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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査3巻9号

1959年09月発行

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特集

昭和34年度第6回2級臨床病理技術士資格認定試験問題—模範解答および講評

著者: 松村義寛 ,   清水文彦 ,   竹内正 ,   石井暢 ,   日野志郎 ,   松橋直 ,   樫田良精 ,   土肥一郎 ,   塚原進 ,   小池繁夫

ページ範囲:P.513 - P.527

第6回臨床病理技術士資格認定試験(2級)を終つて
 昭和29年11月20日に第1回を行なつた認定試験は昨年までに1153名の合格者を出すにいたり,受験者もひろく全国より集まる一大行事となつた。
 昨年度の実行委員長であつた牛場教授が本誌(2巻10号)に述べられているように400名以上の受験者を延々1000科目にも達する専門課目に対し各人の希望どおり順序よく受験させる手筈はまつたくたいへんな仕事であつた。事務所の諸君も実行委員の方たちもいずれも本業の合間に勤労奉仕していただくわけで,受験日程の割りふりにしても,受験願書から受験科目と受験番号とを分類したカードをつくり,試験場の定員と日程とに合わせてしかも同一人がおなじ時間に数ヵ所で受験することのないように組分けをつくる作業や,それができたら各試験委員に受験者名などを配布し,各受験者に受験票を送付する。このような事務上の労力は実際にその衝にあたつてみて感得せられるものであろう。

グラフ

立川空軍基地病院臨床検査室をたずねて

著者: 高橋昭三

ページ範囲:P.483 - P.489

 ① 病理組織学部門のウエブスター少佐。彼はこの部門および臨床検査室のボスである。またインターン等の教育係主任でもある。この部門の病理学者達は顕微鏡を自分のデスクでみながら,所見をレコードに吹きこむ。
 彼の顕微鏡はウインケルツアイスである。

血液塗抹標本の見方(その3)

著者: 天木一太

ページ範囲:P.490 - P.490

技術解説

実験動物の自然感染の見分け方

著者: 田嶋嘉雄 ,   鈴木潔 ,   田中利男

ページ範囲:P.491 - P.497

はじめに
 生物学研究の基本であり,同時に医学の最後のきめてになる実験動物は従来あまりに無関心になげだされていた。化学天秤だとか,電子顕微鏡とか超遠心器とか,物理化学的器材についてはひどく先端的であるのに,それらで測定計量された材料が動物実験の場にうつされるとなると,素性も健康もわからない動物—それは古道具屋においてあるさびついた天秤に相当する—がつかわれている,というアンバランスはできるだけはやく解消されなければならない。このことは誰もが容易に到達する理解の筈である。事実,最近数年間における世界各国の実験動物に関する動きはめざましいもので,実験動物問題は国家的な立場で全般的にとりあげなければとても処理できるものではないということから,各国はそれぞれきそつて国立の実験動物センターを設立し,国際的にはユネスコに実験動物国際委員会が設けられた。そのような各国の実状とくらべて日本はまことに貧弱であつて,有志の団体である日本実験動物研究会がある以外には個々に研究所ないしは個人が動いている程度でしかない。この状況では医学,生物学の研究面ではやがて各国からとり残されそうな気がする。今ここにとりあげるテーマ,自然感染の問題も,もしそういうセンターがあつて詳細に検討され,対策が一般に行きわたるようになれば,研究者はそういうことに特別に深い関心をもたなくても安心して使える動物を入手できるわけである。

対談

血液塗抹標本の見方(その3)

著者: 天木一太 ,   増田ミチ子

ページ範囲:P.498 - P.500

3.低色性貧血hypochromic anemia
 天木 貧血は血液疾患のうち最も多い疾患ですが,そのうち90%以上が低色性貧血,あるいは鉄欠乏性貧血iron deficiency anemiaといわれるものです。低色性貧血の中には鉄欠乏性貧血のほか,地中海貧血thalassemiaなど遺伝性のものも含まれますが,日本には殆んどないといつていいくらい稀です。
 低色性貧血の血液の所見の特徴はどんなことですか。

検査室紹介

立川空軍基地病院臨床検査室をたずねて

著者: 高橋昭三

ページ範囲:P.500 - P.501

 立川空軍基地病院はベツド数約270の軍病院で,結核病棟のないことが,ふつうの病院と,はなはだちがうところである。入院患者では,整形外科の患者が多いということで,診療部門では,病院の説明によると,まだ野戦用の機械を用いている所もあるという話である。
 この病院の検査室のみではないが,ここは,アメリカの一部を考えることもできるので,日本の病院とはかなりちがうことも多く,いろいろと考えさせられることも多い。

座談会

検体採取から検査まで

著者: 辺野喜正夫 ,   松村義寛 ,   松橋直 ,   高橋昭三 ,   天木一太 ,   太田邦夫 ,   樫田良精

ページ範囲:P.502 - P.510

検査にかかるまでの諸問題
 樫田 きようは,検査材料といいますか,あるいは試料と申しますかこれをとつてから検査にかかるまでのいろいろな問題についてお集まりの先生がたからお話いただきたいと思います。
 この主な問題点としては,とつた検査物といいますか,試料をそのままにしておいて何時間してから検査にかかつても大丈夫かという問題と,運ぶのになにか特別な注意がいるか,検査にかかるまでのやはり一種の保存法にもなるでしようけれども,運搬法,それからこういうものをうまく能率的にやるためには,たとえば,できるならば朝とるのがいいか,あるいは,どういうような患者の状態の時にとるのがいいか,時間的因子の入つた問題もあると思いますが,こういうような観点からいろいろお話いただければ幸いと思います。

検査室管理

中央検査室の収入

著者: 内海邦輔

ページ範囲:P.529 - P.536

はじめ
 病院において近代的医療がなされるためには臨床病理検査室が整備され,その機能が充分に活用されなければならないことは既に本誌その他でしばしば力説されているので,病院経営者にも漸次理解されるようになり,臨床病理検査室(中央検査室)もしだいに整備される機運にあるが,現況はまだ充分ではない。これには種々の理由が考えられるが,そのひとつとしては,従来からの誤まつた観念にとらわれて,日常診療の基盤となるべき臨床病理検査といわゆる研究とを混同し,臨床病理検査をやつても収入にならないばかりか,反対に入揚げであるとの考えかたが残つているのではなかろうか。診療上ぜひ必要で,しかも収入の上も充分黒字になるというしであれば,安心して臨床病理検査室(中央検査室)の整備拡充が行なえるであろう。そして,患者が安心して身体をあずけることのできる病院がそれだけ増えてゆくことになるのである。
 著者は本誌より臨床病理検査室の収入について書くことを求められたが,宏く資料を集めるには時間的余悠がなかつたので,手近の資料に基づく記述に止まらざるをえなかつた。しかしそれらの資料をできるだけ多角的に検討し御参考に供したいと思う。とくに今回は社会保険診療報酬点数表の改訂による検査室収入の増減を,甲表,乙表および旧点数表の比較において検討した。さらに各検査種目と収入との関係,病院収入と検査室収入の関係および,想定病院中央検査室の収支の算定などにも言及した。

研究

血清酸性phosphatase定量用緩衝液について

著者: 高橋浩 ,   佐々木隆義

ページ範囲:P.537 - P.539

 血清酸性phosphataseの定量において基質を弱酸性(pH 5)に維持するための緩衝液としては,Gutman-Gutman(1938)1)の採用したクエン酸ソーダー塩酸緩衝液ないしクエン酸苛性ソーダ緩衝液がもつともひろく使用されている2)〜8)。ところがたまたまBehre-ndtの著書9)および論文10)中にクエン酸塩は血清酸性phosphatase活性を阻害するという記載を見出した。もしこれが事実とすればこの酵素の定量にクエン酸緩衝液の使用は不適当なわけであるから,他の無害な緩衝液にとりかえねばならない。そこで我々はこの酵素の測定にクエン酸ソーダについでよく用いられる酷酸緩衝液を対照に選び,それぞれの緩衝液における酵素活性の比較実験をこころみた。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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