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雑誌目次

論文

臨床検査2巻8号

1958年08月発行

雑誌目次

グラフ

胃の細胞学的検査法—胃擦過法(Abrasive Balloon法)および胃洗滌法(Gastric Lavage法)

著者: 天木一太 ,   原島三郎

ページ範囲:P.451 - P.458

Abrasive Balloonの作り方
材料
 1.Milller-Abbott's tube 二重管になつているので,一方をBalloonへの空気送入用,他方を胃液採取用に用いる。
 2.婦人帽用ヴェール 網の目は約4mm位がよい。
3.ゴム製サツク

高級技術講義

位相差顕微鏡—位相差顕微鏡とはどんなものか,その使い方

著者: 稲垣克彦 ,   和田計二

ページ範囲:P.459 - P.469

 位相差顕微鏡(PCM)は位相差法を目的としてつくられた(Zernike 1935)もので染色しないで生きたままの細胞のすがたを観察することが出来る。しかし普通の明視野法にも使えるので,医学,生物学の研究にはなるべくこの顕微鏡をそなえたいし,又この使用法になれておくことが必要である。
 図1-1はPCMの全貌であり,双眼の片方には今心出し望遠鏡が挿入されている。これは,その主要部分である対物レンズと環状絞りの関係を調整するために必要なものである。

嫌気性桿菌の検査法

著者: 川泊敏夫 ,   高橋昭三

ページ範囲:P.471 - P.478

 Bergey's Manual of Determinative Bacteriologyでは,Bacillaceae科中,グラム陽性有芽胞菌に,2つの属を別けて居る。この両者は,酸素に対する態度で区別する。Bacillus属は,好気性又は通性嫌気性であり,Clostridium属は,偏性嫌気性である(Clostridiumには,微好気的な条件1)で発育できるものも少しある。C. carnis,C. histolyticum,C. tertium.)。両菌属間の,もう1つの相異点は,Clostridiumがカタラーゼ陰性で,Bacillusが陽性な事である。
 Clostridiumはすべて死物寄生性2)であり,病原菌とされるものは,毒素を産生するものである。通常,病原性Clostridiumをそれぞれの菌のおこす疾患により3群にわける。

技術解説

濾紙の種類と使い方(2)

著者: 及川五郎

ページ範囲:P.479 - P.484

 世の中にあるものの,あるがままの姿,水の静止と動揺にも似た世の移り変りを曇りの無い心の鏡にうつし取つて考えて見たい。このような意味を僅かに4つの当用漢字,"明鏡止水"という言葉に託し,ジヤーナリズムにも蒔き散らして箱根の山にたてこもつた男があつた。あれから数年,その伝統は流れ流れて第二次岸政権の成立を今日の新聞が報じて居た。子女教育,国民保健,産業合理化,労働争議,両岸外交等々と山積する内外の諸問題に対して担当の大臣諸公のカルテにどんな症状が書きこまれるか,臨床検査の厳正な批判が国民各自にあつて良いはずである。
 在るものと無いものを診断し(見定める)良いものと悪いものとを濾別する(こし分ける)ことは容易なわざではない。

ビリルビンの定量法

著者: 春日誠次

ページ範囲:P.484 - P.487

 検査室で,ビリルビンの定量を目的にあつかう材料は,血清,尿,胆汁が主なものであるが,ここには血清,尿ビリルビンの定量法について述べる。胆汁ビリルビンは血清ビリルビンよりも何10倍か濃度が高いのが普通である。濁りのあるものは一度濾過し或は遠心沈澱してから血清よりも少量,濃度の高い場合には稀釈したもののうちの一定量をとつて,あとは血清ビリルビンの定量と同じ操作をすればよい。どの程度の量をとるか,或はどの程度に稀釈し,その中のどの程度の量をとるかは胆汁の黄色の程度を見てきめればよい。
 所謂黄疸指数の測定法として,ビリルビンの黄色を,濃度既知の重クローム酸カリ水溶液と比較する方法があるが,ここではビリルビンの定量法にのみ限定することとする。

Cholinesteraseの検査法

著者: 豊田正輝

ページ範囲:P.489 - P.493

まえがき
 Cholinesterase(ChEと略)は御承知の様にAcetylcholine(Achと略)の分解酵素で自律神経系の機能と密接な関係を持つて発展して参りました。又本酵素はAchと共にDale以来神経の化学伝導学説研究の一つの中心として多くの基礎的研究を産み,最近でもBurn,Feldeberg等は本酵素系に基づいて局在ホルモン(local hormone)と云う新らしい基礎的な概念を報告して居ります。一方臨床医学の領域においても,Disopropylfluorophosphate(DFP),Parathionを始め多くの抗ChE剤の抬頭と共に本酵素の持つ意義は次第に臨床医家の注視をあつめる様になつて参りました。
 さて本酵素は其の作用に依り特異的ChE(Specific ChE,Acetyl-ChE)と非特異的ChE(non-Specific ChE,Pseudo-ChE)とに分けられて居りますが,一般にはAchを醋酸とCholineに加水分解する酵素と考えられて居ります。即ちChEは次に示す様な化学反応を呈するのであります。

Atypical Mycobacteria

著者: 高橋昭三

ページ範囲:P.499 - P.504

 昭和30年5月の新聞に,黄色菌という,結核菌によくにて居る抗酸性菌が,人間の結核と同じような病気をおこし,しかも抗結核剤が無効であるという記事が出て居たのを,読者は御気附になつたであろうか。これはアメリカのある学会の報告を大々的に取あげたものであつた。丁度同じ頃,私はその菌と同じような菌に出合つたのである。その少し前,染谷博士,占部教授も,同じようなものを見て居る。
 ところで,本菌は,Atypical mycobacteria又はatypical acid-fast bacilliと言われる事が多く,これは,「定型的でないミコバクテリア」とか,「変つた結核菌」とでも言う意味で,適当な日本語がない。そこで,今回は一先ず,Atypicalmycobacteria(At.Mb.と略記する)と呼んで述べてみたい。atypicalとは「定型的でない」,又mycobacteriaは,抗酸性菌,特に結核菌を意味する事が多い。このように呼ばれて居るという点からもわかるように,本菌はまだ正当な位置を認められていない菌であり,定義もはつきりして居ない。しかし,多くの人が,同じょうな菌を指して,At.Mb.と言つて居るのには,共通した点があるからである。これをRunyon等は次のように述べて居る。

血清混濁反応

クンケル氏硫酸亜鉛溷濁反応

著者: 高橋晄正

ページ範囲:P.495 - P.498

I.保存用試薬の作り方
 1.240mg/dl硫酸亜鉛溶液4)5):ZnSO4・7H2O240mgを100ccのメスコルベンにとり,劃線まで蒸溜水を加える。汚染せずに使用すれば,恕状沈澱を生ずるまで使用できる。
 2.CO2除去蒸溜水:1lの三角コルベンに蒸溜水約1lを入れ,充分沸騰した後,ゴム栓(または時計皿で覆う)をして流水で冷却しておく。

私の検査室

北里衛生科学専門学院紹介

著者: 長木大三

ページ範囲:P.506 - P.509

I.設立
 北里衛生科学專門学院は昭和32年4月1日,北里研究所を母体として誕生しました。
 北里研究所は主として公衆衛生及び諸疾病の予防,診断,治療を研究し,社会衛生の向上と人類福祉のために尽すよう,我が国細菌学の父祖,北里柴三郎博士が創設した研究所であります。その事業として,医学,獣医学全般に亘る研究,検査,講習,ワクチン,血清その他の薬品の製造並びに診療を行つて来ましたが,北里先生の説いた研究の実際化という趣旨に則り,以上の事業を行つて学会並びに公衆衛生方面に幾多の貢献をしつつあります。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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