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雑誌目次

論文

臨床検査4巻11号

1960年11月発行

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グラフ

ミクロトーム

ページ範囲:P.661 - P.665

ユンク(Jung)型滑走式ミクロトーム
 日本でもつとも普通に使われている。水平なメスの滑走路と,微細に上昇するブロツク支持台滑走路からできている。(ヤマト光機)

濾紙の折り方

ページ範囲:P.666 - P.668

通常の折り方
 ①除蛋白濾液を得るときあるいは試薬の調製など極めて澄明な濾液を必要とする場合の普通の折り方である。丸型濾紙を四つ折りにして適当の大きさの漏斗にとりつける。濾紙には多くの種類があるが定量用の目的に普通に用いるのはNo.5A, 5B, 5Cなどである。後者が目が細かい。微量の不純物の汚染をさけたい場合はNo.6, No.7も用いられる。

技術解説

肉眼比色による血清総コレステロール簡便測定法

著者: 北村元仕 ,   有松芳子

ページ範囲:P.669 - P.673

 1953年,Zlatkisら1)によつて塩化鉄反応法が血中コレステロール定量に導入されてから,従来最も困難な検査法の一つであつたコレステロール測定は,簡便に,かつ高い精度をもつて多くの臨床検査室で容易に実施せられるようになつた。Zlatkis法は血清を除蛋白せずに直接呈色させ最も簡便であるが,市販試薬の純度によつて屡屡正の誤差を伴ない,また他の多くの妨害も受け易いので,実際には除蛋白を併用する柴田・長谷川の改良法2)や,Zakらの抽出法3)が多く用いられている。また最近,Zak4)およびHenly5)は塩化第2鉄酢酸溶液による除蛋白法を案出し,この原理にもとつく方法6),7)は日常検査法としていくつかの長所を有し,優秀な血清コレステロール定量法として次第に広く認められるようになつた。
 一方,いわゆる老人病と関連して,臨床的に血清コレステロール値が重視せられ,この測定を第一線の診療所,医院においても迅速,簡便に実施したいという要望が次第に強まつてきている。大病院においても,日常検査の件数が増加するに従い,おおよその選別試験として簡便法を併用するという方向も試みられつつある。

写真機附属装置,附属機器

著者: 宮本五郎

ページ範囲:P.675 - P.682

I.緒言
 写真の利用される分野が広範囲にわたつているので,撮影に際してそれぞれの目的に適応した種々の附属装置や附属機器を写真機に取り附けるとか,併用することによつて満足な結果が得られる場合がきわめて多い。
 もちろん目的に応じてそれぞれに適応する種類の写真機を利用すれば都合よく撮影ができることは申すまでもないが,普通の小型カメラを利用して広い範囲にわたる撮影を都合よく行うためには種々の写真機附属装置や附属機器が必要となるのであつて,各種のものが供給されている。

合成洗剤の進歩

著者: 柏一郎 ,   木村鎮

ページ範囲:P.683 - P.688

はしがき
 石鹸は洗剤としてはローマ時代から利用せられたということで極めて適当なものであつたが,原料的にまた性能的に一部欠点があるため万能とはいえなかつた。殊に性能上の欠点は弱酸(脂肪酸)の強アルカリ塩(苛性ソーダ)であるため繊維製品に対しての欠陥は致命的となり,すでに早くよりセンイ工業方面でロート油の発明となつて永くその欠点は補われていた。1916年頃第一次大戦時,ドイツでは食油の欠乏から工業用に動植物油脂の使用が禁止され,ここに初めて油脂を原料としないでブチールナフタリンを原料とした合成の洗剤が登場した。しかしこれは洗浄力が遙かに劣るため,大戦後は洗浄剤としての用途は消滅したが,これを機としてドイツを中心として合成洗剤の研究工業化は非常に活発となつて1930年頃には今日使用されている界面活性剤のほとんどが研究発明されたのである。

座談会

病理組織切片の作り方

著者: 渡辺恒彦 ,   千葉宗平 ,   矢島権八 ,   松村義寛 ,   高橋昭三 ,   内海邦輔 ,   斎藤菊蔵 ,   太田邦夫

ページ範囲:P.690 - P.702

 司会 病理組織学では,組織切片を作り,これをそめて顕微鏡で見ているわけですが,切片をつくる上にいろいろな流儀があるように思います。それで,おのおのの場合にどのようにすれば一番いい切片が能率よくできるかというようなことについて,経験の深い皆様方から,若いテクニシャンに役に立つような示唆を与えていただければ非常にありがたいと思います。
 組織標本を作るのは,極力構造を壊さないで普通の光が通り,先ず細胞が重ならない位の薄い切片にし,それを染色し,透徹することにあると思います。

『医学常識』

神経のはなし〔Ⅰ〕—神経系の構造としごと

著者: 鈴木秀郎

ページ範囲:P.705 - P.708

 ひとの体はいろいろな臓器や組織からできています。これらの臓器や組織が人体としてまとまつた働きをするためにはお互いが協同して仕事をしなければなりません。そのためにはお互いの連絡が必要です。この連絡は神経と体液によつて行われます。体液による連絡については内分泌臓器のはなし(4巻5号311頁)のところでのべました。今月は神経について申しあげます。

読者の頁

Pheochromocytomaの薬物試験の実際

著者: 佐藤辰男 ,   吉永馨 ,   石田望

ページ範囲:P.709 - P.714

緒言
 最近我が国に於いても,Pheochromocytomaの報告が多く見られる様になり,その手術成功例も増加しつつある。周知の如く本症は,腫瘍の摘出を行わない限り,結局は不幸な転帰を辿るべき運命にあるので,高血圧患者の診療に際しては本症に対する一層の認識が求められるわけである。
 本症の診断は,結局尿中或いは血中のCatecholamineの定量によつて確定するのであるが,その定量法は未だ一般的ではなく,現在の所Screening testとしては薬物試験が簡便である。即ち確実性及び安全性の点から,降圧反応を見るRegitine (CIBA)試験と,誘発試験としてのHistamine試験の2つが代表的なものとされている。

臨床生化学メモ

尿

著者: 茂手木皓喜

ページ範囲:P.715 - P.718

1.尿はどうして出来るか
 尿の生成は一口にいつて,血漿中の水分およびいろいろの物質が,腎の糸球体をかこむボウマン嚢で濾過されて細尿管に達し,ここで生体に利用されるものは再吸収をうけ,のこりの不要のもが吸収されずに余分の水とともに尿を生成する。水分以外で尿として排泄されるものは,生体にもはや利用されないもの(尿素,尿酸,クレアチニンアセトン体など),血液中に過剰になつたもの(ブドウ糖),血液の滲透圧やpHを適当に保つため不要になつたもの(水分および電解質,酸性物質,アルカリ性物質)解毒されたもの(いろいろの有害物質が無毒化されたもの)などである。

ガスバーナーの使い方

ページ範囲:P.720 - P.721

 検査室の熱源として望ましいものは加熱の温度も供給熱量もともに広範囲に調節でき,しかも操作が簡単で火災の危険のないものである。しかしこれらのすべての条件を備えたものはないので目的に応じて使いわけている実情である。
 石炭ガスは温度,供給熱量の調節が簡単であり広く使われるが,炭酸ガスを生じ室内空気を汚染するし,また未燃焼ガスが漏洩すると中毒を起す危険がある。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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