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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査2巻7号

1958年07月発行

雑誌目次

グラフ

ピペツトの扱い方(2)—同じピペツトでも目的により扱い方がちがう

著者: 高橋昭三

ページ範囲:P.387 - P.390

III.細菌学関係

私の検査室

日大板橋病院 中央検査室

著者: 大島研三

ページ範囲:P.391 - P.394

 外来及び研究室建設当初から設計したので,一応まとまつた中央検査室をもつことができた。但し私大では病院の経済や建築物の広さの点でも制限をうけるので,最小限度の広さと人員で,外来及び入院の需要の全部を満たし得るものとの条件で計画せられたものである。
 場所は外来に続く研究室建築物の地下にあり,採血・血液・尿糞及び髄液・胃液及び十二指腸液・細菌・病理・化学・定量の各室より成り・心電図・脳波は外来一階に,レントゲンは一応中央検査室とは分れてレントゲン科に属し,心臓カテーテル室も一応分離されて,総合研究室に属している。また呼吸機能(基礎代謝を含む),筋電図,バリストカルジオグラム等も綜合研究室に属している。

技術解説

濾紙の種類と使い方(1)

著者: 及川五郎

ページ範囲:P.395 - P.400

 身近かにあるもの,世のなかにごくありふれたものには,つい深い関心を払う暇がなく過ごして居るのがわれわれの日常である。濾紙に対する科学者の態度もその一つであろうか。化学の習い始めに誰でも一通りは濾紙の種類や使い方を教わつたはずである。分析化学,実験化学の単行本には長い短かいの差があるにせよ一通り濾紙の常識にふれて居る。
 だが,濾紙に限らぬ何ごとも専門書をひもとく程の熱心さはもとより基礎的教科書を読みかえす真面目さを持つて居ない人の方が多い。中学,高等学校に通う子女を持つ人には誰でも覚えがあるはずだが試験勉強に悩んで居る子供の様子を見かね彼等の教科書を手に取つて拾い読みする時,昔こんな適切な云い表わし方で物を習つたかしらと驚くほどの事実がみちみちて居る。然し,それもその時だけのこと,やがて子供が大学に行き,卒業する時ともなれば親もその子供さえも,その日その日のことに追われて基礎の知識がなをざりになる。世間と云うものはこうしたものだろうが何んだか砂上に立つた楼屋のようで自分の足元が時時あぶなつかしく感ぜられる。せめて新聞や雑誌に表れて来る断片的な記事にでも,新鮮な印象と透徹した理性を以て対したい。潜在記憶が蘇つて来る,若々しい血汐も湧き立つて来る,人生の空白をうずめる有意義な時間の重なりをこうしてもとめたいものである。創作の意欲とインスピレーシヨンが著者から読者へ脈々として流れ両者を一体に包むものでなければ,それは読書と呼ぶ名にふさわしくない。科学の世界,文学の世界,同じことである。昔の人は此の境地を「眼光紙背に徹す」と云つた。「読書百偏,意おのずから通ず」こんな言葉もあつた。現代人は忙しい,たゞの一偏だけで良い,要は魂の問題である

血清混濁反応

Gros反応

著者: 柴田進 ,   高橋浩

ページ範囲:P.403 - P.405

 Gros反応は1939年Walter Gros1)によつて発表された一種の血清膠質反応で,赤血球数計算の際稀釈に用いるHayem液を血清に滴下し混濁するまでの消費量をよむというごく簡単な方法である。その本態は他の血清膠質反応と同様充分には解明されていないが,Hayem液消費量の減少化には血清蛋白成分の変化が密接に関係するとされ,Grosが記載したように血清高田反応陽性度とほぼ一致した成績が得られるから2)〜4),これに代る簡便な肝機能テストとして臨床上愛用されるに至つた。この解説ではGros反応と血清蛋白成分との関係および肝障碍診断法としての価値については後に触れることとし,まず本反応の実施者をしばしば困惑させる反応終末点の不明瞭性から述べたい。
 試験管にとつた血清にHayem液1滴を落して振り,一寸間をおいて1滴落しては振りして混和しこれを注意して観察すれば次のような変化がみられる筈である。はじめはHayem液の添加により血清の透明さに影響はないが,添加量が増すとHayem液を加えた後かすかに雲のような濁りが現れ管を振つて混和すれば消える点に達する(いわゆる初雲絮。これを第1点とする一著者)。更に試薬の滴下を重ねるとやがて生じた濁りが管を振つても消えなくなる(この持続性混濁の出現を第2点とする一著者)。

C. C. F.

著者: 白戸四郎

ページ範囲:P.406 - P.409

 C. C. F.は別名Hanger Testと言われる如くHangerによつて1938年に報告され,爾来優れた肝機能検査法の一つとして特に欧米に於いて広く一般に行われている。我が国に於いては戦後阪大の木谷,山口医大柴田等によつて紹介され,又住友化学よりアンチゲンが発売されるようになつてかなり普及しているようであるが,その評価は必ずしも一定していない。非常に優れた検査法であると言われ乍ら他面成績が不安定であるとも言われる。
 私はここ数年来本検査に興味を持ち文献を調べると共に当院に於いても多少の検討を加えて居るのでその梗概を御紹介したいと考える。言う迄もないことであろうがC. C. F.とはCephalin-Cholesterol Flocculation Testセフアリン・コレステロール絮状反応の意味である。

チモール溷濁反応

著者: 高橋晄正

ページ範囲:P.410 - P.413

I.保存用試薬の作り方10)24)
 1.チモールの精製:局方チモール25grを約25ccの局方アルコール(95%)に溶かして飽和溶液を作り,これを濾過した後,約1lの冷却した蒸溜水中に滴下する。結晶チモールが水面に浮くから,これを漏斗を利用して濾紙上に集め,無水塩化カルシウムの入つた乾燥器内で数日間乾燥し,褐色硝子瓶に密栓に蓄える。
 2.10gr/dlチモール酒精溶液(保存用):上の精製チモール10.0grをメスシリンダーににり,再溜アルコールを加えて100ccとする。長期保存に耐えるから,汚染しないよう注意して使用する4)

座談会

衛生検査技師法をめぐつて

著者: 樫田良精 ,   松村義寬 ,   秋元寿恵夫 ,   松橋直 ,   高橋昭三 ,   後藤正宏 ,   中橋勇次郎 ,   広明竹雄 ,   小酒井望

ページ範囲:P.414 - P.429

 樫田 きようは,今度新しく議会を通過いたしました衛生検査技師法について,臨床検査に従事している人々の非常な関心がございますので,いろいろと話合いたいと思います。この法律についての,細則的なものは,恐らくまだきまつていないのじやないかと思いますが,大掴みの点,特に問題になる点,そういうものについて,皆さんにお話を伺つて,関係者の参考にいたしたいと思います。
 初めにこの法案を立案された関係から厚生省の後藤技官に,一つ総括的なお話をお願いします。

新しい検査法

病原性真菌の検査法(その3)

著者: 岩田和夫

ページ範囲:P.431 - P.437

V.病原性の検査と動物接種の意義
 1.病原性の検査
 患者より分離せられた真菌は,細菌の場合と同様に,その最も感受性の強い実験動物に対して,病原性の有無強弱が確められる。

研究

寒冷と血液型判定

著者: 赤羽重吾 ,   小川泰子

ページ範囲:P.439 - P.442

まえがき
 血液型判定時の注意事項の記載の中に,寒冷で検すると間違いを起すことがあると必ず書かれている。それは血清中の寒冷凝集素による反応を誤認する事に起因している。試みにAB型の人の血清を採つて来て,O型人血球と反応させてみよう。
 この場合AB型の人の血清:αもβも保有していない。O型の人の血球:A型質もB型質もない。つまりαに対してもβに対しても凝集反応を起さない。

読者の頁

創刊1周年に寄す

著者: 佐藤乙一

ページ範囲:P.443 - P.445

 「臨床検査」が創刊されてからちようど1年になる。この雑誌の創刊を知り,そして私の手に入るまでの間はいろいろな想像をたくましくしていた。たとえば,どんな構想で編集され,どのような考えのもとに号数をつみあげてゆくのかと。……そして一面は興味深く期待し,或一面では他に多くみられるようなこの種の雑誌になるのではないかとひそかに案じてもいた。このような考えをもちながら期待していたのはおそらく私一人ではなかつたろう。そこである先輩はこの雑誌を手にする前に,「臨床検査が今までの数ある雑誌のように,内容の深みを考えず,ありきたりの構想で編集されるなら,おそらく半年は続かないだろう。しかしわれわれがまちのぞんでいた急所を突くものであつたら,これは驚く程の読者を得るにちがいない」と予言した。このことは申し合せたように私も深く感じていたところである。そしてこの話は意外に大きく発展したことを経験している。
 さて創刊以来満1年を経たのであるから,当然この話を本誌に向けなければならないのであるが,この雑誌がよりよく発展し,本当に私どものよき伴侶となつてもらうためには,多くの注文をしなければならないであろう。そこでまず,今まで発行されて来たいくつかのこれに類した雑誌について述べ,その後にゆずりたい。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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