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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査11巻4号

1967年04月発行

雑誌目次

グラフ

梅毒血清反応(緒方法)の溶血度の読み

著者: 松橋直

ページ範囲:P.232 - P.233

 カラー写真で溶血度の読みを示すのは困難であるが,バックに黒い横線をひいて撮影したところ比較的よく溶血度を現わすことができた。実際に溶血度を読むときは,窓枠などを試験管こしにすかしてみて,この写真の基準にしたがって判読すればよい。溶血度の各段階は紙面の都合上図示できなかったが,つぎの基準にしたがってある。図の中の各段階の溶血度を参照にされたい。

嫌気性菌の培養のしかた

著者: 赤真清人

ページ範囲:P.235 - P.239

 嫌気性菌の培養には,高層寒天での穿刺または混釈培養,炭酸ガスでの飽和培養,平板に塗抹して嫌気ジャーの中で培養する方法などがある。嫌気ジャーを用いる方法にも,嫌気条件を作るのにまたいろいろな方式があるが,ここでは,室温触媒を用いて水素と酸素を反応させ,環境中の酸素を除き,嫌気培養する方法と,それにつづくクックドミートブイヨンを使っての純培養への移植までを,順を追って説明することにする。
 なおここに使う触媒はRoom Temperature Catalyst"Deoxo"といい,加温しなくても,室温で触媒活性を発揮する。

インフルエンザの迅速診断法—材料のつくり方と螢光顕微鏡所見

著者: 海老沢功

ページ範囲:P.240 - P.242

 インフルエンザの診断にはウィルス分離,血清反応が主に用いられるがその結果がでるまでには普通10〜14日もかかり,患者は治っていることが多い。これでは臨床的にあまり役立たない。
 螢光抗体を用いると1時間半〜2時間で診断ができ,1966年のインフルエンザBの流行では本法がきわめて特異的に診断に役立つことが確かめられた。以下に代表的な螢光抗体染色細胞所見を中心にして,材料のとリ方,螢光抗体の定量試験法などをのべてみたい。

綜説

固定の理論

著者: 畠山茂

ページ範囲:P.243 - P.246

はじめに
 動植物を問わず生体から切り離された組織は,組織内の蛋白分解酵素や微生物などの作用によって速かに変性崩壊の過程を辿る。これを防いで可能な限り生存状態に近い組織構造および組織化学的活性を保存した上で,観察のための種々な検索操作に耐えうるようにすることが理想的な固定法というべきであろう。
 しかし固定の本来の意味が組織の主成分を凝結不溶性にして構造の保持性を良くすることにあり,その結果として染色性を増して観察し易くなるものであるからには,生体に近ければ近い程かえって構造としての把握が困難になるという相反した事実もあるということに注意しなければならない。つまり美しく染色されて良く見えることと自然に近い状態とは厳密には必ずしも一致しないことがあってそこに固定法のもつ一つの限界と弱点があると考えられる。しかし観察目的と手段によっては(例えば酵素組織化学,電子顕微鏡による微細構造の観察),固定法の制約を十分生かした業績が数多くなされている。

技術解説

血糖検査の正しい測り方

著者: 玄番昭夫

ページ範囲:P.247 - P.252

はじめに
 もっとも正しい血糖(ブドウ糖)測法定は,つぎの反応系を用いた酵素法といわれている。
 ブドウ糖+ATP―ヘキソキナーゼ―→ブドウ糖-6-リン酸+ADP  (1)
 ブドウ糖-6-リン酸+TPN―ブドウ糖-6-リン酸脱水素酵素―→6-ホスホグルコノラクトン+TPNH十H  (2)
 (340または366mμでTPNHの増加を測定)
 本法で,たとえば精秤して作った100mg/dlブドウ糖基準液を測定してみると,いつも91mg/dlの値しか得られず,このことより精製ブドウ糖でも常に9%の水分を含有すると考えられている。したがってブドウ糖基準液中の正確な含有量は本法で検定しなければならないとさえいわれている。しかし実際このような方法を日常臨床検査として採用することができないので,昔から多種多様の測定法が考案されてきた。

嫌気性菌の検査法(1)

著者: 赤真清人

ページ範囲:P.253 - P.258

はじめに
 ここでいう嫌気性菌とは,偏性嫌気性菌のことで,酸素の存在しない状態でのみ発育しうる菌の総称名である。一口に嫌気性菌といっても,菌種が変ると栄養要求や嫌気要求の程度が変り,検査術式も細かい点ではそれぞれに異なってくる。しかし,嫌気性菌という特別な名前はあっても,細菌であることには変りなく,検査法もその大綱は好気性菌のものと変らない。それゆえ,ここでは好気性培養と共通の部分は思い切って省略し,嫌気性菌に特殊な部分に焦点を合わせて説明する。

血液凝固検査(2)—各論(1)

著者: 藤巻道男 ,   安井武義 ,   谷田部元裕 ,   佐野京子

ページ範囲:P.259 - P.263

 凝固検査を行なうにさいして,血液の取扱いと保存状態,試薬の調製,用いる器具,測定温度などによって,その成績は影響されるので常に注意を怠たってはならない。
 今回はスクリーニング・テストとしてのPTTおよびプロトロンビン時間を中心としての測定法について述べる。

座談会

ドック検査と正常値

著者: 大槻和男 ,   鈴木豊明 ,   日野原重明 ,   松木駿 ,   松村義寛

ページ範囲:P.264 - P.271

 ドック検査の中心となるものは,臨床検査である。ドック検査の対象は,見かけ上は健康人であるが故に正常値というものが重要な意味をもってくる。そして,そのことは,検査の正確さをよりいっそう要求させる。今月は,ドック検査にたずさわっておられる内科の先生方にお集まりいただいた。

新人のあなたに

仕事を道楽にしよう—実践の学問への脱皮を目指して/回り道でも基礎概念を—先輩の責任は重大

著者: 北村元仕 ,   広明竹雄

ページ範囲:P.272 - P.273

 仕事を道楽にしなさい。新らしく仲間入りをされるあなたに,私が贈りたい言葉はこれです。臨床検査は,人命に結びつく崇高な仕事です。これを道楽とは不見識なと思われるかもしれません。たしかに,私達の仕事は尊い使命をもっています。けれども人の生命との結びつきは決して直接的ではありません。臨床医とちがって,患者の苦悩や死を皮膚で感ずることもまれです。直接の相手は血液や,尿や喀痰です。これを,本来の尊い仕事にしつづけるために使命感だけで,はたして足りるでしようか。
 道楽などとおかしな表現をしないでも,臨床検査の技術そのものがすでに魅力的だから大丈夫,と考えることも危険です。あなたがこれから使う機械は最新式の電子計器や,高価な自動分析機であるかもしれません。

レポート

貧しさをのりこえて躍進するカンボジア—派遣検査技師の現地報告(1)

著者: 加藤哲

ページ範囲:P.276 - P.278

 国外へ始めての一人旅でいささか心細くありましたが皆様のおかげをもちましてどうやら目的地へたどりつくことができました。
 さて御依頼の件,また団長の所へもある女性より食住さえ面倒をみてくれるなら,給料はなくともカンボジアで働きたいという熱心なる手紙をよこされた方もあり,私の見聞した現地の事情が多少とも参考になればと考え印象を綴ってみることにしました。

入門講座 細菌

エーゼのえらび方,使い方

著者: 高橋昭三

ページ範囲:P.279 - P.279

 微生物関係の実験,たとえば臨床材料,菌の培養の取あつかいなどにおいて,エーゼは,食事の時の箸のように,普通につかわれる。そのつかい方は技術者の熟練の程度をあらわすといってもそれほどまちがいはない。
 図1に示したものは,普通につかわれるエーゼである。基本的には,aの部分を,万年筆をもつように,右の栂指.示指.中指の3本でもつ。他の2本の指は,棉栓等をとりあつかうなどの用途があるので,あそばせておく。焔の中に,cの部分が全部1度に入るように立てて入れてやく。黄色になるほどに加熱したら,新しい培地等につけて冷やしたり,または自然にひえるのをまち,菌または臨床材料をcの部分につける。塗抹標本をつくる時は,菌の斜面培養ならばごく少し,液体培養ならば適当量,臨床材料ならば,1エーゼとり染色法により,塗抹した時,一様に白くなる程度ないしなるべくうすく,やっとみえる位までにのばす。とった菌,臨床材料の分離培養を行なう場合は,できるだげ少量をとるようにする。それを培地に,エーゼのcの部分の先を培地にきずをつけないように画線する。この時,エーゼを,手首のカをぬいて,動かすようにする。ニーゼが培地面を動いてきずつけないで,なめらかに動くようならばよい。大よそ,1.2%の寒天20mlを,9cmのシャーレにかため,その上を,きずつげずに,すきまなく画線できるようになれば十分である。これが細菌実験技術の第一歩である。

血清

沈降反応(Precipitation Test)

著者: 松橋直

ページ範囲:P.280 - P.280

 たとえばタンパク質のような水に溶解性の抗原と,これと特異的に結合する抗体とを反応させたとき,肉眼ではっきりわかるような沈降物ができる現象を沈降反応という。
 沈降反応にあずかる抗体を沈降素(precipitin)と呼び,対応する抗原物質の名称に「抗」の接頭語をつけてその特異性をあらわす。たとえば,ウサギにニワトリ卵白アルブミンを注射してできてくる抗体は,ニワトリの卵白アルブミンにかぎって反応し,沈降物をつくるが,この抗体は,抗ニワトリ卵白アルブミン沈降素とよばれる。

血液

血球計算法と正常値

著者: 寺田秀夫

ページ範囲:P.281 - P.281

 自動血球計数器の普及により,赤血球や白血球が自動的に算定される傾向にあるが,メランジュールならびに計算板を用いる算定は患者のべットサイドからの検査に欠くことができず,これを正しく速く行ない得ることは検査技師の素養の一つである。
 算定法血液を正確にメランジュールの規定の目盛まで吸い,その先端や周囲に附着した血液を拭ぎとりついで稀釈液**で稀釈し,数分間振鐙してメランジュールの球部の内容を十分混和させてのち,最初の数滴を捨てたのち,次の小滴を計算室に流し込む。

生化学

秤量の仕方

著者: 松村義寛

ページ範囲:P.282 - P.282

天秤の調整
 臨床検査室には直示天秤が普及してきた。今までの天秤では20分も30分もかかっていた精密な秤量が数分ですんでしまうので,気軽に使えるのでこれからもどしどし使われるであろう。
 秤量は正しい標準液,正しい試料採取に欠くことのできない操作法であるが,天秤の取扱いが正しくないとせっかく秤量しても無駄になってしまう。

病理

人体各臓器の肉眼による見方(4)

著者: 金子仁 ,   清水一男 ,   進藤登

ページ範囲:P.283 - P.283

生理

脳波計の扱い方

著者: 本間伊佐子

ページ範囲:P.284 - P.284

 脳波の解説書を読んだり,一通りの講義を聞いても,いざ脳波計を扱うとなると何かととまどうものである。実際には脳波記録をしながら重要なポイントを一つ一つ身につけていかなければならないが,2,3の注意点を簡単に述べる。
1)対象が患者きんであるということ:これは特に気むずかしい患者や泣きさけぶ小児である場合には,検者がいらいらしてしまうこともあるが,脳波検査は電気をかけるのでなく,痛みも何もない検査であることを十分に説明し親切にていねいに応対することが大切である。小児ではとくにあやしたり,母親に付きそわせたりして安静状態での記録をとることに努力する。どうしてもできない時は眠らせて睡眠脳波だけを記録することもある。自分が患者の身になって誠意をこめて忍耐強く行なえば,自づと気持が通じあい,きれいな正しい脳波が記録されるものである。

各科共通

ガラス計量器のえらび方

著者: 松村義寛

ページ範囲:P.285 - P.285

 容量分析には種々のガラス計量器が活用されるのは無論のことであるが,臨床検査室では試料の主なものは血液,尿,胃液など体液成分であるので液体の容積の測定は頻繁に行われる操作である。
 ガラス計量器が清浄にするのに便であるため繁用せられるが,水に濡れない点とこわれにくいことからプラスチック製品もだんだん開発されて来ている。容積の測定器具を大別して受け用と出し用とがある。受け用とは容器の画線まで盛った液体の容積が表示量となるもので代表はメスフラスコ,メスシリンダーである。出し用は画線に合わせたものを一定の法式によって別の容器に移したときに表示された容積がとりだされるもので,ピペットが代表的である。このような違いがあるのは,ガラス面が水によって濡らされるために起るものであるから,水に濡れないプラスチックでは区別はない。またガラス面をシリコンなどで溌水処理をすればプラスチンク製品と同じことになる。けれども濡れる性質によって検定してあるものは検定し直す必要が起ってくる。

検査室メモ

ガラス器具と洗剤(2)

著者: 広明竹雄 ,   藤沢武吉

ページ範囲:P.286 - P.286

 抗生物質の出現は現代医学のエポックとなった。しかし,これを使用する場合,感受性検査を行った上で最も効果的な投与法を指示するのが常識である。
 洗剤を使用する場合も同様で,どのような物質によって,どの程度に汚れているのか,使用すろ洗剤はとのような性質のものか,を十分に知った上で,これらを巧みにマッチさせ効果的に使用しなげれば意味がない。

講座 臨床血清学講座Ⅷ

梅毒の血清学<B>

著者: 福岡良男 ,   安藤清平

ページ範囲:P.287 - P.292

I.梅毒血清検査法の鋭敏度と特異度
 梅毒の血清学的検査法の種類とその組合せについては前回に述べた。多数の検査法の中からいくつかの検査法をえらぶ場合には,各検査法の特異性と反応性がすぐれており,術式が比較的簡単であり,経費が余りかからず特殊な設備を必要としない検査法をえらぶべきである。しかもこれらの検査を組合せた場合にいかなる梅毒抗体をも検出できるものでなければならない。これらの条件の中では検査法の特異性と反応性の問題が特に重要である。梅毒患者では必ず陽性となり,梅毒に罹患していない人では必ず陰性になる検査法が理想的であるが,このような検査法は一つもない。そこで梅毒患者の陽性率(鋭敏度という)と,梅毒でない人の陰性率(特異度という)が比較的高い検査法で我慢しなければならない。わが国で最も広く行われている緒方法,ガラス板法,梅毒凝集法は鋭敏度も特異度もすぐれた検査法であることが証明されている。昭和27年に行われた各種梅毒血清検査法の比較実験の成績を表1,2に示した。
 Treponema (Tpと略す)を用いる検査法はわが国ではまだ余り行われていないので,その鋭敏度と特異度に関する報告は少い。皆見らのSTS, RPCFテストおよびFTAテストの比較成績を表3に示した。RPCFおよびFTAテスト以外のTpを用いる検査法の鋭敏度と特異度を知るためにアメリカの成績を表4と5に示した。

臨床生化学講座Ⅰ

臨床生化学とはいかなるものか

著者: 松田誠 ,   藤沢洌

ページ範囲:P.293 - P.296

 この号から臨床検査技術者を主な対称として,臨床生化学について書くことになった。臨床生化学じしん若い学問であり,人によってその受けとり方は,色々であるのは,またやむを得ない。したがってここに書かれる内容も普遍性を欠いたものかもしれないし,またかなり独断的と思われるところもある。読者もこれを読みながら一緒に考えてほしい。臨床生化学といっても,生化学の基礎的な過程が共通に含まれているはずであるから,ひとまず現在の生化学の内容と,その方向から話を進めたいと思う。

私の工夫

梅毒ガラス板法,抗原浮游液の安定したつくり方

著者: 松橋直

ページ範囲:P.296 - P.296

 現在ガラス板法抗原浮游液のつくり方は緩衝液0.4mlを広ロビンに入れ,ビンを机の上でまわしながら抗原液を六秒間で滴下し,さらに4.1ml緩衝液を加え,最後にはげしく振るのであるが,何分手で行なうために,その日その日によつてでき,ふできがあり,熟練を要する。
 ことに抗原液を滴下する場合のビンのまわし方によって粒子が大きくもなり細かくもなる。
 そこで私はビンを手でまわすかわりにサーモミキサーを使用したところ,粒子も細かく常に安定した浮游液を作ることができ以後浮游液を作りなおすようなごとは全くなくなつた。

研究

血清総蛋白のBiuret反応による呈色とその屈折計による定量との関係

著者: 山本哲夫 ,   沢田澄枝

ページ範囲:P.297 - P.299

 血清蛋白濃度が0.6g/dl以下では,蛋白質のBiuret反応による呈色の吸光度(E)はそれに比例すると考えられている。血清のAIG比を吉川・斎藤法を用いて測定するさいに,血清総蛋白(以下S.T.P.と省略)量に相当するBiuret反応の呈色のEを求め,同じにそのS.T.P.量をKjeldahl法により測定し,換算係数を求め,この係数を用いてA/G比測定のさい,蛋白濃度未知の被検血清のBiuret反応による呈色のEに乗じて蛋白量を換算する方法がある。蛋白質定量法として従来Kjeldahl法は係数の問題が幾分含味しているとしても,最も認められている。しかし,一般の検査室で実施するには熟練を要し,いささか煩雑すぎると思われる。定量法として正確さは劣るがきわめて簡易にS.T.Pを測定できる屈折計法があり,一般の検査室で使用され,臨床的にも十分その役割を果している。吉川・斎藤法を用いてA/G比を測定するさいに,多数の種々の異なった濃度のS.T.P量を屈折計法で測定し,平行してBiuret反応によるS.T.P量に匹敵する呈色のEをチェックし,それぞれの値からグラフを作成し,統計的処理をした。これらの相関関係よりその後の検査においてAIG比を上記方法で測定するさい,総蛋白量に匹敵するEからS.T.P量を換算することが可能か否かを検討し,その他若干の見地を得たので報告する。

新血清ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)測定法について

著者: 松谷衛 ,   竹久元彬 ,   福波黎子 ,   島末明 ,   菊川縫子

ページ範囲:P.300 - P.302

はじめに
 ロイシンアミノペプチダーゼ Leucine Aminopeptidase(LAP)の研究については,1929年 Linderstrφ-m-Lang1),1944年 Smith2)によってなされ,1958年Rutenburg Goldbargら3)〜6)が膵癌患者の血清,尿中に本酵素活性の上昇をみいだし,その診断に利用できると報告して以来,注目をひくに至った。最近各方面におけるこの酵素の臨床研究の結果,黄疸の鑑別,膵頭部癌の診断,悪性腫瘍の肝転移の早期発見等に有意であることが認められている。小川,松谷ら7)はLAPおよびそのIsozymeについて報告し,肝胆道疾患に有意義であり,LAP値が低い症例,時期,すなわち正常範囲においてもLAP Isozymeによると,肝細胞性のものか,胆管系のものか,鑑別診断が可能であり,胆管閉塞が管内性のものか,管外性のものか鑑別診断が可能と思われるとのべている。

A群レンサ球菌の凝集反応による型別法

著者: 宮本泰

ページ範囲:P.303 - P.305

 従来A群レンサ球菌の型別にはもっぱらLancefildのM沈降反応法が採用されてきているが,本法は技術上あるいは経済上難点が多く,今日でもなお普及がはばまれている。これに反してGriffithによって発見されたT凝集反応法はその後改良され,欧米各国でも再評価され,実用化の機運が起こってきた。筆者らは昨年1年間欧米各国との協同研究を通じて本法の実用性を認識し得たので,ここにその術式の概要をご紹介したい。
 以下はイギリスのStreptococcus & StaphylococcusReference Labの術式である。本法による型別成績の実例については日伝誌を参照されたい。術式の解説に先立ち二,三の基本的な関連事項,すなわち菌体の構造,MとTの対応関係などについて略述する。

私の経験

RF反応全血法の使用経験

著者: 藤原照夫

ページ範囲:P.299 - P.299

 1956年Singerらが合成樹脂の一種であるポリステVンラテックスの微粒子を使用し,患者血清によるLatex.Fixation.Testを発表,さらにBentnite.Floculation Testへと進展し,その後種々改良されRA反応試薬として市販されるようになった。そのRA反応であるが,ほとんどの市販品が血清で行なうよう調製されているため,血清分離に長時間を要し,外来検査室などで手軽に行なうことができなかった,このたび私は外来検査室または設備のない処でも簡単に全血で行なうことができる輸入品のRF反応について検討し,若干の知見を得たので報告する。

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Glossary≪15≫—「循環器」関係(2)

著者: 横山芳郎

ページ範囲:P.274 - P.274

atrioventricular conduction time房室伝導時間
atrioventricular dissociation房室解離

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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