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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査22巻8号

1978年08月発行

雑誌目次

カラーグラフ

アイソザイムの染色パターン

著者: 加野象次郎

ページ範囲:P.818 - P.819

 電気泳動法の導入に伴い,アイソザイムの分離定量は,近年,広く行われるようになってきた.特に,LDH, ALP,アミラーゼ,CPKなどの酵素は既に日常分析に取り入られつつあり,障害臓器の診断のために,より質の高い情報を提供しつつある.
 アイソザイムの分析法には,分離の手段として,電気泳動法,ゲル濾過法,イオン交換法や等電点電気泳動法などがあり,それぞれアイソザイムの特質や分離の目的に応じて幾つかの工夫がなされている.ここでは,LDHとALPの代表的な2酵素について,症例を中心にその染色パターンを挙げ,また,異常なパターンに遭遇した場合の検索の過程を合わせて紹介する.

解説

著者: 加野象次郎

ページ範囲:P.820 - P.820

1.LDHアイソザイム
 図1には,正常の血清LDHアイソザイムパターンを示す.電気易動度の異なる五つのアイソザイムがほぼ等間隔で泳動される.セルロゲルは,電気浸透や分子ふるい効果の少ない膜であり,LDHのようなcharge isomerの分離には適した支持体と言えよう.
 次に,幾つかの疾患のザイモグラムを見てみよう.図2は心筋梗塞で,心筋由来のⅠ,Ⅱ型の上昇が特徴的である.しかし,溶血性貧血や悪性貧血など赤血球由来のLDHが出現する病態でも類似したパターンをとるので,Ⅰ,Ⅱ型の上昇のみから心筋由来と言い切ることは危険である.赤血球ではⅠ<Ⅱなのに対し,心筋ではⅠ>Ⅱである.もらうん,CPKやLDH/GOTなどの情報を加えれば,診断は更に確実なものとなる.また,心筋梗塞に伴って右心不全を呈した場合には,うっ血肝によるV型の上昇が加わることもある.白血病患者のザイモグラムを図3に示す.Ⅱ,Ⅲ型が優位に増加している.白血病細胞の幼若度に応じて,Ⅱ型の比率が高くなることが知られている.図4は,急性肝炎のパターンである.V型の上昇を特徴とするが,ⅣやV型の増加する疾患は悪性腫瘍や筋疾患など他にも多いので,他種の酵素との対応から考えを進めていく必要があろう.

技術解説

電極法によるNa,K,Clの測定とその評価

著者: 高原喜八郎

ページ範囲:P.821 - P.829

 電極法という言葉はことさら真新しいものではなく,例えばガラス電極による水素イオン濃度の測定などのように,古くから実験室で親しまれてきた言葉である.
 溶液中の水素イオン濃度(正確には活量a)に感応して,溶液中に浸された電極先端のガラス薄膜の内面と外面に電位差(起電力)が発生し,この起電力(mV)を他の比較電極の発生する基準電位(飽和KClカロメル電極では25℃で0.241V)に対して正確に測定し,mVまたはpH値目盛りで読み取るのがガラス電極pHメーターであった.ここで,理想的なガラス電極のpH 1単位当たりの起電力は25℃で59mVと言われている.したがって,測定系にもし±約6mVのエラーを許す場合はpH値として±0.1の誤差となり,実用上無視できない大きさとなる.このようなエラーの発生は,ガラス薄膜部の電気抵抗値の大きさ,または起電力が増幅器に入る初段真空管の入力グリッドの暗電流の大きさに支配されている(トランジスター回路についても同様である).すなわち,オームの法則より,

新しいモニター

著者: 小野哲章 ,   橋本節夫 ,   横山隆

ページ範囲:P.830 - P.836

 ME(Medical Engineering)機器は大別すると,計測用機器と治療用機器に分類することができる.計測用機器を更に分類すると,検体検査用計測器と生体生理情報計測器の二つに大きく分けることができる.更に後者は,心電計や脳波計のような疾患の診断のための分析的な計測器と,手術中や手術後の血圧や心電図の波形の推移を観察するためのモニター用の計測器に分けることができる.ここでは,特に最後のモニター用計測器について最近の進歩を解説する.
 モニター(monitor)とは"監視器・監視者"の意味で,ME機器の中では,特別に記録したり数値的計測をする目的ではなく,現在の患者(被検者)の状態を観察・監視するための装置であると言うことができる.モニター情報としては一般には,心電図と血圧波形であるが,このほか呼吸曲線,血流波形,心音図,脳波などがある.また心音図検査やUCG検査のように一般に記録波形がすぐ見られない場合には補助的にモニターを使う.

TSHによるクレチン症スクリーニング検査

著者: 宮井潔 ,   大浦敏明 ,   藪内百治 ,   川島実

ページ範囲:P.837 - P.843

 甲状腺ホルモンは生体内のあらゆる代謝に関係しているため,このホルモンが胎生期から欠如すると,身体の発育遅延と知能低下を来す.これがクレチン症で,先天性甲状腺機能低下症とほぼ同義語として用いられている.本症の知能低下は非可逆的で,精神薄弱児となる可能性が大きいため,社会的にも重大な問題である.しかしKleinら1)の研究によって,新生児期に発見して甲状腺ホルモンを投与すれば,この知能低下がかなり防げることが分かって以来,早期診断・早期治療が叫ばれるようになった,しかし典型例は別として大部分の例では,その症状だけから発見することは非常に困難である.
 そこでフェニールケトン尿症(PKU)など他の先天性代謝異常疾患について行われているように,出生児全員について検査をし,その中から異常児を見いだそうとする,いわゆるマススクリーニングが注目されるようになった,一般的に言ってマススクリーニングの対象となるには,表1のような条件が満たされなければならない.クレチン症では,PKUなどと同様あるいはそれ以上にマススクリーニングの対象になりうることが分かるであろう.

総説

胆石の生成機序

著者: 大菅俊明

ページ範囲:P.845 - P.850

 街道筋を旅の途中で,姫君が癪(しゃく)の発作を起こし,腹痛の激しさに耐えかねているとお付きの仲間(チュウゲン)が薬籠から熊の胆(い)を取り出して与え,介抱するくだりは歌舞伎の舞台などでおなじみのシーンである.恐らく癪の発作は胆石が主な原因であったろうと推測されるが,胆石は古くから知られ,今日においても代表的な消化器疾患の一つである.日本人の胆石保有率は約5%であり,この中には無症状で当人が一生気付かずに墓の中まで持ってゆく,いわゆるsilent stoneも多い.しかし最近ではドックや検診が普及してきたので自覚症なしでも胆石を発見され,どうしてこんなものができたのかしら,偏食したからだろうか,できやすい体質なのだろうか,このまま放置してよいのだろうかなどと首をかしげる人も多い.ましてや,七転八倒の疝痛発作を経験した者にとっては,胆石の成因,治療法,予防などは切実な問題である.
 胆石を化学成分からみたとき,コレステロールを80〜100%含むコレステロール系石と,ビリルビンや不明の胆汁色素,無機質を主成分としていてコレステロールをわずかしか含まぬ色素系石(ビリルビン系石)に二大別すると便利である.分類し切れない胆石も多いが,この分類の典型例は,成分ばかりでなく種々の点で異なっているからである.

臨床化学分析談話会より・59<関東支部>

臨床化学検査といかに取り組むか—新しい仲間を迎えて

著者: 仁科甫啓

ページ範囲:P.851 - P.851

 第211回臨床化学分析談話会関東支部例会(1978.4.18)は東大薬学部記念講堂にて開催された.当日は春雨とは思えないほどの土砂降りであったが,多数の参加者があった.
 今回は"新しい仲間を迎えて"として"目と手と頭で"と題して東大薬学部の田村善蔵先生,"新人の方々へ"と題して東海大医学部の丹羽正治先生,"臨床化学検査への期待と問題点"と題して慈恵医大の阿部正和先生の3先生に話題提供していただいた.

臨床検査の問題点・105

細菌尿の簡易検査

著者: 猪狩淳 ,   小栗豊子

ページ範囲:P.852 - P.856

 検査法の簡易化が進むなかで,尿中菌数の測定も例外でなく,従来の定量培養法に代わって種々の簡易法が普及している.ここでは,現在市販されている代表的なものを取り上げその有用性,特徴,限界を検討する(カットはdip-slide法のウロメディウム).

検査と疾患—その動きと考え方・20

アルコール中毒—その肝障害の病像の推移

著者: 伊藤進

ページ範囲:P.857 - P.865

患者 135歳,男
主訴 嘔気,腹痛

Ex Laboratorio Clinico・20

α-フェトプロテインと私

著者: 平井秀松

ページ範囲:P.866 - P.871

癌特有のタンパク質
 私が癌研究を志したのは1958年ごろであったから,数えてみればもう20年も前になる.全く時のたつのは早いものだ.その前の十数年間,私は主として電気泳動法などを利用した血清タンパク質の分画法を中心とするタンパク質の物理化学的研究が多かったが,医学部の生化学は臨床医学に密着すべきであるとの平素からの念願もあり,患者に最も近いテーマとして癌を選んだのである.さりとていったいどこから癌にアプローチするかの具体案があったわけではなかったが,タンパク質の取り扱いについては多少の心得があったので,とにもかくにも癌のタンパク質を解析してみようと思いたったのである.
 癌細胞には正常細胞には存在しない,癌特異のタンパク質があるに違いない.これはむしろ私の信念に近いものであったかもしれない.とは言っても,正常細胞には存在しない癌特異の酵素タンパクを発見することも,またホルモンタンパクを発見することも私には到底不可能と思われたので,癌タンパクの抗原性を指標に特異タンパクを検索する方法に落ち着いたのである.つまり癌細胞よりの抽出液をもって動物を免疫し,得られた抗血清を正常細胞抽出液で吸収すれば,癌タンパクとのみ反応する特異抗血清が得られるはずだ,この反応を指標にそのタンパクを追求してみよう,といったごくありふれたアイディアであった.

座談会

救急医療と検査

著者: 藤沢正輝 ,   梅垣健三 ,   中甫 ,   林長蔵 ,   都築正和

ページ範囲:P.872 - P.878

 救急医療に欠かせない緊急検査(emergency)は現在,十分役割を果たしているだろうか.それには病院の内外の救急臨床検査システムの確立が肝要であり,検査項目・機器・担当人員・実施場所などの検討が必要となるが,それ以前に緊急検査の必要性の再認識が求められる.

新しい末梢脈管機能検査法・2

指尖脈波

著者: 椎名晋一

ページ範囲:P.879 - P.883

 かつて脈波計は四肢の容積変化を空気または水を介しててこなどで拡大記録するもので,指尖のような微小な容積変動を記録することは困難であった.1954年Bu-rch1)によって,タンブラー方式を改良して光点の動きを感光紙に記録するようになって,指尖の微小変動の記録が可能になった.その後,エレクトロニクスの発達に伴い,指趾尖の透過光あるいは反射光の吸光量変化を指趾尖の容積変化として電気的に記録する光電式が考案された.また指趾尖の容積変化をインピーダンスの変化で求めるインピーダンス式,閉鎖管式内におかれた指趾尖の容積変化を,その中の空気の容積あるいは圧変化として求める空気ストレンゲージ式などが考案された.
 近年これらの機器を用いての末梢脈管機能の検査が行われ,臨床的にも有用な情報を提供するものと認められている2〜5).ここでは脈波を中枢脈波と末梢脈波とに分け,前者は主として圧脈波,後者が容積脈波を対象とするので,末梢容積脈波について述べる.

研究

脳波"平均関電極誘導法"の研究(Ⅱ)—diffuse αによる検討

著者: 阪本実男

ページ範囲:P.884 - P.888

はじめに
 頭皮上に置いた活性電極のそれぞれに高い抵抗をつないで1点に連結した基準電極と,活性電極との間で脳波記録をする平均関電極誘導法1,2)がある.本法は,Cooperら3)が電極接触抵抗に見合った比較的低い構成抵抗値の使用と,脳波計の入力抵抗を無限大とする考えから,平均関電極の電位は構成抵抗値の種類による変化が小さいとして無視し,電極の数だけが関係する理論式を導出した.しかし,著者はGoldmanの示す高い抵抗値の使用と脳波計の入力抵抗が有限の値であるとの考えに基づき,広範な条件に適応する一般的な理論式を新たに設定し実験で証明して既に報告4,5)した.それは,電極の数や平均関電極網を構成する抵抗値,脳波計の素子数などが変数となって平均関電極に生じる電位(活性化)の大きさに関与することである.
 本論文で,平均関電極網を構成する抵抗の値を変えた場合に,平均関電極誘導法で記録された脳波を比較するとともに平均関電極に生じる電位を調べ,著者の理論で構成抵抗値の種類により平均関電極の電位が異なるということを臨床的に検討した.

市販コレステロールキット(酵素法)の信頼性に関する検討

著者: 松永義朗

ページ範囲:P.889 - P.892

はじめに
 臨床検査の進歩と検査件数の増加に伴い,検査室作業の能率化の一助として現在臨床化学検査のキット類が多数市販されるようになった.私たちの検査室においても数種の検査に市販キットを導入しているが,各メーカーからそれぞれ異なる原理の様々な製品が発売されており,選択に苦しむことが多い.
 1965年Barnett1)は臨床化学検査の測定技術の検討法を設定し,その方法によって市販キット類の信頼性を比較検討した1,2).筆者も1973年コレステロール直接法のキット5種を選び,製品によっていろいろな問題点のあることを明らかにした3).今回私たちは我が国で市販されているコレステロール酵素法キット6種を選び,その精密度及び正確度について比較検討を行った.

ときほぐし筋線維における運動神経終板のコリンエステラーゼ染色について—筋生検への応用

著者: 内田洋子 ,   朝長正徳

ページ範囲:P.893 - P.895

緒言
 運動神経終板の形態学的変化の検索は,神経筋疾患の病態を知るうえでの一つの手掛かりとなり,神経筋疾患の診断のうえで,極めて重要である.筋生検で日常行われている検索方法は,筋組織の切片についてコリンエステラーゼ(ChE)染色を行うものである.この場合,終板は切れ方によって形・大きさが様々になり,その全体像を捕らえにくい欠点がある.またヒトの生検筋の場合,採取量の制限より切片上では見いだされる終板の数が少なく,多数の終板について変化を検索することが困難である.そこで我々は,切片に代わってときほぐした筋線維にChE染色を行うことを試み良好な結果を得,これを日常臨床検査に応用できると考えたので報告する.

編集者への手紙

尿中酵素の再認識—乳酸脱水素酵素

著者: 蓮沼紀子 ,   佐野紀代子

ページ範囲:P.896 - P.896

 患者に苦痛を与えず,しかも多量の試料が手に入る尿を拾てておくのは惜しい.なんとかもっと臨床化学分析材料として利用できないだろうかという気持ちから,尿中成分分析に取り組んでから約3年になる.その間SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動による尿タンパク分析(佐野紀代子,他;生物物理化学,21,227〜232,1977),尿中γ-GTP総活性及びそのアイソザイム分画(佐賢紀代子,他;臨床病理,23,819〜822,1975,長裕子,他;臨床病理,25,921〜926,1977)と実験を進めてきた.これらの経験を通してみると,尿が排泄物ゆえの悩みはあるけれども,それなりの処理をほどこせば血清成分と同様,尿中成分も決してないがしろにできないという意見に到達した.尿中γ—GTPが血中のそれより多く存在し,しかも臨床的意義を持つことにすっかり気を良くして,血清酵素の中でもいちばん多く測定されている乳酸脱水素酵素(以下LDH)に焦点を合わせた(蓮沼紀子,他;衛生検査,25,466,1976).
 尿LDHに関する報告を探してみると,20年前に少し研究がなされているのみで,近年ではあまり報告がなされていない.このことに意を強くして,LDHに挑戦した次第である.そこでまず常法どおりLDH活性及びアイソザイム分画の測定のための基礎的検討を行った.その結果,次のごとくに行えば良いことが分かった.

新しいキットの紹介

エンザイムイムノアッセイ法(持田)による血中インスリンの測定

著者: 村上ひろ子 ,   眞重文子 ,   大久保昭行 ,   亀井幸子 ,   山中學

ページ範囲:P.897 - P.900

はじめに
 血中の微量ホルモンを測定するために,放射免疫測定法(RIA法)が導入されて1),広く臨床に利用され多大の貢献を残してきた.しかし放射性物質の使用には特殊な設備,装置を必要とすること,使用後の放射性物質の廃棄などRIA法は広く日常臨床検査に取り入れるうえで障害となる問題を抱えており,放射性物質を用いないですむホルモンの定量法の開発が望まれていた.
 Engvall, E.とPcrlman, P.(1971)によって開発された酵素免疫測定法2)は,この要望を満たすものとして大きな期待が寄せられ,種々のホルモンの定量法の開発が試みられている.

新しい機器の紹介

Hematology Analyzer HA/4の試用経験

著者: 新谷和夫 ,   菅沼清

ページ範囲:P.901 - P.903

はじめに
 自動血球計数器の動向の一つに小型化,軽量化が挙げられる.我々もその中からACCU-STAT自動血球計数器について試用経験1)を発表したことがあるが,今回はその発展型であるHematology Analyzer HA/4(Clay Adams, Division of Becton Dickinson and Company製;以下HA)について報告する.

Laboratory Instrumentation

細菌培養自動測定装置

著者: 富永公道 ,   藤岡秀彦

ページ範囲:P.906 - P.909

 近年,臨床生化学検査の分野は装置の自動化,コンピューターシステムの導入によって目覚しい発展を遂げてきているが,臨床細菌検査の分野では,測定対象物が単なる物質ではなく細菌という生きた微生物であり,その細菌の増殖を確認し正確に同定するためには,ある量以上の菌の存在が必要となり,当然その培養のためには長時間を必要とするため,その自動化・迅速化は極めて困難なものとされてきた.しかしその絶対的な必要性から,細菌増殖時に起こる特異な物理現象の微少な変化を装置によって捕らえ,細菌の増殖をより早く検知し,かつ的確な同定を行う研究が,ここ数年ようやく盛んに行われるようになってきた.すなわち,ガスクロマトグラフやマイクロカロリーメーターを利用する方法,比濁による方法,インピーダンスの変化を追跡する方法などがその主なものである.
 これらの方法にはいずれも一長一短があるが,ここで紹介する細菌培養自動測定装置Orga6は,インピーダンス法を基盤とした自動化・迅速化装置であり,洗浄,滅菌,培養,測定など一連の操作が簡便なうえ,広範囲な応用性を持つものである.既に外国では細菌培養測定の自動化・迅速化のための二,三の機種の実用化がなされているが,インピーダンス法による装置の国産化では初めての試みである.

検査室の用語事典

心機能検査

著者: 椎名晋一

ページ範囲:P.911 - P.911

84) Premature beats;早期収縮
異所性起源の刺激により期待される心拍の時点よりも早く生じた収縮を言い,期外収縮(→47)とも言う.異所性起源の場所によって心房性,房室(接合部)性,心室性に分類される.弁膜疾患,虚血性心疾患,ジギタリス中毒などに生じやすい.心房性では陽性P波がQRS群の前に見られ,房室性では陰性P波がQRS群の直前,中,直後に見られる.心室性では陽性P波が本来の位置に存在するが,QRS群の中にあって見られないことが多い.

内分泌検査

著者: 屋形稔

ページ範囲:P.912 - P.912

70) Luteinizing hormone (LH);黄体形成ホルモン
分子量26,000の糖タンパク体より成る下垂体ホルモン.女性で成長卵胞を成熟させ,排卵,黄体形成を起こさせる.男子では睾丸間質細胞を刺激してテストステロンを分泌させるからICSH (interstitial cell stimulating hormone)とも呼ばれる.これらの標的細胞のリセプターと結合し,c-AMPを介して作用する.

質疑応答

臨床化学 ネフェロメトリー,ネフェロメーター/セルロース・アセテート膜の選択方法

著者: E生 ,   細谷純一郎 ,   M生 ,   青木紀生

ページ範囲:P.913 - P.916

 〔問〕ネフェロメトリー,ネフェロメーターとは何ですか,何に使われる方法でしょうか.

 〔問〕セルロース・アセテート膜には大変たくさんの市販品の種類があり,どれを選んだらよいか迷うばかりです.どのような条件のためにはどのような性質のものを選んだらよいか,その選択の基準を具体的かく詳しく教えてください.

臨床化学 血漿レニン活性値

著者: M生 ,   福地稔

ページ範囲:P.916 - P.918

 〔問〕血漿レニン活性値に関する資料をいろいろ調べたのですが,いまひとつ満足のいくものがありませんでした.血漿レニン活性値の測定法,正常値,またアルドステロンなどとの関係を詳しくお教えください.

血液 線維素溶解因子の測定

著者: S生 ,   藤巻道男

ページ範囲:P.918 - P.920

 〔問〕フィブリン平板法で線維素溶解因子の測定を行っています.0.1%ウシフィブリノゲン(ベロナール緩衝液,pH8,6で溶解)に60単位のトロンビンを加えてフィブリン平板を作製する方法です.以下の組み合わせでは何の因子が測れるのか教えてください.
 加熱平板または標準平板に,(1)血漿を載せる (2)ユーグロブリンを載せる (3)ストレプトキナーゼ(2,000U)+ユーグロブリン (4)ウロキナーゼ(50U)+ユーグロブリン

血液 コラゲン浮遊液の作製法

著者: W生 ,   今岡真義

ページ範囲:P.920 - P.921

 〔問〕血小板凝集能の測定に用いるコラゲン浮遊液を手製で作製する方法,またその保存法や再現性について教えてください.また簡単に入手できる標準品があれば,併せてご紹介ください.

微生物 Antibody-coated bacteria

著者: K生 ,   大沢源吾

ページ範囲:P.921 - P.922

 〔問〕尿路感染症における感染部位の決定上有意義な検査方法にantibody-coated bacteria (ACB法)の検出があり,これは1974年Thomasによって考案された方法です.1978年2月号のモダンメディスン(朝日新聞社)にもその比較成績が述べられていましたが,尿中細菌の処理方法の点で多少不明な点がありましたので,処理法を詳しく説明してください.また"上部尿路感染症由来の細菌は,病巣局所で産生された抗体にCoatingされている"事実に基づいて,ACB法が考案されたとありますが,病巣でも抗体産生が起こるのでしょうか.

病理 ヘマトキシリン液と染色時間

著者: W生 ,   河又國士

ページ範囲:P.922 - P.925

 〔問〕ヘマトキシリン(Mayer)染色で染色ごとに時間が違います.これはヘマトキシリン作成の技量不足でしょうか,それとも他に原因があるのでしょうか.

検査機器 自動分析器のシフト

著者: S生 ,   奥田清 ,   小林紀崇

ページ範囲:P.925 - P.926

 〔問〕自動分析器による測定ではよくシフトが起こるのですが,なかなかすぐに発見できません.すぐ発見するための良い方法をご教示ください.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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