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雑誌目次

論文

臨床検査3巻1号

1959年01月発行

雑誌目次

グラフ

我々の検査室

著者: 虎の門病院臨床検査科

ページ範囲:P.3 - P.14

①地下1階検査室の入口。正画は細菌検査室

高級技術講義

心電図特殊誘導法について

著者: 北村和夫

ページ範囲:P.15 - P.22

まえがき
 ここに特殊誘導というのは,普通,日常臨床上行われている以外の誘導法という意味です。心電図学の進歩と共に,「特殊」の意味は多少変化します。例えば,数年前迄は,単極胸壁誘導は標準肢誘導に対して特殊誘導と呼ばれていました。現在では,胸壁誘導は心電図の診断に全く不可欠のものとなり,これを特殊誘導と称するのは不適当のように思います。従つて,臨床検査の枠内での特殊誘導としては,食道誘導,心腔内誘導を挙げるのが妥当でありましよう。一方臨床検査の域を超えた研究的の分野では,多種の特殊誘導が行われて居り心電図学の進歩に大に貢献しています。これ等特殊研究用をも含めて現在行われている心電図誘導法を一応列挙して見ますと,下記の通りです。

技術解説

腎機能検査法について(その2)—PSP試験の実際

著者: 古川俊之 ,   梶田知道 ,   浦壁重治

ページ範囲:P.23 - P.28

 前回は腎血行動態測定法について述べたが,この検査は腎機能検査としての臨床的価値は高いにも拘らず手技が何といつても複雑で,小規模の検査室では日常の検査として用い得ない憾みがある。そこで,一般臨床家にとつては,之に代るべき鋭敏,正確で,しかも実施法のより簡単な腎機能検査法が望ましい。
 腎機能検査法としてよく知られているPSP試験は容易に実施出来るため,その成績も精密度の点に欠ける所があるかの様な印象をもつ人もあるが,私たちは,以下述べる如き分析から,本法が上記の要求にかなうものであり,二,三の点に注意を払いさえすれば腎血行動態測定法の簡易法として腎機能測定に頗る有用なものと考えている。

ヒツジ血球の取扱い方

著者: 鈴田達男

ページ範囲:P.29 - P.32

 どんな反応でも試薬が不純であつては,よい結果はえられない。それだからどの検査室でも試薬の選定,保存には非常に神経をつかうものであるが,血清学的検査におけるヒツジ血球は丁度この試薬に相当するものである。
 例えばワツセルマン反応を初めその他の補体結合反応の溶血系,Paul-Bunnell反応,Waaler-Rose反応などいずれもヒツジ血球を指示薬として凝集乃至溶血をおこさせ,その結果によつて判定を下している。この場合に注意しなければならないのは,化学的な試薬と異なり血球は"生きもの"であるから,動物の個体により,又採血の時期,保存期間,保存条件などいろいろな因子によつて差があることである。

座談会

熱源について(その1)

著者: 藤原亀久雄 ,   田原泰助 ,   松田惣七 ,   井上健義 ,   松村義寛 ,   松橋直 ,   天木一太 ,   高橋昭三 ,   樫田良精

ページ範囲:P.34 - P.42

 樫田 今日のテーマは,臨床検査に必要欠くべからざる熱源の問題,これについてのいろいろの困る問題とか,常識的に知つていなければいけない問題とかについて東京電力の松田さん,東京ガスの藤原さん,田原さん,東京石油ガスの井上さんにお忙しいところをお出いただきまして,いろいろ教えて頂きたいという試みでございます。
 われわれの病院或は医科大学というような所では,普通の講義だけする学校に比べていろいろの実験を行いますので,光熱費というものが非常に予算面を大きく占めております。これを無駄なく有効に使うということは,これに携わる者が絶えず念頭におかなければならない問題だと思うのであります。いざとなつてみると,こういう熱効率をいかに有効に使うか,というようなことは,なかなか素人の者には分り難いことであるし,或は知らされておりません。そういうようなことでわれわれはいろいろの知識を得たい,というわけでございます。先ず最初にどんなものを使つているかということを御披露しましようか。私は東大におりますので,東大の方を申し上げます。水道というものは沢山使つても,割合安いものです。ところがガス,電気になりますと,かなりの大消費者らしいのでございまして,ガスは化学の実験等で化学薬品を温めたり,或はお湯の中に試験管を漬ける,ウオーターバスを使う血清学では毎日使つております。試験管が一度に何百本も入るような,小さな風呂桶みたいなものの中に入れるわけです。これは温度調節をうまくするというために電気でやる場合が多い。ガスではなかなか微妙な調節が出来にくいということもあるわけです。細かいことは後で御専門の先生から話して頂きますが,その他細菌の関係では黴菌のコロニーと言いますか,黴菌の小さいかたまり集落をとったり,植えたりする時に,小さなカギみたいなものが柄の先に一ついておるもので移して,或は試験管の口を消毒したりする時に,必ずガスバーナーで熱消毒するわけです。そういうように所謂実験的と言いますか,検査物を扱う時にいろいろの熱源を使うこともありますし,又仕事が動いて行くため,照明等も検査室というものが多く地下室とか,一階とか,少し暗いような所におかれておるのが多いので,1日中電気をつけるということもあるし,殺菌灯なんかを使っている。それからいろいろのモーターを動かす,熱源と言えませんけれども,電気動力源でいろんな器械を使っております。

『医学常識』

臨床生化学メモ(Ⅳ)

著者: 茂手木皓喜

ページ範囲:P.43 - P.46

脂質代謝(Fat metabolism)
 脂質は三大栄養素中最も大きな熱源であり1gが9.0Calを発生する。生体内においては,中性脂肪,燐脂質,ステロールなどの形で存在する。脂質は主として皮下組織,腹腔内,筋肉間組織に貯蔵されている。また特に脳や神経組織は燐脂質に富み,コレステロールはホルモンの母体となり,或種の不飽和脂肪酸は生命に不可欠であるなど,生体の機能に重要な役割を果している。

研究

糞便潜血反応濾紙法の価値

著者: 高岡要

ページ範囲:P.47 - P.49

I.はじめに
 近年病院に於ける臨床検査の方法は,迅速・精確なる診断の補助手段として重要視せられる結果,益々その数・量を増し従来研究室の域を出なかつた検査法すら漸次一般検査へと移り行く趨勢にある。このように日進月歩の臨床検査方法に対して,限られた数の技術者を一定の時間内に駆使して,しかも迅速・精確な検査成績を要求することは,勢い彼等に過大な仕事量を強請する結果となり易い。日常臨床にたずさわる医師としてこれらの眼に触れ難い「縁の下の仕事」に対して今一度その方法を再検討し,結果が正確で従来の方法より何等かの点で優れており,且又時間的・物資による濾紙法と上記の二通りの試験管法との優劣を比較検討したので以下業務管理面をも含めて,それらの優劣を述べ,大方諸賢の御批判を仰ぎ度いと思う。

読者の頁

シリコーン塗布を施せる試験管を用いた小川培地について(第1報)

著者: 山本五郎

ページ範囲:P.51 - P.52

 療養所における判定済みの小川培地の試験管の再生は,大きな労力である。この労力を軽減するために,今迄にも試験管洗滌機の市販や,NaOH処理法等の考案がなされてきているが,いま一つ日常検査に導入するにはちゆうちよせざるを得ないのものがある。
 私はシリユーン塗布を施した試験管を用いて小川培地を作製し,その試験管再生操作が非常に簡便に行い得ることを知つたので,シリコーン塗布試験管を用いた小川培地の培養成績に及ぼす影響をしらべてみた。

〈検査室メモ〉

INAHの微量定量法

著者: 高橋昭三

ページ範囲:P.53 - P.53

 INAHの血中濃度測定,培地中のINAHの力価の変動をみるのに,化学的定量法と,生物学的定量法(Bioassay)の二つがあり,後者が前者に比して敏感である。今回は後者について述べる。例を血清にとつて述べたい。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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