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雑誌目次

論文

臨床検査2巻1号

1958年01月発行

雑誌目次

グラフ

骨髄血のとり方

著者: 安部英

ページ範囲:P.3 - P.8

① 骨髄穿刺の準備
 骨髄穿刺に際しては,前もつて図の如く酒精棉,マーソニンまたは沃度チンキ棉,ピンセツト,2%プロカイン及び消毒2cc注射器,消毒骨髄穿刺針及び之に接着する5cc注射器,数枚のオブエクトグラス(内1枚にはクレジルブリリアントブリー塗抹),塗抹硝子,時計皿,血算板(本検査室では主にBurker-Turk氏型を用う)、白血球用メランジユール,チユルク氏液及び滅菌ガーゼ等を準備する。

2,3の尿定性反応の図譜

著者: 天木一太 ,   青野三郎

ページ範囲:P.9 - P.11

 最近医学書や雑誌の原色印刷が著しく向上したので,呈色反応を用いる各種の定性試験を出来るだけ忠実に図譜化しておいたら,反応の強さの程度を示す大略の目安になつて便利であろうと考えた。ここには日常よく使用される試験4つを取り上げてみたが,簡単に定量するのが困難なもの(ウロビリノーゲン)正確な定量はそれ程必要でないもの(ビリルビン)或は日常定量も行われているが,大凡の見当をつけておくだけでも意義のあるもの(糖,等)が選んである。しかし実際に図にしてみると,青野氏が色々と絵具を選び,苦心をしてみても中々満足なものは出得なかつた。透明な液体の色を画にすることは不可能なことであり,またビリルビン等は症例により同じmg/dlでも反応の現われ方にやゝ差違が認められる。しかしある程度はお役に立ち得るものと思う。

高級技術講義

ブラウン管オシロスコープについて

著者: 岩井喜典

ページ範囲:P.12 - P.19

1.緒言
 電子工学の発展は目覚しいものであるが,これに伴い我々の取扱う電気現象は極めて複雑なものになりこれに関する測定技術も飛躍的に進歩している。
 ブラウン管オシロスコープは広範囲に亘つて多様な電気現象を相似的に記録できるので,用途は益々拡り多種のものが製作せられるようになつた。また測定精度も向上したので,従来何れかと云えば監視装置内とは検出装置としてのみの用途より前進して精密な量的測定が容易に行い得るようになつた。特に高速電気現象の測定などではなくてはならぬものになつている。

新鮮組織による酵素の細胞化学

著者: 市川収

ページ範囲:P.22 - P.36

 固定しない組織片を用いて細胞化学的染色を試み検鏡することの意義とその方法についてのべておこう。それは細胞は核と細胞質とからなり立つが,主として細胞質の機能をしらべるためである。特に細胞質にはいろいろの酵素系が存在し,物質代謝の触媒をなし,生活機能をいとなむ上に大切である。多くの酵素はコロイドであるが,水,グリセリン,稀薄な中性塩,酸,アルカリ,稀薄なアルコールに溶け,純アルコールによつて沈澱する性質がある。従つて固定組織で酵素を証明する方法(ホスフアターゼ,リパーゼなど)もあるが,アセトン,アルコールの固定が奨励されているわけである。しかし呼吸酵素などでは新鮮組織でなければなし得ないものもある。それに最’近ではアゾカプリングの利用による酵素化学が発達してからは,新鮮組織をうまく利用すれば,生体細胞内の酵素位置および活性度を知ることが出来るので,合理的であり今後大いに発達するであろう。外科手術材料動物実験材料,バイオプシー材料,細菌,精子,虫卵,白血球などいろいろのものに利用出来ると思うので説明したい。

〈検査室メモ〉

ミユラーヒントン培地

著者: 高橋昭三

ページ範囲:P.19 - P.19

 寒天培地で,髄膜炎薗,淋菌も,血液を加えないで発育するという培地です。処方は,ミユラーの論文によりますと,次の通りです。
 牛心ひき肉ポンドに,常水500ccを加え,浸出したものを肉水とする。

座談会

現場で働く技術者の立場から

著者: 樫田良精 ,   佐藤乙一 ,   大山重元 ,   松村義寛 ,   田中静司 ,   谷小夜子 ,   小山恒太郎 ,   門野義雄 ,   小松節子 ,   高橋昭三 ,   松橋直

ページ範囲:P.38 - P.47

 樫田 今日はお忙がしいところをお集まりいただきましてありがとうございました。臨床検査に直接タツチしていらつしやる現場の皆さん方に,技術者として日頃切実な問題を話し合つていたゞいて少しでも解決出来るものはして行ぎたいというような意味でこの会を開きました。
 まず佐藤さんはその方面で相当に活躍していらつしやるように聞いておりますので先ず大ぎな問題を5つ6つ上げていた穿いてそれについて考えて行きたいと思います。

技術解説

血液検査法(Ⅱ)

著者: 天木一太

ページ範囲:P.49 - P.54

Ⅷ.塗抹標本の観察
 塗抹標本の観察は血液検査のうちでも,最も重要なものの一つであるから,十分に習熟しておかなければならない。
 1)標本用ガラスの準備,完全に清浄にするには,クロム硫酸中に数日間浸し,十分に水洗してから,アルコール又はメタノール中に貯蔵しておき,用に臨んでガーゼで清拭する。

検査室管理

国立療養所における臨床検査に関する研究

著者: 石丸隆治

ページ範囲:P.57 - P.59

まえがき
 最近における臨床医学の進歩のうち,最も特徴あるものの一つとして臨床検査の発達をあげることが出来るであろう。特に,終戦後の臨床検査の発展は,単に検査方法の改善とか,検査種目の増加等のみでなく,各医療機関に中央検査室が設置され従来のように臨床医家が診療の傍ら検査を行うと云うのではなく,診断過程の一段階として機構的に独立した地偉を与えられたのが特徴と云えるであろう。
 臨床検査が臨床医学の中で占めるべき地位及びその必要性,中央検査室の運営方法,又は個々の検査方法等については,既に本誌をはじめ多くの雑誌に発表されているので今更それらについて意見を述べる必要もないであろうし,又その資格もないので触れない。しかしながら,現在国立療養所の運営をマネージする立場において,如何なる考え方によつて療養所における臨床検査について研究を進めているかについて述べてみよう。

新しい検査法

Tyrosine法による血漿フイブリノーゲンの定量法

著者: 松岡松三 ,   佐竹清人 ,   深沢英

ページ範囲:P.61 - P.63

まえがき
 血漿フイブリノーゲンの定量にフイブリノーゲンをフイブリンとして分離し,これを定量する方法があるが,臨床検査上簡便でししかも信頼するに足ると考えられるのは,蓚酸血漿にCaCl2を加えてフイブリノーゲンをフイブリンとして分離しFolin-Ciocalteu1)のphenol試薬によるtyrosineの発色を利用する比色法で,Quickの方法2),またその方法3),Ratnoff & Menzieの方法4)等が知られている。しかしわれわれが詳しく検討した所によると,これらの方法には理論上明らかに誤りと思われる記載があり,また臨床上多数の材料を扱う上になお改善すべき点が認められるので,ここにこれらを指摘してわれわれが日常行つている方法を紹介し,それによる健康人の血漿フイブリノーゲン量について報告したい。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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