標準化を指向したp-ヒドロキシベンゾイルコリンを基質とするpseudo-cholinesterase活性測定法
著者:
山道宏
,
芦田尚登
,
北添直之
,
福田勝宏
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水田亘
,
山道敏子
,
福井真奈美
,
井上健三
,
石田美保
,
豊永由美
,
安福ちゑ
,
斎藤隆
,
吉井清子
,
中山亮一
,
勝田祐年
,
中村稔
ページ範囲:P.825 - P.829
はじめに
血清pseudo-cholinesterase(以下,ChE)活性測定には,基質としてアセチルコリン,ベンゾイルコリン,o-トルオイルコリンおよびチオコリン誘導体などがあり,施設問測定値の比較がきわめて困難な現状を招いている.この問題を解決するために,標準法の設定が望まれている.酵素活性の標準的測定法として満たすべき条件を考えてみると,近似Vmaxを得るための至適条件を満たすこと,共役酵素を使用したときに酵素反応速度論に立脚して測定法が組み立てられていることが最少限必要な条件となる.ChE活性測定法についてみれば,p-ヒドロキシベンゾイルコリンを基質としたNADPH,UVレイトアッセィを原理とするもののみが現時点ではこれらの条件を満たし,共役酵素活性と待ち時間との関係も解明されている.このために,標準的測定法としての適正な条件を備えた方法と考えられる.われわれは,標準化を目指して本法を組み立てるに当たって,緩衝液,基質,共役酵素の条件に特に留意した.必要に応じHPLCによる分析値との比較を行い,併せて各種共存物質の影響も調べた.
基質にかヒドロキシベンゾイルコリンを使用し,ChEの作用で生じたp一ヒドロキシ安息香酸をp-ヒドロキシ安息香酸水酸化酵素(p-OHBase)により水酸化し,3,4-ジヒドロキシ安息香酸とする.この際のNADHの減少速度を,波長340nmを用いてレイトアッセイする.この際に起こる副反応を防ぐために,プロトカテキン酸3,4-ジオキシゲナーゼ(PCO)を加えておく.反応式は図1のとおりである.