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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査2巻10号

1958年10月発行

雑誌目次

グラフ

脳腫瘍組織診断の基本構造

著者: 向井紀二

ページ範囲:P.573 - P.582

 髄芽腫 グリオームのなかでもつとも未分化な型。主な腫瘍細胞の形態は素描M,すなわち髄芽細胞に原型をもとめうるもので,これに神経芽細胞(N)と海綿芽細胞(Sp,M-Sp)の2つの方向への分化を暗示する要素が混つている。①小脳の髄膜に播種をおこした例で,外顆粒層(本文参照)と密なつながりをもつことを肯定させる像がみとめられる。②単調な未分化細胞型,③仮性ロゼツトの形成と,やや分化した細胞の混在。

高級技術講義

脳腫瘍組織診断の基本構造

著者: 向井紀二

ページ範囲:P.583 - P.598

はじめに
 脳腫瘍の組織学的な性格の基礎をなしている細胞の生物学的な態度や,形態のうえの特性はきわめて整然とした体系のなかで,すでに見紛うことのない存在となつているにもかゝわらず,その組織学的な診断には意外な困難がともなうものとおもわれがちである。そして,その難かしさの中心をなしているようにみえるのは,やはりなんといつてもグリオーム(神経膠腫)の分類にみられる骨組のちよつとした複雑さであらう。とくに,腫瘍細胞の分化が,いくつかの段階にわたつてしばしば幅広い形態の変化(多型性)をもつために,気軽に一枚のH.E標本で診断をつけようとするような場合には,実際困惑させられることも多い。
 ここで,まず腫瘍化の各段階にそれぞれ対応した正常の脳細胞の発生過程へのただしい理解が,唯一の標準Criterionとしてわれわれのまえに存在する。この壁を具体的な体験によつてとびこえない限り,その多面的な仮装を見破ることはまず不可能といつてよい。

技術解説

血清鉄測定法

著者: 島田敏夫 ,   吉野芳夫

ページ範囲:P.601 - P.605

 血清に鉄液を添加すると,鉄は血清蛋白質中のβ1 Globulin分劃に属する鉄結合性蛋白質(Siderophilin1),Transferrin2))と優先的に結合する。しかも新らしく加えられた鉄と既存する血清鉄との間に何等の差違も認められない3)。また鉄結合性蛋白質の総鉄結合能力は300〜352μg/dl4)とされ,血清鉄の正常値は約100μg/dlであるので,平素みられる動揺範囲内では血清鉄は常にFe⧻・β1 Globulin結合体として存在すると考えて支障ない。したがつて血清鉄を測定するにあたつて,鉄はすべて鉄・蛋白結合体であることを前提として考えねばならない。
 従来報告された血清鉄測定法を検討すると,鉄抽出法と鉄測定法の2階程に区分して考えることが出来る。第一の抽出法には塩酸抽出5),血清蛋白質の熱変性を利用した還元抽出6),還元剤による還元抽出7)の3方法がある。また第二の鉄測定には上記の抽出液より一定量をとつて,比色測定する方法が主として行われているが,そのための鉄呈色試薬としてThiocyanate,o-Phenanthroline,Quinaldin-酸,5-Sulfoanthran-酸,Nitroso-R塩等が使われる。このうち吾々の研究室で常用される方法2種について記載する。

『医学常識』

臨床生化学メモ(Ⅲ)

著者: 茂手木皓喜

ページ範囲:P.607 - P.609

糖(血糖,Blood Sugar)
 生体はいろいろの糖を利用出来るが,ここでは血糖(ぶどう糖)のみについて説明する。

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昭和33年度第5回臨床病理技術士資格認定試験問題及び解答集

著者: 牛場大藏 ,   岩田和夫

ページ範囲:P.610 - P.612

第5回臨床病理技術士資格認定試験(2級)を終つて
 過去4回実際の試験委員(細菌学及び寄生虫学)として本試験の採点を行つてきた私は,今回たまたま実行委員として全般のことがらにタツチする機会を持つた。その結果従来とは異つた面から本試験の実態を観察することが出来,新しい印象をうけたともいえる。
 まず第一に感じたことは400名以上もの受験者,しかも各人が教科目を受験する者が多いのを,順序よく受験させることが,いかに大変な仕事であるかということであつて,受験者にはちよつと気づかれないような細かい事務上のことが,つぎからつぎへと生れてくる。この意味からいつても,受験者諸着が無駄なく,真面目に一つ一つの試験を受けていただきたいと切に感じた次第であつた。

私の検査室

青梅市立総合病院中央検査室について

著者: 瀬田修平 ,   為田清 ,   石木哲夫

ページ範囲:P.628 - P.630

 青梅市立総合病院は昭和32年11月中央化方式を目指して開院され,現在12科,300床の総合病院として発足した。未だ完備とまでは行つていないが,現在一応臨床検査一般を中央検査室にてまかなつて来ている。今回雑誌「臨床検査」より中央検査室の紹介を依頼されましたので簡単に御紹介致します。
 現在中央検査室は技術員4名で構成され,医師2名が監督に当つている。検査室は1階に細菌検査室2室,生化学検査室1室,し尿検査室1室あり,2階に病理検査室1室,血液検査室1室,螢光顕微鏡用暗室1室がある。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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