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雑誌目次

論文

臨床検査3巻11号

1959年11月発行

雑誌目次

グラフ

診断に役立つ虫卵図譜

著者: 石崎達

ページ範囲:P.603 - P.609

血液塗抹標本の見方(その5)

著者: 天木一太

ページ範囲:P.610 - P.610

技術解説

検査室で行なう実験動物の解剖法

著者: 市川収

ページ範囲:P.611 - P.620

 検査室の業務の1つとして実験動物の解剖は大きなしごとであろう。栄養学,薬理学,生理学,微生物学,病理学など広い分野において,実験動物の生理および病理の観察が行なわれ,最後に実験動物を解体して生体におよぼす影響がしらべられる。実験動物の解剖学的図譜はよい参考書があり,部位,名称については詳しいが,解剖の方法について解明されたものは少ない。求めによつて実験動物(ウサギ,ラツテ,シロネズミ,マウス)の解剖法を説明してみる。ラツテについて一般的な解剖順序を示し,その他動物での特別なちがいを敷衍し,各臓器のところでは4つの動物の比較解剖的な問題について説明してゆきたい。

写真複写の技術

著者: 宮本五郎

ページ範囲:P.622 - P.630

 絵画,写真,文書その他を写真によつて複製する写真複写法は従来も写真の重要な分野の1つではあつたが,最近とくに広く各方面から重要視されるようになつて,学術方面での文献や資料などの複写,実験記録写真の複製などにはもちろん証券や証書の控その他の事務用の複写にも広く利用されるようになつた。複写の方法もしだいに発展し,利用される写真法の種類も多くなり,従つて複写装置や処理用機器類も簡単なものから高級なものまで各種のものが現われ,これに用いられる感光材料の種類もかなり多くなつた。

対談

血液塗抹標本の見方(その5)

著者: 天木一太 ,   増田ミチ子

ページ範囲:P.631 - P.633

 天木 前々回,赤血球形態について,低色性貧血の所見と,それが治癒していく過程について観察しましたが,その他,赤血球形態に特長のあるのはどんな場合でしよう。
 増田 悪性貧血です。

座談会

定性検査の最近の進歩

著者: 斎藤正行 ,   高岡要 ,   ジヨージ大河内 ,   天木一太 ,   松橋直 ,   高橋昭三 ,   松村義寛

ページ範囲:P.634 - P.644

検査の方法も著しく進歩してきた
 松村 では天木先生からご紹介を……。
 天木 ジヨージ・大河内君をご紹介します。私どもの日本大学医学部の専門課程の1年におります。サンフランシスコの近くの人で1945年にバークレーにあるカリフオルニヤ大学に入り,まもなく兵隊にとられましたが,1947年から1951年まで4年間,同大学で細菌学を勉強しまして,バチェラー・オブ・アーツを得ました。その後,Donner Radiation Lab.(放射線研究所)その他の病院でテクニシヤンをしておりました。勉強の方も細菌学ばかりでは不十分なので,勤務しながら,カリフオルニヤ大学のSchool of Medicine (医学部)およびSchoo1of Medical Technology (医学技術学部)で約1年半の間テクニシヤンとしての講義と実習を受けました。得意な方面はbiophysics (生物物理学)といつておりますが,リポプロテインの仕事をしましたそうです。そのほか細菌学はよく勉強しているでしようし,exfoliative cytology (スミアの細胞学)も特に勉強したといつております。試験を受けてmedical technotogistとmedical technicianの両方のライセンス(免許)を持つているそうです。その後,医師になる希望をもちましたが,米国では間があいていると医学部に入れませんそうで,今春日本大学の医学部に入りました。卒業すると米国の医師国家試験が受けられるのだそうです。今日は米国の臨床検査について話して貰おうとおもつていつしよに参りました。

新らしい検査法

氷結切片による迅速永久標本作製についての新工夫

著者: 宮本博泰 ,   太田邦夫

ページ範囲:P.646 - P.647

 氷結切片作製は迅速組織診断,ことに手術中の組織診断のために欠くべからざる手技であることはいうまでもないが,病理学者の側からは,その標本ができる限り見慣れたパラフイン切片にちかい所見をあらわしてくれること,並びに,術後の検索中にできあがるパラフイン切片標本と直接対比して,診断上の誤まりがないように,自らを訓練することを要望している。
 上の意味で,極めて迅速に,しかも透徹された永久標本をつくりあげることは病理技術者に要求されているわけである。私どもは癌研究所病理部で,日常この要求にこたえてほぼ4分間で,新鮮手術材料から標本を作成している。その過程としてわれわれの加えた新工夫の2・3を紹介しよう。

〈検査室メモ〉

臨床生化学メモ(VII)—ビタミンの話

著者: 茂手木皓喜

ページ範囲:P.648 - P.652

I.ビタミンとは
 ビタミンは5大栄養素(糖質,蛋白質,脂質,無機物,ビタミン)の1つで,ごく微量で生体の機能を調節している物質である。それ自身はカロリーもなく,体の主要構成分ではないが,複雑な有機化合物である。
 この一世代のあいだにビタミン学の進歩はめざましく例えばビタミンB群などは数10の種類が発見されている。

臨床化学分析談話会抄録

著者: 林田 ,   工藤 ,   木下

ページ範囲:P.653 - P.654

血清鉄測定法
 血清鉄の臨床的意義に関しては,例えば,三方一沢らの綜説(三方一沢,長谷川弥人,伊藤宗元:重金属と臨床,最新医学,13:237-250,1958)のなかの鉄の項から引用すると,感染症,鉄欠乏性貧血,再生不良性貧血,白血病,原爆病,その他紫斑病などの血液疾患,肝疾患,悪性腫瘍,バゼドウ氏病,粘液水腫,糖尿病,腎疾患などの際に増減し,ある場合には診断に,またある場合には予後の参考にすることができるとされ,近年やや注目を集めている。
 血清鉄の測定法に関して,種々の成書にはいずれもo-Phenanthrolineまたはα,α'-Dipyridylによる呈色反応を利用した方法が記されている。

『医学常識』

腎臓のはなし(I)

著者: 鈴木秀郎

ページ範囲:P.655 - P.658

I.腎臓の構造と生理
 腎臓は脊椎の第12胸椎から第3腰椎の両側,腹膜の後方に左右1対あつて,そら豆形をしています。健康なひとではねかせてもふれることはできません。腎臓が病的に大きくなつたり,固定がしつかりゆかず下に下つている場合にはふれるようになります。
 腎臓は表面を被膜でつつまれ,そら豆形の内側が輪尿管,血管の出入口になつています(腎門)。内部の入口の部分は腎孟といい,それをかこんで色のうすい腎乳頭がつき出し(随質),その外側に赤褐色の腎皮質があります。皮質はぬい針の頭よりやや小さな糸球体が沢山よりあつまつてできており,また髄質は糸球体からでてまがりくねつて走る尿細管があつまつてできています。尿細管はあつまつて乳頭管となり腎乳頭の尖端から腎孟にそそぎます(第1図)。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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