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雑誌目次

論文

臨床検査1巻9号

1957年12月発行

雑誌目次

グラフ

採血から標本箱に収めるまで

著者: 安部英

ページ範囲:P.515 - P.520

 ① 採血に際しては図の様に一般血液検査に必要な器具類を机の上に並べておく。即ち消毒用酒精棉,眼科用メス又はフランケの採血針.
 メランジユール(血色素,白血球,赤血球用)

胸部高圧撮影の特徴

著者: 東芝放射線株式会社

ページ範囲:P.531 - P.531

 写真は同一人の低圧撮影(62KVp)と高圧撮影(140KVp)による胸部X線写真である。
 撮影条件を比較すると,撮影距離が異るが,ミリアンペア秒値(管電流と曝射時の積)は低圧では20mASであるに対し,高圧では2,2mASで約10分の1の量で撮影されている。これは高圧になるとX線の透過度が大になること,同一mAS値において発生するX線量が大になること,高圧になるほど増感紙の感度がますためなどによる。したがつて撮影に際してのX線管負荷も高圧の方が小になる。両者とも使用X線管の焦点の大きさは2×2mmであるが,低圧では容量の大きい回転陽極管が必要であるのに対し,高圧では負荷が小であるから容量の小きい固定陽極管でも撮影ができる。勿論高圧にたえるX線管が心要であるが,回転陽極管に比べればはるかに安価である。焦点の大きさをもつと小にしたり,管電流を大にするには高圧でも回転陽極管が必要となる。撮影時間も高圧の方が容易に短かくできるといえる。

D-L型日立断層撮影用X線装置

著者: 日立レントゲン販売株式会社

ページ範囲:P.532 - P.532

〔1〕日立断層撮影用X線装置の現状
 X線装置の生命は鮮鋭なるX線写真を簡易操作で得られる点にあり,この点断層撮影装置の如く高度の撮影技術を要求される装置においては特に重要性を増すわけであります。この目的に合致する断層撮影装置として日立は油圧駆動方式と精密機械工作をもつてD-L I型,D-LII型装置を製作しております。最近実用の段階に入つた装置に同時多層撮影装置と連続自動サツエイ断層装置があります。
 同時多層撮影装置にはD-LI型,D-LII型とも簡単に改造できます。連続自動断層撮影装置(D-LIII型)は写真鮮明度を一回曝射一層撮影のD-LI型と同位にし,かつ截断面の上下,カセツテ位置変位等すべての截断面の撮影操作を釦押1コ押すのみで行うことのできる,最新の断層撮影用X線装置であります。

高級技術講義

バイオプシー試料による細胞化学

著者: 市川収

ページ範囲:P.521 - P.530

 最近バイオプシー試料による検査がroutineにとり入れられるようになつたたということ,又それが極めて少い量であるため検査,研究に当惑するという話しをぎく。平素バイオプシー試料を用い,色々のしごとをしているので参考になればと思い,この題目を選んだ。われわれ家畜の方では早くからバイオプシーを利用しているし,核酸,多糖類,酵素などについて,同一個体の経時的な物質の動きをしらべている。わたしの行つた研究材料を中心にして,細胞化学的な術式とか成績をのべてみよう。

座談会

胸部レ線撮影について(Ⅱ)

著者: 樫田良精 ,   田坂晧 ,   綱川高美 ,   関忠孝 ,   樋口喜代治 ,   松村義寛 ,   松橋直 ,   高橋昭三

ページ範囲:P.534 - P.542

現像のよいコース
 樫田 それからバツト現像の良いコースを一つお願いしたいですね。
 樋口 先ず生フイルムを扱うところは,必ず完全な暗室でないといけません。大抵の場合暗室は非常に汚ない,湿度は露点に近い状態でございます。これはそこに働く者だけではどうにもならない設備の問題ですが,出来るだけ清潔にすることが大切です。水流しは酸及びアルカリに耐える材質を用うることが大切で一般には鉛板張りかコンクリートで作るのが安あがりです。

〈検査室メモ〉

meq/lとmg/dlの換算

ページ範囲:P.542 - P.542

Somogyi-Nelson法による血糖測定の発色液

著者: 松村義寛

ページ範囲:P.561 - P.561

 Nelson氏液として知られている発色液の主成分はアルセノモリブデン酸であるが,調製時や,調製後長時間を経たものは漸次青色を帯びてくる。塵埃等の還元作用に棊くもので,原法ではブロムを加えて酸化脱色する。過剰のブロムは通気により除いている。ブロムは刺戟が強く,取扱いに不便であるため代用品としてH2O2を使用したところ具合がよい。
 Nelson氏液を沸騰水液中に加温し,1%H2O2を滴下して行くと速かに青色調は消失する。但し過剰に加えないように注意すべきである。少し許りのH2O2の過剰は発色に影響はない。

技術解説

血色素量の計り方

著者: 宮坂五一郎

ページ範囲:P.545 - P.553

緒言
 顔色の悪いのに2種類があり,1つは皮膚血管が収縮して流れる血液の量が減るからであり,1つは血液が薄くなつて薄い血液が流れるからである。この両者は血球を算定し,或いは血色素量を測定すれば容易に見分けがつく。
 多くの病人は顔色が悪いので,この区別,従つて血球数算定や血色素量測定は昔から重要視された検査法である。

血液と髄液の細菌検査法

著者: 高橋昭三

ページ範囲:P.555 - P.559

 血液と髄液は,細菌等が全く居ないのが正常である。従つて,この中から細菌が検出されたならば,かならず異常である。更に,血液から血清を分離すれば,血清学的反応を行う事が出来,髄液はそのまゝこの材料となる。
 髄液の細菌学的検査は,血液の検査に準じて行われる事が多いから,先ず血液の検査法について述べる事とする。

『医学常識』

最近の細菌性食中毒

著者: 豊川行平

ページ範囲:P.560 - P.561

 厚生省の発表によると,食中毒の発生は年々増加の傾向を示し,昨年度(31年度)は発生件数1,668,患者数28,904という驚くべき数字となつている。これらは報告されたものだけであるから,これ以外に未報告のものがどれだけあるかわからないわけである。これらの食中毒のうち,病因の明らかとなつたものが約半数で,それらを分類すると,細菌性食中毒,化学的物質による食中毒自然毒による食中毒とに分けられる。これらのうち,とくに多いのは細菌性食中毒で,病因の判明したものの半数以上,ときには86%以上がこの細菌性食中毒である。
 細薗性食中毒を大別すると,感染型食中毒と毒素型食中毒とに分けられる。感染型食中毒というのは,消化器系伝染病に似ていて,一種の感染症であるが,いわゆる伝染病ではない。つまり原因菌が食物のなかで一定度以上増殖したものを摂取することによつてはじめて症状が発現するのである。これに反し,消化器系伝染病では食物はただ原因菌の運搬の役目をしているだけで,菌が食物のなかで増殖するという必要がない。つまり,微量の菌で発病するのである。この点が食中毒と伝染病との相違点で,伝染病では二次患者が発生するのに,食中毒では殆んど発生しないということも,この点に基ずくわけである。また潜伏期も伝染病に較べると,短かいことも食物中である程度増殖したものを摂取するということに原因がある。

検査室管理

輸血研究所の管理

著者: 村上省三

ページ範囲:P.562 - P.565

 わたくしはつねづね"輸血研究所"ということばが今日のような中途半ぱな意味で存在することは果してプラスかどうかというこに疑問をいだいている。申すまでもなく"輸血研究所"もいわゆる血液銀行の一形式であつて,決して別物ではない。それがこんな言葉をもち出すと何だか一段上にあるような感じをうける。実際は血液銀行では,すくなくとも保存血に関するすべての事項,さらに進んでは免疫血液学についても,利用者の相談に応じ得る態勢を常に確立しているべぎであつて,このことは決して"輸血研究所"という特別の形の血液銀行においてのみとりあつかうべきものではない。このような考えから,話題を"血液銀行の研究室の管理はいかにあるべきか"という風に解釈することを許していただきたい。

私の検査室

大阪厚生年金病院

著者: 関藤有之 ,   伊藤学

ページ範囲:P.566 - P.570

 本院は東京厚生年金病院(臨床検査,1957年,8月号,304頁)と同時に企画されたものであつて,肢体の不自由な人々のために整形外科診療を中心とした総合病院(精神を除く)で大阪のオアシス,中之島の西端に敷地面積,5900坪。建築面積,4867坪。写真の如く素晴らしい美と設備を有し,愈々其の完備に努められている。
 本院の検査科は第1表竝に写真玄関正面。写真1の如く本館の二階中央部に其の機能の大半をもつている。3階に基礎代謝室。心電図室(脳波,筋電図を含む)があり,本館とは別に病理研究室(54坪)動物舎(46坪)等がある。これらによる検査科全体の機能を表わしたものが第2表であつて,第2表Aによる入員構成。第2表B検査種目にもとずく第3表Cが,ルーチンワークとして行われている。

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「臨床検査」 第1巻 総目次

ページ範囲:P. - P.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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