エッペンドルフ・マイクロリッターシステムによる超微量臨床化学検査・6
緊急検査としてのブドウ糖,ビリルビンおよび血中尿素窒素の系統的迅速測定方式
著者:
鬼頭節子
,
村尾周子
,
冨田重良
,
小延鑑一
ページ範囲:P.575 - P.578
前回の酵素活性測定で血清代謝成分13種目のマイクロリッタースケールの実用的な測定方式を述べた.これらの結果からも本システムは特に除タンパクを必要とする種目の迅速測定に適しているといえる.すなわち,Marburg pipetにょる試料,試薬ならびに除タンパク上清などの迅速な秤取や高速度遠心機の効率のよさなどがマイクロリッタースケールとあいまって,その機能が発揮されている、本シリーズの最終回はこれを緊急検査に応用すべくブドウ糖,ビリルビンおよび血中尿素窒素の3種目の系統的迅速測定方式をくふうした.これはまた第1回に述べたように,臨床情報は信頼性だけでは不十分で迅速性が大きく評価されるのであり,この点は従来から‘緊急’あるいは‘データ至急’などと表現されていたのである.
著持らはこの‘緊急’なる表現内容に2種類があることを感じている.第1は診療スケジュールに密着した検査で,心臓などの外科手術や人工腎療法などで代表されるスピードが要求される場合と,第2は交通事故などの突発的な場合のスピーディな検査.のいずれかになる.第1の場合はあらかじめ準備することができ,1坪ラボラトリーに適している.それで分析スピードを第1に考えてブドウ糖はCalbiochem社のGlucose Stat-PackによるUV法(366 nm>,ビリルビンは和光キット,血中尿素窒素はDAM-TSC試薬で,いずれも比色法(546nm)を系統的に組み合わせることで,試料血液を受理してから10分以内にブドウ糖を,20分でビリルビン,30分で血中尿素窒素と計3棚1の測定を完了できる図1に示す系統的方式を試みた.