icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床検査14巻10号

1970年10月発行

雑誌目次

カラーグラフ

血小板のおいたち

著者: 日野志郎

ページ範囲:P.938 - P.939

 骨髄で多潜能幹細胞が核質の増殖を続けて巨核芽球になる,と考えられる。巨核芽球には10個ぐらいの核小体がある(図1)が,はっきりしないことが多い.核の大きさに応じて細胞質は増大し,核に近いところからアーズル顆粒を生じ(前巨核球),しだいに周辺部へ及ぶとともに顆粒は粗大となり,塩基好性を失う(巨核球).電子顕微鏡でわかることだが顆粒群のあいだに血小板分離膜を生じ,分野形成が起こって血小板の母体になる(図3).それが何らかの様式で分離して血小板になる,あとに裸核(図7)が残り,細網内皮系で処理されるという.図はすべて真性多血症患者の骨髄標本(パツペンハイム染色)により,原拡大率は500倍.

グラフ

細胞診標本の作り方

著者: 田中昇

ページ範囲:P.941 - P.948

 細胞診は検体採取と細胞学的診定の2つの領域に大別される.両者は相まって細胞診の診断的価値を高めている.そのうち後者は本当の意味での細胞診専門家にゆだねなければならないが,それ以前の検体採取,すなわちサンプリングと前処理は細胞診の入口になるもので,細胞診の精度を支配する重大な作業である.
 サンプリングと前処理は婦人科では一般婦人科医が,胃液・穿刺液などは一般医師以外にナースも技師も,痰にいたってはひとり技師がこれを取り扱う現在,一般の技師でもこれからりっぱなスミアを作り,理想的な固定を行なったのち,さらにコーティング固定を施して,専門の細胞診施設に送付すれば十分細胞診の目的が達せられるわけである.

組織細胞化学・4

酵素組織化学(3)

著者: 三友善夫

ページ範囲:P.950 - P.951

酵素組織化学各論
1.酸化還元酵素(続)
 テトラゾリウム塩を用いない酸化酵素の検出法の中で,重金属タンパク体である酸化酵素が代表的である.これらの酵素はテトラゾリウム塩を水素受容体とすることができず,受容体O2に対してHを与え,H2Oを産生する.組織化学的にはチトクロム酵素とDopa酸化酵素が主である.

ノモグラム・10

平均値の差の検定

著者: 斎藤正行

ページ範囲:P.953 - P.953

 2つの実験をしたとき,その平均値の差が確かに有意(危険率5%以下)かどうか,もし両方の例数が同じならこのノモグラムで,その差の検定ができる.
例血清カルシウムの測定(10例)

検査室の便利表・10

血液塗抹標本固定法

著者: 新谷和夫

ページ範囲:P.955 - P.955

1)ここには代表的なものをとりあげ,推奨される固定液と染色法の組み合わせを示した.もちろん,染色法によってはこれ以外の固定液も数多く知られているが,その点については成書を参照されたい.
2)いずれの場合も,固定後はすみやかに染色操作に移ることが望ましいが,ギムザ,PAS,Sudan black B染色は固定後比較的長期間保存に耐える.

総説

酵素検査論

著者: 玄番昭夫

ページ範囲:P.957 - P.961

 Enzyme (=in yeast)という流動的な検査材料が,体内に広く分布している.この量的な変化をとらえるのが酵素検査である.種々の酵素を正しく測定するにはその特異性を理解し,測定条件を一定にしなければならない.

技術解説

TSI培地におけるブドウ糖非発酵菌

著者: 坂崎利一

ページ範囲:P.962 - P.966

 TSI (Triple Sugar Iron)培地は,いうまでもなく腸内細菌およびそれに類似のグラム陰性杆菌同定のための鑑別培地で,ブドウ糖発酵菌は本培地の高層部で酸を産生してその部を黄変させるが,その他の菌では高層部,斜面部とも無変化にとどめるか,または培地をよりアルカリ性に導く.医学細菌学上,前者すなわちブドウ糖発酵菌に該当するものは,腸内細菌,Aeromoitas, PlesiomonasおよびVibrioおよびChromobacteriumviolaceumで,これらの菌についての同定の知識はかなり普及しているために,ルーチンではさほどの困難もなく同定がすすめられている.なお,医学に関係のあるブドウ糖発酵菌には,以上のほかにPasteurellaおよびActinobacillusがあるが,これら両者はふつうTSI培地には発育しないので,ここでは問題外である.
 ブドウ糖発酵菌とは反対に,ブドウ糖非発酵のグラム陰性杆菌,すなわちTSI培地ての-/-所見を示す菌については,近年臨床材料からの分離が増加しているにもかかわらず,いままでこれらの菌についての細菌学的および分類学的知見に乏しかったために,ほとんどの場合,満足な同定が行なわれていない。今回はこれらの菌の同定の進め方について解説する.

心カテーテルにおける電気血圧計の扱い方

著者: 岡村哲夫 ,   古平国泰

ページ範囲:P.967 - P.972

 心臓カテーテル検査法は種々の心疾患の診断・循環動態の検査法として,現在ではルーチン化され,心臓外科の発展とあいまって心内圧・血液酸素含量の測定にとどまらず,色素あるいはアイソトープの稀釈法・心血管造影・心内心電図・心内心音図などにも広く応用され,心臓検査法の基本技術となっている.
 しかしこのように心カテーテル法が広く行なわれてくるとともに,ときに検査法あるいはそれに使用される機器についての知識の不十分さのために,または慣れのために,ややもすると基本的な過誤を犯す危険もありえよう.

臨床検査の問題点・21

組織化学への理解

著者: 高松英雄 ,   鈴木裕

ページ範囲:P.974 - P.979

 病理,血液検査室で最近‘組織化学的検査’が注目されつつある.生化学と形態学との結びついた検査として,組織・細胞内の物質の存在部位・状態の追究をテーマとするが,ここでは酵素組織化学を中心に組織化学一般の理解を深める.

主要疾患と臨床検査・22

感染症と臨床検査

著者: 吉岡一 ,   上田京子

ページ範囲:P.980 - P.985

 ヒトの感染症は,ウイルス,マイコプラスマ,リケッチア,細菌,真菌,原虫などきわめて範囲が広いが,本稿では日常検査活動で最も問題になる細菌性感染症に限って記述してみたいと思う.
 細菌性感染症の診断は,病原体を証明することに尽きる.たとえば,腸チフス症でチフス菌を検出する場合である.しかし,検出された細菌が,その疾患の真の病原体かどうかの判断に苦しむ場合もある.もし敗血症症状の患者の血.液からβ溶連菌が証明されれば,これは明らかに病原体であるが,健康人の咽頭からこの菌が検出されても,それは雑菌と考えられるべきてあろう.

ひろば

保健薬と検査試薬キット

著者: 内田敬嗣

ページ範囲:P.985 - P.985

 現在,市販の各種検査試案キットを使用していない検査室はないといっても過言ではない.その便利さが現在のキット全盛時代を招来したのであろう.
 そこでこのキット全盛時代にユーザーとして1つの提言がある.最近国会でも問題になった‘効かない保健薬’との関連においてである.この問題の起こった原因は現在の医薬品行政の不備といってしまえばそれまでだが,ユーザーの新薬に対する不勉強が,医薬品業者の商魂にふり回された結果ともみえよう.

私のくふう

スパイロメータのベルファクタ(B.F.)の検定

著者: 上野久子 ,   菊地智子 ,   国司健 ,   江部充

ページ範囲:P.986 - P.986

 スパイロメータのB.F.は,測定値に直接影響を及ぼすので,正確であることが要求されている,しかるに市販の装置には詳しい検査成績表が付属されていないので,それを購入した際に自ら検査を行なわねばならない.
 13.5l型と9l型のベルについて比較的簡単な方法でB.F.を検討し指定のB.F.と比較したので参考に供したい.

1ページの知識 生化学

尿,除タンパク液の定容採取について

著者: 降矢熒

ページ範囲:P.987 - P.987

 血清採取では一般に少量のことが多く,サンズをはじめ,多くの自動ピペットがあるが,1-5ml程度の採液には適当なものはない.
 現実に多くの検査室で行なわれているのは次のような方法である.すなわちホルピペットあるいははメスピペットを用い,少数検体のとぎはただ1本で次々に,多数検体のときには数本を交互に用いている.3mlのホルピペットでは残存液液量は水の場合1%ぐらいであるから,くり越し誤差は特に補正の要のないことが多い.除タンパクを要する現行の日常検査では,最高最低の差が10倍以上のもは少ないが,尿糖,尿タンパクではこれ以上である.もし気になるならば1回めの尿は捨て,2回めのものを測ればよい.除タンパク液のように1回めのを捨てるほどないときには,後記のような補正をしてもよい.

血液

トロンボプラスチン生成試験

著者: 糸賀敬

ページ範囲:P.988 - P.988

 本法はBiggsらが1953年に考案した.
 患者ならびに正常人の成分を,表に示すよう種々組み合わせて凝固因子の異常を鑑別する.

血清

抗体の生物学

著者: 水谷昭夫

ページ範囲:P.989 - P.989

生体防衛機構における抗体
 血清検査は本質的には抗原と抗体との反応を調べる手技である.抗体はもとより生体防衛機構上重大な意義をもつタンパクである.抗体を知るためには,その系統発生ともいうべきものを理解せねばならない.
 単細胞生物は食作用(phagocytosis)を行なう.この段階では,摂食,すなわち自己を積極的に維持することが,自己を消極的に防衛することと一致しているのである,ヒトにおいても,諸種の食細胞が,生体防衛の緒戦を担当している.このことはE. Heinlich Häckel流にいうならば,生体防衛機構に関しての系統発生(phylogenesis)と個体発生(ontogenesis)の不可分性を物語るひとつのエピソードといえよう.

細菌

グラム陽性菌

著者: 土屋俊夫

ページ範囲:P.990 - P.990

 グラム陽性菌は菌体にリボ核酸塩をもつため,クリスタル紫とヨードがこれと結合してエタノール不溶の複合体を作るため,純エタノールによって脱色されないという特徴があるので,グラム陰性菌と区別できる.同時にグラム染色だけでも球菌と杆菌,菌体の大きさ,菌体の形態学的特徴より菌種を識別することも可能になることがある.グラム陽性菌には次のものがある.
 球菌として:ブドウ球菌,レンサ球菌,肺炎球菌,ミクロコッカス.

病理

H・E染色

著者: 和田昭

ページ範囲:P.991 - P.991

 組織学でいう染色は,細胞や組織構造をはっきり把握するため,いろいろな色素を組織に滲透吸着させる操作であるが,中で最もよく用いられるのがヘマトキシリンとエオジンを用いた重染色法である.組織標本は染色の終了をもって完成されるものであるから,十分この染色法を身につけなければならないのはいうまでもないが,一見簡単と思われるこの染色法が実は非常にむずかしく,また深味のある染色法であり,ヘマトサシリン液1つを取り上げてみても,これを自由に駆使してそれぞれの組織なり,目的にあった理想的な染色効果をあげることがいかに困難であるかを知らされた方も多いと思う.
 ヘマトキシリン・エオジン重染色は核をヘマトキシリンで藍に,他の細胞質をエオジンで桃色に染めあげることであるが,ヘマトキシリン,エオジンにはそれぞれ種類があって,目的にそったものを用いなければならない.一般によく用いられるヘマトキシリンは表のようなものである.

生理

時間肺活量曲線決定の諸因子

著者: 滝島任

ページ範囲:P.992 - P.992

 時間肺活量曲線,最大(努力)呼気曲線とは,スパイログラムをとる際に,被検者に最大吸気位からできるだけカいっぱい,すみやかに呼息させた際得られる曲線をいう.この曲線の特微を形づくる要素は,肺活量と呼気速度の両者である.肺活量の大きい小さいは曲線の振れを決定する因子であり,呼気速度は曲線の傾斜に関係する.

一般

‘日本衛生検査技師会’入会のご案内

著者: 編集室

ページ範囲:P.993 - P.993

プロフィール
 ‘衛生検査技師の学術技能の研さん,ならびに公衆衛生および医療の向上を図り,もって国民の健康保持,増進,発展に寄与するこどを目的とする学術団体で,毎年1回の学会(今年は,第19回めで徳島で開催),検査技術集会の開催,機関紙「衛生検査」の発行をはじめとする各種学術活動(A),技師の社会的身分・地位の向上,処遇改善活動(B),その他(C)をすすめて,広く全国の衛生検査技師に知られている.
 会の組織は,全国47都道府県に各技師会を持ち,本部を北里大学内(東京)に置いて,現在1万余の会員をようしている.

論壇

ヨーロッパの病院視察によせて

著者: 福武勝博

ページ範囲:P.996 - P.997

 今年の8月はじめドイツのあるホテルのロビーで,国際血液学会に出席した日本の医師の一団と外国人が何やらを話し合っているのをそれとなく聞いていると,外人が日本人のだれかにあなたはメディカル・テクノロジストですかと尋ねているのが聞こえた.日本の医師はあわてた様子で,私たちはドクターですと答えていた.ほんのわずかな会話の間であったが,メディカル・テクノロジストが国際学会に出席することが常識として会話の中に出くてるお国がらと,日本ではとてもそんなことは考えにくい状態にあるといったような様子とが印象的であった.

座談会

コントロール・チャートの活用法—東京・虎の門病院の場合

著者: 北村元仕 ,   中野圭子 ,   吉場朗 ,   河合忠

ページ範囲:P.998 - P.1008

 診断の情報としての検査データは,いかにしたら臨床家に信頼される精確さが確保できるか,また活用されるか—生化学検査には欠かせないX-R管理図をとりあげ,その実際を虎の門病院の検査・臨床の双方から出席していただき検討する.

研究

迅速凍結切片の固定法の改良

著者: 浜崎美景 ,   粟井盛治 ,   村上稜子 ,   福永順子

ページ範囲:P.1009 - P.1010

はじめに
 手術中の迅速組織検査は病理検査室の主要な任務の1つであり,この検査の重要性は最近ますます高まってきている.検査の実施に当たってザルトリウス・ミクロトームによる凍結切片を作製する場合は,迅速ホルマリン固定が前提となるが,在来の煮沸を行なう方法によると,でき上がった組織標本に見る固定像が必ずしも良好でない.手術方針の決定に寄与する正確な病理組織診断を得るためには,より良好な固定像が望ましいのはいうまでもないが,従来は像のゆがみを,迅速法に不可避な欠点として見過ごされてきたきらいがある。われわれはこれの改善の目的で,固定法に新しいくふうを加えて良好な成績を得たのてここに報告する.

血清鉄および不飽和鉄結合能の直接測定法の吟味—I.血清鉄

著者: 古郡浩 ,   斎藤正行

ページ範囲:P.1011 - P.1015

 血清鉄の測定法には多数の報告があるが,一般に血清に塩酸を加えて強酸性としトランスフェリンから鉄を遊離させたのち,トリクロル酢酸で除タンパクし,次いで鉄を2価に還元し,Ferroイオンと親和力の強い発色剤を加え発色させて測定する比色法1-3)が,広く用いられている.
 しかしこの方法はトリクロル酢酸による除タンパク操作を含むことに問題がある.すなわち,(1)除タンパクにより鉄の沈殿損失が起こること,(2)除タンパク後の濾液が必ずしも透明でなく,比色時の誤差になること,(3)除タンパクと加熱によって検体量の減少を伴うこと,(4)除タンパクを含むことが操作を繁雑にし,かつ汚染の機会を多くしていることなどである.最近金属や電解質の測定に原子吸収光度法が盛んに用いられるようになったが,血清鉄の測定に関しては血清中の極微のヘモグロビン鉄の存在が干渉し,また機器そのものが鉄に対して感度が悪いこともあって実用性がない.

酸素飽和度計による血液酸素濃度の測定

著者: 松本佶也 ,   蔵本築

ページ範囲:P.1016 - P.1020

 血液ガスの測定には検圧法,電極法ならびに光学的方法など各種の方法が考案されているが,それぞれに特徴があり,いずれもいくつかの仮定と誤差を含んで構成されている1)
 臨床的には血液量が微量で,操作が簡便かつ迅速に測定でき,精度も安定している測定法が求められており,酸素に関していえばその含量,分圧,飽和度など目的に応じて方法が選ばれている2-5)

オートアナライザー(no-blank法)による血清アルカリホスファターゼの測定経験

著者: 秋吉省三 ,   宮原侑子 ,   白川充

ページ範囲:P.1021 - P.1024

 オートアナライザー(以下A.A.と略)によるアルカリホスファターゼ(以下ALPと略)活性値測定には,フェニールリン酸を基質とする方法1-3)とp—ニトロフェニールリン酸を基質とする方法4-6)とが一般に利用されている.前者はKind-King法あるいはその変法を,後者はBessey-Lowry法をそれぞれ自動化したものであるが,最近はさらにその他の方法7-9)も利用されている.
 当院においても,検査業務能率化の必要に迫られて,ALP活性値測定の自動化を思いたったが,Marshら1)の方法では盲検値測定の煩雑さがあるため,AXelssonら2)によるno-blank法を採用することにした.

セルロゲルを用いた電気泳動法によるリポプロテインの分画法

著者: 伊藤宜則 ,   山内久子 ,   佐々木實

ページ範囲:P.1025 - P.1027

 血清リポプロテイン(Lipoprotein)の分画は主として超遠心法1,2)や電気泳動法2,3)で行なわれているが,後者のほうが簡便であるために広く用いられている.
 支持体としては普通濾紙3,4),アガロース5),セルローズァセテート膜6)などが使用され,泳動後のリポプロティン染色にはズダンブラックB3),オイルレッドO6,7),ズダンⅢ8),ズダンIV9),ファットレッド7B10),ブルーBZL Ciba11)やオゾン酸化後のシッフ染色12)などが行なわれている.

血液型検査における凝集判定保存板の考案と使用経験

著者: 塩田敏雄

ページ範囲:P.1028 - P.1029

はじめに
 血液型を判定して保存することは,検査室でのたいせつな日常検査業務の1つである.
 オモテ検査の反応の場には一般にガラス板や紙上が使用され,標準血清と血液を反応させて判定する.ガラス板上の場合は,まぎらわしい反応が現われたとき,直接顕微鏡で観察できるが,保存する場合は一度紙上に移して乾燥固定しなければならない.また,紙上で実施する場合,顕微鏡で観察したいときは一度ガラス板上に移して鏡検する必要があるが,保存の場合はそのまま反応を乾燥固定すればよい.

新しいキットの紹介

トリグリセライド測定キットトリグリ(栄研)の検討

著者: 佐藤佶夫 ,   橋本一夫 ,   伊藤忠一

ページ範囲:P.1030 - P.1034

 血清トリグリセライド(中性脂質)は各種疾患,特に動脈硬化症,糖尿病,ネフローゼ症候群,甲状腺機能低下症,および本態性高脂血症などでその代謝のメカニズムと臨床上の価値が注目され,その測定の要求が増大しつつある,トリグリセライドはコレステリン,リン脂質とともに血清脂質の主要成分を構成しているが,3者は独自の代謝を行なっており,脂質代謝を知るためにはこの3者を同時に測定することが必要である.さらに詳細な脂質代謝を追求するために,遊離脂肪酸(free fattyacid,FFA),リポプロテインの分画などを駆使して総合的に分析することが,将来日常検査として行なわれることであろう.
 しかしながら,現在多くの検査施設の中にはコレステリン,リン脂質を測定していてもトリグリセライドはしていない所もあり,このような場合,前2者の脂質測定の価値をも減殺している感を受ける.

質疑応答

酵素の呼び名と単位について/血清ビリルビンの稀釈倍数

著者: N生 ,   玄番昭夫 ,   S生 ,   官川統

ページ範囲:P.1035 - P.1035

 問 酵素の国際命名法が存在しているにもかかわらず,なぜ依然として慣用名が用いられるのですか.また単位もなぜ国際単位が一般に使用されないのでしょうか.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?