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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査33巻12号

1989年11月発行

雑誌目次

今月の主題 血小板・凝固・線溶系の分子マーカー カラーグラフ

分子レベルでみた止血機序

著者: 池田康夫

ページ範囲:P.1572 - P.1574

巻頭言

血小板・凝固・線溶系の分子マーカー

著者: 池田康夫

ページ範囲:P.1575 - P.1575

 止血血栓が形成される機構ほど,人間の身体の仕組みの精巧さを感じさせるものはない.血管内を流れている血液はつねに流動性を保ち,決して凝固することはないが,いったん血管が破綻し,出血が起こるような状況が生じると,血小板はその部位で凝集塊を形成し,同時に生成されるフィブリンとともに強固な止血血栓を完成させるのである.しかし,この止血血栓形成の過程は決して果てしなく続くわけではない.出血をとめ,しかも血管内腔を閉塞しないような適当な大きさの血栓を作って終末を迎えるのである.
 近年,この血栓形成を制御する機構が次ぎ次ぎに明らかにされ,血液凝固,線溶の研究も新しい時代に入った.血液凝固の活性化により生成されたトロンビン,さらにはVIIa,Xa,IXaはアンチトロンビンIII (ATIII)により中和され,血液凝固を制御する.一方,トロンビンは血管内皮細胞膜糖蛋白であるトロンボモジュリンと結合すると,その凝固活性,血小板凝集惹起活性を失うが,同時にプロテインCを活性化する.活性化プロテインCは,vIIIa,Va因子を不活化することにより血液凝固を制御している.

総論

分子レベルでみた止血機序

著者: 池田康夫

ページ範囲:P.1576 - P.1583

 血管損傷により露出した内皮下組織に,主としてvon Willebrand因子を介して血小板は粘着し,引き続いて,放出,凝集を惹起する.これらの血小板膜表面で,主として外因系凝固過程を介してトロンビンが生成され,フィブリノゲンをブイブリンに変換し,血小板をまき込みながら強固な血栓を作って行く.不思議なことに,これらの血栓形成は行き過ぎることなく適度の大きさをもって終わるが,その制御にプロテインC系,ATIIIがはたらき,さらに線溶系が重要な役割をになっている.これら凝固因子,その制御因子,さらには血小板,内皮細胞の膜糖蛋白などはその構造がほとんど決定されており,本稿では,止血血栓の形成の過程を分子レベルで解説した.

血小板

膜損傷マーカーGlycocalicin

著者: 半田誠 ,   池田康夫

ページ範囲:P.1584 - P.1589

 Glycocalicin (GC)は,血小板膜糖蛋白Ib (GPIb)α鎖の蛋白分解酵素による分解産物である.Ca2+イオン存在下で血小板をトロンビンなどで活性化したり,あるいは超音波処理などでその細胞膜を破壊したりすると,膜上に存在するGPIbα鎖は,血小板内に存在していたCa2+依存性蛋白分解酵素(calpain)により水解を受ける.そして,上清に移行した部分がGCである.血漿GC濃度は正常人で1〜3μg/mlとされ,これはin vitroでのサンプリングの際のアーチファクトではないことが示され,in vivoでの血小板膜の特異的な損傷マーカーと考えられる,実際,血小板のturnoverの亢進したあるいは寿命の短縮した病態,例えば免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)では高値をとり,また血管内での血小板の破壊の起こる血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の患者血漿では異常高値をとることが示された.しかし,この値は体内の血小板のmassと関係が深く,局所的な血小板の消費を伴うような血栓性疾患においてはあまりよいマーカーとはならない.

放出反応マーカーPF-4,β-TG

著者: 寮隆吉 ,   足立昌司 ,   安永睦 ,   吉田明憲 ,   菅野亘 ,   山口延男

ページ範囲:P.1590 - P.1596

 PF-4とβ-TGの測定は血小板の放出反応をみるマーカーとして有用であるが,血小板の活性化される代表的な疾患である血栓症の診断においても,臨床の場ではさほど必須な情報として使われていない.ただヘパリン起因性血小板減少症の際は,PF-4やβ-TGの値が病状の推移を正確に反映することを述べた.また,EDTA依存性血小板減少症の際は,抗体関与による凝集にもかかわらずPF-4やβ-TGの放出がないことを示して,PF-4とβ-TGの測定が凝集の機序を考えるうえに有用な情報を与えることを紹介した.
 PF-4遺伝子の発現は成熟した巨核球の同定の良いマーカーであり,PF-4mRNAを認める巨核芽球性白血病は予後が良好であることを示唆するという,PF-4遺伝子を使った遺伝子的アプローチも紹介した.

アラキドン酸代謝マーカー11-dehydro TXB2

著者: 森田育男 ,   室田誠逸

ページ範囲:P.1597 - P.1602

 循環器系疾患,呼吸器系疾患において生体内トロンボキサンA2(TXA2)の産生量を知ることは,その発症・進展機序を知るばかりでなく,薬効の目安など臨床的にも意義がある.しかし,従来そのマーカーとして用いられてきたTXB2は,生体内安定性,採血時のアーチファクトによる産生などマーカーとして適さないとされ,そのかわりとして11-dehydro TXB2が脚光を浴びるようになった.この11-dehydro TXB2は血中半減期が45分と長く,また尿中でも最も多く存在するTXA2代謝物である.この尿中11-dehydro TXB2測定法として,筆者らは希釈したのちラジオイムノアッセイ(RIA)を行う方法を確立し,各種疾患における変動を調べた.

凝固

トロンビン生成マーカーFPA

著者: 鈴木宏治

ページ範囲:P.1603 - P.1607

 FPAはトロンビン生成マーカーの1つとして,測定法,臨床的意義が確立された検査項目である.測定法としては,従来はRIA法が主であったが,最近ではEIA法が汎用されている.本稿では,FPAの意義,測定法を中心に解説した.

トロンビン生成マーカートロンビン・ATIII複合体

著者: 斉藤正典 ,   松田保

ページ範囲:P.1608 - P.1613

 血液凝固反応において,トロンビンの生成は凝固活性化を示す証拠となる.生じたトロンビンは血中のアンチトロンビンIII (antithrombin III;ATIII)により中和され,トロンビン・ATIII複合体(thrombin-ATIII complex;TAT)を形成するため,TATの証明はトロンビン生成のよい指標となる.ごく最近,サンドイッチ法に基づく酵素免疫測定法を用いたTAT測定法が開発され,臨床上に利用されつつある.TATは凝固亢進状態を鋭敏に反映するため,DICをはじめとする血栓症および血栓準備状態の診断に有用であり,今後この測定法がさらに臨床面において応用されることが期待される.

フィブリン結合マーカー可溶性フィブリンモノマー複合体

著者: 小熊豊

ページ範囲:P.1614 - P.1619

 可溶性フイブリンモノマー(Fm)およびその複合体(SFMC)は,血液中でトロンビンが生成されたことを示す指標として,汎発性血管内血液凝固症候群(DIC)をはじめとする凝固亢進状態の診断に重要な役割を果たす.SFMCの測定は,従来はパラコアグレーションテストやゲル濾過法にて行われていたが,近年は簡便で,比較的感度の良い赤血球凝集法が頻用されるようになり,DICなどの緊急スクリーニング検査として欠かせない.本稿では,こうしたSFMCないしFmの測定法と,臨床的意義について概説する.

線溶

プラスミン生成マーカープラスミン・α2PI複合体

著者: 川合陽子 ,   渡辺清明

ページ範囲:P.1620 - P.1624

 生体では,凝固系と線溶系がお互いに平衡関係を保ちながら,血栓-止血機構を制御している.この制御には非常に多くの血漿蛋白が関与し巧みに行われている.数多い分子マーカーのうち,線溶系の中心的役割をになうのがプラスミンであり,凝固・線溶動態の鍵はトロンビンとプラスミンが握っているといっても過言ではない.近年,活性化された因子は生理的なインヒビターで中和され,速やかに複合体を作ることに着目し,トロンビン・アンチトロンビンⅢ複合体(TAT)やプラスミン・α2PI複合体(PIC)の測定法が開発された.これらが増加していれば凝固線溶系の活性化の証明となり,厚生省のDIC診断基準の補助的検査項目のひとつでもある.
 ここでは,線溶系の指標となるプラスミン生成マーカー,PICについて,測定意義,検査法,臨床的有用性など,自験データをまじえて述べた.

フィブリン崩壊マーカーFDPDダイマー

著者: 香川和彦 ,   天野景裕 ,   緇荘和子 ,   池松正次郎

ページ範囲:P.1625 - P.1630

 フィブリノゲン-フイブリン反応系にプラスミンが作用して生じたFDPは,種々の分画を有するheterogeneityに富んだ物質群である.安定化フィブリンからの分解産物は,Dダイマー分画を含むことが特徴で,この分画を中心としたDダイマー関連物質の測定は血栓溶解の有無,すなわち二次線溶をとらえることを目的としている.通常,血中には微量にしか存在しないDダイマー関連物質は,線溶系の分子マーカー,特にフィブリン崩壊マーカーとしてDICなどを中心に重要視されている.このDダイマーの測定を目的として現在数種類のキットが市販されているが,いずれもDダイマーに対するモノクローナル抗体を用いた免疫学的測定法によるものである.測定系は定量的にはEIA,半定量的にはラテックス凝集法を中心に構成されるが,測定法によりFDP分画に対する特異性,反応性は異なり,その選択や解釈には注意を要する.
 DIC症例では従来のFDP値と同様に高値を示すが,一部では一次線溶やプラスミン以外の酵素の関与も示唆され,今後さらに検討されなければならない.

フィブリン・フィブリノゲン崩壊マーカーFPBβ15-42,FPBβ1-42

著者: 香川和彦 ,   立山雅己 ,   緇荘和子 ,   池松正次郎

ページ範囲:P.1631 - P.1636

 ブイブリノゲンBβ鎖N末端にプラスミンが作用するとフィブリノペプチドBβ1-42が遊離し,トロンビンにより形成されたフィブリンにプラスミンが作用するとフィブリノペプチドBβ15-42が放出される.すなわち,線溶系分子マーカーとして,Bβ1-42はフィブリノゲン崩壊(一次線溶)を,Bβ15-42はフィブリン崩壊(二次線溶)を意味するものであり,これらの測定は線溶現象の解析に有用である.現時点ではBβ1-42はEIAで,Bβ15-42はEIAとRIAで測定され,RIAによるBβ15-42測定系では一次線溶と二次線溶を鑑別できないが,EIAによるBβ1-42,Bβ15-42測定系では互いに交差反応性をもたず,理論的には両者を鑑別しうると考えられる.
 プラスミンによるフィブリノゲンおよびdes Aフィブリンモノマーの分解ではBβ1-42値は一過性に上昇し,その後Bβ15-42値が高値をとり,Bβ1-42測定はこれらのプラスミン分解初期をとらえることが確認された.

血管内皮細胞

刺激マーカー組織性プラスミノゲンアクチベーター

著者: 深尾偉晴 ,   松尾理

ページ範囲:P.1637 - P.1642

 血管内皮細胞は,血流に直接接触し,血液の線溶系(fibrinolytic system)に重要な機能を発現している.特に血管内皮細胞は各種の刺激に応答し,組織性プラスミノゲンアクチベーター(t—PA)の産生,分泌量を変動させて線溶系を調節している.さらに最近では,血管内皮細胞が生合成,分泌するプラスミノゲンアクチベーターインヒビター(PAI)の線溶系への複雑な関与が注目されつつある.すなわち,血管内皮細胞の培養系に各種の刺激物質を加えることにより,培養液中へのt-PA,PAI分泌量の増加や減少がみられ,刺激物質によるt-PAやPAIの反応の違いから,内皮細胞の分泌機序が解明されつつある.

膜損傷マーカートロンボモジュリン

著者: 丸山征郎

ページ範囲:P.1643 - P.1646

 トロンボモジュリン(thrombomodulin:TM)は,分子量が約105000の血管内皮特異蛋白である.その機能は,トロンビンを血管内皮細胞上で,凝固酵素から抗凝固酵素へと変換せしめることである.すなわち,TMはトロンビンと非常に高い親和性を有しており,血中のトロンビンはTMと複合体をつくる.TMと結合したトロンビンはもはやフィブリン形成能,第V,VIII因子活性化能,血小板活性化能を失い,逆にプロテインC活性化能が著しく強まる.
 TMは血中,尿中にも存在しており,多くは血管内皮細胞由来であろうと考えられている.この血中のTMはDICや血管炎,糖尿病などに際し上昇することがわかり,新しい血管内皮損傷マーカーとして注目されつつある.

von Willebrand因子

著者: 藤村𠮷博 ,   西尾健治

ページ範囲:P.1647 - P.1652

 von Willebrand因子(vWF)は血漿中に存在し,内皮細胞下組織が露出した血管壁に血小板が粘着する反応において,両者を接着せしめる"投錨作用"を有する巨大分子糖蛋白質である.したがって,この蛋白質は凝固・線溶およびそれらの阻止因子のいずれにも属さない独立したentityの止血因子としてとらえるべきである.vWFの先天性機能障害症がvon Willebrand病であるが,ここでは本症の診断に必要とされる検査法を紹介し,そのうち特に重要なものについてその方法と意義について解説したい.

学会印象記 21回臨床検査自動化学会

進展をみせる免疫化学検査の自動化

著者: 五味邦英

ページ範囲:P.1653 - P.1653

 日本臨床検査自動化学会の第21回大会(佐々木禎一大会長:札幌医大教授)は,日本教育会館,千代田公会堂,学士会館,科学技術館(東京)で9月8日と9日の両日にわたり開催された.本学会は,①学術講演(招待講演,シンポジウム,一般演題委員会報告),②機器・試薬セミナー,③機器・試薬展示の3本の柱より構成されており,それぞれの会場において活発で,有意義なディスカッションがくりひろげられた.
 まず,学術講演では開会式に引き続いて,「ドーピング検査」に関するシンポジウムが開催された.ソウルオリンピック大会ではドーピング検査の結果が大きな話題を提供し,薬剤の功罪がクローズアップされた.ドーピング検査は病院での臨床検査とあまり関係のない分野と考えていたが,今回のシンポジウムで示されたデータから,より身近な検査であると思われた.特に,最近は薬剤の分析精度の向上から,薬剤を使用する人々は検出されにくい薬剤(ペプチド,遺伝子組替えによるホルモンなど)を,今後利用するであろうという予測が話された.さらに,本シンポジウムは,ドーピング検査の分析手段,解析方法を応用すれば,スポーツ医学,薬理学の臨床検査により貢献できる可能性を示唆した.

私のくふう

顕微蛍光分光測定装置の試作

著者: 庄野正行

ページ範囲:P.1654 - P.1654

 顕微蛍光測定をする時,蛍光色素の励起波長および蛍光波長と細胞および組織に結合した状態での蛍光波長特性を十分知っておく必要がある.そこでUMSP 1を基本とした顕微蛍光分光測定装置を試作した.

生体の物理量計測・11

放射性同位元素による計測

著者: 保坂良資

ページ範囲:P.1656 - P.1662

 放射線は物理エネルギであり,これを外部から生体に与える場合には,被曝について十分に留意する必要がある.しかし,これを有効に用いると,X線CTに見られるように,きわめて有用な情報を多数入手することができる.
 一方,放射線同位元素(RI)による生体計測は,一般の放射線による生体計測とは異なり,放射線源を人為的に体内に投与することによって行う.このため,被曝の影響を避けることは,本質的に不可能である.しかし反面,生体の解剖学的な情報に留まらず,各部の機能水準などの測定も可能である.この点については,生体外より放射線を与えた場合の計測よりも,むしろ有用と言えよう.

ME機器と安全・5

医療における放射線安全

著者: 福本一朗

ページ範囲:P.1671 - P.1677

人体と放射線
 人体は,宇宙から降り注ぐ宇宙線や,自然界に存在している天然放射性物質から常時放射される電離放射線にさらされている(図1).
 19世紀末にレンケン(Röntgen)はX線を発見し,ベクレル(Bequerel)は天然放射性物質を発見した.人類はこれにより,はじめて強力な電離放射線源を手に入れた.これが医学に応用され,X線診断や放射線療法に用いられるようになるまでには,それほどの時間はかからなかった.

編集者への手紙

M蛋白血症を伴った酵素結合性免疫グロブリンの2症例

著者: 森山隆則 ,   信岡学 ,   牧野幹男 ,   本田豊秋

ページ範囲:P.1678 - P.1679

1.はじめに
 多くの酵素結合性免疫グロブリンの症例が報告されている現在,このような複合体の出現機序は,完全には解決されていない.しかし,成因を考えるうえで興味深い報告例もいくつか散見され1,2),さらにM蛋白がLDH結合性を示す症例も報告されている3,4)
 今回,われわれは,良性M蛋白血症を伴ったマクロアミラーゼおよびLDHアノマリーの各1例を経験したので報告する.

研究

各種検査方法による抗ENA抗体価の検討

著者: 山田巖 ,   澤江義郎

ページ範囲:P.1681 - P.1685

 免疫電気向流法により抗ENA抗体価を測定し,他の方法の抗体価と比較検討した.その結果,免疫電気向流法による抗ENA抗体は一般に広く利用されている二重免疫拡散法,受身赤血球凝集反応の陽性率とよく一致し,その抗体価は二重免疫拡散法の抗体価とよく一致した.
 抗ENA抗体の免疫グロブリンクラスを蛍光抗体間接法により測定したところ,IgG型のものが多く,抗ENA抗体高値のものにはIgA型も共存していた.

ニッケル-ビウレット反応の基礎的検討—特に銅-ビウレット反応との反応特異性に関する比較検討

著者: 松下誠 ,   入野勤

ページ範囲:P.1686 - P.1690

 ビウレット試薬中の銅の代わりにニッケルを用いるNi-ビウレット反応を設定し,本反応の反応特異性は35種類の物質についてCu-ビウレット反応との比較検討から解析した.本反応の蛋白質に対する感度は従来のビウレット法と同程度であり,しかも本反応で呈色した物質はCu-ビウレット反応のそれの約半数の6種類であった.したがって,本反応はCu-ビウレット反応より蛋白質に対する反応特異性が高いことを明らかにした.

スルホサリチル酸・Brij 35試薬を用いる血清γ-グロブリンの簡易比濁測定法

著者: 鈴木優治 ,   入野勤 ,   江原進

ページ範囲:P.1691 - P.1694

 著者らは,スルホサリチル酸・Brij 35試薬を用いる血清γ-グロブリンの簡易比濁測定法を設定した.ホルマジンを標準液として求めた本法の測定値は,セ・ア膜電気泳動法-ビウレット法から求めた血清γ-グロブリン値と良く相関し,基準値は1.6〜14.0FTUで,ZTT値の基準値1.7〜14.2クンケル単位にほぼ一致した.本法は,試薬調製が容易でしかも測定操作が簡便であることから,血清γ-グロブリンのスクリーニング法として有用である.

質疑応答

臨床化学 溶けにくい試薬の溶かし方

著者: Q生 ,   眞重文子

ページ範囲:P.1695 - P.1698

 〔問〕 フェニルケトン尿症の標準液として用いるためにフェニールピルビン酸(β—phenyl-pyruvic acid)を10mg/dl作製しましたが,水およびHCI,クロロホルムにも溶けませんでした.この試薬の溶かし方,また一般に水に溶けにくい試薬はどのようにして溶かしたらよいか,ご教示ください.以前,洗浄用の超音波を用いたところ試薬がよく溶けましたが,この場合,超音波によって試薬の化学構造に変化が生じるということはありませんか.

免疫血清 ストレプトリジンOの精製と物理化学的性状

著者: M生 ,   小林貞男

ページ範囲:P.1698 - P.1701

 〔問〕 ストレプトリジンOの構造および精製法についてご教示ください.

微生物 貝毒の種類と検査法

著者: T生 ,   児玉正昭

ページ範囲:P.1701 - P.1705

 〔問〕 自然毒による食中毒のうち,最近特に貝毒が話題になっているようです.貝毒の種類と検査法,また,貝毒と微生物の関係についてご教示ください.

臨床生理 房室ブロック時の心房血流パターン

著者: M生 ,   谷川直

ページ範囲:P.1705 - P.1708

 〔問〕 房室ブロックのときの心房の血流パターンはどうなっているのでしょうか.特に完全房室ブロックの場合についてご教示ください.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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