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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査4巻7号

1960年07月発行

雑誌目次

グラフ

慶応病院中央臨床検査室

著者: 浅野誠一

ページ範囲:P.393 - P.400

 慶応病院中央臨床検査室は昭和33年10月に開設され,一般の臨床検査物を取扱う第1部と,患者について直接検査を行う第2部とにわかれている。
 第1部は臨床化学科(定量・定性),細菌科,病理科,寄生虫科,血液科の5科より成り,検査員は薬大卒業者および衛生検査技師資格者によつて大部分がしめられ,それぞれ専門の医師が各科の長をして管理している。

技術解説

病原真菌株の保存法(2)

著者: 岩田和夫

ページ範囲:P.401 - P.405

 前文(本誌5巻6号,337-344,1960)において,病原真菌株の保存法に関する全般的な注意事項と培地による継代保存法の実際について述べた。本文においては,長期保存のための諸方法と変異並びに汚染を防ぐ処置について記述する。

光電比色計について

著者: 島尾和男

ページ範囲:P.407 - P.412

I.まえがき
 臨床化学検査の定量分析では,比色法による測定が数多く用いられる。そして比色法による測定といえば誰でも光電比色計による測定を考える。これは良い性能をもつた光電比色計が容易に購入できるようになつたためであつて,比色分析法が広範囲の測定に利用されるようになつたことは,光電比色計の進歩と改良によるといつてもいいすぎではない。デュボスクの比色計やプルフリツヒの比色計のような肉眼にたよる比色計しかないとしたら,気安く比色法によつて測定しようという気にはならないであろう。
 比色法によつて信頼しうる測定結果をだすためには大きくわけてふたつの条件が必要である。第1の条件は測定すべき物質に対する適当な呈色反応があること,第2の条件はその呈色度を正確に測定することである。光電比色計の進歩によつて第2の条件がかなえられたために,いろいろな物質に対する第1の条件をみたす呈色法が考案工夫されるようになり,比色測定法が広く用いられるようになつたのである。

座談会

臨床検査室の現状と将来—大阪のスタッフは語る

著者: 福井定光 ,   阿部裕 ,   川井一男 ,   野木一雄 ,   大森清彦 ,   常松英一 ,   山本祐夫 ,   松村義寛

ページ範囲:P.414 - P.423

大阪の検査室の現状
 松村 ちようど,学会が多数大阪で行われるのを機会に,大阪の検査室のいろいろなお話を伺いたい,というのがこの座談会の目的でございます。東京でも,検査室の主任の方の集まりという座談会はまだ一度もやつたことはないと思いますが,こちらの現状,それから将来のお話など,伺わせていただければ幸いだと思います。
 まず,福井先生から,阪大の様子などを……。 福井 実は,昨年,樫田先生の司会で,大学を中心として,中央臨床検査料の現状とか,あるいは将来の抱負なとを中心として座談会がございました。今度は,大阪の各病院又は診療所における検査室の現状,あるいはまた将来の発展,ないしは抱負,そういつたことについて,しやべつてくれという医学書院のお話でございます。

『医学常識』

造血臓器のはなし(1)

著者: 鈴木秀郞

ページ範囲:P.425 - P.428

血液
 全身の血液は体重の112113,つまり50〜60kgのひとでは4〜5lあり,動脈血では鮮紅色,静脈血では暗赤色をしていて,多少のからい味と特有ななまぐさい臭いをもち,ある程度のねばり気があります。その大部分は心臓から押し出されて,血管をとおつて全身をまわり,心臓に戻ります(循環血液量)。
 血液は全身をまわつている間に身体の各部の臓器,組織に酸素,栄養素,ビタミン,ホルモンなど大切なものを送りとどけ,またそこから炭酸ガスその他の老廃物をうけとります。

〈検査室メモ〉

赤血球指数と平均赤血球恒数

著者: 五十嵐忠平

ページ範囲:P.429 - P.431

はしがき
 赤血球指数も平均赤血球恒数もすべて計算によつて求められるものです。そのもとになるものは1)赤血球数,2)血色素量,3)赤血球容積(ヘマトクリツト)4)赤血球直径などです。従つてこれらの数値を正確に出さなければ,これをもとにして計算される数値は明かに不正確なものとなります。又これらの測定手技に自信があるとすれば,使用器具の正確性が当然問題となるおけです。測定用器具の検定については宮坂の論文1)2)3)がありますので御参照下さい。又幸い財団法人日本血液検査器械検定協会において検定されたものが市販されていますので,これを購入使用することもよいでしよう。

臨床生化学メモ—ホルモンの話(Ⅱ)

著者: 茂手木皓喜

ページ範囲:P.433 - P.437

5.下垂体中葉ホルモン
 下垂体中葉は動物ではよく発達しているが人では一種の嚢胞状の組織にすぎない。しかし,メラニン色素の代謝を司る,メラニン細胞刺激ホルモン(melanocyte-stimulating hormone MSH)が分泌されていることはたしかである。これは別名インターメジン(intermedin)といわれ,皮膚などに色素沈着をおこさせる作用がある。

臨床化学分析談話会抄録

著者: 北村 ,   福田 ,   中村

ページ範囲:P.438 - P.440

血液化学成分に食餌は影響するか?
 生化学的検査のための採血は一般に早朝空腹時とされている。測定値の評価のためには原理的に一定の条件が規定される必要があるが,外来患者などの場合,早朝空腹時という条件を守らせることは案外むずかしく,果して食事をしたためにどのような血液成分の変動が起るものかについては,特定成分を除いて一般的に行われた検討は意外に少い。もちろん,糖や脂質などの変動に対して食餌摂取の影響を見た研究は数多いが,これらも多くは多量の該成分を投与したときの成績であつて,普通の朝食の影響となると案外知られていない。Anninoらはこの問題に結論を与えるために32名の健康人をえらび,日常検査として行われる15項目の化学成分を朝食前後に測定し,統計学的処理を行つてその変動を観察しているので紹介する。

読者の頁

ABO式血液型の出現頻度

著者: 東田一男

ページ範囲:P.441 - P.443

 1901年,LandsteinerによつてABO式血液型が発見されてから今年で60年になる。その間,MN式,Q式,Rh式,その他多くの血液型が,つぎつぎと発見されて,これらの血液型の性状や,その分布状態等も各国の学者によつて研究され,調査せられている1)2)3)4)5)6)
 日本人のABO式血液型の出現頻度については,衛生検査技師試験の第1回国家試験問題として出たように,すでに周知のものとなつている。すなわち,A:O:B:ABの頻度は,大体,4:3:2:1の割合であるから記憶するのにも便利である。

ピクリン酸法に依る血清葡萄糖とクレアチニン直接定量の検討

著者: 雲井康晴 ,   向出惇

ページ範囲:P.445 - P.447

意義
 血清葡萄糖とクレアチニンの定量には種々な方法が報告されているが,分折技術の上から「アルカリピクラート」以下「Ap」法が容易で好ましく思われるので葡萄糖以下「De」及び「クレアチニン」以下「Cr」を同時定量することを検討した。

簡単な血球分類方法について

著者: 富岡茂

ページ範囲:P.448 - P.448

 新年度を迎えて検査室の器具機械類の購入予算が確定した施設が多いと思うが,限られた予算の中から市販の血球分類計算機の購入を予定されている方のために,小生等が現在実施している血球分類方法を紹介し,これ等の予算をさらに有効に使用し,日常検査を多彩なものにされるよう希望する。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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