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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査9巻2号

1965年02月発行

雑誌目次

カラーグラフ

骨髄の血液像(1)

著者: 小宮正文 ,   金田圭子

ページ範囲:P.92 - P.93

 骨髄像をみることで末梢血液の変化を造血器の変化として確めたり,末梢血液で発見できなかった造血器疾患の診断を下すことができる。正確な診断のためには骨髄穿刺技術の他にまず適切な材料を作ることが大切である。骨髄は末梢血と異り細胞成分・脂肪が多く粘稠なため,細胞数算定時,メランジュールに穿刺液を吸いこみにくく又薄く塗抹をすることにもなれる必要がある。その他標本の取扱い,染色など末梢血と同様である。このほか組織破片の伸展標本・切片標本も作成する。骨髄に著変を示す血液疾患の一部を掲載する。

グラフ

T3-131I摂取率の測定Triosorb Test

著者: 河合忠 ,   山田孝治

ページ範囲:P.95 - P.100

 甲状腺機能検査法は現在まで種々の方法が報告されているが,その主なものは基礎代謝率(BMR),蛋白結合性ヨード(PBI),ブタノール抽出性ヨード(BEI),131I-甲状腺摂取率,T3-131I赤血球摂取率,T3-131Iレジン顆粒摂取率などである。しかし,いずれも手技が困離で,またあるものでは成績の信頼性が少ない。1960年Mitchellらが赤血球の代りにレジン・スポンジを用いるようになってT3-131I摂取率の手技が著しく簡易化された。これがここに紹介するT3-131Iレジン・スポンジ摂取率測定法である。

乳腺の細胞診

著者: 川島健吉 ,   高橋勇

ページ範囲:P.101 - P.102

技術解説

乳腺の細胞診

著者: 川島健吉 ,   高橋勇

ページ範囲:P.103 - P.109

はじめに
 乳腺疾患中,乳癌の発生頻度は高く,本邦の統計による乳癌は,胃,子宮,直腸についで多いものであり,女子だけからみると,子宮癌,胃癌についで乳癌が多いといわれている。最近の傾向として,種々の雑誌,新聞,ラジオ,テレビなどによって医学的な啓蒙が行なわれ,特に婦人の乳癌に対する関心は極めて高くなってきたことは注目に値する。往時は,大学,大病院を受診する乳腺疾患の大部分は乳癌患者であり,しかも相当進行したものが多かったのであるが,近頃では乳腺にしこりがあるとか,乳頭分泌があるとか訴えて来院する患者の中には,正常乳腺,妊娠乳腺,あるいは月経周期による乳腺の痛みや乳腺の腫脹,緊満感によるしこりを乳癌ではないかとの恐怖の念をもった婦人が多くなり,したがって乳癌患者の数が減少したわけではないが,受診患者に対する乳癌患者の比率が低下している傾向がある。
 すべての疾患,特に癌に対しては早期発見,早期治療が叫ばれているが,上述のように一般の人達が乳癌に対して大きな関心を抱くのみでなく,早期に受診する傾向がみられることは,早期発見早期治療への重要な道すじとして大へん喜ばしいことである。しかし一方このように患者側の早期受診に対して,医療担当者側としては早期診断をもってこれに応える必要が生れてくるわけで,いよいよ責任が重大であり,診断にあたっての熟練と,慎重な諸検査によって適確な判定を下す必要がある。

血液検査データの読みかた(1)

著者: 日野志郎

ページ範囲:P.110 - P.114

いとぐち
 血液検査にかぎつたことはないが,日常われわれが何かの検査をして結果をえたとき,これを正常あるいは異常と判断するわけであるが,なにをもつて正常とするかが問題である。検査法の本をみると正常値というのが書いてあり,それをもとにしていることが多いけれども,ことはそれほど簡単でない。
 生体は非常に不安定なもので,健康なひとでもちよつとした条件で違つた値を与えることがある。血液検査のなかでは白血球数がそのよい例である。物理や化学の実験とは異り,検査材料そのものに付随した変化がかなり大きい。また材料をとるときの条件もなかなか一定にしにくいということもある。

臨床検査としてのウイルス血清反応—主として補体結合反応の手技について

著者: 浅野秀二 ,   新居美都子

ページ範囲:P.115 - P.123

はじめに
 ウイルス病の診断は,マウスやモルモット,猿による動物試験は勿論,近年組織培養が各種のウイルスについても可能になつてからは長足の進歩をとげるにいたつている。
 とくに血清診断については抗原の精製,血清の処理方法の進歩改良にともなつて確実にして簡便な方法がひろく行なわれてきた。ふつう,臨床検査室において,送られてきた患者材料についてウイルスの分離同定を行なうことは,人手の面でも設備の点でもむづかしいことが多い。とくに幾種類ものウイルスについて同時に検索を行なわなければならない場合が多いから,この意味でもウイルスの分離同定よりもまず血清抗体の検索が,現段階では重要となる。

座談会

第7回衛生検査技師国家試験を前にして—試験問題,技師学校教育,そのあり方を批判する

著者: ,   ,   ,   ,  

ページ範囲:P.132 - P.138

技師の試験にペーパーテストでは困る
 A衛生検査技師国家試験の第七回目を,近く迎えるわけですが,最初のころからみますと国家試験の様相もだいぶ変ってまいりましたし,ここらでまた今後のあり方,あるいは現状の批判などいろいろ伺いたいと存じます。だんだん衛生検査技師も不足になりまして,今の養成の状況じゃ到底まかないきれない状況でございますが,一方衛生検査技師法のほうでは学校卒業者でなければ国家試験をうけさせないという制度になっております。そのためにいろいろな問題が派生しておりますが,今度の国家試験どうでしょうか,ひとつそういうお話からK先生いかがでしょう。
 K国家試験の現在のあり方を批判すると,前からよく国家試験の試験委員会でいわれていたことなんですけれども,技術の試験にペーパーテストでは困るじゃないかということで,ペーパーテストのひとつの限界というものがあるんじゃないかと思うんです。たしかに技師学校の内容が,どこもかしこも整備をして,その実際にやってる中身も十分であって,しかもそこを卒業するのは,ある一定のレベル以上の者が卒業するということになれば,ちょうどアメリカのメディカルテクノロジイ試験は全部筆記試験なんですよ。

医学常識

アイソトープの法律の知識

著者: 長尾英彦

ページ範囲:P.139 - P.142

 最近,アイソトープの診断,治療面への導入が色々な核種の入手が容易になるとともに急速に進んでいることはあらためて述べるまでもない。ここでは,広く医療面で使用されるに至ったアイソトープについて,放射線障害の防止という面からいかなる規制が行なわれているかを説明してみたい。
 なお,ここでいうアイソトープとは,医薬品である放射性同位元素で密封されていないもの(医療法施行規則では診療用放射性同位元素と名づけられているので,以下この用語を用いたい)にかぎって話をすすめていきたい。

講座

顕微鏡写真のとりかた

著者: 西崎悦司

ページ範囲:P.149 - P.151

 前回は撮影上必要な顕微鏡の調整と,操作法ならびに取扱い上の注意などについて述べましたが,今回はフィルム,フィルター,露出,現像などいわゆる写真に関係のあるものの中から顕微鏡写真に特に必要と思われるものならびに写真作成上参考になる事項を取上げて,説明したいと思います。

検査技術者のための臨床病理学講座9

臨床化学検査(1)—血糖検査とその臨床

著者: 林康之

ページ範囲:P.143 - P.145

まえおき
 われわれの体内では個体を維持するために,バランスを保ちながら次々と物質の転換が行なわれ,利用すべきものは利用し余剰物質,不要物質は排泄するということが絶えず行なわれている。その諸物質の転換は主として細胞内で行なわれ,細胞への酸素や基質となる物質の供給と,反応生成物の運搬は血液,リンパ液などの体液によっている。それ故,体液成分は細胞あるいは臓器組織の機能をそのまま反映した組成(質的にも量的にも)をもち,化学的に分析することでその個体のもつ機能をある程度知ることができる。これが臨床化学検査で,体液成分の検査といってしまえばひとことで,かんたんな印象を与えるが,すべての臓器組織の機能と摂取した食物その他の影響が綜合された結果が体液諸成分としてあらわれることを考えれば,医師にとって最も成績判断のむづかしい検査種目であるといえる。
 このような現在の段階では,医師は臨床化学検査成績を総括的にみて次のような判断のしかたを採っている。

英会話

Laboratory English—No.9

著者: 河合忠 ,   河合式子

ページ範囲:P.146 - P.148

私の工夫

網状赤血球の染色法について

著者: 中西十束

ページ範囲:P.151 - P.151

 網状赤血球の染色法についてはいろいろの方法があるが次のような方法で良好な標本を作ることができたので紹介します。諸氏の御批判を御願いします。
(1)試薬

朗報

人事院規則が一部改正された

著者: 佐藤乙一

ページ範囲:P.152 - P.153

 現在国家公務員に適用されている俸給表は「職務職階級制」といって,従来とられてきた俸給表が昭和32年に全面的改正され今日に至っている。国家公務員である衛生検査技師は働いている職場によってその職群は異なっているが,その内容はほぼ下記のようなものである。
医療職俸給表Ⅱ(医療機関に働く者)

研究

各科領域における細菌感染症起炎菌の薬剤耐性度について

著者: 長田富香 ,   渡辺好子 ,   鈴木ミサ子

ページ範囲:P.154 - P.158

 細菌感染症においては,感染菌の種類により,あるいは抗生剤の侵襲度に応じ,起炎菌の薬剤感受性度は様々な様相を呈し,またその感受性度は抗生剤の使用に伴なつて変化することを予想しつつ治療が行なわれなければならない。そこでわれわれは各科領域における細菌感染症の検体から分離した起炎菌について,昭和33年(1958年)以降38年(1963年)まで同一会社の薬剤感受性ディスクを使用し,常に一定の条件のもとに薬剤感受性検査を行ない,最近数年間における薬剤耐性度の推移について検討した結果を報告する。

トロンボテスト測定法の検討

著者: 菅沼清 ,   板野肇子

ページ範囲:P.159 - P.160

はじめに
 抗凝固剤療法の調整法として新しく登場してきたトロンボテストは,四つの凝固因子,即ち,第Ⅱ,第Ⅶ,第Ⅸ,第Ⅹ因子の活性を同時に測定するものであるが,最近は肝機能検査の一部としても応用されつつある。われわれは従来の試験管内測定法に比し試薬,検体を減量し手技,判定の容易な,ビニール膜上で行なう微量法を採用しかなり良い成績をおさめたので報告する。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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