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雑誌目次

論文

臨床検査3巻6号

1959年06月発行

雑誌目次

グラフ

血色素計の検定

著者: 宮坂五一郎

ページ範囲:P.303 - P.310

①ザーリ式血色素計の種類
  1) 丸型血色素計
  2) 角型血色素計

技術解説

細菌検査に必要な基礎知識

著者: 高橋昭三

ページ範囲:P.311 - P.317

 細菌学的検査にもいろいろあるわけであるが,その検査法については,いろいろの本に書いてあるものが多い。しかし,それを読んでまちがいなく実行するには,基本的な知識が必要である。今回は,この基本的な知識について,お話しすることとしたい。検査室の方は,この文を検査室に持つて行つて,実験台の上で読んで頂きたいと思うのである。言うまでもない事であるが,基本的な知識をお持ちの方は,誰かに教える時のためになら,お読みになつてもお役に立つかもしれないが,見すごされても結構である。
 基本的知識には,1)顕微鏡を,いつ,どのようにつかうか。又どのようにして,いつもつかえるようにしておくか。2)顕微鏡標本を,どのようにして作るか。3)培地はどのようにして作るか。4)培地はどのようにして使うか。5)いろいろの薬品をどのようにして保存するか。又いつどのようにして使うか。という事である。これらを順々に解説してみよう。

濾紙の種類と使い方(7)

著者: 及川五郎

ページ範囲:P.319 - P.325

I.メンブランブイルター(ミリポーアフイルター)の性質及び用法
 原語(membrane filter, Millipore filter)の発音のまま呼ぶ方が普偏性もあり,感じもよいが片仮名文字を嫌う人の為には古くから使われて居る濾膜という訳がある。昔は限外濾紙(ultrafilter),近年は分子濾紙(Molecular filter)などと呼ばれるものもこの別名である。
 細菌の濾過用としてばかりでなく,微量化学(Micro chemical),微量物理(Micro physi-cal)的分野即ち水の分析,海水のプランクトン,エーロゾルの化学分析,衛生工学,放射線化学の広い用途に使われ初めてから近代の化学常識としてもこれらの濾紙の実体把握が要求されるようになつた。ミリポーアフイルター会社の型録第1頁に"近代の実験科学の基礎をなすもの,相結ばれてコンビとなる最も有効適切な技術,それは電子顕微鏡とメンブランフイルターである"と誇称せるはいささか云い過ぎであるかも知れない。順を追つて検討を加えて見る。

血色素計の検定

著者: 宮坂五一郎

ページ範囲:P.326 - P.328

 臨床医家に実用に供されている血色素量の測定には次の3種がある。
(1)ザーリ式血色素計,(2)光電比色計による方法(3)分光光電光度計による方法

検査室管理

輸血部の検査室管理—1級技術士のために

著者: 村上省三

ページ範囲:P.329 - P.333

 最近の輸血領域における進歩は,それが臨床に関する部門であつても,はたまた基礎医学に関する部門であつても,まことにいちじるしいものがある。輸血部はそのうち主として基礎医学における知識を十分に活用して,臨床への応用を有効適切ならしめるために存在するものであるが,その重要性はますます大きくなつてきている。わが国に血液銀行が導入された当初には,血液銀行業務に適任であると思われる専門家はほとんどゼロに等しく,いずれもが輸血学に属する領域のごく小部分に精通していたにすぎなかつたので,ある病院では外科医が,ある病院では内科医が(血液学専門でない),また他の病院では他の科の医師が,これまた血液銀行の業務にうとい技術者を助手として輸血部の業務を担当せざるを得ない状態であつた。そしてこれらのパイオニアたちは多くの辛酸をなめながら,それぞれの専門の立場から,まじめに輸血学に取り組んでいかれた。それ故その1つ1つについて言えば,その運営はただ"大過なくやつていけた"といつた程度であつたであろうが,それによつて得られた知識を綜合すると,ここに輸血学について1つの体系が生まれ,輸血部の正しい運営はかくあるべきだとのアウトラインができ上つてきている。そして今日では,輸血部への関心は更に広くかつ深くなりつつあり,そのなかから輸血学を専攻するにふさわしいと思われるグループが育ちはじめている。

座談会

プラスチツクの常識

著者: 秋山太一郎 ,   石井威望 ,   松村義寬 ,   松橋直 ,   高橋昭三 ,   樫田良精

ページ範囲:P.334 - P.341

はじめに
 樫田 本日は皆様お忙しいところを,おいでいただきまして有難うございます。早速ですが,プラスチツクは最近非常な発展で,われわれの身の囲りにも,いろいろな形で現れていまして,何かと恩恵に浴しているわけです。ところでプラスチツクスそのものについてはまことに莫然とみているだけで実際の内容的なことは,わからずに使つている場合が多いのではないかと思います。それで今日は各分野でどんなものを,どのように使つているか,どんなつかい方が合理的であるが,プラスチツクの専門の立場から又使用者側の経験とかをおりまぜてお話し願えれば大変有意義なことと思います。
 それでは工学部におられる石井先生の方から何か素材的な面で総論をお願いしたいのです。名前だけ知つていても,どうなつているか,一つも分らない場合が多いので。

〈検査室メモ〉

プラスチツクスの簡単な見わけ方

著者: 秋山太一郎

ページ範囲:P.342 - P.344

 最近は医学の各方面にプラスチツクス製品がいろいろな形で現われているが,これは何でできているか,わからないために貴重な試料をふいにしたり,実験成績がくるつたり,不覚の結果を招くことになる。そこでプラスチツクスを見分けることは重要な意味があるが,多忙な臨床や研究室でも大がかりな設備もいらず,しかも簡単にできる2,3の方法について述べることにする。

臨床生化学メモ(VI)—蛋白代謝(2)

著者: 茂手木皓喜

ページ範囲:P.345 - P.347

I.血液中非蛋白窒素(nonprotein Nitrogen, NPN)
 これは血液中の蛋白質以外で窒素を含む成分の総称である。尿素,尿酸,アンモニア,アミノ酸,クレアチン,クレアチニン,プリン体,その他不明の窒素化合物である。之等のものは蛋白質の分解産物乃至は中間産物であつて,血中における之等成分の意義はむしろ血漿蛋白質のもつ意義よりも臨床上に重要なことが多い。正常では血液中に27〜40mg/dl,血清中には18〜30mg/dlである。
 之等非蛋白窒素成分は蛋白質(食物や体組織)の終末産物として腎から尿中に排泄される。腎に排泄障害がおこると之等の成分が血液中に蓄積される。また腸管が大量の蛋白分解産物を吸収したり,体蛋白の崩壊の多いときなどにも血液中に増加してくる。300〜400mg/dlにも達することがある。

『医学常識』

肺臓のはなし(1)

著者: 鈴木秀郎

ページ範囲:P.349 - P.352

I.はじめに
 これから3回にわたつて肺のはなしをします。まず簡単に肺の構造についてのべ,つぎに肺がおこなうしごと,つまり呼吸とその意義について解説し,さらに肺がおかされた場合にみられるいろいろな症状を説明し,検査室でよくつかわれる肺の機能検査法をあげ,最後に肺を侵す病気のなかから大切なものをえらんでのべてみたいと思います。

研究

固形培地斜面貼布硝子培養法とSM耐性迅速検査法

著者: 寺山和夫 ,   高好成 ,   上原昭純

ページ範囲:P.353 - P.356

緒言
 抗結核剤に対する耐性結核菌の迅速検査法としては小川(辰)1)2),小酒井3)等がSlide Cell Culture法,Slide Culture法(SCM),遠沈管内培養法,変法重層培地法,小試験管内培養法,半流動寒天培地法等を挙げいずれも多数の迫試があり夫々直接法や間接法が用いられている。そのうちSCMについてはRryce4),Berry & Lowry5) M. Cummings6),辻7)等の記載があり同法によるSMその他抗結核剤に対する結核菌の耐性測定については山本(四)8),G. Dllemann-Larsen9),水溜10),山本(寿)11),Pierce12)等の研究があり夫々その有用性を認めている。しかしSCMは液体培地による迅速法であるので一般的に不馴れであり特殊な資材を要し判定も簡単ではない。そこでこのSCMの方式を通常使い馴れた固形培地に応用して耐性検査の簡易迅速法とするために実験を行なつた。
 この術式を仮に固形培地斜面貼布硝子培養法(貼布硝子法)と呼ぶがこれに類する記載は比較的少い。最近Eedgecock13)が結核菌迅速培養法としてNaOH水前処理後中和した喀痰沈渣を載物硝子を半截したものに塗抹し,液体培地又はTarshis血液塞天培地の斜面に入れて7日間培養し水洗してZiehl-Neelsen染色を施こし弱拡大で鏡検する方法即ち載物硝子法を報告している。また術式上はHoyt14)の濾紙培養法と類似している。

ニュース

衛生検査技師養成教程(専門科目)

ページ範囲:P.357 - P.359

1.医学概論
(1)医学の歴史,(2)医学技術の歴史,(3)近代医学と病院,(4)社会保険と検査,(5)衛生検査技師の使命

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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