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雑誌目次

論文

臨床検査35巻2号

1991年02月発行

雑誌目次

今月の主題 脂質代謝異常 総説

リポ蛋白代謝と高脂血症

著者: 八杉忠男

ページ範囲:P.121 - P.127

 血清脂質は一部を除いてはリポ蛋白の型で存在している.最近の細胞生物学,分子生物学,遺伝子工学の進歩はリポ蛋白代謝や高脂血症の病態をかなりの部分について解明しつつある.LDLレセプター障害による家族性高コレステロール血症をはじめとして,アポE異常のためレセプターとの結合障害を起こしているIII型高脂血症,アポC-II欠損やLDL欠損によって生じる家族性高カイロミクロン血症などがある.

技術解説

Lipoprotein (a)[Lp (a)]測定法

著者: 大久保実 ,   村勢敏郎

ページ範囲:P.129 - P.134

 Lipoprotein (a)[Lp (a)]は,low density lipoprotein (LDL)にapo (a)と呼ばれるglycoproteinが結合したmacromolecular complexであり,直接あるいは凝固系を介して動脈硬化に深く関与している.Lp (a)の測定は定性法・定量法があり,ELISA法が汎用されている.Lp (a)は,今後臨床検査レベルで測定され,冠動脈硬化症や脳血管障害の危険因子として重視されると思われる.

脂質転送蛋白

著者: 浦田武義 ,   高木康 ,   五味邦英 ,   板倉弘重

ページ範囲:P.135 - P.142

 動脈硬化症診療研究の進歩は目覚ましく,最近においては血管内皮細胞機能の解明が広く行われるようになり,中でも内皮沈着脂質の,肝への逆転送経路の解明が精力的に進められている.
 この内皮細胞の"外"を流れる血中リポ蛋白と内皮に取り込まれる脂質間の出納にかかわるとされる新規な脂質転送蛋白であるLipid Transfer Protein (LTP-I=CETP),LTP-IIおよびそれらに対する阻害蛋白Lipid Transfer Inhibitor Protein (LTIP=エルティップ)について述べる.
 LTP-Iはコレステリルエステル(CE),トリグリセリド(TG)および,リン脂質(PL)の50%,LTP-IIはPL (残りの50%)のみ転送をつかさどっている.本稿ではその脂質転送経路,生成過程,分離精製法,性状,LTP-I (CETP)活性異常症,脂質転送状態の確認法および測定法について述べる.

アポ蛋白質異常症

著者: 斯波(原田)真理子

ページ範囲:P.143 - P.148

 リポ蛋白質代謝においてアポ蛋白質は重要な機能を担っており,アポ蛋白質の遺伝的異常により種々の脂質代謝異常症がひき起こされる.アポC-IIが欠損するとI型高脂血症をきたし,アポEに異常があるとIII型高脂血症をきたすことがある.アポ蛋白質異常症について,すでに遺伝子レベルの異常の解析もなされており,多数例の報告がみられる.これらの異常症の報告をもとにそれぞれのアポ蛋白質の機能の局在を推定することもできるようになった.

精度管理

脂質検査の精度管理

著者: 安部彰 ,   野間昭夫

ページ範囲:P.149 - P.153

 成人病予防医療において測定値判定に検査誤差の大きさが問題になるが,脂質検査の精度管理が見直されている.測定法の変遷と施設間誤差の推移を観察すると,酵素法の普及によって施設間誤差は小さくなった.大規模サーベイの成績から施設間の変動CVは約4%である.血清コレステロールの個体内の変動は約6.5%とされる.
 わが国においてもコレステロールの一次標準物質が準備されたので,誤差3%の目標にせまれるかが今後の問題である.
 アポリポ蛋白の精度管理は抗体,測光系,標準物質に関する課題がまだ残されている.

話題

リポ-Z(Remnant Like Particles;RLP)

著者: 伴野祥一 ,   大島伸浩 ,   中嶋克行 ,   河津捷二 ,   村田和彦

ページ範囲:P.154 - P.156

1.はじめに
 動脈硬化に関連の深い血清脂質として,最近,レムナント・リポ蛋白と,Lp(a)に対する関心が高まっている.これらのうちレムナント・リポ蛋白については,これまで簡易な測定法がなく臨床検討もほとんど行われていなかったが,近年,レムナント・リポ蛋白を主体とした異状リポ蛋白であるリポ-Zの検討が進められ,注目されている.
 なお,第1回リポ-Z研究会1)において,一般名としてはRemnant Like Particles(RLP)を用い,リポ-Zは商品名として使用することが提言されたが,ここではリポ-Zという名称をあえて用いておく.

LDLレセプターアツセイ

著者: 山木戸道郎 ,   山根公則 ,   角誠二郎 ,   江草玄士

ページ範囲:P.157 - P.159

1.はじめに
 LDLレセプターは1973年にGoldstein,Brownらによってその存在が明らかにされた.LDLレセプターアッセイの臨床的意義はLDLレセプターの欠損や活性低下を検出することにより,家族性高コレステロール血症(FH)の診断を確定することにある.LDLレセプターの異常を検出するさまざまな方法が検討されているので以下に概説する.
 また近年,Goldsteinらのアッセイ系を応用してLDL粒子自体の異常を検出する方法も検討されている.この点についてもふれたい.

Cerebrotendinous xanthomatosis(CTX)

著者: 斎藤英治 ,   八杉忠男

ページ範囲:P.160 - P.162

 腱黄色腫をきたす疾患のうち,家族性高コレステロール血症は特に有名であるが,まれな疾患として植物ステロール蓄積症,脳腱黄色腫症(cerebrotendinous xanthomatosis;CTX)がある.後者二つは前者に比較し,血清コレステロール値の増加は著明でない.特にCTXでは正常か低値を示し,その代わりに正常ではほとんど認めないコレスタノールが増加してくる.本稿では,このCTXについて紹介する1,2)

M-CSFとコレステロール代謝

著者: 島野仁 ,   山田信博

ページ範囲:P.163 - P.165

1.はじめに
 近年遺伝子工学の進歩により,さまざまな生理活性物質が,クローニング,大量精製されるようになつた.骨髄造血細胞の増殖因子であるcolonystimulating factors(CSF)も白血病,癌治療の際,臨床応用が試みられている.その中で最近,GM-CSFやM-CSF投与中の患者に血漿コレステロールの低下が認められ,CSFとコレステロール代謝という新しい側面が注目されている3,4).われわれは,ウサギを用いてM-CSFの血漿コレステロール低下作用とそのメカニズムについて検討した1,2)

平滑筋細胞と脂質代謝

著者: 武城英明 ,   吉田尚

ページ範囲:P.166 - P.168

 粥状動脈硬化巣に見られる泡沫細胞の起源細胞としてマクロファージと血管平滑筋細胞が知られている.しかしながら,平滑筋細胞は通常リポ蛋白としてLDLを代謝し,この経路では泡沫化を説明することはできない.本稿では,平滑筋細胞への脂質蓄積機序,さらに正常動脈では認められない内膜平滑筋細胞の形質の変化に伴う異常リポ蛋白代謝を介した泡沫化機構について述べる.

不飽和脂肪酸の役割

著者: 二宮一見 ,   丸浜喜亮

ページ範囲:P.169 - P.171

1.はじめに
 食習慣の欧米化により,肥満や高脂血症が成人のみならず若年者においてもしばしばみられるようになってきている.食餌と高脂血症に関するこれまでの疫学調査では,高コレステロール・高脂肪食がathrogenicであることが示されている一方,動脈硬化症における食餌療法の効果に関する疫学調査では,抗動脈硬化食,すなわち低コレステロール・低飽和・高不飽和脂肪酸食が動脈硬化症をある程度予防することが可能であることを示している.本稿では食餌中不飽脂肪酸の役割について概要を述べる.

マクロファージとリポ蛋白代謝

著者: 日高秀樹 ,   繁田幸男

ページ範囲:P.172 - P.173

1.はじめに
 マクロファージにおけるリポ蛋白代謝は,動脈硬化症の初期病変に認められるコレステロールエステルを大量に含む泡沫細胞(foam cell)がこの細胞由来であることが明らかにされて以来,泡沫化を引き起こす脂質の代謝経路を中心に検討されてきた.疫学的に動脈硬化症と密接に関係するとされる低比重リポ蛋白(low density lipoprotein;LDL)は,この細胞がLDL受容体をほとんど有さないことから代謝されず,なんらかの修飾を受けた変性リポ蛋白のみが代謝されてこの細胞を泡沫化することが明らかとなっている1).本稿では,この動脈硬化の初期病変に強く関係すると考えられているマクロファージの変性リポ蛋白の代謝経路であるスカベンジャー受容体を介する代謝を中心に述べる.

血漿交換療法

著者: 上山裕也 ,   松沢佑次

ページ範囲:P.174 - P.175

1.はじめに
 家族性高コレステロール血症(FH)は著明な高コレステロール血症を呈し,しばしば黄色腫や冠動脈疾患を伴う難治性高脂血症であり,特にホモ接合体に対しては有効な治療法が見あたらなかった.1975年Thompson1)らによって初めてFHに対して血漿交換療法が導入され,その有用性が認められて以来改良が加えられ現在急速に普及しつつある.初期には血漿をすべて捨てていたが,現在ではわが国を中心としたカラムの発達により,LDLのみを選択的に除去することが可能となり,LDLアフェレーシスと呼ばれその有用性が高まつている.

栄養学的見地からのコレステロール代謝

著者: 板倉弘重

ページ範囲:P.176 - P.178

1.はじめに
 コレステロールは細胞膜構成成分として,あるいはステロイドホルモンや胆汁酸生成の素材として人体にとって必須の物質であり,体内で一定量が確保されるように調節されている.最近コレステロール代謝が注目されるようになったのは,高コレステロール血症に伴って高率に冠動脈硬化症が発生することが知られるようになったためである.

カラーグラフ

肝循環障害の病理

著者: 大部誠 ,   三枝信 ,   奥平雅彦

ページ範囲:P.118 - P.120

学会印象記 第41回電気泳動学会総会

レクチンによる腫瘍マーカーの診断的価値の展開

著者: 松崎廣子

ページ範囲:P.128 - P.128

 電気泳動学会は1950年,電気泳動研究会の名称のもとに第1回研究発表会が行われた.学会の機関誌『生物物理化学』が翌年1951年に発刊された.本学会は機関誌の名称が示すように電気泳動にとらわれず,広く物理化学的方法をも対象とした方法の研究開発およびその手法を用いての生体試料の分離分析から生理現象や病態解析の研究を指向する学術集会であるように思う.
 第41回総会が1990年11月8日,9日の両日高松市の香川厚生年金会館で,武田和久香川大学教授を会長として開催された.

私のくふう

顕微鏡撮影装置を利用した顕微吸光度測定の検討

著者: 庄野正行

ページ範囲:P.179 - P.179

 顕微吸光測光装置は細胞および組織のDNA,RNA,酵素組織化学,カルシウム,免疫反応の定性および定量には欠かせない機器となっている.しかし,市販の機器はたいへん高価なので気軽に購入するのは難しい.そこで,臨床検査室や臨床病理室には欠かすことのできない顕微鏡と顕微鏡撮影装置を利用した簡易的な顕微吸光度の測定を検討した.その原理は写真撮影時の露出時間と吸光度が比例することを利用した.

肝臓病の病理・2

肝循環障害の病理

著者: 大部誠 ,   三枝信 ,   奥平雅彦

ページ範囲:P.182 - P.185

 肝循環障害は全身性疾患の部分症として現れる慢性うっ血肝やうっ血性肝硬変と肝固有の脈管の閉塞によって生ずる疾患とに分けられる.後者に属する疾患としては肝外門脈閉塞症,肝部下大静脈や肝静脈3主幹の閉塞によるBudd-Chiari症候群,末梢肝静脈閉塞症,末梢門脈枝の狭少化による特発性門脈圧亢進症が挙げられる.また,肝内の太い門脈閉塞によるZahn梗塞や肝動脈閉塞による真の梗塞も重要な疾患である.肝紫斑病や類洞拡張は閉塞機序によるものではないが,その特異な形態が注目される.

TOPICS

ヒトの核酸分解酵素

著者: 安田年博 ,   灘野大太 ,   岸紘一郎

ページ範囲:P.186 - P.187

 核酸分解酵素はヒトの各組織細胞や,血清および尿などの体液中に広く分布し,核酸の組織内分解や消化吸収に関与しているだけではなく,プロセッシング酵素やスプライシング酵素として遺伝情報発現に際し特異な役割を果たしている.最近,ヒトの核酸分解酵素のうち,特に著名なデオキシリボ核酸分解酵素I (DNase I)やリボ核酸分解酵素(RNase)に遺伝的多型性の見られることが明らかにされ1~4),これらの多型性酵素の人類遺伝学や臨床診断における有用性が注目されている.
 DNase Iは,DNA鎖の両端から離れた部位のリン酸ジエステル結合を水解し,5'末端にリン酸基を持つオリゴヌクレオチドを生成するエンドヌクレアーゼの1つである.ヒトの場合,本酵素は主に膵臓で産生され,血清や尿中に認められるが,尿中の酵素活性は血清中のそれに比較してきわめて高い.ヒトDNase Iは,主に尿から単離,精製されたものについて詳細な生化学的検討がなされている5,6).しかし,DNase Iアイソザイムの簡便な分離・分析法がなかったことや臨床検査および人類遺伝学的検査に主として利用されてきた血清中の酵素活性が低く,含有量も少ないこともあって,遺伝学的な面,例えば遺伝的多型性の存在に関する研究はまったく考慮の対象となることはなかった.最近,われわれの研究室では,分解能の高い薄層ポリアクリルアミドゲルを支持体とした等電点電気泳動法(IEF-PAGE)と特異性の高い免疫プロット法または高感度な活性染色法とを併用した2種類のDNase Iアイソザイムの分析法を確立した2・7).新たに開発した活性染色法の手順および原理は次のようである.溶解寒天,DNAおよび臭化エチジウムの混合液を,アクリルシート上にひろげて固化,乾燥してフィルム状にしたものを泳動後のIEF-PAGEゲル上に密着させる.DNase IによるDNAの分解に伴いDNA一臭化エチジウム複合体の発する蛍光が減少することを利用した方法であり,きわめて高感度で汎用性がある.

新生児の急性相反応物質の正常値

著者: 河野由美 ,   新沢毅 ,   白木和夫

ページ範囲:P.187 - P.189

 新生児感染症,特に敗血症では早期診断,治療が児の予後に大きく影響する.しかし,臨床症状に乏しく非特異的なためその診断は困難なことも多い.急性相反応物質(以下APRと略す)は急性炎症時に増加する蛋白成分で,炎症反応の進行状態を量的に表す指標とされるが,中でもα1―acidglycoprotein (α1―AG),Haptoglobin (Hp),CRPの3種を同時に測定しスコアで判定するAPR―スコアは新生児感染症のスクリーニング法として広く用いられてきている1).以下,APR―スコアに用いられる蛋白を中心に新生児期のAPRについて述べる.

メラトニン

著者: 前田潔 ,   河田英一朗

ページ範囲:P.189 - P.190

1.メラトニンの生合成と代謝調節
 松果体は下等な脊椎動物では皮膚を通して外界の明暗を感じる感覚器官であるが,哺乳動物では感覚器官であるとともに,内分泌器官でもあると考えられて,メラトニンはその松果体で産生されるホルモンといえる.網膜で感じた外界からの光刺激は体内時計とされている視交叉上核(SCN)に伝えられ,上頸神経節を経て交感神経線維によって松果体に達する.メラトニンはトリプトファンからセロトニンをへて(serotonin-)N-acetyltransferase(NAT)およびhydroxyindole O-methyltransferaseによって合成される.NATはメラトニンの生合成の律速酵素で,外界の明暗によってその活性は鋭敏に影響を受け,メラトニンとともに夜間や光を遮断することによって著明に増加する.
 メラトニンは現在ではほとんどradioimmunoassay(RIA)によって測定されている.メラトニンのRIAは測定感度も鋭敏で,特異性も高く,手技も簡単である.

非機能性内分泌腫瘍

著者: 笹野公伸 ,   笹野伸昭

ページ範囲:P.190 - P.191

 定義:非機能性内分泌腫瘍とは,本来内分泌機能をもつ細胞の腫瘍でありながら,臨床的に機能亢進症状を欠き,血中ホルモン値の異常上昇を認めず,腫瘤(tumor)として発見されるものをいう.
 発見と同定:発見のよりどころはもっぱら腫瘍としての性状だけである.したがって以前はその腫瘍による圧迫の所見が触診で見つかるか,手術や剖検のさい偶発的に発見される例に限られた.近年はCTスキャン,NMR,超音波などによる画像診断法の進歩により,かなり小さな腫瘍でもたまたま発見される機会が多くなった.その代表的な例として副腎ではIncidentaloma (偶発腫)という名称が生まれた.これは副腎の腫瘍であっても,本来内分泌機能をもたない血管腫や神経線維腫その他の非内分泌細胞由来の腫瘍も含まれている.それ故に臨床的に偶発腫として扱われているものの中から,真の非機能性内分泌腫瘍を同定するなめには,現在のところ摘出材料の組織学的検査に頼ることになる.病理組織像から内分泌細胞由来の腫瘍と決まれば,次の段階として組織レベル,細胞レベルでのホルモン含有,生成,放出についての検査を行うことにより,非機能性の本態解明にとりかかるにとが望ましい.すなわち,ホルモンそのものあるいはその生成にかかわる酵素の同定を,組織化学,組織中含有量とin vitroでの放出量の測定などによって行えば,この腫瘍の病態の本質に迫ることが可能となる.

研究

病院総合情報システムによる細菌検査業務の評価

著者: 大門良男 ,   坂本純子 ,   松田正毅 ,   櫻川信男 ,   林隆一 ,   山本恵一

ページ範囲:P.193 - P.198

 診療情報の一元管理と各業務の有機的結合を図るため,病院情報システムを導入する施設が増えている.本院では診療予約,処方オーダなどに続き,1990年3月,細菌検査を含む検査オーダシステムが稼働した.システム化の実施により,細菌検査業務のうち,検体受付,培地への患者属性などの記入,管理台帳作成に伴う事務作業の省力化,および精度の向上が認められるとともに,オンライン参照による結果報告の迅速化を図ることが可能となった.

資料

ラテックス凝集反応法によるHBs抗体価の測定

著者: 石川文雄 ,   松本美枝 ,   仁木澄子

ページ範囲:P.199 - P.202

 ラテックス凝集反応法によるHBs抗体価の測定系を開発した.同時再現性はCV 3~10%,添加回収試験は回収率90~100%を示し,ヘモグロビン,ビリルビン,抗凝固剤,乳びについては,実用上影響を受けなかつた.測定範囲は130~2000mIU/mlであり,カットオフ値を130mIU/mlに設定したときには,PHA法よりも若干検出力が高く,PHA法の代わりに使用できる可能性が示唆された.

プロトロンビン時間,トロンボテストにおける結果の表示方法について

著者: 後藤秀之 ,   大竹順子 ,   佐藤尚武

ページ範囲:P.203 - P.207

 プロトロンビン時間,トロンボテストの表示方法として一般化している凝固時間,活性値,INRについて検討した.前2者では従来より指摘されている技術的問題点が確認され,INRではある程度改善されることが判明した.また,プロトロンビン時間とトロンボテストでINRの解離を認める例があり,今後の検討課題としたい.現時点で最良の表示方法は凝固時間,活性値,INRを併記することであり,そのうえで臨床的評価がくだされるべきであろう.

編集者への手紙

Purple urine bag syndromeについて―“採尿バッグの着色について”(本誌1990年vol. 34,no. 12,11月号の質疑応答欄)に関連して

著者: 松尾啓左

ページ範囲:P.208 - P.208

 当院(292床,内科・外科・整形外科),および当院関連施設(白十字会弓張病院,330床,リハビリを主とする老人病院;特別養護人ホーム・白寿荘,220床)において,現在までの約2年間に,判明しただけで,
 ①女性76歳:脳内出血後遺症で寝たきり(死亡)

質疑応答 臨床化学

アミロイドP成分について

著者: N生 ,   浜崎秀明

ページ範囲:P.209 - P.211

 QアミロイドP成分について,最近の知見をお教えください.

血液

自動血球分析装置の使用上の問題点

著者: K子 ,   折田登志子

ページ範囲:P.211 - P.212

 Q 血算および白血球分類同時測定の自動血球分析装置が開発され普及してきました.私たちの施設でも、この装置を導入し鏡検と比較検討したところ、使用上の問題点に遭遇しルーチンにのせるかどうか考慮中です.日常検査導入におけるアドバイスをお願い致します.

微生物

細菌の発熱による菌種同定

著者: S生 ,   山村雅一

ページ範囲:P.212 - P.214

 Q 細菌の発熱量によって菌種が同定できると聞きました.どのようにして熱は発生するのですか.また,測定の手技などをご教示ください.

その他

腸管出血性大腸菌とその検索について

著者: S生 ,   仁科徳啓 ,   伊藤機一

ページ範囲:P.214 - P.218

 Q 今話題の腸管出血性大腸菌について,菌の性質と検査法をご教示ください.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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