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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査3巻2号

1959年02月発行

雑誌目次

グラフ

化学天秤操作法

著者: 松村義寛 ,   藤野澪子

ページ範囲:P.63 - P.70

 臨床検査室で最も精密な計器が化学天秤である。秤量100または200gで感量1mg,振動法を用いれば0.1mgまで読みとれ,再現精度も略この桁であるから百万分の一級である。しかし通例として1g内外のものを秤量するのに用いられるから一万分の一の精度となるが,それでも他の測定器に比べて精密であろう。しかしこれを正しく使うにはそれ相当の注意が必要である。
 秤量操作中に天秤が振動するようなことがあつてはならない。建物の床面は極めて振動を伝えやすいため床而に机の脚がふれているような実験机は不適当なことが多い。それに対して壁面は振動が吸収されているため,壁面に棚状に固定した台がよいとされている。もつとも壁面とは堅固に固定させねばならない。

技術解説

バイオプシー(生検)材料の標本作製方法

著者: 高木文一 ,   鳥海純

ページ範囲:P.71 - P.78

緒言
 上記の様な題名の中には,先ず生検材料から標本作製のために組織片を切り出すことが含まれて居る。このことは実際には,生検材料の取扱い検索方法と名付けられるべきもので,検査室技術者の為すべきことではなく,臨床(外科)病理学者の任務である。従つて,本稿からは省くこととする。
 一般に生検材料の標本作製に当つて最も注意すべきことは,美麗な標本を作るのが良いのは勿論であるが第一に標本作成に要する時間を出来るだけ短くすることである。これは云うまでもなくその標本による病理組織学的な診断が依頼して来た臨床家に出来るだけ早く送られること,即ちこれによつて臨床家の治療方針,手術の可否,その他患者の病を治す手段が一刻も早くとられることを意味して居るからである。そして又材料を受取つてから診断が出来る迄の期間は一定している方が,臨床家にとつて患者との関係に於て大変便利であるので,常に一定の日程に従つて標本作成を進めて行くことが望ましい。次にこれと劣らずに大切なことは,臨床病歴をつけて送られて来た材料は,病理学者によつて必要な所が切り出され,番号をつけて標本作製者へと送られて来るのであるが,その番号を間違わないことである。この様なことは起りそうになく思われるかも知れないけれども1年間に2000〜10000例以上の多くの材料を取扱う様になると稀ではあるが臨床病理検査室で起り得る。

腎機能検査法(その3)—Tm G及Tm PAH測定の実際

著者: 古川俊之 ,   梶田知道 ,   浦壁重治

ページ範囲:P.79 - P.84


 本検査は実施に当つて前回に比し相当複雑で試料の採取迄は医師の領域,それ以後は検査員の担当という分業により両者相互の密接な連けいが必要である。
 さて尿細管極量には,再吸収極量と排泄極量とがあり,第1表の如く実際の検査に利用されるものはブドー糖吸収極量(TmG),PAH排泄極量(Tm PAH),Diodrast排泄極量(Tm Diod)等がある。

換気機能検査法(1)

著者: 横山哲朗

ページ範囲:P.85 - P.91

1.はじめに
 肺の機能を要約すると①換気機能,②呼吸機能,および③代謝機能とすることが出来る。換気機能ventilatory functionsとはガスを肺から出入させる機能であり,呼吸機能respiratory functionsとは,肺胞においてO2を血流中にとり入れ,CO2を血中から肺胞気中に放出するガス交換作用をいう。ここでいう代謝機能metabolic functionsとは,脂質その他の代謝に肺が関与する場合もあることを指すもので,比較的最近関心がもたれるようになつたものである。
 さて肺の機能が詳細に解析されるようになるにしたがつて,肺の機能を評価するための肺機能検査もまた複雑・多岐となることは避けられない。しかし実際に肺機能検査を臨床検査として行なうとき,このように複雑な検査を全部行なうことは到底不可能なことである。比較的容易に且つ簡単に行ない得る肺機能検査として実際的な価値を有するのはいうまでもなく換気機能検査である。本講においては,実際的な臨床肺機能検査としての換気機能検査法について述べることとする。

プロパンガスについて

著者: 井上雅義

ページ範囲:P.93 - P.95

はしがき
 プロパンが新しい時代の燃料として登場して来てから4,5年になり,可成りポピユラーにはなつて来ましたが,未だ御存知ない向もおありの由,この便利な燃料を知らずに,或いは食わずぎらいされることは特に営業的見地からは馬鹿げたことでありますので,若干PRの意味を以てプロパンの概略を述べさせていただきました。

座談会

熱源について(その2)

著者: 藤原亀久雄 ,   田原泰助 ,   松田惣七 ,   井上健義 ,   松村義寬 ,   松橋直 ,   天木一太 ,   高橋昭三 ,   樫田良精

ページ範囲:P.96 - P.103

市中ガスのバツクフアイアーは
 樫田 市中ガスの場合よく何と言いますか,ポカツ,ポカツとバツクフアイアーですか,あれはいくら空気を調節しても駄目ですけれども,ああいうところはどうでしようか。
 藤原 調節で直る筈です。全部絞つて調節すればよいわけです。

『医学常識』

肝臓のはなし(I)

著者: 鈴木秀郎

ページ範囲:P.105 - P.107

諸言
 これから2回か3回にわけて肝臓の病気について述べます。話の順序としてまず肝臓が体のなかでどんな役目をする臓器であるかについてのべ,その肝臓がおかされた場合におこるいろいろな障碍について論じ,その障碍をしらべるために検査室でどんな方法を使うかを説明し,最後に肝臓を侵すいろいろな病気をあげ,その中でしばしばみられるものについて少し詳しい説明をしようという訳です。

私の検査室

都立広尾病院の中央検査科について

著者: 植草富二郎

ページ範囲:P.109 - P.112

 医学の進歩と共に医療内容の向上,充実,発展は,検査種類の激増と複雑性を加え,且迅速,正確な検査成績の要求は,従来の医学体系から一歩進んで分化の過程にある現在,以上の要求に応ずるため中央検査科は不可欠のものとなりつつある。
 中央検査科の制度は,未だ発展途上で多くの長所と共に若干の欠点も蔵しており,制度上の問題も有している。これらの欠点を是正し乍ら,理工学機械の進歩を吸収しつつ検査科の発展に努力することが終局に於て医療内容の向上と医学の進歩を来すのであるから,医療担当者は勿論,検査担当者の不断の勉励と熱意ある協力が必要と考えられる。

〈検査室メモ〉

ホールベルグ氏結核菌染色法

著者: 豊田奛

ページ範囲:P.113 - P.115

序論
 多忙な臨床家達にとつて結核菌検出の最も確実な,すなわち検出率の高い方法があることは非常にありがたいことであります。そのうえ染色方法が簡便で,検出の速いそして費用が低廉であるという三つの好ましい条件を満足させるものであつたならば……。
 1936年来ホールベルグ氏(Hallberg V.)が新たに,コロイド系に属する色素ナハトブラウをもつて結核菌を染色する方法を行つて以来,北欧およびドイツでは現在でも日常の業務に之をもちいておるということであり,これには連続染色法と同時染色法があります。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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