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雑誌目次

論文

臨床検査13巻11号

1969年11月発行

雑誌目次

カラーグラフ

梅毒病原体の検出法

著者: 笠松重雄 ,   富沢孝之

ページ範囲:P.908 - P.909

 梅毒病原体(Treponema pallidum;TP)を検出する場合,検出方法にそれぞれ特徴があって,病期によって適当なものを選んで行なったほうが検出率はよい.初期梅毒においては,局所の材料からの暗視野顕微鏡法が最もよいと思われる.2期疹のような発疹になるとTPの組織鍍銀法がよく,その検出率の高いことがわかっている.
ここにあげた標本は,実験梅毒ウサギの皮膚と睾丸を材料としたもので,技術解説(929ページ)にあげたTP検出法をそれぞれのせた.すなわち暗視野顕微鏡標本,組織凍結切片螢光抗体間接法,組織Levaditi鍍銀染色法,組織岐阜大学鍍銀染色法である.

グラフ

組織と病変の見方 肉眼像と組織像の対比—消化器とその病変(1)

著者: 金子仁

ページ範囲:P.911 - P.915

医師,衛生検査技師,看護婦を問わず,およそ医療にタッチする者のまず第1に必要なことは,病気の本態を知ることである.検査法も治療法も,その病気の何たるかを理解して初めて向上することができるからである.病気を端的に知るには,病変部の臓器の肉眼像を見ることである.この意味で「臓器と病変の見分けかた」(医学書院)を出版した.参考にしていただきたい.
ここに連載するアトラスはいわば「臓器と病変の見分けかた」の姉妹篇ともいうべきもので,臓器(マクロ)と組織(ミクロ)を並べて一層深く,病気を理解していただく目的で編集されたものである,臓器や組織を見るのにシェーマのみだと真実感に乏しく,迫力がない.写真のみだとややわかりにくいものも出てくる.そこで実物のマクロ,ミクロにシェーマを描いて理解しやすいように努めた.マクロは固定以前の生々しい写真をなるべく採用した.材料はすべて日常のありふれた病気を主として取り上げ,珍しい病気はなるべく避けた.

白衣のデザイン

著者: 庄司力

ページ範囲:P.916 - P.918

 目ざましい発展をつづける医学・臨床検査界の中で"白衣"ほど昔のままのものはない.そこで毎日の忙しい検査活動にふさわしい,機能性に富み,かつスマートなデザインの白衣をここに紹介します(本文933ページ参照).

代謝経路と臨床検査・11

1炭素基の代謝

著者: 松村義寛

ページ範囲:P.920 - P.921

 1月号ではS-アデノシルメチオニンのメチル基が,グアニド酢酸に転移することでクレアチンが生ずること,7月号ではテトラヒドロ葉酸がホルミル基の供与体となって逐次プリン体の合成が行なわれる経路を示した.このようにメチル基,ホルミル基など炭素1個を含む基が,独自の行動をとることに注目して画いたのが図2である.
 主役となっているのがテトラヒドロ葉酸(THFA)でt,5,10位のN原子にメチル基(-CH3)メチレン基(-CH2-),メテン基(=GH-)ホルミル基(-CHO),ホルミルイミノ基(-CH=NH2)が担われ,THFAにそれらの基が結合したままの状態で相互間の転変が行なわれるとともに,他方それらの基はしかるべき受容体に渡されることで所要の物質が合成されているのである.

総説

エリスロポエチン—赤血球生成刺激因子

著者: 石川昭

ページ範囲:P.923 - P.928

 赤血球を生成する刺激因子に,エリスロポエチン(ESF)がある.貧血患者の血液・尿中から検出されるが,いまだに純粋なESFは得られず,基礎的研究・臨床的応用が遅れている.最新の研究から,その性状・測定法などを概説する.

技術解説

梅毒病原体(Treponema pallidum)の検出法

著者: 笠松重雄 ,   富沢孝之

ページ範囲:P.929 - P.932

 梅毒を診断する場合,梅毒の持有な臨床所見とTreponema pallidum (TP)の検出が,最終的なものであることはいうまでもない.しかし特異な病状もなく,Treponemaの検出が困難であるとき,比較的簡単な血清学的診断法にウエイトがおかれてしまう.
 最近,病原Treponemaを抗原とする反応が広く行なわれるようになってきたが,血清反応から梅毒と断定することはむずかしく,あくまでも補助診断法である域を脱していない.

グラフ解説

新しい時代の新しい白衣

著者: 庄司力

ページ範囲:P.933 - P.940

はじめに
 少し耳をすますと1970年への輝かしい新時代の鼓動が,身近かに伝わってきます.1876年消毒法.1885年予防接種.1895年X線.そして現在,人工臓器,臓器移植とこの1世紀,休むことを知らなかった医学界にも,この世界に全く縁もゆかりもない者が少し意地悪くながめると,長い冬眠の夢をむさぼっている分野があるような気がします.たとえば"白衣"と呼ばれるまっ白い仕事着です.医学界の大半の人々が毎日腕を通すものでありながら,あまりにも無関心で見すごされている—ひょっとしたら,否ひょっとしなくとも,野口英世の時の白衣と,今朝あなたが着ていらした白衣とは,おそらく少しも変わっていなかったといっても過言ではないと思うのです.
 一般の衣料がいろいろな面でレベルアップしている今日,白衣だけがひとり昔のままで取り残されていていいはずはありません.新しい時代にはやはり新しい白衣が必要なのではないでしょうか.

臨床検査の問題点・11

酵素検査の実際

著者: 玄番昭夫 ,   大場操児

ページ範囲:P.942 - P.948

 臨床化学の分野で,酵素検査は大きな比重を占める.臨床検査に関係深い30あまりの酵素のうち特に疾病診断に重用なもの—アミラーゼ,ホスファターゼ,トランスアミナーゼ(GOT,GPT),LDH (乳酸脱水素酵素)にしぼって問題点を検討する.

主要疾患と臨床検査・11

泌尿器疾患と臨床検査

著者: 伊藤一元

ページ範囲:P.949 - P.954

 泌尿器科的疾患には尿路疾患および男子性腺疾患が含まれるが,近年副腎疾患中手術を必要とするものは,泌尿器科で扱われることが多くなってきた.以下,泌尿器科で診療される疾患の臨床検査について述べる.
 臨床検査の原則はまず問診により,それぞれの症状からだいたいの病変部位を推定する,たとえば尿路疾患では上部尿路および下部尿路疾患に分けられるが,上部尿路疾患では腰部痛ないし腎仙痛,腎部腫瘤,発熱などの症状を呈し,下部尿路疾患では排尿に伴って症状を呈することが多く,すなわち排尿痛,排尿障害,尿意瀕数などの症状を呈するため,これらの症状により病変部を推定できる.次いで触診,打診,聴診および視診により推定をいっそう確実にし臨床検査を行なう.

私のくふう

危険液取り扱い用ピペット

著者: 村田徳治郎

ページ範囲:P.954 - P.954

 今まで人体に有害な揮発性,刺激性の試薬をピペット操作するときは,ゴムキャップその他綿を詰めたサックなどを使用していたが,ゴムキャップの揚合は10ml以上の量の吸引はむずかしい.また,細菌の溶液の定量的なものや粘稠な喀痰,粘液の攪拌はなおさらである.そこでまず第1に吸引力のあるもの,操作が容易で,しかも衛生的で消毒・滅菌なども可能で,日常の仕事場で十分間に合うものでできるものという条件で,くふう考案してみた.

血液塗抹標本用スライド・ガラスの簡便なる清浄法について

著者: 熊谷崇 ,   井上幸子 ,   栗田郁子 ,   平田章子

ページ範囲:P.984 - P.984

 従来一般に行なわれているクローム流酸などを使って行なうスライド・ガラスの清浄法は,危険を伴うとともに,多くの労力と時間を要し,血液検査室合理化の障害となっていることは周知のところです.私たちは,以下に述べるような簡便な方法で,およそ満足できる結果を得ていますので報告します.
 まずオベクト用クリーナー・ボックスのオベクト立て(図1,富士理研製)にガラスを並べます(従来の壺に投入する方法では,ガラスが重なり合うため,いかなる洗剤を使っても理想的な結果は得にくい).次にボックス(図2)に中性洗剤(ビスタなど)を入れ1昼夜放置した後,1晩流水で洗い(水質が悪い場合は,最後に蒸留水で1回洗う)孵卵器に移し乾燥します.用にのぞみ,取り出してガーゼなどで拭かずそのまま使用します.

1ページの知識 生化学

有機化合物の構造(1)

著者: 永井諄爾

ページ範囲:P.955 - P.955

 われわれが日常検査室で定量している血清の化学成分は,電解質を除けば大部分は有機化合物である.いまここで有機化学の一般論を説明したいが,その具体的な対象として,エチルアルコールを取りあげたい.この物質は検査室で仕事するとき,最も手近にあり,またどこにでもある,一番普遍的なものの1つだからである.

血液

血球鑑別のコツ(4)

著者: 大橋辰哉

ページ範囲:P.956 - P.956

1.赤芽球の分類
 前赤芽球については先述した.
 前赤芽球から赤芽球になり,それが成熟して赤血球になるのであるが,赤芽球は大きさによって大赤芽球と正赤芽球とに分けられる.直径が10.5μ以上なら大赤芽球,10.5μ以下なら正赤芽球である.ただし実際にあたっては,赤芽球の直径をいちいら計って分類する必要はない.赤血球の平均直径は7.7μであるから,そばの赤血球と比較して判定すればよい.もちろん,このようなやり方では正確とはいえないが,普通はこれで十分である.また著しく小さいものは小赤芽球ということもある.

血清

直接クームス試験と自己免疫性溶血性貧血

著者: 安田純一

ページ範囲:P.957 - P.957

 赤血球の直接クームス試験が陽性であることは,生体内で赤血球が血しょうタンパクによっておおわれていたことを意味する.その際,赤血球をおおっているのが自己抗体であることをどうすれば証明できるか?その前に母体から移行した抗体による,新産児血球の感作の場合を考えてみよう.

細菌

結核菌(2)培養について

著者: 木村貞夫

ページ範囲:P.958 - P.958

 結核菌は普通寒天培地には生えず,卵,グリセリン,ジャガイモなどのはいった培地によく生える.昔から,いろいろの培地が発表されているが,ここでは固型培地として,小川培地,液体培地としてKirchner培地,Dubos培地をあげるにとどめる.

病理

細胞診断について

著者: 川井一男

ページ範囲:P.959 - P.959

 癌の確診は組織診断によるのが決定的であることはいうまでもないが,組織検査材料は癌が体表にあるか,あるいは体表から到達しやすい位置にある場合には比較的容易に採取できるが,体の深部ことに内臓に発生した場合には必ずしも採りやすいとは限らない.また,組織採取が癌組織に的中しなければ,癌がありながら確認できないことになる.これらの欠点を補って,癌組織から剥落した癌細胞を塗抹標本によって診断できることの科学的な証明は,1941年PapanicolaouとTrautの子宮癌の細胞診断に関する発表が最初である.このような癌診断方式を細胞診断あるいは細胞診(Cytological Diagnosis;Cytodiagnosis)と呼んでいる.
 従来から行なわれてきたギムザ染色による塗抹法に比して,パパニコローの方法は多くの画期的な特徴をもっていたため,全世界の注目を浴びるにいたり,その応用範囲も拡大されて,今では細胞診断といえばほとんどパパニコロー法を指すようになった(略してPap法と呼ぶ人もあるが,組織検査のPap染色法と混同されやすいので注意きれたい).

生理

A-D変換とD-A変換

著者: 宇都宮敏男

ページ範囲:P.960 - P.960

 温度,圧力,物体の速さ,イオン濃度などふつうの物理化学現象をあらわす変量は,本来時間に対して連続的に変化するものが多い.これらを電気信号に変換するには,たとえば熱電対や速度発電機などの装置により,実際の変量と全く相似的(つまり連続的)な電圧(あるいは電流)を作る.このような信号をアナログ信号(analog signal)という.
 一方,電子計算機などに加える信号は,一定時間間隔ごとに生じる数値符号の電圧(または電流)である.このような信号をディジタル信号(digital signal)という.計算機に物理量をデータとして加える場合,その間に人が介在すれば,アナログ信号によるメーターの振れを人が読んで数値化し,カードやテープに入れて計算機に加える.この場合,人はアナログ量を一定時間間隔でサンプリング(sampling)して,そのサンプル値を数値にする.つまりアナログ信号からディジタル信号に変換するわけである.A-D変換とは広義にはこのような動作を称する.

一般

特殊な計算尺—ユニスパイロと簡易ルーラー(2)

ページ範囲:P.961 - P.961

簡易ルーラーの使い方
 ユニスパイロを使用されて,次の詩算で,正しく求めたデータと,簡易ルーラーで直読したデータを比べていただぎたい.臨床的には問題にならないことがおわかりになると思う.
V=h×50×310/273+t×760—PH2O/713

論壇

臨床病理学同学院設立の提唱

著者: 緒方富雄

ページ範囲:P.964 - P.965

I
 ことしの5月31日,山口県宇部市で山口大学医学部の柴田進教授の司会のもとに,臨床病理検査技師の教育を将来どうすればいいかという主題でシンポジウムがあった.私は日本臨床病理学会の,臨床病理検査技術士資格認定試験委員長の立場からの発言を求められていた.そのころ私は,まだ病気あがりであったので,不本意ながら欠席し,私の意見を書いたものを朗読していただいた.司会者の柴田教授がみずから朗読してくださったそうで,恐縮した.
 その題は"臨床病理学者のためのコレギウムの提案"というのである.原稿は「臨床病理」にのるが,かねがねこの提案を本誌の読者にも紹介するようにと頼まれていたので,ここにその約束をはたそうというわけである.

座談会

検査技師の現任教育—その実態と将来

著者: 河合忠 ,   北林滋 ,   田中昇 ,   樫田良精

ページ範囲:P.966 - P.973

 卒後教育は,日進月歩の臨床検査の世界では非常に重要である。学校を出た技師が検査室にはいり,現場に必要な教育を受けるにはまだまだ受け入れ体制が十分とはいえないのがわが国の現状である.そこで,卒後教育の進んだアメリカのそれと照らし合わせながら,これからの現任教育のあり方を考えてみたい.

海外だより

東南アジアの検査室(1)—フィリッピン大学付属総合病院の中央検査室

著者: 佐々木禎一

ページ範囲:P.974 - P.976

 外国の検査室や技師はどんなだろうか—最近,WHOの仕事で,東南アジア諸国を訪問された佐々木禎一先生に,フィリッピン,シンガポール,マレーシアの代表的な検査室を紹介していただき,あわせてその印象を語っていただくことにしました.そのほかスペインの検査室も紹介していただきますが,ヨーロッパの検査室については本誌12巻1号(1968)をご覧ください.

特別レポート

成績管理の現状と問題点

著者: 藤沢武吉

ページ範囲:P.977 - P.979

 病院に中央臨床検査室制度が採用されてからはや10有余年になり,その普及と進歩は眼をみはるものがある.加えて臨床検査の内容も日進月歩の勢いで進化するので,検査成績の管理に対する関心も深まり種々検討されている.当院中央臨床検査室の現状と,2,3の私見を述べて批判を得たい.

研究

酸化エチレンガス(E・O・G)による滅菌効果のテスト

著者: 平峰繁

ページ範囲:P.980 - P.981

 近年,E・O・G (以下単にガスという)による滅菌装置の小型化によって,一般病院においてもきわめて容易にガス滅菌が行なわれるようになった.加えて,指示薬の色調変化による各種のインジケータならびに滅菌テスパー(栄研)が市販されたので,このたびガス滅菌とこれら滅菌テスパーなどの組み合わせによる滅菌効果テストを行なった結果,はなはだ興味ある成績を得たので,ここに報告し,これらを使用するに際しての参考に供したい.

セルローズアセテート電気泳動においてβ-Glb,γ-Glbの間に現われるしまの分離と値の検討

著者: 長谷川幸一 ,   藤間明美

ページ範囲:P.982 - P.984

はじめに
 血清タンパク分画をセルローズアセテート電気泳動法1)で実施すると,しばしば問題になるのは標本像のβ-,γ-Glb間に現われるしまである(しま=Stripe,以下Sという).
 β-Glbは2分画,血清によってはγ-Glbも2分画に分離する1,2)といわれている.それと同タンパクかどうか明らかではないが,β-Glbとγ-Glbの中央に現われたり,同一血でもβ-Glb側に現われたりγ-Glb側に現われたりする場合がある(図1-(1)).この現象は10月から4月ごろの間に見られ,低温によるものと考えられる.

硝酸ソーダ溶液,食塩水浮遊法による寄生虫卵検出率について

著者: 松原明

ページ範囲:P.985 - P.986

まえがき
 寄生虫卵の集卵検査法中,最も広く用いられ操作が簡便であるのが,比重により便塊より浮上させて集卵する浮遊法である.浮遊に用いられる液は,食塩,硫マ,硫酸亜鉛,重クロム酸ソーダなどの塩類および庶糖の溶液であるが,家畜臨床の寄生虫検査において,広く用いられているのが,飽和硝酸ソーダ溶液1)である.人類寄生虫検査法において,まだ硝酸ソーダ浮遊法の記載は見あたらないが,筆者の示唆により西村2)の報告が生まれた.
 それによれば,飽和硝酸ソーダ液(比重1.4)は全般的に飽和食塩水(比重1.2)よりも虫卵浮上率はよいが比重1.3の浮遊液とは大差はない.虫卵浮上率が差がなければ,浮遊液の比重の軽いほうが,滲透圧による虫卵の変形や,便の夾雑物の浮上を防ぐために望ましいことはいうまでもない.では浮遊液の比重はどのくらいがよいかというと,松崎は1.27を推奨し,大島3)は1.23で最も重い回虫不受精卵を浮上させるのに十分であると述べている.

集団調査における血液採取の効果的な方法(1)

著者: 大倉興司

ページ範囲:P.987 - P.989

はしがき
 人類集団の疫学的調査,特に遺伝学的研究の目的で,一時に多数の個体から血液を採取する機会が急激に増加してきた.これまでに行なわれてきた血液の採取,保存,輸送の方法は個々の研究目的にはかなっていても,必ずしも一般化しうるものではなく,特に経済性という点を含めて考えると効率的とはいいがたい.WHO Scientific Group(1968)は"Research on Human Population Gentics"と題する報告書の中で,調査すべき人類集団や形質などの検討のほかに,血液の採取,保存,輸送の一般的方法を示している.しかし,解説は十分詳細をつくしておらず,一部わが国では理解しにくい点もある.
 著者らは過去10年ほどの間に,国内および海外において10万以上の個体から血液を採取し,各種の検査を行なってきた.この間に,効率的に血液を採取し,保存し,研究室まで輸送するための技術的改良を続けてきた.この間に開発された方法が最良のものではないにせよ,これまではこういった問題が公開され,検討されることがほとんどなかったので,ここに多くの研究者の批判の素材として紹介し,資料の正確な収集と,そのための効率的な方法の開発への出発点としたい.

新しいキットの紹介

Leucine aminopeptidase測定に関する検討

著者: 戸沢敬夫 ,   太田瑛子 ,   長場朝子 ,   二階堂ミサ子

ページ範囲:P.990 - P.993

はじめに
 Leucine aminopeptidaseは,proteaseのうちexopeptidaseに属し,基質の末端α-アミノ基に隣接するpeptide結合の開裂を触媒する酵素であり,アミノ基末端にLeucineを有するとき,最も強い特異性を示す1)
 この酵素は人体各臓器に広く存在し2),急性肝炎,肝硬変,肝癌,胆道癌および膵頭部癌などで血中に増加し,トランスアミナーゼ,アルカリホスファターゼに比べ疾患特異性がかなり高いことから,臨床的に注目されている酵素となった3,4,5)

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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