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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査36巻1号

1992年01月発行

雑誌目次

今月の主題 成長因子と増殖因子 総説

成長因子と増殖因子 現状と展望

著者: 佐藤靖史

ページ範囲:P.7 - P.11

 増殖因子は細胞の増殖や種々の細胞機能を調節する重要な調節因子であり,個体の発生のみならずさまざまな病態に深くかかわっていると考えられている.しかしこれまで報告されている増殖因子の成績は培養細胞や実験動物から得られたものがほとんどであり臨床領域での理解は必ずしも十分とはいえない.本稿では増殖因子の現状と今後の展望について特に臨床的に重要と思われる点に留意して解説した.

細胞増殖の制御機構と発癌

著者: 秋山徹

ページ範囲:P.12 - P.16

 EGF受容体,ErbB-2などの増殖因子受容体はチロシンキナーゼ活性を持つ細胞膜を貫通する糖蛋白質である.これらの受容体の構造に異常が起こりチロシンキナーゼ活性が亢進すると発癌性を示すようになる.ヒトの腫瘍で異常発現している例のあることが知られているErbB-2蛋白質を例としてその発癌性とチロシンキナーゼ活性について概説した.

解説

上皮増殖因子(EGF)

著者: 清水信義

ページ範囲:P.17 - P.21

 上皮増殖因子(EGF)が発見されて30年になろうとしている.今日,50種に余る増殖因子あるいは分化因子が知られており,細胞の増殖や分化の調節が分子レベルで解明されつつあるばかりでなく,さまざまな臨床応用が試みられている.EGFは,この目覚ましい増殖因子研究の発展につねに先駆的な役割を果たしてきた.本稿では,EGFに関するこれまでの研究の成果を簡単に解説する.

表皮細胞増殖因子(KGF)

著者: 長田裕之

ページ範囲:P.22 - P.25

 表皮細胞増殖因子(KGF)は,線維芽細胞によって生産され,上皮細胞の増殖を促進するパラクリン型増殖因子である.分子量が約28,000のシングルペプチドで,ヘパリンに親和性を持つ.KGF蛋白質,KGF受容体は,それぞれFGF蛋白質,FGF受容体と類似している.KGFは,上皮形成に重要な役割を果たしていると推定される.

線維芽細胞増殖因子(FGF)

著者: 居石克夫

ページ範囲:P.26 - P.31

 FGFファミリーの生化学的,生物学的特性について概説した.生理的ならびに病的状態におけるFGFの,特に生体内分布とその制御機構に関する今後の研究が望まれる.血管新生を中心に,組換えFGFやFGFインヒビターの臨床的応用を含めた将来の展望についても言及した.

神経成長因子(NGF)

著者: 磯部一郎 ,   浅井清文 ,   加藤泰治

ページ範囲:P.32 - P.36

 NGFは末梢神経系,および中枢神経系において神経の生存維持促進などの作用を発揮している神経発育因子の1つである.NGFおよびそのmRNAの測定系が確立されたことにより,NGFの分布,生理作用についての研究が大きく前進した,またNGFの受容体には低親和性と高親和性とがあり,実際的な作用を発現するのは高親和性のほうで,最近,その実体について新たな知見が得られた.

血小板由来血管内皮細胞増殖因子(PD-ECGF)

著者: 岡部哲郎

ページ範囲:P.37 - P.42

 筆者らが血小板から分離した血管内皮細胞の増殖因子(当初VEPFと命名)は,分子量約45,000の単一の蛋白質で他の血管内皮細胞の増殖因子とは異なり,ヘパリンに親和性を示さない新規の増殖因子であることが判明し,PD-ECGFと命名された.本因子は血管新生作用を有するほか,血管内皮の遊走も促す.本因子は骨髄の巨核球以外では肝臓や胎盤でその遺伝子が発現されており,胎盤から分離したcDNAの構造は482個のアミノ酸をコードすることがわかっている.本因子が炎症や腫瘍に伴う血管新生に関与するか,また動脈硬化の際の内皮の修復に関与するか今後の研究が期待される.

血小板由来増殖因子(PDGF)

著者: 木村昭郎

ページ範囲:P.43 - P.47

 PDGFは主として中胚葉由来の細胞に対する増殖因子で,血小板のみならず種々の細胞から産生される.最近,PDGFおよびPDGFレセプターの構造の詳細が明らかとなった.PDGFの生理的機能としては,創傷治癒と修復,胎盤形成,中枢神経の機能維持への関与が認められる.PDGFはまた動脈硬化,臓器線維症,腫瘍,炎症性関節疾患などの病態成立に重要な役割を演じている.

トランスフォーミング増殖因子(TGF)

著者: 對馬敏夫

ページ範囲:P.48 - P.52

 TGFにはTGF―αとTGF―βの2種類があり,両者は協同してNRK細胞の軟寒天培地でのコロニー形成(細胞増殖)を促進する.TGF―αは構造がEGFと類似しており,その作用はEGF受容体を介して発現する.TGF―αを産生する腫瘍細胞は多く,自己の増殖や腫瘍に伴ういくつかの病態に関与する可能性がある.TGF―βはほとんどすべての腫瘍組織や正常組織に存在し,細胞増殖や分化機能に対し促進あるいは抑制作用を示す.その作用はきわめて多様であり組織の発生,分化,損傷治癒などに重要な役割を果たしていると思われる.また細胞外基質産生作用により,いくつかの病態に関与している可能性がある.

インスリン様成長因子(IGF―Ⅰ)

著者: 小川正道

ページ範囲:P.53 - P.59

 IGF―Ⅰは成長因子の1つであり,いろいろな代謝作用を呈するとともに,細胞の増殖を促進する.特に,小児においては骨格系に働いて成長を促進する重要な物質である.その研究史,生化学的特性,生物学的特性,分泌とその調節,測定法の概略,正常者および疾患における血中濃度などを取り上げ,ある部分では,構造が似ているIGF―Ⅱとの関連において概説した.

カラーグラフ

口腔粘膜病変

著者: 岡田憲彦

ページ範囲:P.4 - P.6

図1 49歳,女性の舌に生じた白斑型の白板症比較的境界明瞭な白斑として認められる.(写真提供:東京医歯大・第一口腔外科)
 図2 42歳,女性の舌右側縁に生じた紅斑混在型の白板症紅斑の中に小白斑が混在する.(写真提供:東京医歯大・第一口腔外科)

COFFEE BREAK

GOT

著者: 𠮷野二男

ページ範囲:P.31 - P.31

 飛行機を利用して旅行をした人ならば,誰でも,気づくことで,トランクなどに行き先がはっきりわかるような札がつけられ,それは略号で記されている.これは,国際航空運輸協定IATAによって,各飛行場について定められ世界共通である.
 例えば新東京国際空港(成田)はNRT,東京国際空港(羽田)はTYO,ニューヨーク(ケネディー)はJFK,シカゴ(オヘア)はCHI,などである.

スリランカとの交流

著者: 屋形稔

ページ範囲:P.42 - P.42

 遠いインド洋のスリランカに1991年4月から日本国際協力事業団(JICA)の協力で国立医学研究所(MRI)が改築発足した.その4年ほど前から新潟大学の基礎教室,検査部,医療短大を中心としたプロジェクトがこの施設を従来の検査中心から研究機能も持たすべく現地に出張したり,医師や技師を受け入れて教育に力を注いできた.
 私も発足前の2月にちょうど湾岸戦争の危険におびえながらも10日間ほど,仕上げの臨床化学セミナーのため飛行機で飛んで行った.息苦しいぐらい暑い首都コロンボに到着の直前にテロのために国防大臣が爆死したりして騒然としていたがセミナーは無事終了した.スリランカ全土から集められた検査技師の指導者たちは,仏教徒のせいか温和で懸命の勉強ぶりであった.

学会印象記 第38回 日本臨床病理学会総会

望ましい方向に向かう研究環境,他

著者: 屋形稔

ページ範囲:P.60 - P.62

 1991年10月9~11日の3日間,秋晴れの北海道旭川市において,第38回日本臨床病理学会総会が旭川医科大学臨床検査医学教授,牧野幹夫総会長の下で開催された.本会は臨床病理学,臨床検査医学に従事する医師,検査技師の学術活動の核となる学会で,特に来年1月1日からの新会則のスタートと新役員の決定ということでエポックメーキングの学会となった.今年も講演が計5題,シンポジウムなどが計4題,一般演題が口演,示説併せて676題といつもながら盛りだくさんで,このほかにも学術展示,夜には,メーカー後援の技術セミナー,学会の各専門部会活動としての講演会などがあり,意欲旺盛の会員諸氏は,秋の北海道の自然と味覚を満喫する暇がなかったようである.
 本総会は第38回であるが,前身の懇談会時代から数えると40周年にあたり,記念に川崎医科大学名誉教授,柴田進氏が「この頃心にかかること」と題して講演された.お話は記念講演にふさわしく40年前の夢を語り21世紀への展望を試みられた.その夢の後での斯学のたどった迫害,圧迫の歴史と先人の苦労は若い方々の想像を絶するもので鬼気迫るものがあった.幸い草の根のごとき援助と技術進歩に伴い今や検査結果なしで診療はできなくなっている.今後は検査は病人のためというポリシーに従って生のままでない意味づけが求められる.招待講演としてJ Clin PatholのEditorであるDr. Lilleymanが「ヨーロッパにおける臨床病理学(臨床検査)の変わりつつある展望」を,経済的な視点もからめて述べられた.牧野総会長講演では,「臨床検査とエキスパート・システムへの期待」と題して,臨床検査は分析だけでなく,結果の意味づけを重視する必要があると,柴田氏と同じような論点で講演された.シンポジウム2の「白血球研究の最近の進歩」は,これまでIL-1で説明されてきたことが実はIL-8という新しく同定されたサイトカインのしわざであったことなど,もっともup to dateの内容で,基礎知識として持っていなければと思った.

口腔疾患の病理・1

口腔粘膜病変

著者: 岡田憲彦

ページ範囲:P.63 - P.67

 口腔は身体の中では比較的狭い領域であるが,その構成組織,器官はさまざまで,この領域に生ずる疾患も多彩な像を呈する.今回は口腔粘膜に発生する病変のうち,特に日常遭遇する機会の多い白色病変,水疱ないし潰瘍形成性病変,増殖性病変(腫瘍を除く),感染症を中心に解説した.その他病変としての意義は小さくとも臨床診断上必要と考えられる疾患についても簡略に述べた.

トピックス

ミエリン塩基性蛋白質(MBP)

著者: 塩田千代 ,   御子柴克彦

ページ範囲:P.69 - P.69

 ミエリン塩基性蛋白質(myelin basic protein; MBP)はミエリンの主要構成成分で,中枢神経系では全ミエリン蛋白質の約50%を占める.中枢神経系のミエリンはオリゴデンドロサイトの細胞突起の先端が薄く膜状に広がって神経軸索を何重にも取り巻くことによって作られるが,MBPはこの膜の細胞質側にあってmajor dense lineを形成し細胞膜の内側どうしの接着が主たる役割と考えられている.
 MBP cDNAをプローブとして培養オリゴデンドロサイトでin situハイブリダイゼーションを行ったところMBP mRNAは細胞突起にも検出され,MBPが主に突起中すなわちミエリンに近い部位で合成されることが明らかとなった1).したがって脳切片でMBP mRNAのin situハイプリダイゼーションを行うと,あたかも髄鞘染色を施したかのような像が得られ(図1A),もう1つのミエリン主要蛋白質であるプロテオリピド蛋白質(PLP) mRNAのin situハイブリダイゼーション像と対照的である(図1B).

腎交感神経と高血圧症

著者: 河村博

ページ範囲:P.70 - P.71

 腎は長期の血圧の調節を行っており,例えば,血圧が上昇すれば腎の圧利尿効果によりナトリウム(Na)と水の排泄を促す.その結果,循環血漿量の減少が起こり,血圧は低下し元の値に復する.腎のNa・水排泄機構に障害が生ずれば腎は正常の水・Na・バランスを維持するため血圧を高めに再設定する.このように腎では血圧の調節が行われ,高血圧の発症維持機構にも関与している.

アストロサイト遺伝子

著者: 桑野良三 ,   森井研

ページ範囲:P.71 - P.72

 脳の主な構成細胞は神経回路網の主体であるニューロン,その軸索を被覆しているオリゴデンドロサイト,それらの細胞および血管の間にあるアストロサイトである.ここではアストロサイトに特異的(優先的)に発現している代表的な3つの蛋白遺伝子について紹介する.

肝硬変症における肺内動静脈シャント

著者: 盛岡茂文 ,   中山和昭

ページ範囲:P.72 - P.73

 肝硬変症の患者に認められる低酸素血症の機序として,肺内動静脈シャントとそれに関連した換気/血流比の不均等が重視されている1,2).肝硬変患者における肺内動静脈シャントの存在は,1956年にRydell and Hoffbauerにより初めて報告されたが,その後アイソトープを用いた検討やコントラスト心エコー図法により証明されている3,4).すなわち,99mTc macroaggregated albu―min (MAA)を用いた検討では,MAAの直径は20~50μmで,正常者では径10μmの肺毛細血管にtrapされるが,肝硬変患者のなかには全身の臓器への集積が認められる例があることから肺内シャントの存在が推測される.また,コントラスト心エコー図法では,hand agitateした生理食塩水を末梢静脈から注入し,左心へのコントラスト出現の有無を調べるが,生理食塩水内のマイクロバブルのサイズは10~500μmであり,左心系にコントラストの出現がみられた場合には,このサイズのマイクロバブルが肺内を通過することを意味する.われわれの検討では,肝硬変症20例中10例に左心系にコントラストの出現が認められ,肝硬変症における肺内シャントが決してまれではないことが示された.このうち,左心系へのコントラストが強く認められた3例では動脈血酸素分圧が有意に低値であった(56.6±9.8Torr).
 肺内動静脈シャントの機序として,①体静脈血(肺動脈血)が換気されていない肺胞を流れる,②肺動脈と肺静脈の間に解剖学的交通があって,ガス交換にあずかる毛細管一肺胞界面を体静脈血がバイパスしてしまう,③肺毛細血管の拡張があって,酸素が血流中央部の赤血球にまで十分に達しない,などが考えられるが2),③の関与が大きいと思われる.正常の毛細血管では赤血球が一層に並んで流れ,ガス交換がうまく行われるが,この部位に血管拡張があると赤血球が何層にも重なって流れ,また通過時間が短くなることから,酸素の拡散に支障を生じて低酸素血症をきたすと考えられている.肺内動静脈シャントは,心拍出量の20~70%に達することがあり,大きなシャントがあると,末梢の酸素需要に応ずるために心拍出量が増大することになる.今回の検討では,コントラストが左心系に出現しなかった群,すなわち有意な肺内動静脈シャントの存在しないと思われる群においても,軽度の低酸素血症を呈する症例があったが,これらの例では低酸素血症の原因として,門脈肺静脈シャント,拡散障害,などの肺内動静脈シャント以外のメカニズムの関与が考えられる6,7)

研究

初代培養肝細胞を用いた四塩化炭素およびデオキシコール酸誘発肝障害に関する基礎検討

著者: 野口通重 ,   仁藤新治 ,   岡庭梓

ページ範囲:P.75 - P.80

 雌雄のマウス,ラット,ハムスターおよびモルモットから得た初代培養肝細胞の四塩化炭素(CCl4)およびデオキシコール酸(DCA)による細胞障害性を培養上清中に逸脱される各酵素(GOT,GPT,LDH)活性を指標に種差および性差について比較検討した.種差については両化合物総じて,ハムスターおよびラットが高く,マウスおよびモルモットが低かった.雌雄差についてはラットで雄が高値の傾向にあったが,マウス,ハムスターおよびモルモットでは明らかな差はみられなかった.

増殖細胞核抗原(PCNA)の基礎的検討

著者: 鈴木孝夫 ,   岸本浩次 ,   家泉桂一 ,   岩沢篤郎 ,   中野浩 ,   磯山恵一 ,   今井満 ,   中川信廣 ,   近藤峰子 ,   光谷俊幸

ページ範囲:P.81 - P.84

 われわれは,増殖細胞マーカーの1つであるPCNAの基礎的検討を行った.PHA刺激リンパ球幼若化試験,DNA定量との比較,BrdUとの比較などにより,ルーチン標本におけるPCNAの有効性が確認された.PCNAの検出にはPFA,緩衝ホルマリンなどの短時間固定が良好で,アルコール固定も可能であった.PCNAは固定条件などの影響を受けやすく,レトロスペクティブな検索には限界があると思われた.

肝硬変患者の脳波トポグラフィー

著者: 石井みゆき ,   宮内利郎 ,   福村基典 ,   田中謙吉 ,   萩元浩 ,   梶原晃

ページ範囲:P.85 - P.90

 肝障害患者の脳波に関する従来の報告では,肝性脳症・昏睡といった意識障害を伴う重症例のものがほとんどである.今回われわれはt-map,Z-mapを用い,意識障害を伴わない外来通院中の肝硬変患者の脳波基礎活動について検討した.Z-mapでは,δ,θ,α1帯が有意に多く認めt-mapでは,正常群に比し,δは前頭部に,θは前半・中心部に,α1は中心・後半部に有意に増加し,中等症群と重症群では,重症群でθは前半部に有意に増加し,α2は後半部に有意な減少を認めた.

資料

リコンビナント抗原を用いたEIA法によるHTLV-I抗体測定の検討

著者: 福岡直美 ,   西村要子 ,   山口一成 ,   清川哲志 ,   高月清 ,   森秀治

ページ範囲:P.91 - P.93

 HTLV-I抗体測定法のなかで,酵素免疫測定法(EIA)は,細胞抽出抗原を用いてあるため,細胞成分蛋白に対する非特異反応が見受けられた.今回,リコンビナント抗原を用いたEIA法キット(デタミナー「HTLV-I抗体」:協和メデックス)が開発されたので感度および特異性の検討を行った.その結果,ATL,HAMでの見落としがなく,感度も十分なものであったことから,スクリーニング法の1つとして有効なものと思われた.

編集者への手紙

新蛍光ラベルによる食作用生体粒子

著者: 庄野正行

ページ範囲:P.94 - P.94

 マクロファージの貪食作用を研究するために,Molecular Probes社から食作用研究用蛍光標識生体粒子が発売された.その主な生体粒子は酵母,大腸菌,黄色ブドウ球菌の3種類である.蛍光標識は,Bodipy,Cascade Blue,Fluorescein,Tetramethylrhodamine,Texas Redの5種類がある.この中でもBodipy,Cascade Blue,Texas Redの3色はpH 3.0~10.0までpH非感受性で強い蛍光を発する.しかしながら,励起波長と最大蛍光波長幅が狭いものに関しては測定および写真撮影には困難が生じる.このDACM1)はSH基に共有結合し,pHに非感受性でしかも365nm励起光で最大蛍光470nmと約100nmの幅があるので,迷光が少なく有用であると考えられる.そこで,このDACMを用いて蛍光標識生体粒子を試作し検討した.

質疑応答 臨床化学

高HDL血症の発症メカニズム

著者: 平岡久豊 ,   松沢佑次 ,   U生

ページ範囲:P.95 - P.97

 Q  HDL-Cの測定を沈殿法で行っています.まれに100mg/dl以上の高値例があります.このHDL―C上昇のメカニズムを教えてください.

血液

Fechtner症候群の診断法

著者: 古沢新平 ,   渡辺完爾 ,   E生

ページ範囲:P.98 - P.100

 Q 巨大血小板と血小板減少,および塗抹標本において白血球内にデーレ小体様封入体の存在などはMay-Hegglin anomalyの特徴と考えていましたが,同じような特徴を有するFechtner症候群があると聞きました.どのように鑑別するのかお教えください.

末梢血液中の幼若型好中球

著者: 日野志郎 ,   深堀まゆみ

ページ範囲:P.100 - P.102

 Q 白血病以外の患者の末梢血に出現する幼若顆粒球についてご教示ください.日常検査で計数値に異常がなく,核の左方移動もない症例で,後骨髄球,骨髄球などが1~2%出現している場合,これをどう解釈すればよいのでしょうか.ギムザ染色では核クロマチンは繊細で,核小体は認められません.核の不整もなく,まったく正常の骨髄中の細胞と思われます.

臨床生理

Torsades de Pointesと血中マグネシウム

著者: 加世田俊一 ,   S生

ページ範囲:P.102 - P.104

 Q 上についてご教示ください.

診断学

受信者動作特性分析(ROC分析)の理論と方法

著者: 久道茂 ,   辻一郎 ,   K生

ページ範囲:P.104 - P.106

 Q 検査法の精度を評価する場合,感度と特異度が指標となりますが,その両者を同時に分析する受信者動作特性分析の理論と具体的方法についてご教示ください.

海外だより

トンガ王国

著者: 中野友由枝

ページ範囲:P.107 - P.107

 青年海外協力隊員は,現地の人々と同じ言葉を話し,同じところに住み,同じものを食べ,みずからの利益を求めることなく,開発途上国の新しい国づくりに協力している.派遣職種はさまざまな分野にわたっており,活発な活動を展開している.『臨床検査』ではそれらの奮闘記を連載予定.今回はその第1回目として,トンガの保健衛生検査所で活躍している隊員のレポートを紹介しよう.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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