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雑誌目次

論文

臨床検査3巻7号

1959年07月発行

雑誌目次

グラフ

基礎代謝の測定

著者: 日野佳弘

ページ範囲:P.363 - P.369

 ① クニツビング(Knipping)装置の全体を示す。左下に被験者にくわえさせるマウスピースの部分があり,これは自在腕によつて可動性である。装置面のガラス容器は沈滌管,右側の浮洞内の酸素は呼吸の酸素消費によつて次第に容量を減じ,その曲線は右側の描気円筒に記録される。ポンプによつて回路内のガスはよく混合するようになつており,炭酸ガス排出量も測定できる。

血液塗抹標本の見方(その一)

著者: 天木一太

ページ範囲:P.370 - P.370

技術解説

基礎代謝の測定

著者: 日野佳弘

ページ範囲:P.371 - P.375

I.基礎代謝測定法の原理
 基礎代謝測定には,体より発散される熱量を直接カロリメーター(熱量計)にて測定する直接方法と,間接に消費された熱量源を推量し,これから計算する間接法がある。本稿では間接法について説明する。
 熱量源としてはいわゆる3大熱量源としての含水炭素・脂肪・蛋白質が問題とされる。これらの1瓦が燃焼されて熱量となるときは,含水炭素は4.1Cal(カロリー)(1Cal.は水1立を摂氏14.5°〜15.5℃とするに要する熱量),脂肪は9.3Cal,蛋白質4.1Calの熱量を発生するとされている。

血球計算板の検定

著者: 宮坂五一郎

ページ範囲:P.377 - P.381

 血液学の最近の急速な進歩と共に血液検査器具の精度が問題になつてきた。殊に原爆症及びアイソトープ,原子力利用に対する国民の関心が高まるにつれて,血球数の多い少いが一般にも云々されるようになり,血液検査器具の検定の依頼又は方法の問合せが私共の所に頻繁にくるようになつた。私共はかねてから血液検査器具の改善に努めてきたのであるが,現在では財団法人日本血液検査器械検定協会の名のもとで,血球計(各種メランジユール,計算板)及び血色素計の検定を行なつているので,この機会に巻を追うて各種の検定法を述べ,皆様の参考に供したい。
 ここでは血球計の内血球計算板の検定方法の概略と検定規格に就いて述べる。(各種メランジユールの検定法については本誌第3巻第4号で既に述べた。)

コレステロールの測定について

著者: 茂手木皓喜 ,   村瀬昭代

ページ範囲:P.382 - P.389

 コレステロールの測定については古くから多数の人々により迅速,正確,簡単な定量法が研究されてきた。例えば血清からの抽出にしても,クロロホルム,アルコール,アセトン・アルコール,エーテル・アルコールなど方法によつて異なつた溶媒が用いられる。またコレステロール測定に,ジギトニンがステリンと特異的に結合5)して不溶解性のジギトニドとして沈殿することを利用したものは特に多いがこの中にも,例えばジギトニドを重量法により測定する方法6)7)8)9),Ag2Cr2O7で酸化し,残つたK2Cr2O7をチオ硫酸ソーダを用いて沃度法で滴定する方法10),ジギトニドを均一な懸濁液としてその濁度を測定する方法11)12),ジギトニンがpentasaccharideであることを利用し,これをHagedorn-Jensen13)法またはAn-thron14)15)で測定する方法,または発色試薬で発色させて肉眼や比色計で測定する方法などさまざまである。その他Schmidt-ThomeやHinberg16)17)等が行なつたジギトニンの溶血作用を利用した赤血球浮遊液による滴定法もある。
 終末点の測定には,無水酢酸と硫酸によるLie-bermann-Burchard反応で発色させる方法がありこの改良法も数限りない。

血液塗抹標本の見かた(その1)

著者: 天木一太 ,   杉山幸子

ページ範囲:P.390 - P.392

 血球の見かたを文章で書いたり,読んで理解したりすることは大変に難かしいことですが,なるべくよい写真を多く使うことにし,日常血液検査をしている人と対談しながら,初めは基本的なことから,骨髄像,白血病や珍らしい血液標本についてかなり高等なことまで,勉強をしてみたいと思います。
 杉山さんは東京文化医学技術学校を卒業後3年目で,血液検査を専門にしていますから,この分野の中級の人という意味でお願いしました。カラー写真の使えないのが残念ですが,写真の鮮鋭さからいうと白黒の方が優れています。すこし写真の見方に馴れれば白黒写真でもさほど不便はないばかりでなく,かえつてよい点もあると思います。

座談会

検査室の抱負を語る

著者: 天木一太 ,   浅野誠一 ,   福井定光 ,   小酒井望 ,   久代登喜男 ,   柴田進 ,   富田仁 ,   山崎晴一朗 ,   樫田良精

ページ範囲:P.394 - P.405

 中央検査部が発足して数年,現在各大学の検査室ではどの程度の仕事が行なわれているか。すでに一応完成の域に達したもの,まだ建設途上にあるもの等さまざまではあるが,どの検査室にも将来への設計図はある。医学会総会を機に地方の大学の検査室の先生方にお集まりいただいて,それぞれの現状と今後の抱負を伺つた。

〈検査室メモ〉

臨床化学分析談話会より

ページ範囲:P.406 - P.407

特異的な肝機能検査としてのオルニチンカルバミルトランスフエラーゼの血清活性度測定法
 オルニチンカルバミルトランスフエラーゼ(OCT)は,高等動物における尿素生成の最終回路,すなわちオルニチンサイクル中において,オルニチンからチトルリンが生成される酵素反応の主役と考えられている(Grisolia & Cohen,1952:Jones et al,1955:Krebs et al,1955)。この反応でオルニチンはカルバミル燐酸からカルバミル基(NH2CO—)を転移されてチトルリンを生成する。
 一方,チトルリンは高等動物の肝懸濁液中で安定であるが,これに砒酸塩を加えると急速に分解してオルニチンとアンモニア,炭酸ガスを生ずる(アルゼノリシス,Krebs et al, 1955)。

『医学常識』

肺臓のはなし(Ⅱ)—肺機能検査法

著者: 鈴木秀郎

ページ範囲:P.409 - P.412

はじめに
 前号では肺の構造,生理について簡単に説明し,さらに肺が侵されたときにみられるいろいろな症状のなかで主だつたものについて説明をくわえました。今回は検査室で実際に行なわれている肺機能検査法をあげ,どんな方法で行なわれるか,またどんな意味をもつかを述べてみたいとおもいます。
 肺機能とその検査:前号でのべたように肺の最も大切な機能は体のなかのいろいろな組織が働らくためのEnergy源である酸素を体内にとりいれ,働らいた結果生ずる老廃物である炭酸ガスを大気中に放出することです。この際この2つのガスの交換が実際に行なわれる場所は肺胞です。

検査室統計

当所における過去4年間の抗結核剤耐性検査成績について

著者: 寺谷一男 ,   菅春美 ,   金谷衛 ,   神信貢 ,   東幸太郎

ページ範囲:P.415 - P.419

緒言
 肺結核症に対する抗結核剤が相いついで発見され,各種各様に用いられ,しかも長期にわたり施行せられてもなおかつ結核症が治療に抵抗を示すのは結核菌が抗結核剤に対して,耐性を獲得するにいたることも一因となつていることは既知のことであるが,当所において先に亀田,河合ら1)により当所患者の耐性検査成績より,PAS耐性について報告したが,われわれは今回Streptomycin(以下SMと略記)P-amino-Salycilicacid(以下PASと略記)及びIsoniazid(以下INAと略記)などのいわゆる抗結核剤の主体として用いられているものについて,昭和30年以降4年間当賀茂療養所入所肺結核患者の喀痰中結核菌の耐性検査について,その推移を調査したので報告する。同時にこれらの中に薬剤耐性獲得の様相において一見奇異と思われる症例をみたので併せて報告する。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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