能となり,だれにでも測定可能となってからは広く普及してきている.
 しかしながらこれだけ普及していながら基本的な希釈法の理論と熱指示薬の特殊性,更には本法の誤差については十分に理解されていないように思う.そこで本法の正しい利用を期待して,本法に伴う実用上の諸問題を記して諸氏の参考としたい.

新しい赤血球の検査・3

赤芽球コロニー法

著者: 溝口秀昭 ,   三浦恭定

ページ範囲:P.306 - P.310

 コロニーというと細菌検査室にある細菌の集塊を思い出される方が多いかと思う.しかし最近では培養技術の進歩によって,動物の骨髄細胞を一定の条件下で培養すると顆粒球系細胞のコロニー,赤芽球のコロニーまたは巨核球のコロニーが観察されるようになった.しかもそれらのコロニーの元になる細胞が,それぞれの前駆細胞であることが分かり,形態学的にはつかめなかったこれらの細胞を定量的に調べられるようになった.
 これらのコロニー形成法のうちヒトの骨髄細胞でも可能となっているのは顆粒球系コロニー法と赤芽球コロニー法である.顆粒球系コロニー法は人間の骨髄細胞に応用されて日時がたっており,多くの報告があるが,赤芽球コロニー法はごく最近人間の骨髄細胞に応用されるようになったばかりである.

研究

脳波記録に混入する心電図の頭部上分布

著者: 阪本実男

ページ範囲:P.311 - P.315

はじめに
 脳波を単極誘導で記録すると心電図の混入がよく見られる.この現象は,男に多く女に少ない.また血圧が高いほど,肥満体なほど混入しやすいこと,また心臓の電気軸の位置や大きさとも推計学的に有意に関係することを著者は報告した1〜3).ところが,心電図混入の有無は見掛け上の現象である.心臓は人体中で最大の発電体で,その電位は頭頂から手足の先まで投影されているので,頭部上の2点間の電位差が大きくなると,目立ちやすくなる.この定性的現象である見掛け上の脳波記録への心電図混入状態を定量的手法で計測し,頭部に投影される心電図電位を明らかにし,その電位分布状態から耳朶単極誘導の脳波記録に,視覚的観察で心電図が混入するという現象について検討を試みた.

編集者への手紙

最近の臨床・衛生検査技師国家試験—特に生化学部門について感ずること

著者: 富田仁

ページ範囲:P.316 - P.316

 最近,国家試験が難しくなったとか合格率が低くなったという言葉をよく耳にするようになった,その原因はどこにあるのであろうか.
 問題が難しくなったのであろうか,受験者の質が悪くなったのであろうか.受験者の質が悪くなったのであれば,技師学校の教育にタッチしている者は,もっともっと教育に力を入れなければならないし,問題に問題があるのなら,出題者は大いに反省しなければならない.

最近の臨床・衛生検査技師国家試験—特に病理,解剖・組織部門について感ずること

著者: 金子仁

ページ範囲:P.317 - P.317

 国家試験の成績は検査技師のみならず,医師,看護婦にもあるが,それぞれのパートで合格率の差はあるにせよ,一つのパートに限れば,毎年大体同じ合格率が普通である.
 これが異常に低くなるのは,受験生の質が急に落ちたか,採点基準が上昇したか,問題が難しくなったかのいずれかである.常識的に考えて,受験生の質が急に悪くなるのは考えられないし,採点基準も通常は60点であろう.すると,試験問題の難易が最も合格率を左右する大きい因子となる可能性が強い.

学会印象記 第23回日本臨床病理学会総会

所期の企画目標を達成

著者: 細田峻

ページ範囲:P.318 - P.319

 初めに座長の赤崎氏が,我が国の癌研究会は,昭和2年日本病理学会の分科会の形で始まり,50名足らずの人たちが長与又郎博士の司会で主に病理形態学的研究発表を行う程度であったが,50年後の今日では日本癌学会の会員も6千名を越え,研究内容も,核酸,酵素,ホルモンなどの生化学,ウイルスならびに化学発癌,免疫,組織培養など,医学各分野の英知のすべてを結集して進められていると述べ,このシンポジウムがそれぞれの専門分野のエキスパートによってその領域の研究の進歩を解説し,将来への展望がなされる意義を強調した.これまでのシンポジウムが概して専門領域内でなされたのに比し,各分野を総合した今回のシンポジウムの企画は,実際各講演を聞くことができた聴衆の一人として,十分当初の目的が達せられた印象を受けた.
 まず石橋氏は,造腫瘍性ウイルスが宿主細胞に感染し,形質転換を起こす際,DNAウイルスでは,アデノウイルスを例にとりながら,分子量23×106の7%のみが造腫瘍部分であることを示し,特に感染初期のタンパク合成と腫瘍抗原との密接な関連性を示唆する成績を発表した.一方,RNAウイルスでは,SV 40あるいはニワトリの肉腫ウイルスに例をとり,これらが宿主のDNAに組み込まれ,完全ウイルスとして再生される過程での形質転換機構の研究の進展を示した.

"癌"の広さ,深さを味わう

著者: 影山信雄

ページ範囲:P.319 - P.319

 このシンポジウムの共催者である日本臨床病理同学院という耳新しい団体の性格や活動などがよく分からない私は,"癌の最近の話題"というテーマをウイルス学,生化学,免疫学などの専門分野の諸先生方が,それぞれの立場から述べられるという企画に大きな興味を持って会場に入った.
 開演に先立ち,日本臨床病理同学院緒方富雄院長による同学院についての簡単な説明を兼ねたあいさつがあり,赤崎氏の司会で始まった.まず最初に,発癌のメカニズムをウイルス腫瘍学の立場から,石橋氏が述べられた.動物に癌を作るウイルスにはDNA型とRNA型があり,前者にはパポーバウイルス,アデノウイルス,ヘルペスウイルスなどがあり,後者には白血病ウイルス,乳癌ウイルスと日常聞きなれたウイルスが含まれており,身近な感じがした.20年ほど前に白血病のウイルス説を聞き,癌もいよいよ伝染病の一つになったかと単純に驚き,剖検のときにおっかなびっくりしたことを思い出しながら拝聴した.

新しいキットの紹介

T4-RIAキットの使用経験

著者: 扇谷茂樹 ,   村中修 ,   坂下太郎 ,   久城英人

ページ範囲:P.320 - P.324

はじめに
 血中Thyroxine(以下,T4と略)の測定は甲状腺機能検査法の一つとしてT3,TSH及びレジンスポンジ摂取率試験と同様に繁用されている1)
 現在,T4の測定法はT4由来のヨードを化学的に測定する方法2),特異結合タンパクを用いるCompetitive protein binding assay3)(以下,CPBAと略)及び特異抗体を用いるRadioimmunoassay4〜6)(以下,RIAと略)に3大別される.化学的方法は血漿タンパクからの血漿タンパク結合ヨード(PBI)の分離法の違いによりBarkerのアルカリ灰化法2),ブタノール抽出法7,8),T4カラム法2)などがあるが,操作が繁雑で,更にヨード剤,有機ヨード剤,水銀含有化合物などの影響を受ける難点があるために用いられることが少ない.CPBA法にはEkins9),Murphy3),Murphyら10〜12),中島ら13),Kennedyら14)の方法があるが,血清中よりT4の抽出操作が必要であるため迅速の条件を欠き,更に抽出に伴う測定値の補正が必要なことなど正確度にも難点がある.RIAはCPBA法の欠点である抽出操作を不要とし,迅速・正確の条件を高めた方法である.T4-RIAにはChopra4),Mitsumaら5),Ralphら6)の方法がある.

Laboratory Instrumentation

分光光度計

著者: 遠山恵夫

ページ範囲:P.328 - P.331

1.はじめに
 臨床検査の分野で分光光度計は極めてポピュラーな分析機器であり,大抵の検査室に1台は設置されている.分光光度計は紫外可視分光光度計と赤外分光光度計に大別できるが,臨床検査の分野では紫外可視分光光度計に限られる.また光学的な構成から見ると,いわゆる分光光度計の中には,二波長分光光度計,分光螢光光度計,原子吸光光度計などがあるが,ここでは最も一般的な紫外可視分光光度計について述べる.
 分光光度計は比較的単純な分析装置であるが,分光器の分散の原理をはじめ,詳細についての解説はこの紙面では説明できないほど複雑で深遠である.よってここでは光学的な解説には触れず,もっぱら分光光度計を使う立場に立って,分光光度計のハード的な言葉や性能仕様の表現をどう解釈すれば良いかに重きを置いて述べる.

検査室の用語事典

呼吸機能検査

著者: 田村昌士 ,   遠藤和彦

ページ範囲:P.333 - P.333

18) Arterial oxygen tension(Pao2);動脈血酸素分圧
 酸素は血液中ではO2含量を19.8ml/100ml blood(Vol%)とすれば,溶解O2として0.3Vol%,HbO2として19.5 Vol%存在する.その場合Sao2は97.5%である.溶解O2の分圧をPao2と呼び,Sao2との間にはHbO2解離曲線で示されるような関係が成立する.Pao2は主として白金電極で測定する.

免疫・血清学的検査

著者: 松橋直

ページ範囲:P.334 - P.334

23) Anamnetic response;既往性反応
24) Anaphylatoxin (アナフィラトキシン)

質疑応答

臨床化学 マイナスのトランスアミナーゼ活性値

著者: T生 ,   中山年正

ページ範囲:P.335 - P.336

 〔問〕Reitman-Frankel法では基質に用いるα-ケトグルタール酸の発色がデリケートなため,実験誤差のためにマイナスの活性値が得られることが知られていますが,反応原理が全く違うUV法でもGPTで,時にマイナスになります.酵素によるUV法は正確で問題が少ないはずだと思いますが,どうしてでしょうか.

臨床化学 セルロースアセテート膜のロット差

著者: K子 ,   島尾和男

ページ範囲:P.336 - P.338

 〔問〕血清タンパク値の電気泳動にセルロースアセテート膜を使用していますが,ロットが変わるとα1グロブリンの染色濃度が変わってしまいました.その理由と対策をお教え下さい.

血液 好中球の分節核と杆状核の分類は必要か

著者: B生 ,   日野志郎

ページ範囲:P.338 - P.339

 〔問〕好中球の分類で,多核球と杆核球の鑑別はどんな基準で行われ,また杆核球の正常値は,最近米国で用いられているHemalog Dでは好中球全体の数のみを算出しているが,日常検査として,多核球,杆核球の分類はぜひ必要なものでしょうか.

血液 Fibrinocritとは

著者: J子 ,   竹中道子

ページ範囲:P.339 - P.340

 〔問〕Fibrinocritとはどういうことで,またその臨床的意義はどうなのでしょうか.

微生物 Gram variableとは

著者: O生 ,   坂崎利一

ページ範囲:P.340 - P.341

 〔問〕Gram variableとはどんなことなのでしょうか.

病理 細胞診とミリポアフィルター

著者: M子 ,   浦部幹雄

ページ範囲:P.341 - P.343

 〔問〕最近細胞診で尿や髄液についてミリポアフィルターを使用することが多くなりましたが,分別がよくできなかったり,染色むらができたり,封入後気泡が入ったりして困ることがあります.それらを防ぐ"コツ"をお教え下さい.

一般検査 尿沈渣の表現法

著者: H子 ,   林康之

ページ範囲:P.343 - P.345

 〔問〕尿沈渣について最近のヨーロッパでの報告は,ほとんどが濃度単位で表現されているようです.我が国ではまだ(+)〜(+++)や何視野幾つという表現が多いのですが,統一するほうが良いのではないでしょうか.

診断学 ゼロに近い血清尿酸値

著者: N子 ,   西岡久寿樹

ページ範囲:P.345 - P.346

 〔問〕何回測っても尿酸値が0.4〜0.8mg/dlになってしまう人がいます.男性32歳,特別な病気はないようです.Henryの炭酸ナトリウム法で測定していますが,技術的に何かおかしいところがあるのでしょうか.それともこのような値を示す特別な病気や遺伝的背景が考えられるのでしょうか.

雑件 臨床検査技師の夜間当直

著者: S生 ,   谷義為

ページ範囲:P.347 - P.348

 〔問〕病院の臨床検査技師の夜間当直は労働基準法に違反するという意見を最近聞きました.当病院の日勤者の勤務時間は午前8時から午後6時まで,うち休憩が午後1時から同2時までの拘束10時間,労働時間9時間,休憩時間1時間となっておりますが,勤務時間終了後も引き続き翌日の勤務開始時間まで行う夜間当直があります.このような場合,労働基準法上どのようなことに注意したら良いでしょうか.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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