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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査22巻1号

1978年01月発行

雑誌目次

カラーグラフ

Holzer法とその重染色

著者: 國田五重 ,   高屋豪瑩

ページ範囲:P.4 - P.5

 神経組織にみられる反応性膠線維染色にHolzer法が採用されてきたが,手技自体にコツがあるとされ,一部の人にのみ採用されている.また神経組織内にある他の構成成分である髄鞘,神経細胞及び組織崩壊時にみられる泡沫細胞などを反応性膠線維とともに同一切片に染め出すには,染色行程中に使用する有機溶媒が他の色素に作用して,全体像を表出することを難しくしていると考えてきた.今回Holzer法を多少改変し,加えて上述の他の染色法を重ねることを試みたところ,難しいと考えられてきた染色が可能であることが分かった.

技術解説

Holzer法とその重染色

著者: 國田五重 ,   高屋豪瑩

ページ範囲:P.6 - P.11

 線維性星状神経膠の反応状態を染める方法の一つにHolzer法1〜3)がある.しかし膠原線維をも共染することからMalloryのPhosphotungusticAcid Hematoxylin (PTAH)法4)が採用されることもある.前者は,染色後主として肉眼的に判断するのに好部合な方法として取り上げられてきたのに対し,後者のPTAH法は星状神経膠の正常及び腫瘍化した場合にも染めうる方法として採用されている5).特に神経疾患において反応状態にある線維性星状神経膠の出現は,枚挙にいとまがないだけにパラフィン切片中にHolzer法によって特に染め出すことが数多くの情報を提供することになる.一方,髄鞘の低形成あるいは脱髄との関係,夏に軟化病変の現存するときなどでは貪食細胞あるいはHortega細胞の出現が見られるので,この方面の検討も必要になる.そこでそれぞれの神経要素である髄鞘では従来から用いられてきたLuxol Fast Blue (LFB)6)を,貪食細胞あるいはHortega細胞にはPeriodic Acid Schiff(PAS)法などで個別に染めてきた.以上の方法を用いて一度にそれぞれの方法が同一標本内に採用されると理論上,それぞれが同時に染め出せる状態になることは,多病変の相互の関連を見いだす状態になると思われる.

羊水からの細胞診断

著者: 北村吉宗 ,   松本雅彦 ,   須川佶

ページ範囲:P.12 - P.19

 羊水から直接胎児情報を得ようとする試みはRh不適合妊娠の際の胎児管理,あるいは胎児成熟度の判定などを目的として始められた.そして羊水に浮遊する細胞に着目し,その性染色質を調べることにより胎児性の判定が可能であることが示された(Fuchs&Riis,1956.Makowski,1956).
 羊水細胞の培養に成功したのは1961年Fuchs&Philipであり,胎児染色体分析の可能性を呈示した.そしてついに1966年,Steele&Bregらにより羊水からの染色体分析が成功した.このときの成功率は62例中12例(18%)であった.その後培養方法や培養条件に改良がなされ,Nadler&Gerbie1)は163例中155例(95%)という高い成功率をあげるに至った.

血液粘稠度の測定

著者: 磯貝行秀 ,   横瀬琢男

ページ範囲:P.20 - P.26

血液粘稠度と血液の流動的性質
 流動している液体がある時間経過した後に静止状態になるのは,流体の持つ粘性という性質のためである.すなわち流体は内部に無数の層状構造を保って流動していると考えられるが(層状流動),流層が互いに接した部分では接線方向の速度はそれぞれ異なっており,両者間には速度の差を小さくしようとする作用(内部摩擦)が生じている.このように,流体がある外力に対応して生じた流れの速さは内部摩擦によって規定されるもので,これを粘性と呼んでいる.
 この粘性を物性値として定量的に表すために図1のようなA,Bなる平行2平面間の流体について考えてみたい.A面を固定してB面を平行にずらすとυ2,υ1なる速度で流体は同一方向に移動する.流動速度が余り大きくなければ流線は2平面と平行に層状の流動を示す.このような流れを層流という.この場合の2平面間の流体の速度変化量は,流線に対する垂直方向すなわち図1のy軸方向の距離に比例する.すなわち,単位距離当たりの流速の変化量γとすれば(1)式となる.

私のくふう

尿沈渣標本の簡単な作り方

著者: 稲垣勇夫

ページ範囲:P.27 - P.27

 尿沈渣標本の作製,すなわち遠心後の尿沈渣のスライドグラス上への1滴の滴下方法には,遠心管を倒立させて尿沈渣をスライドグラス上に直接滴下させる方法とピペットを用いて1滴を採取しスライドグラス上に滴下させる方法とがある.これらの短所として,前者は1滴量が全く一定せず,度々尿沈渣成績が数倍にも異なったり,また標本を不当に汚染させたりする.後者は正確な目盛付きピペットの使用及びその再生業務という煩しさがある.そこでこれらの短所が少なくかつ簡便な方法を二つ紹介する.
 第一の方法は,図のように遠心管を傾斜させて尿沈渣を管口まで流し,そこでカバーグラスの一角に尿沈渣の1滴を付着させる(図①).このとき,1滴量が適量(10μl)になるように加減する.次にカバーグラスの一角の下面に付着させた沈渣をスライドグラス上に移す.すなわち,カバーグラスのその一角を軽くスライドグラスに触れさせる(図②).それからカバーグラスをその沈渣の上にかぶせる(図③).

総説

ヒトの染色体地図

著者: 吉田廸弘

ページ範囲:P.29 - P.36

 最近の人類遺伝学の進歩のなかで特筆すべき発展をみているのは遺伝子座位の決定,すなわち染色体地図の作成であろう.言うまでもなく遺伝子座を決めていく方法としての基本的なことは,生物個体の交配を行い,その際の各々の遺伝子の組み合わせを分析し,染色体上における遺伝子の位置を決定していくというものである.ヒトの場合,遺伝様式を調べる方法として,ある特定な変異遺伝子に注目し,それがどのように次の世代に受け継がれているのか,すなわちその遺伝子を継代している家系を数世代にわたって統計的に調べていくという方法がとられている.しかしこのような家系調査にも限界がみられ,例えば,ヒトでは一世代の生存期間が長いこと,またその家系の構成員数が少ない場合もあり,更に遺伝学的分析に必要な交配実験ができないなどの制約があり,したがって個々の染色体における遺伝子座を決めていくことは非常に困難であった.
 最近,ヒトを含めた哺乳動物細胞を生体外で取り扱う技法,すなわち個体組織由来の体細胞をバラバラにし,それを試験管内で増殖させうる細胞培養法が進歩してきた.細胞の体外培養法について歴史的にみると決して新しいとは言えないが,1912年Carelがニワトリの胚を培養したことから始まるのであるが,比較的自由に細胞を増殖させ,しかも同一性格の細胞クローンを実験的に取扱えうるようになったのは極く最近のことである.

臨床化学分析談話会より・52<関東支部>

アンモニア代謝の解明—"現代生化学の臨床への寄与"シリーズ

著者: 仁科甫啓

ページ範囲:P.37 - P.37

 台風9号が去って,秋空が鮮やかな翌日,第205回分析談話会関東支部例会(1977.9.20)が東大薬学の記念講堂にて開催された.
 今回は"現代生化学の臨床への寄与"シリーズ第1弾としてアンモニア代謝を取り上げ,千葉大 橘正道先生から"アンモニア代謝と尿素サイクル"と題して,虎の門病院中山年正先生からは"酵素法によるアンモニア測定"と題して話題が提供された.

臨床検査の問題点・98

脳の迅速標本作製

著者: 三方淳男 ,   田原澄江 ,   宇佐美一彪

ページ範囲:P.38 - P.44

 術中迅速標本作製の中で,材料が小さく硬さもいろいろな脳の生検材料が最も難しい.脳外科からオーダーされることが最も多く,腫瘍が良性か悪性かの判断に重要な役割りを果たす.標本作製にはクリオスタット法のほかに最近,圧挫標本が注目されている(カットは脳腫瘍(星細胞腫Grade2)の迅速凍結標本の1例.凍結の仕方によってしばしば下半分のような空胞変化が起こる.慶大中検佐藤原図).

検査と疾患—その動きと考え方・13

慢性肉芽腫症

著者: 籠崎祐次 ,   臼井朋包

ページ範囲:P.45 - P.53

 患者 1歳男児.
 臨床診断 易感染性疾患.

Ex Laboratorio Clinico・13

先天性TSH単独欠損症の発見

著者: 宮井潔

ページ範囲:P.54 - P.60

はじめに
 下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が,先天的に欠如している,いわゆる先天性TSH単独欠損症は我々の研究室で初めて発見され,1971年New England Journal of Medicine誌上に発表された1).当初の予想に反して,その後同様な症例の報告がほとんどなく,現在では,まれな疾患とされている.しかし本例は先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の新病型であること,TSH単独欠損症のうち家族性の唯一の例であること,及び他の下垂体ホルモンの一部に分泌の特異性が失われていることなどいろいろな面での意義が深く,1976年の国際内分泌学会でもnewly recognized endocrine diseasesの一つとして取り上げられている2)

学会印象記

第17回臨床化学シンポジウム 第9回臨床検査自動化研究会—成功した両学会共催の機器展示会

著者: 亀井幸子

ページ範囲:P.61 - P.61

 第17回臨床化学シンポジウムが北村元仕会長の下に去る9月15,16の両日都心大手町の農協ビルで開催された.今年のシンポジウムには二つのテーマが取り上げられ,第1日の薬剤の臨床化学に関するものでは抗てんかん剤,抗癌剤その他投与薬物の体液中濃度及び代謝動態の検索,薬物代謝機能検査法として抱合能や関連酵素活性測定などを中心に13題の発表が行われた.第2日は活性ペプチドの基礎と臨床に関するものであり,なかでも消化管ホルモン,血管作動性ペプチド,神経伝達性ペプチドの三者をめぐって生理的意義,病態との関連などの研究が14題披露されたが,前半の合成ペプチドによる組織的な研究が目立った.このほか一般演題が61題寄せられ,豊富な知見の交換が行われた.
 また第9回臨床検査自動化研究会が同月16,17の両日斉藤正行会長の下におなじみの経団連会館で開催された.検査需要の増大傾向が近年とみに強まって,自動化機器の開発改良も年とともに盛んとなっている現状を反映して,一般演題72題の発表が行われて熱のこもった現場からの声が行き交ったほか,教育講演2題,血液凝固検査の自動化とその評価に関するシンポジウム3題,Bio ScienceのThiers博士の招待講演,サーベイ委員会からの本年度サーベイの集計報告,多項目同時測定自動機器の正確度に及ぼす諸要因のうち基準液の問題にスポットを当てたパネルディスカッションなどが行われ,盛りだくさんな内容を持つものであった.

座談会

先天性代謝異常症の検査

著者: 大浦敏明 ,   田中明 ,   鈴木健 ,   北川照男

ページ範囲:P.62 - P.70

 1977年10月より先天性代謝異常の検査が公費で全新生児を対象に実施されるようになり,治療のできる先天性代謝異常症(フェニールケトン尿症,ホモシスチン尿症,メープルシロップ尿症,ヒスチジン血症,ガラクトース血症)を早期発見治療しようということになったが,今月はこのマススクリーニングの意義,方法,行政について関係者に語っていただく。

新しい超音波検査法・1【新連載】

甲状腺と乳腺

著者: 竹原靖明 ,   松川正男

ページ範囲:P.71 - P.76

 甲状腺や乳腺内に腫瘍や硬結があるかどうかは,視診や触診でも容易に知ることができる.したがってこの領域の診断になにか機器を用いる以上,その腫瘍や硬結がなんであるか,すなわち悪性かどうかの質の判定をすることが第一の目的になる.周知のように超音波は,脂肪や筋肉などの軟部組織をよく分解表示する能力があり,また被検者に苦痛や障害を与えないため,反復検査を行うことができる利点がある.そのうえ甲状腺や乳腺の腫瘍は,幸いに皮膚表面に近い部分に存在するため,分解能の向上に有利な高い周波数(現用5MHz)の超音波を用いることができるので,この目的に適した診断法と言えよう.
 現在,この領域の検査では図1のように水浸法がもっぱら利用されている.探触子の走査方式には,直線状に移動するリニア走査方式と弧状に移動するアーク走査方式とがあり,画像の表示形式には,従来から主に活用されている感度断層法と,最近注目されている階調性断層法(グレイスケールエコーグラフィー)とがある.

研究

合成基質によるプラスミン測定の改良法

著者: 松尾理 ,   川口倫子 ,   美原恒

ページ範囲:P.77 - P.79

緒言
 最近,新しく開発された合成基質S−2251により,プラスミン活性の測定が行われるようになってきた1〜3).この合成基質はプラスミンに対して非常に高い特異性を持っているため1),従来のフィブリン平板法4),ライシスタイム法5),カゼイン分解法6)7),エステル分解法8)どに比して測定結果の解析が容易であり,しかも光電比色計を用いるだけで,測定操作が非常に簡単である.しかしながら合成基質によるプラスミン活性測定の原法1)は多量の合成基質を使用しており,そのため,この原法をそのまま臨床検査に導入するには問題がある.そこで,合成基質の使用量を軽減すべく原法を改良し,臨床検査への手掛かりとした.

脳波"平均関電極誘導法"の研究(Ⅰ)—モデル実験による理論的検討

著者: 阪本實男

ページ範囲:P.80 - P.84

はじめに
 一般に,脳の電位変動の状態を的確に把握するには,単極誘導法で記録した脳波が基準となる.ここで基準となる電極は,脳の電位に対して0または0に近い場所を選択することが重要である.現実にはこのような部位を選び出すことが極めて困難であるので,通常は脳から比較的離れた諸点を利用している.しかし,これらの部位は近接する脳からかなりの量の電気活動の波及を受けて,電位変動を起こしている.またGoldman1)やOffner2)が,Wilsonの心電図単極誘導法から手掛かりを得て,脳波単極誘導法の一種として平均関電極誘導法を開発した.そして,Cooperら3)が理論的に検討して今日に至っている.本法は,頭皮上の電極のそれぞれに高抵抗をつないで一点に連結し,これを基準電極とする誘導法である.その抵抗の値は,Goldmanが1.5MΩ,Offnerは0.5〜2MΩの間で適当な選択を報告したが,一般に1.5MΩがよく使用されている.また,Cooperらは入力回路が過度の不平衡を起こさない範囲で各電極接触抵抗値の不ぞろいを補う程度の抵抗値を,電極接触抵抗値と電極数の積から算出し,前二者よりも低値である.この低い抵抗値の選択と脳波計の入力抵抗を無限大とした考えから,その抵抗値の違いによる基準電極の電位の差が小さいとして無視している.

編集者への手紙

RIインビトロテストの精度管理

著者: 高木康史

ページ範囲:P.85 - P.86

 最近はRIインビトロテストを用いて各ラボが活発にホルモン検査を実施するようになったのは喜ばしい傾向です.しかし数種の原因でラボ間の値に大きな差と変動があり,使用者側臨床医師の困惑と不信感を招いているのを種々見聞するので残念に感じています.他検査項目については日本医師会のコントロールサーベイなど,各種のチェックがあるので反省の機会もあるが,残念なことにRIインビトロテストについては反省検討の機会が皆無に近いのもこの原因となっています.
 念のため私の経験した値のバラツキの具体例を示すと次のようになります.

新しいキットの紹介

簡易同定キットOXI/FERM TubeとENTEROTUBEの併用による尿路感染菌同定の試み

著者: 丸山博巳 ,   前嶋義文 ,   二宮康行 ,   有沢幹雄

ページ範囲:P.87 - P.94

はじめに
 迅速でしかも正確な種の同定は臨床細菌検査の要請であるが,操作法から言って従来この2者はしばしば対立するうえ,技師の経験と熟練による部分が多く,特に小規模施設では特殊菌以外は完全同定に至りえない場合が多かった1).最近この実状の改善を目的に,特に腸内細菌科の菌属・種については多くの簡易同定キットが開発され,その有用性が確認されて各施設で用いられている2).我々が先に報告した3,4)Enterotube(以下E-tube)-ENCISE5)*もその一つである.他方,ブドウ糖非発酵グラム陰性杆菌についての知識は十分普及しているとは言えず,同定の簡易化も進んでいない.更にこれらの菌の分類・命名にも多くの論議があることなどから,多くの検査室ではPseudomonas aeruginosa他2,3の菌種が同定できるに過ぎない.しかるに近年のopportunisticinfectionの増大に伴い,これら非発酵グラム陰性杆菌の正確な同定の必要性はますます高まっている.我々は,非発酵グラム陰性杆菌の簡易同定を目指して開発されたOXI/FERM Tube**(以下OF-tubeと略称)と,従来からのE-tube-ENCISEとを併用し,Urotube6)を用いて患者尿より分離したグラム陰性杆菌の同定を試みたので,OF-tubeの特徴を含めて報告したい.

Laboratory Instrumentation

全自動血液ガス分析装置

著者: 上坂繁夫

ページ範囲:P.96 - P.99

デンマーク・ラジオメーター社製
Acid-Base LaboratoryABL2型
 過去15年間における血液の酸塩基平衡状態を測定する装置の進歩には目をみはるものがある.pH測定から間接的にPco2を求めるアストラップ法をはじめ,Pco2を直接Severinghaus電極で求める方法,そして今日では単一検体ですべての酸塩基平衡諸量を求めることができるまで進歩してきている.ラジオメーター社ABL1,ABL2はその典型的な自動化装置である.ところで,装置の自動化が次々と進められていく昨今であるが,その前に更に大切なこと,例えば装置内でのpH,カロメル(参照),Pco2,Po2,各電極の恒温状態,洗浄液・サンプルの予熱条件,較正液,ガスの完全恒温化など"温度管理"を十分考慮されたうえで自動化された装置であるのかどうか一つだけでも十分検討してみる目を器械の選定者,使用者側に持ってもらいたいと常日ごろ考えている次第である.

検査室の用語事典

心機能検査

著者: 椎名晋一

ページ範囲:P.101 - P.101

1) Adams-Stokes syndrome;アダムス・ストークス症候群
 心室から駆血が行われない際に,脳虚血を来し,意識障害,失神,痙攣などを来す状態をいい,不完全房室ブロックから完全房室ブロックに移行するときに心室自動が発現しない場合に生ずる.数分以上心室停止が続くと死亡する.一過性心室細動,頻発性期外収縮,発作性頻拍においても起きることがある.

内分泌検査

著者: 屋形稔

ページ範囲:P.102 - P.102

1) Acromegaly;末端(尖端)肥大症
 多くは下垂体の好酸性細胞腺腫(まれに過形成)により成長ホルモン分泌過剰を来して起こる症状.過剰分泌が骨端閉鎖前に起これば巨人症で,閉鎖中または後では本症.骨が長軸方向に発育できないので鼻,下顎,指先などの突出肥大が著しい.腫瘍が進行性のときは圧迫症状も加わる.

質疑応答

臨床化学 コントロール血清のALP値

著者: S子 ,   片山善章

ページ範囲:P.103 - P.105

 〔問〕コントロール血清(市販凍結乾燥品)を水で溶解した後,すぐ測定したときと,翌日測定したときとで,必ず後のほうが高い値になります.蒸発を防いでも同様です.どうしてでしょうか.また実際にどのように扱うべきでしょうか.お教えください.

臨床化学 BCG法の正確度

著者: Q生 ,   桑克彦 ,   木下隆 ,   北村元仕

ページ範囲:P.105 - P.107

 〔問〕BCG (ブレムクレゾールグリーン)法はアルブミン測定の正確な方法と言われておりますが,発色後の経時変化が検体によって異なり,首をかしげています.どうしてこのような現象が起こるのでしょうか.また,どうしたら正しい値が得られるでしょうか.

免疫血清 ASO価測定の注意

著者: Y子 ,   水谷昭夫

ページ範囲:P.107 - P.109

 〔問〕ASO価測定の際,ヘモリジンの力価がバラつくようなのですが,製品の選び方,使用上の注意などをお教えください.

微生物 用語"腸内細菌"とは何を指すのか

著者: K.S. ,   佐々木正五

ページ範囲:P.109 - P.111

 〔問〕最近,ヒトや動物の腸管内に生棲する細菌をフローラとしてとらえる分野の研究が盛んですが,そのような話のなかに"腸管に存在する細菌を腸内細菌と言う"という表現が見受けられます(例;化学と生物.15(7),472).この場合の"腸内細菌"はintes-tinal bacteriaを意味するものかと思いますが,一方,細菌分類学の分野でも"腸内細菌"という語でFamily Enterobacteriaceaeを表現しているように見受けられます.日本語ではいずれも"腸内細菌"でたいへんまぎらわしいように思います.intestinal bacteriaを"腸内細菌"と表現するのは妥当なのでしょうか.また「微生物学用語集」(日本細菌学会用語委員会編,菜根出版)にある"腸内細菌;Enteric bacteria"は上記のintestinal bacteriaを示すものでしょうか,お教えください.

微生物 Limulus testの原理と実際

著者: S生 ,   丹羽允

ページ範囲:P.111 - P.113

 〔問〕Limulus testにおけるカブトガニゲル反応のメカニズム,また実際に患者血清について行う場合の手技,要領,試薬の入手方法などについてお教えください.

臨床生理 BTPS係数表と実際

著者: C生 ,   三上智久

ページ範囲:P.113 - P.114

 〔問〕一般に使用されているBTPS係数表のうち,18℃と25℃の値が下記の表のように実際に計算したものと食い違いました.
 また,37℃における飽和水蒸気分圧は,47.0mmHgということになっておりますが,理科年表(丸善)によれば47.08mmHgとなっています.これらの違いが生じた理由をお教えください.

一般検査 便の中の小さな糸状寄生虫の鑑別

著者: A生 ,   鈴木了司

ページ範囲:P.114 - P.116

 〔問〕便の中に小さな糸状の寄生虫を発見したときの鑑別検査の進め方をお教えください.なお私の所は小病院検査室で設備はほとんどないのですが,良い方法があればお教えください.

一般検査 尿ケトン体と加熱

著者: I子 ,   井川幸雄 ,   今西昭雄

ページ範囲:P.116 - P.116

 〔問〕尿ケトン体の検査で,陽性尿を加熱した後で再検しても陽性のとき,何が出ていることが多いのでしょうか.また,加熱はどれくらいすればアセトン体がなくなると考えたらよいでしょうか,お教えください.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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