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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査12巻1号

1968年01月発行

雑誌目次

グラフ

白血球の超生体染色所見—ニューメチレン青アルコール溶液による

著者: 相賀静子

ページ範囲:P.2 - P.3

 New Methylen Bleu (N.M.B)を用いて白血球の超生体染色による分類を試みた。N.M.B.は酸性で色調変化を示さないが,塩基性では美しい紫紅色に変化する。また白血球は染色液のpHによってその染色性に変化を来すので,単一の染色液を用いて白血球の胞体及び顆粒の色調の変化を観察し,従来のギムザ染色や,ライト染色法との比較をみ試たものである。

病理組織標本の整理のしかた

著者: 畠山茂

ページ範囲:P.5 - P.9

 病理組織標本および検査成績の整理および分類の系統化は,診断と同様に重要な業務の一つになっている。すなわち症例によっては類似疾患との相互比較による検討,患者のfollow up,統計分類などが絶えず要求されるので記録の照合,ブロックの再薄切および特殊染色の施行,ひいては他検査室との標本の交換などが頻繁に行なわれる、そのために標本,写真,ブロックの能率的な保存管理が重要な課題となり,また他の臨床検査に比し各症例毎に保管すべき検査物件が蓄積増大してゆくのでそのための空間,設備,人員などが問題となる。歴史が古く,症例の多い検査室ほど整理が大変であろう。数カ所の病理検査室を廻って見学したがどこも大同小異であった。ここでは癌センターと東大病理検査室を紹介する。多少重複する点もあるが,共通な性格のものは省いた。

欧州とくに北欧の病院中央検査部門を見学して

著者: 佐々木禎一

ページ範囲:P.10 - P.12

巻頭言

病院臨床検査部のあり方

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.13 - P.16

 現今では,わが国のほとんどの病院に臨床検査部が独立し,活発な活動をするようになったことは喜ばしいことである。昭和24年に病院管理研修所が発足した当時と比較するならば,文字どおり隔世の感ありといわねばならない。その当時,臨床検査業務の中央化,機能組織化の必要性が説かれたが,それに対して多くの病院長は大きな抵抗を示したものである。検査は臨床医師自身が検査するのでなければ診断を誤まると信じていた。永年の慣習というものは恐ろしいものである。もちろん当時は,信頼に足る検査技師が少なったことなどから,そう信じなければならない当時の状況であったかも知れない。しかし少くとも病院では明治時代から医薬分業が行なわれていたにかかわらず一般には医薬分業に根強い抵抗のあることと共通の医師心理が作用していたことも見逃がせないことであったろう。少くとも問題は検査業務が分業された際,その検査結果が,臨床医みずからが行なうと同様の成績がえられるという信頼に足る保証がえられるかどうかということが,この問題解決のポイントであった。
 この状況を打開するために,まず信頼に足る臨床検査技師の養成がなされねばならないということで,橋本寛敏先生と守屋博先生等が中心となり,聖路加病院と国立東京第一病院の臨床検査部が協力し,中野の学校が発足したことは時宜に適した壮挙であった。が然その反響は著しく,卒業生のうばい合いを呈するようになったことは御承知の通りである。

技術解説

管理血清・標準血清<1>—正しい使い方と問題点

著者: 斉藤正行 ,   小泉恵美子

ページ範囲:P.17 - P.24

管理血清の必要性
 医療の向上,合理化をめざして各病院,医師会に臨床検査室が設立されたのはそんなに昔のことではない。それなのに現在これらの検査室は医療上絶体欠くことのできないものとして日々の診療に大きく貢献している。
 しかし実際に検査室を運営したりまた利用してみると実に多くの問題に遭遇する。根本問題として第一に検査室の報告が信用できるかということである。もちろんこれが満されない限り検査室の存在は無意味であるが,何分にもおびただしい被検物を少数の人員で合理的にかつ迅速にしなければならない関係,いかに熟練した技術員が実施しても誤りの介入チャンスは少くない。この場合病理や血液塗抹標本なら臨床症状との不一致からまた見直すことも可能であろうが,化学検査においては証拠が残らず,再び採血したからといって前回の患者状態と同じとはいえないところに問題がある。

簡便嫌気性菌培養皿の考案

著者: 佐々木匡秀 ,   永尾悦子

ページ範囲:P.25 - P.28

 昨今,嫌気性菌感染による致死や指肢の切断等が増加しつつある。この様な嫌気性菌感染症は早期菌体の発見による適切な処置をほどこすことが最良の予防手段であるにもかかわらず,病棟から嫌気性菌検索の依頼があっても,大病院をのぞいてはほとんどの細菌検査室がこれに応じたサービスをしていないのが現状である。
 嫌気性培養法には,従来から物理学的酸素除去法,生物学的培養法及び化学的酸素吸収法等がある1)。いずれも真空ポンプ,ガス発生(交換)装置,ドラフトルーム等大がかりな設備や,実験動物の常時飼育又は取扱いの危険な黄燐を燃焼させるなど非常に煩雑な操作を要する。これが隆路となり,日常検査として嫌気性菌検査のサービスの拡張がはばまれている理由の一因であろう。

座談会

臨床検査の将来像を探る

著者: 北村清吉 ,   平沢政人 ,   藤沢武吉 ,   松村義寛 ,   屋形稔 ,   山田和美 ,   樫田良精

ページ範囲:P.30 - P.37

 医療全般にわたって,様々な問題が山積されている今日,"臨床検査の将来はどうなっていくのか"という問いかけに明確な答を用意することは検査室の責務であろう。明日の医療の担い手として……。

〈カラーグラフ参照〉

白血球の超生体染色所見—ニューメチレン青アルコール溶液による

著者: 相賀静子

ページ範囲:P.38 - P.39

 New Methylen Bleu (N.M.B)を用いて白血球の超生体染色による分類を試みたのでその成績を述べる。N.M.Bは酸性で色調変化を示さないが,塩基性では美しい紫紅色に変化する。
 また白血球は染色液のpHによってその染色性に変化を来すので,単一の染色液を用いて白血球の胞体及び顎粒の色調の変化を観察し,従来のギムザ染色や,ライト染色法との比較を試みたものである。

講座 臨床生理学講座Ⅲ

脳波<3>

著者: 吉井信夫

ページ範囲:P.40 - P.46

記録部
 前置増幅器,主増幅器で増幅された脳波を記録するための装置でペンで紙の上に書く様になっていろ(これをインク書きオシログラフと呼ぶ)。記録部は,1)ペンガルバノメーターと2)紙送り装置の2つからできている(図1)。

入門講座 生化学

光を用いる分析

著者: 小延鑑一

ページ範囲:P.47 - P.47

 光は電磁波の一種であり,その中で目に見えるため可視光線と呼ばれている。これは電磁波の中では4000A(400mμ)から8000A (800mμ)の波長である(図1)。この電磁波が物質の層を通過するとき,その物質の分子構造により(1)電子遷移(主に紫外と可視),(2)分子振動(主に赤外),(3)分子廻転(主に遠赤外とラマンスペクトル)などに帰因する電磁波のエネルギーの吸収がおきる。このエネルギーの吸収を分析に応用したのが比色分析や紫外および赤外吸収分光光度法と呼ばれている吸光分析である。
 一方これとは逆に物質のもつエネルギーが光となって放射される場合もあり,これを利用したのが焔光分析や螢光分析と呼ばれる発光分析法である。臨床化学分析法はこれら吸光,焔光,螢光などの光の性質を利用した分析によるものが多く,その中でも最も利用されているのが比色分析といわれる吸光分析法である。

細菌

陰影染色法と単染色法

著者: 橋本雅一

ページ範囲:P.48 - P.48

 臨床材料の細菌検査に用いられる染色法には,グラム染色,抗酸性染色をはじめとして,異染小体染色,胞子染色,莢膜染色などの特殊染色(分別染色)が用いられることが多しが,ある場合には,陰影染色による無染色標本または単染色標本を観察することによって,検査をより的確にし,診断をより容易にてきることがある。

血清

血清学的検査法の基本術式I

著者: 松橋直

ページ範囲:P.49 - P.49

 昨年度は血清学の理論を解説してきたので,本年度は実際の検査についての解説をつづけてゆくことにする。血清学的検査にあつかわれる抗原などの試薬は現在では自分で作る必要はなく,ほとんどすべてが市販されているので,基本的な知識としては,血清の分離法,保存法赤血球の洗い方,技術としてはピペットさばきなどであろう。また,ある検査に特に必要なものはその都度述べてゆくことにするので,今回はとくに基礎的なものだけを述べるにとどめておこう。

血液

骨髄穿刺検査法I

著者: 寺田秀夫

ページ範囲:P.50 - P.50

 血液疾患の診断に末梢血の一般血液検査では確診が出来ず,しばしば骨髄穿刺検査が行われる。この際末梢血が混入すると正確な検査結果が得られないから充分注意する必要がある。

病理

ミクロトームI—点検・整備

著者: 内海邦輔

ページ範囲:P.51 - P.51

 ミクロトームは病理検査室で無くてはならない機械である。種々の型式があるが大別すると,滑走式と回転式に分けられる。前者にはユング型,シャンツェ型などがあり,後者にはミノー型などがある。紙数の都合でここではユング型について使用時の点検整備について述べる。
 ユング型ミクロトームは,水平の滑走台と僅かに傾斜した滑走台とがある。前者にはメスを取付け,後者にはパラフィンブロックを取付ける。メスはこの水平滑走台上を前後に動く,パラフィンブロックは傾斜面を徐々に押上げられることにより,その表面はμ単位で上昇し,メスで薄切りするようになっている。ユング型ミクロトームでは,メスが水平にスムーズに動くことと,パラフィンブロックが正確に3μなり5μなりつつ上昇することが最も大切な性能である。そこで使用前に特にこの両者の点検整備が必要である。

生理

腎機能I

著者: 前田貞亮

ページ範囲:P.52 - P.52

1.腎機能とは
 腎の働きには尿の生成以外に血圧,ホルモン,赤血球等の生体全体の広義の循環と代謝調節に参加する働きがあるが,最も主なものは尿の生成である。生体の代謝の上から不要になったものを排泄するだけでなく,元来は必要な物質でも生体の過剰,不足に応じてこれを排泄したり,保持したりして調節するものである。尿の生成を通じて腎は次の3つの大きな働きをする。
(1)水分と電解質のバランス,および体液の滲透圧の維持。

共通

電気冷藏庫の霜取り

著者: 樫田良精

ページ範囲:P.53 - P.53

 電気冷蔵庫は検査に必要な材料の保管のために一年中使用されているが,直接検査に用いる機器ではないため,この取扱いや保守はとかくなおざりにされがちである。
 外国製のものには検査室や研究室向きに合理的に設計製作されたものがあるが,わが国にはこれに相当するものが市販されていないので,一般には食品貯蔵と製氷を主目的にした家庭用電気冷蔵庫を代用している。それだけにこれを検査室で使うには多少の注意が必要である。これらを利用している入々が案外気がつかないような2,3の点についてふれてみよう。

検査室メモ

増員要求のコツ

著者: 広明竹雄

ページ範囲:P.54 - P.54

 目の廻るほど忙しい。いくら頼んでも増員は認めてくれないし,機械や器具もなかなか購入してもらえない。
 このような悩みを持つ人は意外に多いであろう。いや,われわれ臨床検査にたずさわる者の共通した悩みなのかもしれない。

特別レポート

欧州とくに北欧の病院中央検査部門を見学して

著者: 佐々木禎一

ページ範囲:P.55 - P.60

はじめに
 近年まれにみる酷暑に見舞われたこの夏,私はたまたま北欧を中心とした幾つかの病院の中央検査部門を見学する機会に恵まれた。
 これはPasteur研究所で開催された「First Meetingon Pseudotuberculose (仮性結核菌症に関する第一回会合)」に出席のためParisに行く途次,日本—ソ連邦—北欧—欧州のコースを経たのでこれを機に下記のような検査部門を訪れたわけである。

研究

直立拡散法に関する二,三の実験

著者: 平峰繁

ページ範囲:P.61 - P.63

はじめに
 直立拡散法1)2)における菌発育阻止帯長は,接種菌量その他の因子によって変化することが知られているが3)〜6),それらの諸条件を一定にして行なった場合,はたして常にバラツキのない結果が得られるものかどうかをみるために,同時に作った培地および綿栓のまま1ヵ月間室温保存した培地による阻止帯長のバラツキを,平面法ならびに斜面法について検討してみた。

EDTA−3Kと他の抗凝固剤について—2,3の特殊染色を含む検討

著者: 菊池弘実 ,   菅沼清

ページ範囲:P.64 - P.66

はじめに
 近年まで抗凝固剤として,二重蓚酸塩やヘパリンNa,アンチクロットET等が多く使用されてきたが,最近自動血球計算器の発達と共に,EDTA,3K,2K塩等の新しい抗凝固剤が開発されてきた。しかし抗凝固剤を使用すると時間の経過と共に血球数や血液像が変化するため採血から検査までの時間が問題とされている。私達は実際に抗凝固剤がどのように血液に変化を与えるかを,種々の抗凝固剤を使用しPAS染色,アルカリフォスファターゼ染色,脂肪染色の3種類の特殊染色を加えた一般の血液検査を行ないまた新しい抗凝固剤,EDTA 2Kと3Kの混和によるpHの変化等も考え合せながら時間的変化を24時間まで観察し最後に各々の抗凝固剤につき普通使用量の10倍量を使用し観察した結果をまとめて報告する。

Auto-AnalyzerによるEster型Cholesterol定量法の検討

著者: 蔵重亮 ,   伊藤忠一 ,   林訓子 ,   白井克彦

ページ範囲:P.67 - P.69

緒言
 血清ChQlestero1(Ch)の1部分は遊離型として存在するが,残りの大部分は,肝臓において脂肪酸と結合しEster型Cholesterol(E-ch)となる。血清における両者の比率は比較的狭い範囲に一定しておりE-chの定量値およびEster比は肝臓におけるEster化の能力すなわち肝実質細胞の機能を示す一つの指標として用いられてきた。しかしながら定量法がSchoenheimer-SPerry法1)やZak-Henly変法2)のごとく繁雑なため実施が必ずしも容易でない。佐藤ら3)は先に総Chについて共にKiliani反応を応用するZaK-Henly変法およびAutoAnalyzer法を比較検討し,両者はきわめて良く相関することを報告した。著者らもZlatkis-Zak等4)がKiliani反応はEster型,遊離型の差別なく,同一濃度のChなら同一の強さの呈色を与えると報告していることを利用し,E-chについてもAuto-Analyzerによる定量を行ない,ZaK-Henly変法と比較すると共に本定量法に与えるHb,Bilirubin等の影響について検討を加えた。

尿路感染症診断における尿中菌数と尿蛋白,潜血及びpHの関係について

著者: 高屋豪瑩 ,   高木暁子 ,   小本優子

ページ範囲:P.70 - P.72

はじめに
 尿路感染症の診断に尿中細菌の定量は重要な因子を占めている。その尿細菌を培養する際,尿路細菌叢に存在する常在菌や採尿時混入する雑菌に注意しながら尿細菌定量を行なうならばこの定量は尿路感染症の診断及び治療の一指標となろう1)。ところで尿中細菌の細菌定量培養法はMarple(1941)2)によって始められ,Kass(1956)3)らが定量培養法を再認識して以来,原因菌と常在及び混入雑菌との鑑別がかなり以前よりできるようになって,現在腎盂腎炎その他の尿路感染症の細菌学的診断手技として頻用されている。しかしこの方法は未だ煩雑で,しかも高価な滅菌装置を必要とするため,一般医家には普及されていない。
 そこでSimonsとWilliams(1962)4)は簡便な尿中細菌定量法として,Wundt(1950)5)が2,3,5-Triphenyltetrazolium-Chloride(以下TTCと略)を細菌の呼吸作用と関係あることを報告してこれを考案したものが尿路感染症の良好なroutine screening testとなりうることを報告している。このTTCを主成分とするUrocheckと細菌定量培養法6)を平行して行い,更に細菌同定も行なった。その上尿蛋白,糖,潜血,pH等がこれらの尿細菌数との間にいかなる関係があるかを検討し,興味ある結果をえたので報告する。

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Glossary≪22≫—肝臓・胆道系疾患(3)

著者: 寺田秀夫

ページ範囲:P.29 - P.29

<f>
Fanconi's syndrome フアンコニー症候群
fasciola gigantica 巨大肝蛭

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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