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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査22巻9号

1978年09月発行

雑誌目次

カラーグラフ

前白血病状態

著者: 新谷和夫

ページ範囲:P.932 - P.933

 急性白血病に先行する各種の血液学的異常の状態を前白血病状態と呼ぶが,この時期に確実に白血病と診断することはたいへん困難である.ただし末梢血,骨髄などについて注意深く観察すると,前白血病ではないかと疑わせるような形態的変化が起こっている例がある.経験した一症例の標本から問題になった細胞を拾ってみたが,現在では形態学的な変化のほかに機能的な変化,染色体異常なども問題になっているので,カラーグラフ解説(934ページ)を参照していただきたい.

解説

著者: 新谷和夫

ページ範囲:P.934 - P.934

 前白血病状態1)の診断はたいへん困難であるが,再生不良性貧血,真性多血症,骨髄線維症,血小板血症,後天性特発性鉄芽球性貧血,発作性夜間血色素尿症などと考えられていたものが,経過とともに急性白血病の病像を呈したという例と,前述のような明らかな疾患を推定はできないが,何か血液疾患ではないかと疑っているうちに白血化してきた例がある.
 平福ら2)によれば,"いわゆる前白血病期とは,白血病の臨床的確認に先行する,白血病性とは断定できない血液異常を示す時期と理解される"と定義きれている.これからも明らかなように,振り返って検討すればかなりの確実性をもって白血病と推定できる場合があるのは事実だが,逆に経過中にprospectiveに診断するにはたいへん困難がある.今回カラーグラフに採用したこのは最初の自験例3)で,平福らの日本血液学会宿題講演でも第2例として扱われているものであるが,標本を通覧するたびに診断の困難さを痛感しているものである.

技術解説

血小板凝集能検査

著者: 山崎博男

ページ範囲:P.935 - P.943

 血小板が異物表面に付くと同時に互いに凝集する現象が1885年,EberthとSchimmelbuschによりviscous metamorphosisとして記載され,血小板がなんらかの機能を持っている細胞であると認識されて以来,血小板の凝集現象は血小板機能の中で最も特徴的かつ重要なものとして,多くの検討がなされている.凝集の機構についてはなお完全な解決をみていないが,現在,血小板機能低下を示す種々の血液疾患のみならず,機能亢進の考えられる血栓症,動脈硬化性疾患,糖尿病などについても多くの臨床的検討があり,血小板凝集能検査は広く行われつつあるようになった.赤血球から出る因子が血小板を凝集するという観察に始まって,この因子がアデノシン二リン酸(ADP)であるとしたGaarderらの報告1)以来,血小板凝集におけるADPの役割が極めて重視されている.
 ADP凝集が生体における血小板凝集をすべて説明しうるかについては若干の疑問があるが,現在血小板を凝集させる60ばかりの物質によって起こる凝集の多くにおいて,血小板内部のADP(内因性ADP)の放出が,凝集機構において重要であるという成績からも,血小板凝集起因物質としてADPが最も広く用いられている.

血小板寿命検査

著者: 塚田理康 ,   斉藤京子

ページ範囲:P.944 - P.950

 血小板も他の血液細胞と同様に,絶えず新生と破壊が繰り返されながら一定数を維持している.この動的平衡がくずれ破壊量が産生量を上回ると血小板数は減少し,産生量が破壊量をしのぐようになると血小板数は増加を示すことになる.赤血球の産生量が59Fe法,赤血球寿命が51Cr法により測定されると同様に,血小板の産生量,破壊量も一般にはアイソトープを用いて測定されている.
 血小板産生量を直接測るものとしては,75Se-selenomethionine,35S-sulfate,35S-methionine,32P-sodium phosphateを静注して骨髄巨核球の細胞質を標識し,その細胞質から血小板が分離される際に血小板内に残った放射活性を,末梢血血小板を集めて測定する方法がある.この方法は血小板以外の血球,血漿タンパクも標識してしまうため,血小板寿命の著しく短い例,著しい巨核球低形成例では正確な値を得ることが難しい.また巨核球を標識する時間が血小板の平均寿命に比べて長いことなどの理由で,臨床検査としては用いられていない.

Immunoselection法

著者: 猿田栄助 ,   長縄謹子

ページ範囲:P.951 - P.957

 1970年J.Radl1)は通常の免疫電気泳動法(Grabarらの法)と基本的には同一の方法で,検査目的に応じて支持体中のカンテン(あるいはアガロース)に,ある特定の特異抗血清(原法では主としてL鎖血清κ,λ)を含有させることによって,①通常の免疫泳動法ではL鎖の型別が困難で,異常タンパクの性状が決定し難い症例,②免疫グロブリン・フラグメント病(例えばγ,α鎖病),あるいは③生物の体液から得られる微量の免疫グロブリンの型別が可能なる方法を開発し,これをImmunoselection plate法と命名した.
 しかも本法は被検試料中の免疫グロブリンを術前に単離したり,特殊な抗血清を調整する必要もなく,慣行の装置,器具,試薬,抗血清(ただし抗体価の高いもの)を使用して,日常の免疫泳動を行うのと同程度の容易さで実施できる方法である.特に免疫グロブリン・フラグメント病の診断には,通常の臨床検査室レベルでの検査法として,有効な手技として記憶されるべき方法である.

総説

医療経済と臨床検査

著者: 石原信吾

ページ範囲:P.959 - P.964

 我が国の病院では現在,総職員の5%前後を占める検査部の職員が,総収入の10%前後の収入をあげながら仕事をしている.もっともこれは,公的一般病院の平均像であって,病院の種類により規模により機能度によって,個々の病院ではかなりの違いがみられることは言うまでもない.精神病院では3.5%前後の職員が7%前後の収入をあげており,結核病院では1〜2%の職員が2〜3%の収入をあげているというのが,大体の平均像と言える.
 我が国の病院は終戦後大きな転換を遂げてきたが,それをリードする重要な指導原理の一つが"業務の中央化"という原理であって,病院の中央検査部がその推進過程の中で,病院機構の中に新しく登場してきたことは周知のとおりである.その後,病院の機能は急速に高度化を進めながら今日に至っているが,その際に,病院機能の重要な一翼を担う臨床検査部が常にその先導的役割を果たしてきたことは当然と言えよう.特に1965年以降,機能の高度化のスピードが増すとともに,検査部の発展ぶりは,装備的にもまた人員的にも目覚ましいものがあった.1955年以降に始まり,特に1965年を越してから早まった我が国の病院の近代化の歩みの中で,臨床検査部は最も発展した部門と考えて良いであろう.

私のくふう

真空ポンプを利用した血清採取装置

著者: 中嶋精一

ページ範囲:P.965 - P.965

 臨床検査においては血清分離は避けられない.またこれに伴うコンタミネーションも避けられない問題と思う.私たちの検査センターでは真空採血管使用による分離や,また駒込ピペットによる分離を行ってきた.
 この場合2〜3本を交互に使用したり,水で洗浄し,できるだけコンタミ防止に努めてきたが,水での洗浄のための希釈の防止は避けられず,また採血量の多い血清の後に分離する少量の血清へのコンタミが問題になる.HB抗原のRI測定で,この血清コンタミが問題になったこともある.これの防止としてシュアーセップなどの血清分離剤の使用も考えられるが,採取血清量の問題やコスト面から採用し難い.また2〜5ml用の定量採取ピペットで分離を行い,その都度先端のチップを交換すればいいのだが,手間の問題がある.いろいろ方法を検討したうえで真空分離器を作製しコンタミの程度を比べてみたところ,比較にならないほどの良い成績をおさめた.少量採血検体の血清採取量アップ,また時間の短縮そして重要な検体と分離用スピッツのラインナンバーや氏名の照合の確認も確実にでき,より完全度が高まったと思える.

臨床検査の問題点・106

SRIDによるタンパク定量

著者: 松橋直 ,   大竹皓子

ページ範囲:P.966 - P.972

 市販の免疫拡散板によるタンパク定量は,その簡便性から日常検査に有用であるが,標準血清,支持体の選択,二重リングの解釈など問題点も少なくない.免疫グロブリン,ハプトグロビンを具体例にして話し合う(カットは市販の各種免疫拡散板).

検査と疾患—その動きと考え方・21

悪性貧血

著者: 山内博正 ,   小峰光博 ,   前川正

ページ範囲:P.973 - P.980

 症例 I.K.16歳,男
 主訴 疲れやすく全身がだるいこと,頭痛,体動時のめまい.

Ex Laboratorio Clinico・21

血液型A3(?)との出会い

著者: 平沢太郎

ページ範囲:P.981 - P.985

例外とは
 それは自然現象,社会現象,思惟現象などについて,人々が意識的か無意識的にかは別として,科学的または常識的に認識あるいは了解している事象に対し,その認識あるいは了解の根拠になっている本質的条件を表面上あるいは見掛け上否定するがごとき現象が発生したときに,"これは例外である"と称しているので,この際本質的にはなおその事象に固有な法則の作用を認めながらも,その現象は特殊条件により隠蔽され,最早その事象に固有な法則の発現とはみなされなくなっているのである.これが一般に"例外"と称している現象の本質的規定ではなかろうか.
 およそ例外の認められない自然現象や社会現象がこの世界に存在するであろうか,私は存在しないものと理解している.人間の心理現象についてもまたしかりである.もし仮にそれをあるものと考えるならば現実の誤認であろう.臨床検査においても同様である.

座談会

伝染病予防法はこのままで良いか

著者: 春日斉 ,   林部弘 ,   藤森宗徳 ,   小張一峰

ページ範囲:P.986 - P.993

 1897年(明治30)生まれの伝染病予防法は,片仮名で書かれた法律として80年を経過して,近年その法改正が論議されている.最近の有田・横浜両事件の経験,そしてラッサ熱などの輸入感染症のように法制定当初とは社会事情を異にした現在,どのような矛盾に直面しているのか,更にそれが法改正につながるかどうか関係者に語っていただく.

新しい末梢脈管機能検査法・3

サーモグラフィー—赤外放射像による診断法

著者: 壽田鳳輔

ページ範囲:P.994 - P.998

Ⅰ.サーモグラフィー,熱像診断法
 現今すべての臨床の実際で,各種の病気の診断に特徴のある診断法として活躍しているのは,人体の硬組織を中核的な被検対象とするX線診断法,人体の軟組織を中核的な被検対象とする超音波(断層)診断法,それに加えて,身体から放射される赤外線の検出とそれを二次元画像とするサーモグラフィー,熱像診断法(赤外放射像診断法)が列挙される.これらの診断法のうちでは,X線診断法を除いてはいずれも戦後派で,特に熱像診断法は20歳程度の成長年齢である.医用サーモグラフィーに使用される装置を医用サーモグラフと総称するが,1957年に米国において最初に開発されて以来,今日までに米国,スウェーデン,英国,フランス,日本などにおいて実用機種が開発されている.
 医用サーモグラフィーあるいはサーモグラフィーの臨床応用は,人体が発生源である赤外放射(線)を光学系によって検出器(熱検出器あるいは光量子検出器)に導き,検出器による電気的変化をオシロスコープ(CROと略)の輝度の変化として,それをカメラで撮影し写真とし,臨床診断のための資料を提供する方法である.そして,人体の赤外放射像の写真がサーモグラム(熱像写真,赤外放射像写真)である.CROの輝度の差異や変化は写真では明暗・濃淡となり,通常は白黒写真では白は明で黒は暗となるが,その程度を表す尺度として,温度表示を用いる.

研究

脳波"平均関電極誘導法"の研究(Ⅲ)—インピーダンス変換器の試作と適応

著者: 阪本実男

ページ範囲:P.999 - P.1004

はじめに
 平均関電極誘導法は,頭皮上に置いた活性電極のそれぞれに高い抵抗をつないで1点に連結して人工的に基準電極を作り,これを基にして活性電極との間で脳波記録する方法1〜4)である.この基準電極を構成する抵抗値は,Goldman1)は1.5MΩ,Offner2)は500kΩ〜2MΩを使用した.この高い抵抗値の使用と脳波計の入力回路の不平衡から交流障害の除去が問題とされている.またCooperら3)は,電極接触抵抗値に見合った値を構成抵抗として使用し,交流障害を小さくしているようであるが,脳波計の入力回路の不平衡からの影響が避け難い問題として残っている.このように入力回路の不平衡すなわち,G1側に対しG2側の入力抵抗は脳波計の素子数の並列値を示すことが避け難い問題である.このG1側の入力抵抗に対する電極接触抵抗の割合とG2側の合成入力抵抗に対する平均関電極網の構成抵抗や電極接触抵抗に由来する合成抵抗の割合が等しければ,交流問題は無視できる.このような事柄を満たす一手段は,著者が前著5)でインピーダンス変換器の利用であることを示唆した.

免疫拡散板による血漿第Ⅷ因子の測定法

著者: 宮谷勝明

ページ範囲:P.1005 - P.1008

緒言
 血漿第Ⅷ因子(Antihemophilic factor)1)は内因性トロンボプラスチン形成に必須の血液凝固因子であって,その先天性の欠乏は血友病Aの凝血障害として古くから知られている.
 生物学的活性として血漿第Ⅷ因子を測定するには,トロンボプラスチン生成試験による二段法2),部分トロンボプラスチン時間を応用した一段法3,4)が用いられている.これとは別に,免疫学的測定法5)も導入されるようになったが,一元平板免疫拡散法6)では血漿第Ⅷ因子を測定するのに検出感度が低いために,低値を示す疾患7,8)に対しては不便さがあった.

赤血球凝集反応によるα-フェトプロテイン測定のマイクロプレート化の検討

著者: 小安美佐子 ,   秋本康子 ,   母里啓子 ,   上野正巳

ページ範囲:P.1009 - P.1011

はじめに
 悪性新生物による死亡順位の第3位を占め年間1万人以上の死者を出す肝癌1)(人口10万対9.2,男12.0,女6.6)については,原発性肝癌の際に血中に現れ,出現率と特異性が高いα-フェトプロテイン2,3)の検索が診断的価値のあるものと高く評価されている.
 現在では,α-フェトプロテインについては種々の測定法があるが,我々は肝癌の検診を胃癌集団検診と同時に消化器検診の一環として行うことを試み,一時に多数の検体を短時間で,かつ感度の高い方法で処理することを検討した結果,持田製薬から発売されている血中α-フェトプロテイン測定試薬"FPテストモチダ"キットに注目し,そのマイクロプレート化を試みた.

臨床化学分析談話会より・60<関東支部>

臨床化学の国際的動向—標準化への強い結束を

著者: 戸谷誠之

ページ範囲:P.1012 - P.1012

 第212回臨床化学分析談話会関東支部会(1978.5.16)は東大薬学部記念講堂において"臨床化学の国際的動向"と題して開催された.
 初めに大阪市立大教授奥田清氏より"標準化の国際的動向"について,次いで国立小児病院戸谷誠之(筆者)の"第10回国際臨床化学会議報告"と題した話題提供があった.

新しいキットの紹介

アミラーゼテストAシオノギによる尿中アミラーゼ測定に関する諸検討

著者: 阪東慶一 ,   入江章子

ページ範囲:P.1013 - P.1015

はじめに
 現在,血清ならびに尿アミラーゼ測定には,感度,精度が極めて優れ,また操作もはなはだ簡易であるとの理由で,クロモジェニック法1,2)が広く繁用されている.しかしこの方法においては,尿アミラーゼ測定の際,しばしば低値を得ることが指摘され,種々の活性物質の必要性が報告3〜7)されている.すなわち,アルブミン3〜7)や類似物質のポリビニルピロリドン4),ポリエチレングリコール4)に加え,グロブリンやムチン5)などが挙げられ,各々のアミラーゼ活性効果について詳細な検討が行われている.
 今回,アミラーゼテストシオノギにbovine scrum albuminを添加したアミラーゼテストAシオノギが開発されたので,本法と従来法との比較検討を試みたところ,従来,種々問題とされてきた尿アミラーゼ測定上の欠陥をほぼ解決しうるとの成績が得られたので報告する.

ラテックス凝集反応とRIA法によるHPL(HCS)測定法の比較

著者: 川口忠幸 ,   石原静盛 ,   石田初恵 ,   端山京子

ページ範囲:P.1016 - P.1018

はじめに
 Human placental lactogen(HPL)または,Human chorionic somatomammotropin(HCS)と呼ばれるホルモンは,Josimovich及びMaclaren1)によって,1962年に存在が明らかにされた.以来,Human chorionic gonadotropin(HCG)に次ぐ第二の胎盤タンパクホルモンとして注目を浴びてきており,我が国でも産婦人科領域において,HPLの測定法とその測定値の解析には多くの報告2〜8)がみられる.
 今回,著者らは新たに開発されたラテックス凝集反応によるHPL測定法について,ラジオイムノアッセイ(RIA)法と比較検討したので,その成績を報告する.

新しい機器の紹介

Glucolyzerによる尿糖定量法の検討

著者: 赤井俊洋 ,   桜井育子 ,   富家香 ,   肥塚卓三 ,   畠山勅男 ,   奥田清

ページ範囲:P.1019 - P.1022

はじめに
 尿糖の定量法は,糖の還元力を応用したPavy—隈川—須藤法,Benedict法1),Somogyi法2),酸化的縮合反応を応用したο—トルイジン—ホウ酸法,酵素との反応を応用したブドウ糖酸化酵素法などがあり,現在ではSomogyi法やο—トルイジン—ホウ酸法が日常検査に主として採用されている.また最近は,ブドウ糖酸化酵素法(GOD—POD比色法)が採用され出してきた.
 この度開発されたGlucolyzer (GA−1000型,発売元:マイルス三共株式会社,製造元:株式会社京都第一科学)は,グルコースオキシダーゼと酸素電極を用いて尿中及び血中のブドウ糖を微量の試料で迅速,簡易に極めて精度良く測定することができる半自動の分析装置である.今回,我々はこの装置を使用する機会を得たので,この装置を中心とする尿糖定量法の検討を行った.

Laboratory Instrumentation

連続成分採血装置

著者: 臼井亮平

ページ範囲:P.1024 - P.1027

 ここで紹介するのは,1972年アメリカのHaemone-tics社で開発された連続成分採血装置(Haemonetics Model 30;HM 30)である.
 HM 30はpheresis set (成分採血セット)及びphe-resis bowl (成分採血ボール)の組み合わせによる閉回路内で血液を血漿,血小板,白血球,赤血球などの各成分に分離し,しかもこれら成分が無菌的に操作,採取できる.

検査室の用語事典

心機能検査

著者: 椎名晋一

ページ範囲:P.1029 - P.1029

94) R-on-T phenomenon;R on T現象
 期外収縮が先行心拍の受攻期(→130)に発生すると,心電図において先行のT波の上に期外収縮のRが乗っかった形になって見られる.これに引き続いて心室細動・粗動が惹起されるので重要な所見である.

内分泌検査

著者: 屋形稔

ページ範囲:P.1030 - P.1030

80) Porter-Silber reaction;ポーター・シルバー反応
 17—OHCS測定反応の中で最も普遍的なもので,17,21—ジヒドロキシ20ケトンが,硫酸存在下でフェニルヒドラジンサルフェートに特異的に反応し,410nmに最大吸収のある黄色のヒドラゾンを作る呈色反応.発見者の名を取りこの17—OHCSをPorter-Silberクロモジェンとも呼ぶ.

質疑応答

臨床化学 OPA法でのコレステロール測定の正確性

著者: K生 ,   仁科甫啓

ページ範囲:P.1031 - P.1033

 〔問〕OPA法のコレステロールで,スタンダードの粘稠性を合わせるためコントロール血清を使用しています.他病院ではプライマリーなスタンダードを使用しているとのことですが,どのようなピペットを使ったら正確なデータが出るでしょうか.

血液 全血凝固時間測定法に代わる検査法

著者: Y生 ,   前川正 ,   上野達雄

ページ範囲:P.1033 - P.1035

 〔問〕血液透析や血管内凝固症候群あるいは抗凝血薬治療としてヘパリンを投与したときの,薬量コントロールのための検査法として,従来全血凝固時間測定法が教科書などに載っています.だれにでもできるという便利さはありますが,時間がかかって困ります.より適当な方法があればお教えください.

血液 クリオフィブリノゲンの検出法

著者: H生 ,   松田道生

ページ範囲:P.1035 - P.1037

 〔問〕クリオフィブリノゲン血症と思われる患者ですが,これが出血症状に関連があると説明されるためには,どのような検索が必要でしょうか.

免疫血清 交差適合試験の特徴

著者: U生 ,   竹中道子

ページ範囲:P.1037 - P.1039

 〔問〕交差適合試験には種々の方法が使われていますが,それぞれどのような特徴があるのでしょうか.例:プロメリン法は何を検出(反応)するのか.

臨床生理 0〜3歳児の脳波検査

著者: M生 ,   余語毅男

ページ範囲:P.1039 - P.1041

 〔問〕0〜3歳児の脳波検査の手技上の注意点と,正常波・異常波の見分け方のコツを数えてください.

一般検査 タンパク陰性時の沈渣鏡検

著者: W生 ,   藤林敏宏

ページ範囲:P.1041 - P.1042

 〔問〕尿定性でタンパク(+)のときのみ沈渣鏡検している所が多いと聞いていますが,この方法でよろしいでしょうか.タンパク(−)のとき沈渣を見る必要はないでしょうか.

検査機器 透析患者のNa,K測定時のチューブのつまり

著者: T生 ,   上田智 ,   池田真利子

ページ範囲:P.1042 - P.1043

 〔問〕人工腎の透析患者のNa, KをCorning 450型自動炎光光度計で測定しておりますが,透析のためのヘパリンが加えてあるので,測定中にフィブリンが徐々に析出して,よく吸い込みチューブがつまる原因となります.希釈しない原血清を使うためかもしれませんが,何か良い解決策はないものでしょうか.

雑件 外部精度管理,内部精度管理とは

著者: A生 ,   中甫

ページ範囲:P.1043 - P.1044

 〔問〕この言葉は次の二つの意味に使用され混乱しています.いずれが正しいのかお教えください.
(1)検査室相互を対象として行われるものを外部精度管理,検査室内部で行われるものを内部精度管理と言う.
(2)成績管理用検体を使用して行うものを外部精度管理,管理用検体を使用せず日常の検査成績を利用して行うものを内部精度管理と言う.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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