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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査41巻6号

1997年06月発行

雑誌目次

今月の主題 感染症における病原因子 巻頭言

感染症における病原因子

著者: 山口惠三

ページ範囲:P.613 - P.615

はじめに
 感染症の成立には,"微生物の病原性"と"宿主の感染防御能"とが深くかかわっており(host-parasite relationship),両者の均衡が崩れ,前者の力が後者を上回った状態で初めて感染症へと進展する.そして近年では,これらの両者の関係に"環境因子(医療行為)"が大きな影響を及ぼしている.
 感染症の歴史を振り返ってみると,20世紀前半までは病原性の強い微生物による感染症がほとんどで,その病原因子についての研究が盛んに行われてきた.しかし,20世紀後半に入り,環境衛生の改善,優れた抗菌薬やワクチンの開発などによって伝染性感染症の多くは激減した.そして,今日では医療の進歩によってもたらされたコンプロマイズドホストの増加によって,病原性がきわめて弱い,あるいはほとんどないと考えられていた微生物による感染症,いわゆる"日和見感染症"がクローズアップされるようになった.しかし,このような状況の中にあっても微生物が有する独自の病原性が依然として重要な役割を果たしていることに間違いはない.

総説

細菌の生体への付着と定着

著者: 中山一誠

ページ範囲:P.616 - P.624

 臨床材料から分離される多くのグラム陰性桿菌は線毛を有し,この線毛が宿主細胞表面の種々の受容体に付着する.例えば,大腸菌は宿主細胞表面のマンノースあるいは,ガラクトースを有する受容体に付着する.レンサ球菌やブドウ球菌などは,付着因子(アドヘジン)としては,リポタイコ酸(LTA)や宿主細胞の受容体であるフィブロネクチンを介してM蛋白,あるいはプロテインAに結合する.

細菌の産生する毒素とその作用機序

著者: 唐光慶 ,   本田武司

ページ範囲:P.625 - P.632

 細菌の産生する毒素はその標的細胞に対する作用機序に基づいて3種類に大別できる.1つは酵素活性を持ち細胞質内に侵入性を有する毒素で細胞質内あるいは細胞膜の内側に存在する基質に作用する.もう1つは細胞質内に侵入しないが膜貫通型レセプターを介してシグナルを入れ毒作用を発揮する毒素である.また,細胞膜に孔を開け細胞を溶解する毒素もある.細菌毒素の作用機序の特徴について,主としてこの3つについて解説する.

真菌の病原因子

著者: 前崎繁文 ,   河野茂

ページ範囲:P.633 - P.638

 真菌の病原因子は,一般細菌と比べ十分に解析されていない.しかし,近年,遺伝子工学的手法を用いてノックアウト変異株を作製し,動物モデルや試験管内での病原因子の研究が試みられ,種々の病原因子が明らかになりつつある.真菌症は日和見感染症の代表的な疾患であり,菌側の病原因子と宿主の免疫状態の関連がその発症に関与する重要な要因である.

ウイルスの向性(親和性)

著者: 南嶋洋一

ページ範囲:P.639 - P.645

 ウイルスが特定の細胞に感染して,その細胞の形質,機能,運命を変化させることがウイルス感染症の起点である.ウイルスが特定の細胞(組織,臓器)に選択的に感染する性質は向性と呼ばれる.向性はウイルスの病原性および毒力を規定する重要な要因である.ウイルスの向性はウイルスと宿主細胞の両方の種々の構成成分の相互反応に基づくが,とりわけレセプターはウイルスの感染に必須であり,向性を決定する第1の要因である.

技術解説 産生毒素とその検出法

ボツリヌス菌

著者: 小熊惠二 ,   井上薫 ,   藤永由佳子 ,   武士甲一

ページ範囲:P.646 - P.654

 ボツリヌス菌の産生する神経毒素の分子量は約15万であるが,その抗原性の異なりからA-G型に分類される.神経毒素は亜鉛を結合したメタルプロテアーゼであり,アセチルコリンが放出される際に必要な蛋白質を切断することによりその毒素作用を示す.食品中では神経毒素を胃液から保護し,小腸からの吸収の際に重要な役割を果たす無毒成分と結合し,巨大分子(progenitor toxin)を形成する.毒素の検出には,通常マウスを用いた中和試験を行うが,近年,PCR法による毒素遺伝子の同定法も利用される.

腸炎ビブリオ

著者: 余明順

ページ範囲:P.655 - P.658

 腸炎ビブリオは海産魚介類の生食を嗜好する日本人とは密接な関係にある食中毒原因菌であり,国内での感染,海外旅行での感染の機会の多い食中毒原因菌である.病原因子については多方面からの解析が進められており,現在までに明らかにされている毒素とその検出法について述べるが,病気とのかかわりで考えると,今までに得られた情報だけでは病気を説明することはできない現状にあり,今後の研究の進展が期待される.

コレラ

著者: 山本達男

ページ範囲:P.659 - P.663

 コレラ流行は依然活動期にある.原因菌はコレラ菌(Vibrio cholerae O 1)と新型コレラ菌(V.choleraeO 139)である.いずれも,コレラ毒素を産生して激しい下痢(コレラ)を,その他の毒素(ZOTとAce)を産生して弱い下痢を惹起する.まれに,耐熱性腸管毒素(ST)を産生する菌株が患者から分離されることがある.毒素産生株の診断には,PCRやコロニーハイブリダイゼーションなどのDNA診断法が,コレラ毒素の検出には,逆受身ラテックス凝集反応法やELISA法などの免疫学的な方法が用いられる.動物や培養細胞を使った生物学的な検出法が使われることもある.

毒素原性大腸菌

著者: 岡本敬の介

ページ範囲:P.664 - P.668

 毒素原性大腸菌の感染によって生じる下痢症は,菌が菌体外に放出した蛋白性の毒素(エンテロトキシン)の作用によって引き起こされる.このエンテロトキシンには,100℃で加熱しても活性を失わない耐熱性エンテロトキシン(ST)と活性を失う易熱性エンテロトキシン(LT)とが存在する.本稿ではこれらのエンテロトキシンの性状やエンテロトキシンが下痢を引き起こすメカニズムを紹介するとともに,これらの毒素の検出方法について解説した.

腸管出血性大腸菌

著者: 竹田多恵

ページ範囲:P.669 - P.673

 腸管出血性大腸菌(EHEC)の検査は,志賀毒素(Stx)の検査をすることとも言い換えられる.方法としては生物活性試験,免疫学的方法(ELISA,ラテックス,濾紙),遺伝学的方法(PCR,プローブ法)がある.その中でPCR法は迅速性,特異性,感度のすべてで優れていて,臨床的にも行政的にも汎用されている.免疫学的手法も簡便性では優れている.金コロイド標識抗体を用いたイムノクロマト濾紙法は感度は悪いが,迅速診断法としては最も期待される手法である.

話題

敗血症とエンドトキシン

著者: 大林民典

ページ範囲:P.674 - P.676

 1991年,シカゴで開催された米国胸部疾患学会・救急医学会合同の敗血症と臓器不全に関する用語統一会議(会長Roger C. Bone, MD)で,敗血症(sepsis)の定義に先立ち,全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome;SIRSと略され,サースと発音されている)という概念が提唱された.それは原因のいかんを問わず,全身性炎症反応の兆候として,以下の4項目のうち2項目以上を満たすもの,とされた1)
 ①体温が38℃を超えるか36℃未満.

細菌性スーパー抗原による疾患発症―トキシックショック症候群

著者: 藤巻わかえ ,   内山竹彦

ページ範囲:P.677 - P.680

1.はじめに
 トキシックショック症候群の病態は,ブドウ球菌が産生する外毒素のスーパー抗原活性によるところが大きい.本稿では,トキシックショック症候群と細菌性スーパー抗原とのかかわりについて述べる.

緑膿菌エクソトキシンA

著者: 平泻洋一

ページ範囲:P.681 - P.683

1.はじめに
 緑膿菌感染症は一般に難治性であり,特に敗血症では他のグラム陰性桿菌が原因の場合と比べ死亡率が高い.緑膿菌はグラム陰性桿菌であることから,本菌による感染症においては,内毒素であるリポポリサッカライドが重要な病原因子の1つと考えられる.しかし,緑膿菌のリポポリサッカライドは腸内細菌のものと比べむしろ毒性が弱く1),患者背景の違いや抗菌薬に耐性を示すことに加え,リポポリサッカライド以外の病原因子が本菌による感染症に関与しているものと考えられる2).ここでは,緑膿菌の産生する菌体外酵素の1つであるエクソトキシン(外毒素) Aについて概説する.

バイオフィルム感染症

著者: 公文裕巳

ページ範囲:P.684 - P.685

1.はじめに
 感染症治療の現場において,薬剤感受性成績から考えて十分な治療効果が期待できる抗菌薬を使用したにもかかわらず,十分な効果が得られずに除菌されなかったり,また,いったん除菌されたにもかかわらず,きわめて短期間に同一細菌による再燃が生じたりすることは少なからず経験することである.同様に,生体医用材料や異物が原因となる感染症では,これらの医用材料や異物を除去しない限り感染症が治癒しないこと,ないし,単に除去するだけで感染症が治癒することがあることも従来から知られていた.近年,これらの感染症における不可解な病態の本体が感染病巣局所に形成される細菌バイオフィルムであり,単に医用材料などが関与する感染症のほかにも,種々の難治性感染症の発症,ならびに,病態の修飾と治療抵抗性に関与することが明らかになってきた1,2)

今月の表紙 深在性真菌症の臨床検査シリーズ・2

アスペルギルス症(2)

著者: 山口英世 ,   内田勝久

ページ範囲:P.608 - P.609

3.Aspergillus niger
 通常は汚染菌と考えられるが,特に易感染性宿主において肺アスペルギルス症の原因菌となることがある.本菌は肉腫(アスペルギローマ)型,アレルギー型,胸膜炎型などの病型の感染症を起こしやすいとされ,しばしば病巣内に蓚酸カルシウムの沈着が認められること(オキサローシスoxa-losisと呼ばれる)が大きな特徴である.
 培地上でのA.nigerの発育は速やかである.発育コロニーの表面は,顆粒状または羊毛状,初めの白色~黄色から次第に黒色へ変わる(図1).

コーヒーブレイク

北越雪譜より

著者: 屋形稔

ページ範囲:P.624 - P.624

 先日,越後塩沢の人から牧之(ぼくし)という酒を戴いた.近くの八海山から名付けた八海山という酒は有名で入手し難いが,牧之はそれ以上の幻の酒らしい.味も抜群であるがその名の由来は雪国を描いた古今の名著(地誌兼エッセイ)と言われる北越雪譜の著者で塩沢の人,鈴木牧之からとったものと思われる.
 約160年前に刊行された本書は,牧之が45年を費やして雪に埋もれて暮らす自分たちの地域,人間,生活のすべてを天下に知らしめようと苦心惨憺出版したものである.江戸期の雪国百科全書と呼ばれ,文章は練達で挿画の明確さも特筆に価するものである.内容は多くの評書,特に昭和11年から収載された岩波文庫の後記などに詳しいが,本書をまだ読んでない方には一読をお薦めしたい.つい最近の新聞でも地元三条市の野島出版が挿絵文字までを含め丸ごと現代語訳したものを刊行したと報じられている.

ふたつめの癌

著者: 寺田秀夫

ページ範囲:P.632 - P.632

 病棟回診のある日,中年の理知的な,かつ人なつこい女性の患者を診察した.右乳癌切断5年後に全身に転移がみられ,化学療法続行中のある日,担当の外科医から突然貧血と血小板減少を指摘され,直ちに内科に入院し,急性骨髄性白血病と診断された51歳の主婦であった.
 毎週の回診の度にいろいろ話し合ううちに,彼女が東京大空襲前の木場に生まれ裕福な大家族の中で青春時代を送り,大学卒業後さらにインスブルグ大学に留学し,帰国後17年間ルフトハンザドイツ航空に勤務し,入院当時はデザイナーの夫と12歳の息子の3人暮らしであることを知った.入院後,直ちに白血病に寛解導入療法を行ったが間もなく再発し,翌年10月からは激しい頭痛が出現した.その後間もなく彼女は主治医に"先生,私は骨に転移した乳癌もあるし,白血病だってとてもつらい治療で,到底長生きできるとは思っていません.だからこのまま毎日こんな苦しい治療に耐えるより,一日でも多く家族と一緒に暮らしたいのです.家に帰って思いきり眠りたいのです"と申し出た.

シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Technology編

サザンブロット分析法

著者: 酒井正春

ページ範囲:P.687 - P.691

はじめに
 サザンブロット法(Southern blotting)とはDNAを制限酵素で分解し,アガロース電気泳動で分画したものをそのままのパターンでニトロセルロースなどのメンブランフィルターに移し,目的の配列に相補的な標識したプローブでハイブリダイズすることによって検出する方法である.1975年にSouthern EM1)によって報告され,現在も非常によく使われる基本的な技術である.試料DNAに目的の配列が存在するか,突然変異の有無,コピー数の算定,制限酵素切断部位の多型(Restriction fragment length polymorphism;RFLP)の解析,さらには反復配列をプローブに用いたいわゆるDNAフィンガープリンテイングなど多くの目的で使われている.
 本稿ではサザンブロット分析の原理と方法をできるだけわかりやすく解説してみたい.DNA抽出や消化,電気泳動などの基本的な技術に関しては解説書2)を参照されたい.

Application編

嚢胞性線維症

著者: 吉村邦彦 ,   飯塚佐代子 ,   安斎千恵子

ページ範囲:P.692 - P.697

嚢胞性線維症の臨床像
 嚢胞性線維症(cystic fibrosis;CF)はコーカサス系白人種においてきわめて頻度の高い常染色体劣性遺伝性疾患である1).CFは肺,膵臓,消化管,性腺など全身の多くの外分泌腺臓器を冒す疾患であり,なかでも慢性副鼻腔炎,気管支拡張症,粘稠な気道内分泌物を伴う難治性下気道感染症(多くがムコイド型緑膿菌による),呼吸不全などを呈する呼吸器病変はCF患者の死因の9割以上を占める重要な病態である1).また多くの症例で胎児期から膵管の閉塞が起こり,出生後の脂肪性下痢や,発育不全などの膵外分泌機能不全を招来するほか,約5~10%の新生児は胎便イレウスを合併する.さらに胆汁性肝硬変,男子不妊なども高頻度に認められる.
 一方,臨床検査上特徴的な所見として,CF患者の98%において汗中の塩素イオン(Cl)濃度が60 mEq/1以上の高値を示すことが挙げられ,古くから重要な診断基準として用いられてきた1)

トピックス

肝細胞増殖因子とc-met癌原遺伝子産物

著者: 元井紀子

ページ範囲:P.698 - P.699

1.はじめに
 肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor/scatter factor;HGF)は,1984年に肝細胞の増殖促進因子として精製され,1989年にクローニングされた比較的新しい増殖因子である.HGFの受容体は,c-met癌原遺伝子産物(c-met proto-oncogene product;c-Met)であることが,1991年に明らかとなった.HGFは,以下に述べるように非常に多様な生物活性を有するユニークな因子であることが解明され,発生生物学から臨床医学まで多方面からの研究が展開されている1).本稿では,HGF/c-Metの基礎的事項に加え,主にヒト疾患とのかかわりについて述べる.

IgA腎症の病因抗原としてのHaemo-philus parainfluenzae菌体外膜抗原

著者: 鈴木亨 ,   下条文武 ,   木村秀樹

ページ範囲:P.700 - P.702

 IgA腎症は,世界で最も頻度の高い原発性糸球体腎炎として認識され,日本の糸球体腎炎のおそらく半数近くを占めると考えられており,年間約5,000~6,000人のIgA腎症患者が末期腎不全に陥り透析導入されていると考えられる.しかし,IgA腎症に対する有効な治療法が確立されていない.その最大の理由としては,IgA腎症を惹起するIgA型免疫複合体の抗原自体が不明であることが挙げられる.
 現在までに得られた知見を総合すると,IgA腎症における成因は,(1)自己免疫説,(2)ウイルス説,(3)細菌説,(4)食物抗原説,などが主流である.IgA腎疽の発症機序としては,遺伝的にIgA産生が亢進している状態が存在し,原因抗原に対して過剰の免疫反応を生じる結果,IgA抗体産生が亢進して,原因抗原とIgA型免疫複合体を形成し,それが糸球体に沈着を繰り返すことによりIgA腎症を惹起すると考えられている.

サルモネラの食菌抵抗性

著者: 川上貴敏 ,   檀原宏文

ページ範囲:P.702 - P.706

はじめに
 サルモネラ(Salmonella)は食中毒といった局所感染のみならず,腸チフス,パラチフス,敗血症といった全身感染を引き起こし,現在もなお臨床的に重要な問題を引き起こす病原細菌である1).サルモネラによって引き起こされるそれらのサルモネラ症は,サルモネラの病原性に関与する因子と,それらにかかわる宿主因子との相互作用により規定される2).またサルモネラは細胞内寄生細菌であり,その性質はサルモネラのビルレンスを考えるうえで非常に重要である.一般に細胞内寄生性であることは,感染宿主の免疫系から逃避するために有利である3).これと関連してサルモネラは食菌抵抗性を有しており,マクロファージを代表とする食細胞内で生存することが可能である4).経口感染経路では,サルモネラは小腸,大腸の粘膜上皮細胞(主としてM細胞)から侵入し,さらにその下部の固有層に存在しているマクロファージや多形核白血球に取り込まれる5,6).特にマクロファージは感染初期における感染防御に重要な細胞であり,この細胞の機能はその後の免疫機構に多大な影響を与えることが知られている.しかしながら,サルモネラはマクロファージの殺菌作用を免れることにより,サルモネラ特異的免疫系の成立を妨げ,より重度な感染症状を呈することが考えられる.このような観点から,サルモネラの食菌抵抗性がサルモネラ症の進展において重要な位置を占めることが推測される.本稿では,特にサルモネラの食菌抵抗性に関連した最近の知見を紹介したい.

質疑応答 一般検査

体内水分と体脂肪を簡便に求める測定法とその原理

著者: 田中喜代次 ,   中塘二三生 ,   N生

ページ範囲:P.707 - P.709

 Q 体内水分と体脂肪を簡便に測定する測定法原理 を教えてください.

微生物

皮膚筋炎,多発性筋炎と抗トキソプラズマ抗体の関係

著者: 小林茂人 ,   田嶋美智子 ,   Q生

ページ範囲:P.709 - P.710

 Q 皮膚筋炎,多発性筋炎を伴った,抗トキソプラズマ抗体の上昇という文献を最近よくみます.皮膚筋炎,多発性筋炎と抗トキソプラズマ抗体との関係についてご教示ください.

研究

APRT欠損症(タイプ2)に対する遺伝子診断法の検討

著者: 高尾マユミ ,   坂口恵 ,   園田美百子 ,   後藤潮 ,   井手口裕 ,   小野順子 ,   坂本公孝

ページ範囲:P.711 - P.714

 尿沈渣中に2,8―DHA結晶を認めたAPRT欠損症の患者についてAPRT遺伝子解析を試みた.制限酵素切断法によるスクリーニングおよびDNAシークエンシング法による確認の結果,日本人に最も頻度の高いAPRTJ変異と判明した.本症の確定診断には特殊な解析が必要であるが,検査室における本症のスクリーニングには制限酵素切断法は簡便であり,有用であると考えられた.

資料

男性群のALT値に軽度上昇例の頻度が大きいことについての検討―脂質代謝関連蛋白合成との関連

著者: 小林正嗣

ページ範囲:P.715 - P.721

 超低比重リポ蛋白(very low density lipoprotein; VLDL)の合成亢進においては各種脂質代謝関連蛋白の産生の増大に伴うアミノトランスフェラーゼの産生の増大が存在することが推測される.特に男性の肥満群,高トリグリセライド血症,過栄養が成因とみられる脂肪肝などでアラニンアミノトランスフェラーゼ(alanine aminotransferase; ALT)優位のアミノトランスフェラーゼ値の上昇が認められることについては,骨格筋や脂肪組織などの肝外組織におけるトリグリセライド水解酵素―リポ蛋白リパーゼ(lipo-protein lipase; LPL)およびホルモン感受性リパーゼ(hor-mone sensitive lipase; HSL)の各酵素蛋白の産生の増大に伴うALT優位のアミノトランスフェラーゼの産生の増大が存在することが推定される.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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