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雑誌目次

論文

臨床検査14巻13号

1970年12月発行

雑誌目次

カラーグラフ

PHA細胞の形態

著者: 河合忠 ,   近藤泰正

ページ範囲:P.1398 - P.1399

 正常人の末梢血液中に含まれるリンパ球の多くは,PHA(phytohemagglutinin)を加えて細胞培養を行なうと,いわゆる‘幼若化’と呼ばれる現象が起こり特有な変態が認められる.その意義については不明な点が少なくないが,少なくともリンパ球の機能の一面を表わしていると考えられる.したがって,リンパ球の機能がいろいろな免疫学的病態の場合にどう変わるかを知るうえの有力な臨床検査である.以下掲げる細胞はすべて同倍率で撮影したものである.

グラフ

骨の大型病理組織標本の作製法

著者: 三友善夫 ,   清野和夫

ページ範囲:P.1401 - P.1404

 骨の大型組織標本は,骨軟骨の病変が多彩な組織像を呈するために,その病変の局在性や分布状態を病理形態的に検索するのに有効であり,X線像との対比においては特に必要であるが,取り扱う材料が大きく,脱灰せねばならない標本作製過程は時間的にも技術的にも容易ではない.特に時間的な制約をうける手術材料では大型切片を細区分し,再構築によって病変の広がりを観察しているが,細区分された材料のつなぎめの病変は失われやすい.病変の連続的な把握には大型標本は不可欠である.代表的なパラフィン包埋切片とセロイジン包埋切片の2法を上げて説明する.

新しい検査室……板橋日大病院臨床検査部—スペース自在の検査室へ

著者: 土屋俊夫 ,   河合忠 ,   河野均也

ページ範囲:P.1405 - P.1408

 1970年6月開院した板橋日本大学病院は1200床を有する大規模病院であり,臨床検査科にもいくつかの新しい試みがなされた.検査部の設計にあたって特に配慮されたのは,検査業務の変遷に従っていかようにも模様替えできるよう,フレキシブルな検査室を作ろうということにあった.そのため,各部門間の間仕切りはやむをえない所を除いてすべて可動式のガラス仕切りとし,実験机もすべてユニット机を用い,床に配置されたピットおよび壁に組み込まれたパイプシャフトを利用して,簡単に模様替えができるよう配慮されている.さらに,今後の検査業務の拡大および自動化に伴って起こるであろうスペースの問題も解決できるよう,将来増築しやすい場所に配置されている.

組織細胞化学・6

酵素組織化学(5)

著者: 三友善夫

ページ範囲:P.1410 - P.1411

酵素の種類と存在部位
 生体内に存在する酵素の数と種類は非常に多いが,酵素は生体内で細胞,組織に均一に存在するのではなくて,それぞれの細胞や組織の機能に応じて特異的に分布している.
(1)酵素の細胞内存在部位

ノモグラム・12

電解質濃度・mg/dlとmEq/Lの換算

著者: 斎藤正行

ページ範囲:P.1413 - P.1413

 解説 一般には次式が用いられるが,このノモグラムを使うと簡単に算出できる.
mEq/L=mg/dl×10×原子価/原子量mg/dl=mEqL×原子量/10×原子価

検査室の便利表・12

血色素係数と平均赤血球容積(2)

著者: 小林重光

ページ範囲:P.1415 - P.1415

 求め方 血色素係数:たて軸に赤血球数(RBC),よこ軸に血色素量(Hb:%)をとり,その数値を100で除したものが血色素係数(C.I.)となる.
 平均赤血球容積:たて軸に赤血球数,よこ軸の血色素量(%)のところにヘマトクリット(Ht)を2倍した数をとり,その交点の数値が,平均赤血球容積(MCV)である.

総説

感染症における菌検索—下痢症を中心として

著者: 斎藤誠

ページ範囲:P.1417 - P.1421

 感染症における菌検索が検査情報体系の一環であることと,従来ともすれば欠けていた検査の,疫学的背景をふまえた検査姿勢が要望さることなどを中心に解説したい.

技術解説

リンパ球幼若化現象の検索—いわゆる‘PHA細胞検査’のルーチン化

著者: 河合忠 ,   近藤泰正 ,   河野均也 ,   賀屋秀男

ページ範囲:P.1422 - P.1428

はじめに
 リンパ球は比較的単純な形態を有している反面,その機能については不明な点が多かった.しかし,免疫学の進歩と臓器移植の発達によって,免疫機構における役割が重要視されている.リンパ球の形態面の検索は電子顕微鏡レベルにまで及んでいるのに比して1),機能面に至ってはわずか組織化学的検索がなされているにすぎない2)
 ところが1960年Nowell3)により,植物の種子(Red-Kidney bean)より抽出された赤血球凝集素(phytohemagglutinin;以下略してPHAとする)が,正常の白血球の分裂を促進させる事実を発表して以来,多くの人々の注目をあびるようになった.しかもPHAの添加により培養リンパ球が変態を示すため,リンパ球の若返りおよび幼若化4,5),Lymphoblastic transformation,Lymphoblastogenesisなどと呼ばれ6-14),そのような細胞はしばしばPHA細胞と呼ばれている.この現象はリンパ球の機能の一面を表現すると考えられ,さらに細胞性免疫との関連においても注目されている.

骨の大型病理組織標本の作製法—脱灰法による

著者: 三友善夫 ,   清野和夫 ,   三浦満 ,   斎藤菊蔵

ページ範囲:P.1429 - P.1434

はじめに
 骨の大型病理組織標本の必要性については本号1401ページのグラフの冒頭に述べたが,骨・軟骨の病理形態的検索にあたって,その構成成分の何を観察の対象に選択するかにしたがって,厳密には標本作製の方法操作が異なっている.たとえば骨皮質の緻密質と海綿質では固定,脱灰,染色などの条件が違い,骨細胞系(骨細胞,骨芽細胞,破骨細胞,線維芽細胞,ハーバース管内の血管内皮細胞など),骨基質系(膠原線維,線維間物質—粘液多糖類),骨髄の細胞系(顆粒球系細胞,赤血球系細胞,巨核球,細網細胞,リンパ球,組織球,形質細胞,肥胖細胞,脂肪細胞,動静脈,毛細血管,洞の内皮細胞),骨髄の間質系(膠原線維,細網線維),軟骨細胞と間質の線維成分と基質があり,さらに病変の種類(骨髄炎,腫瘍,骨粗鬆症,貧血など)によって標本のでき上がりが均一にはいかない.大型の標本に含まれる組織成分は種類が多いので,いずれの成分にピントを合わせるかが問題である.たとえば,白血病や貧血には骨髄の細胞系をおもな対象とし,ギムザ染色を行ない,緻密骨の基質系では非脱灰の研磨標本により層状構造の変化を観察することがある.他方では詳細な個々の細胞組織の構造の観察は別として,X線写真などと対比したり,病変の広がりと分布状態を全般的な構造の立場で把握するために大型標本を作ることがある.大型標本の使命としては後者のほうがしばしば用いられ,整形外科的領域の疾患では有用である.

最近の抗生物質(2)

著者: 清水喜八郎

ページ範囲:P.1435 - P.1440

 前篇において,ペニシリン系諸剤,Cephalosporin系諸剤についての最近の知見について述べたが,本篇においては,Macrolid剤およびその他のグラム陽性球菌用抗生物質,Tetracycline系諸剤,Chloramphenicol,Aminoglucoside系諸剤,Polypeptide剤などの新しい抗生物質について述べてみたい.

臨床検査の問題点・23

白血病細胞の見方

著者: 新谷和夫 ,   菅沼清

ページ範囲:P.1442 - P.1446

 最もむずかしい検査の1つに,造血器の悪性腫瘍である白血病細胞の観察がある.白血球数の増減,あるいは形態だけでは鑑別しがたいとき,どう考えたらよいか.幼若細胞の特色,類似疾患との区別など実例をあげて解説する.白血病細胞の特徴
 菅沼 ルーチンの血液像の検査の中で,白血病細胞を発見することが多いのですが,白血球が極端にふえてるときは,形態学に少しぐらい弱くても白血病とわかる場合があると思いますが,実際は白血球がそう多くなくて白血病であることがあるわけです.そうなりますと白血病細胞をしっかり把握しておかないと,白血病を見落としてしまうという重大なことが起こるわけです.そこで白血病細胞には一般的にどんな特徴があるかをおうかがいしたいと思います.
 新谷 検査室で白血病かどうかが問題になるケースが多くなっているのは確かだと思います.白血病細胞は幼若細胞としての特色をもっているわけで,表のような点に注意をする必要がありますが,この細胞がおかしいんじゃないかなということを見つけ出すことがまず問題になると思います.そこで白血病細胞の特色は形態学の基礎ですから,ごく簡単に話をしましょう.

主要疾患と臨床検査・最終回

自動化検診システムと臨床検査

著者: 岩塚徹

ページ範囲:P.1447 - P.1452

人間ドック検診とスクリーニング
 多くのものからある規準を満たすものを能率よくとりだすためには,‘スクリーニング’,すなわち‘ふるい分け’が必要である.美人コンテストの予選もスクリーニングであり,健康診断もそれに属する.健康診断には糖尿病のための検尿,肺疾患のための胸部間接X線撮影のように,特定の疾患,または特定の臓器を対象とした単一の検診システムから,循環器,呼吸器系など,多くの系統に及ぶ人間ドック検診システムまで,その内容の範囲は広い.
 人間ドック検診は,成人病の早期発見と個人の健康評価を目的とした総合健診であり,わが国のオリジナルのもので1954年より,1週間入院の形式で始められたが,これもスクリーニングであり,もし異常があればその担当の専門医に検査をうけることになっている.このような入院形式は経済的,時間的に制約があり,その普及型として1955年に外来形式1),1959年に2日の短期入院形式が始められた.

1ページの知識 生化学

試薬の分注

著者: 降矢熒

ページ範囲:P.1453 - P.1453

 定量操作では試薬の添加が多くの部分を占めている.これをいかに合理的に行なうかは,その能率と精度に大きな影響をもっている.
 以前はホルピペットやメスピペットが用いられていた.これらの欠点は,口を使うため,感染や悪ガスを吸い込むなどの危険があることである.そこでピペット類にゴムキャップをつけたり,あまり正確を要しないときは駒込ピペットを用いることもある.ピペット類は排出時間を一定にする必要があるから,ゴムキャップをつけるときには,その圧し方を一定にする必要がある.自然排出を望むときには,ゴム製ピペッターや百瀬式ピペットを用いる.またビューレットを用いて分注することもある.メスピペットをビュレーット替わりに用いることもあるが,精度はかなり落ちる.多くの型式の自動ビューレットの中には試薬の分注に適したものがある.

血液

赤血球抵抗試験

著者: 糸賀敬

ページ範囲:P.1454 - P.1454

 先天性球形性溶血性貧血患者の赤血球は形態的に小赤血球性,球形性を呈するとともに,低張食塩水に対して非常に脆弱となる.すなわち,正常人の赤血球に比較してその浸透圧抵抗が減弱し,破壊されやすくなる.この現象を検査する方法にリビエール法やパルパート法が用いられ,新鮮あるいは37℃で24時間インキュベートした脱線維素血を検体として使用する.なお,そのほかに機械的抵抗,酸に対する抵抗,自家溶血などの検査により赤血球の脆弱性を測定する.
 リビエール法(Ribiérre法)は,食塩水濃度0.50%から0.28%まで,0.02%の差の間隔をおくように12本の食塩水系列を作成し,これに被検赤血球を1滴ずつ加え,25℃(室温)に2時間以上静置し,3000rpm10分間遠心して,その上清を肉眼的に観察する.溶血が開始しはじめた最高食塩水濃度(最小抵抗)と,全赤血球が完全に溶血しはじめた食塩水濃度(最大抵抗)を測定し,被検赤血球の浸透圧抵抗を判定する方法である.正常値は最小抵抗が0.46-0.40%,最大抵抗が0.36-0.30%である.

血清

抗体の不均一性について

著者: 水谷昭夫

ページ範囲:P.1455 - P.1455

1.抗体の不均一性
 ある抗体の分量を表わすのに,何mgというような表現を用いることは通常困難である.抗体の量を示すには,その生物学的な活性を目安にして,たとえば,その凝集価は何倍というような表わし方が用いられている.そこで,抗体価の測定に用いられた抗体活性と,その同じ抗体の示す他の生物作用との間に解離がみられるのは避けがたいことになる.
 具体的な例を示そう.自己免疫性溶血性貧血の臨床経過と,抗グロブリン試験の成績が並行しないことがよくある.これは,そもそも,免疫溶血現象を凝集反応の強さから推しはかろうとする無理から結果することであろう.

細菌

結核菌と非定型抗酸菌

著者: 土屋俊夫

ページ範囲:P.1456 - P.1456

 結核菌はミコバクテリウム属の菌である.この属の菌は抗酸菌と呼ばれている.この属の菌の特性は難染性であるが,一度染色されると酸性アルコールによっても容易に脱色されないという性質をもつと同時に,他の菌種では耐えられない濃度のアルカリまたは酸の処理によっても生き残る性状がある.形態学的には細長い杆菌で軽度の彎曲を示す,非運動性の好気性菌である.この菌属の中で病原性を有するものでは結核菌と癩菌が代表的なものである.
 結核菌にはヒト型,ウシ型,トリ型結核菌が知られている.またこれら以外で非定型抗酸菌といわれるものにも病原性があることが明らかにされてきた.ヒト型結核菌およびウシ型結核菌と非定型抗酸菌は肺疾患の患者より検出されることがあり,これらの鑑別が必要であることがある.これらを区別するためには培地での発育速度,集落の状態,色素の有無などの所見のほか,ナイアシン試験や抗煮沸試験が行なわれる.

病理

2,3の特殊染色,封入

著者: 和田昭

ページ範囲:P.1457 - P.1457

1.炭水化物の染色
 組織化学的に証明可能な炭水化物のおもなものは糖原と粘液質である.単糖類や寡糖類はタンパク質あるいは脂肪と結合していなければ,組織切片の作製中に溶出してしまって検出は困難であり,したがってこの方面の研究はもっぱら多糖類がその対称になってきている.以下2,3よく用いられる染色法について述べる.

生理

脳波のリズムの生理学的意味—特にα律動について

著者: 渡嘉敷暁

ページ範囲:P.1458 - P.1458

1.脳波の成因
 脳の電気活動が発見されてからすでに100年たつ.ヒトの脳波を発見したのはBergerであり,その報告は1929年であるが,動物脳の電気活動の研究は1870年代のCatonにまでさかのぼることができる.
 脳波の成因は一応次の2つの側面に分けて考えられる.すなわち,脳波としてとらえられる電気現象が,脳内のどこの電気活動の表現であるかということ(脳波の電気発生)と,どうして一定の周期をもった電気活動となるかということ(脳波の周期発生)である.脳波の電気発生については,かつてAdrianらは皮質ニューロンの活動電位(スパイク電位)の総和であろうと推測したが,その後の研究はこの仮説に対して否定的であり(Liら,Jung),むしろ皮質表層の尖頭樹状突起における電気活動,特に後シナプス電位が重視されている(Eccles).また周期の発生に関しては,大脳皮質と視床との間を循環するインパルスの巡回時間が周期を決定するとの説や,神経細胞自体にリズム的な活動をする性質があるとする説など種々の説が出されている.

一般

検査技師関係学会の紹介

著者: 編集室

ページ範囲:P.1459 - P.1459

 日本医学会分科会が60余,医学関係学会が50余と,110余にのぼる学会が存在しますが,特に検査技師と関連のある学会を選び簡単に紹介します.さらに詳しい事は①の学会事務所にお問い合わせください(日本衛生検査技師会,日本臨床病理学会については本誌10月号,11月号をそれぞれご覧ください).

私のくふう

スパイロメータのベル洗い出しの検討

著者: 上野久子 ,   菊地智子 ,   国司健 ,   江部充

ページ範囲:P.1461 - P.1461

 スパイロメータの回路での気流抵抗を小さくするために,CO2吸収剤を用いないでスパイロメータを行なう.この場合,ベルを含む回路にCO2が蓄積し,それが過剰換気を引き起こす原因となり,安静換気,呼吸基準位などが影響を受けることが考えられる.したがって検査中にたびたびベルを上下して,新鮮な空気でベル内をよく洗わないといけないとされている.
 われわれはV.C.,F.E.V.,M.V.V.について,各1回の測定実施後のベルを含む回路のCO2濃度を測定し,ベル内空気の清浄化のためのベルの上下運動の効果を検討した.

論壇

検査学校の設立とME教育

著者: 藤崎茂巳

ページ範囲:P.1462 - P.1463

ベッドサイドの検査技師
 昨年2月中旬であった.労働福祉事業団(労働省の外郭団体)が衛生検査大学校の設立を計画しているので,その設立準備委員長をひきうけてくれぬかとの話があった.私は阪大医学部の耳鼻咽喉科教室で臨床や研究に従事していたが,中央検査室やそこに勤務する衛生検査技師のあり方などについて深く考えたことはなかった.というのは,耳鼻咽喉科の初診時の検査で中検に依頼するのは膿汁の細菌検査,菌の薬剤耐性や炎症時のASLOの検査などで,比較的検査件数が少なかったためであろう.病理組織検査は,耳鼻咽喉科領域の疾患は特殊のものが多いから教室に熟練した技師がいたので,中検にはあまり出さなかった.しかし入院患者については,種々生化学的検査でやっかいになっていた.
 それでも,なお,中検のあり方,技師の方々への要望,またはその医療方面への姿勢などについて深く考えたことはなかった.

座談会

重金属公害と臨床検査

著者: 橋本道夫 ,   重松逸造 ,   土屋健三郎 ,   上田喜一 ,   松村義寛

ページ範囲:P.1464 - P.1471

 ‘公害’ということばを毎日耳にする昨今である.カドミウム,鉛,水銀などの重金属による環境汚染は,その判定基準や測定法によっては公害か否かにかかわる.環境汚染とその測定法の問題点を検討する.

質疑応答

日本医学写真学会とは

著者: I生 ,   三橋昭仁

ページ範囲:P.1472 - P.1472

 問 本誌第14巻第8号の座談会‘検査室とフォトセンター’の中で,"日本医学写真学会"のことが少々出ておりましたが,この学会の内容について,その目的,おもな事業,学会の所在地(連絡先),入会手続などをお知らせください.

人事院,国公の給与12.67%アップを勧告—技師会は1等級への昇格を要請

著者: 佐藤乙一

ページ範囲:P.1473 - P.1477

まえがき
 人事院は例年のとおり官庁と民間の給与格差を正確に把握するために,本年4月1日を基準にして調査をすすめていたが,その差が12.67%あることが明らかとなったので,同院は俸給表の改訂を重点にし,諸手当の改善も若干考慮するなどして8月14日,国会と内閣に対して国家公務員の給与改訂を勧告した.
 さきに述べたように勧告は12.67%で,この平均額は8022円となっている.

研究

採痰法と採痰時間を異にしての連続耐性検査によるSM,PAS,INH耐性不一致の検討

著者: 馬場真 ,   小路昭夫

ページ範囲:P.1478 - P.1480

 各種抗結核剤治療にもかかわらず結核菌が陰性化しない重症肺結核例でも,各薬剤耐性が検査ごとに必ずしも一定しない場合にしばしば遭遇する.その原因は検査側にも生体側にも存在すると思われるが,私たちは今回少数例ではあるが採痰法と採痰時間をかえて連続的耐性検査を試み,SM,PAS,INH耐性の不一致について検討したので報告する.

合成物質を基質とした線溶測定に関する研究—測定法の検討とTrasylolの抗線溶作用

著者: 宮谷勝明 ,   福井巖

ページ範囲:P.1481 - P.1485

はじめに
 プラスミンはフィブリーゲン,フィブリンのみならず,ゼラチン1),カゼイン2)および血液凝固系に関係ある第Ⅴ因子3),第Ⅷ因子4)やトジール-エル-アルギニンメチールエステル(TAMe)5,6),エル-リジン-エチールエステル(LEe)5),ベンゾール-エル-アルギニン-エチールエステル(BAEe)6)などの合成アミノ酸エステルをも分解するとされている.この中で合成アミノ酸エステルを基質として用いる方法は,基質が純粋な形で得られること,比較的安定であること,測定時の条件をも容易に管理できること,さらに同時に得られる結果も再現性に富んでいることなどであろう.したがって以前よりTrol1ら5),Hestrin7)および安部ら8)によって試みられてきているが,われわれはHestrin7),安部ら8)の手技を用い,ブタプラスミン(Plasmin Novo)標本を用いて基礎的検討を加えた.あわせてKallikreinのみでなく,トリプシン,キモトリプシン,プラスミンをも抑制すると考えられているTrypsin Kallikrein Inaktivator(Trasylol)についても,プラスミンの線溶能の抑制物質であるtrans-AMCHAの作用と比較して検討を行なったので,その成績について報告する.

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「臨床検査」 第14巻 総目次

ページ範囲:P. - P.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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