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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査1巻5号

1957年08月発行

雑誌目次

臨床検査の使命

著者: 福井定光

ページ範囲:P.259 - P.259

 今は臨床医学に於けるEpochmakingな特徴の一つは何と云つても臨床検査法の発達を挙げねばならない。欧米は申すに及ばず吾国に於ても各病院に中央検査室が設置され,日一日此れが重要な地位を確保しつゝあるのは周知の事である。貴い患者の生命をあずかる吾々臨床家にとつて,正しい診療の第一条件は云うまでもなく正確な診断即ちあらゆる手段を通じて疾病の本態をはつきり把まえる事であるが,従来所謂名医として持て囃された医師の中には,病室に入つた瞬間ピタリと病名を当てるとか,聴診器を電光石火のスピードで胸にあてて直ちに診断をつけ,大いに名声を博していたと云えば叱られるかも知れない。然し現在でもこの様な名残りが全然ないとは果して云いきれるだろうか。勿論医師としての長年の経験とか第六感は充分尊重すべきは論を待たないのであるが,あらゆる科学がかくも目覚しく進歩を遂げた今日,疾病の分析もあくまでも科学的でなければならない。斯くして臨床検査法の急速な発展はケレンペレル診断学等を既に古典的なものとして仕舞つた。重ねて申し上げるが今日の診断学は近代化学,物理,生物学,機械学,其の他あらゆる進歩的科学に立脚し且つ此れを完全に駆使し得る技術の上に立つたものであるべきである。こうして新しい検査室から生れ出た正確な成績をば深い学識を以つて判定し疾病と,とりくむ医師こそ本当の名医と云つても云い過ぎではないだろう。

グラフ

硝子電極pHメーター

著者: 東洋濾紙株式会社

ページ範囲:P.260 - P.261

 硝子電極pHメーターは硝子膜の両面にpHの異つた二種類の溶液が接する場合,両液間に電位差を生じ,その大きさは両液のpHの差に比例することを原理としたpH測定器である。今一方の液のpHを一定に保つて他方のpHを変えるときに生ずる電位差は一次式で表わされる。
 温度による単位pHの起電力は図の如くである。

ヘマトクリツト遠心器

著者: 吉野和照

ページ範囲:P.262 - P.262

高級技術講義

エツクス線間接撮影の技術(Ⅱ)—主として胸部集団検診への応用

著者: 田坂清一

ページ範囲:P.263 - P.270

はじめに
 近年エツクス線間接撮影に関する技術が著しく進歩いたしまして,間接撮影像に対する信頼度が昂まり,従来は胸部の集団検診にのみ応用せられていた本法が,立体,断層をはじめ,胃腸,血管等の造影撮影にも利用せられる傾向にあります。
 然し乍ら,この方面における間接撮影法の応用は未だ試験期にあると申すべきで,頻度その他の点では胸部の集団検診に及ぶべくもなく,間接撮影といえば胸部の集団検診を指すものの如く考えられているというのが,偽らざる現状のようであります。

ヘマトクリツト遠心器

著者: 吉野和照

ページ範囲:P.273 - P.275

 全国各大学或は主要病院に於ける中央臨床検査室制度への移行に伴つて,ここで使用される遠心器も単一の目的に対してそれ専門の遠心器を使用する傾向になつて来て居るようである。その傾向は米国に於いてはクロース・マッチング用遠心器の出現であり,またミクロヘマトクリット遠心器の出現であり,後者の場合Centrifuge, High Speed, Micro Hematocrit Typeと称し,米国International社の外二三の会社で製作販売して居る様である。その構造はメーカーにより夫々特徴があるが,インターナシヨナルのものは,The Journal of Laboratory and Clinical Medicine Vol.19, No.7(April, 1934) P.757によるもので,ヘマトクリツト値のReaderとして現在のところ二種の違つた形式のものを出している様である。
 International社の最新のヘマトクリツト遠心器には下記三種の回転板が附属して居る。

座談会

臨床検査に必要な採血法

著者: 中尾喜久 ,   松村義寛 ,   大谷五良 ,   樫田良精 ,   松橋直 ,   天木一太 ,   高橋昭三 ,   本間道

ページ範囲:P.276 - P.291

 中尾 本日はお忙しいところを皆様にお集まり頂いて有難うございます。今日は臨床検査室で検査の対象としての血液を採取する方法及びその際の細々しい注意事項というようなことを皆様で話合つて頂きたいと思う訳です。恐らく検査室で資料として血液が対象になることは極めて多いのでないかと思うのですが,検査の種類によつてはその量も,その質もいろいろ細かく注意しなければならない点があると思うのです。最初に非常に常識的になつていることでしようが,又他面無関心の点もあるような凝固防止剤ですね。Anticoagulantsの問題を解り易く,松村先生に解説して頂いたらと思うのですが。

技術解説

pHの測定法(Ⅰ)

著者: 山賀礼一

ページ範囲:P.293 - P.295

1.pHの概要
 我々が日常接している水溶液は大きく分けて,塩酸の水溶液のごとく電気を導く溶液と,砂糖水のように電気を導かない溶液とがある。電気を導く溶液はそこに溶けている物質が解離して十,−のイオンになつていて,これらの十−イオンが電気の作用で動くのである。
 塩酸の水溶液では次式のように解離してHイオンとClイオンになつている。

文献紹介

非定型結核菌

著者: 高橋昭三

ページ範囲:P.295 - P.295

 最近注目されるようになつた菌の一つですが,以前は,非病原性抗酸性菌の一つと言われたり,結核菌と間ちがわれたりしていました。この菌はしばしば,肺結核と診断された患者から,病原菌のように発見され,しかもそのような場合,いわゆる抗結核剤が,無効な事が多いのです。
 喀痰中に出る時は,どのような染色法でも結核菌と区別出来ない場合が多く,培養すると,S型で,結核菌とはまるでちがうから,丁度ブドウ球菌や,ストレプトマイセスのような,やわらかい集落を作り,しばしばオレンヂ色,着色を帯びます。排菌量は,かなり多い事が多く,培地全面が,ペツタリとおおわれる事も多いのです。

クロム硫酸の作り方

ページ範囲:P.302 - P.302

1)工業用重クロム酸ソーダ200gあるいは工業用重クロム酸カリウム100gに約200mlの水を加えて溶解させる。飽和溶度になる。これを陶製の容具に入れ,よくまぜながら工業用硫酸51を除々に加える。強く発熱するから先分気をつけて行う。
 2)陶製の容器に工業用硫酸51を入れ,乳鉢で細末をした重クロム酸カリ(工業用)又は重クロム酸ソーダ(工業用)100gをよくまぜながら一さじ宛加える。

検査室管理

綜合病院の細菌検査室

著者: 小酒井望

ページ範囲:P.297 - P.302

1.綜合病院における細菌検査室の規模
 臨床病理検査室(又は臨床検査室)はベツト50以下の小病院では1室かせいぜい2室であるが,ベツト500以上の大病院では数室以上から成つている。そして日常検査種目は小病院では比較的簡単な何種目かに限られるが,大病院では極めて複雑な検査に到る迄多数の種目に亘つている。
 検査室で行われる日常検査は一般検査(尿の定性検査,血球計算,血沈,糞便潜血反応等簡単な検査),細菌検査,血清検査,血液検査,生化学検査,病理組織検査,生理検査に大別される。そして大病院ではこれら各部門に属する検査種目が多種多様であるが,病院の規模が小さくなるに従つて種目が少くなり,簡単なもののみとなる。然し小病院でも綜合病院である以上は,どの部門の検査も省かれるものはなく,簡単な種目のみにしろ日常検査として行われているわけである。

私の検査室

東京厚生年金病院

著者: 木村隆𠮷

ページ範囲:P.304 - P.307

 本病院は昭和27年11月牛込津久戸町の高台に設立されて以来,その時代の先端を行くモダンな建築様式は東京名物の一つになつている。創立以来,漸次充実され,今日では精神科を除く全科が整備され,病床は300余に達している。設立の趣旨から整形外科に重点が置かれているが,常時各科とも厚生年金法とは無関係の一般患者も来院,入院している。
 本病院では検査室全部をまとめて臨床病理検査科と称して一般臨床各科(内科,外科等)並みに医局に属している。検査室組織の概要は次の如くである。

昭和32年度,第4回臨床病理技術士資格認定試験学科筆記試験 模範解答集

著者: 牛場大蔵 ,   守屋博

ページ範囲:P.309 - P.318

I.細菌学,寄生虫学
 1.下のカツコ内に適当な色を記入せよ。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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